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【6月の方程式=4・3・2】

1 名前:名無しさん 投稿日:05/03/31(木) 23:32:30

「佐紀の事が好きなんだ・・・付き合ってください!」
俺は佐紀を真剣に見つめながら言った。
佐紀も俺の顔を真剣に見つめていて・・・ 俺から目を逸らして小さな声で言った。
「・・・ごめん。 私、今は1人でいたいから〜・・・って何回言わせるの!!」
そう言って『はぁ。』と、ため息をついて佐紀が頭を軽く振る。
「えっと・・・ 最初に告白した4月から計算したら〜・・・40回目の失恋かな?」
少し寂しそうに言う俺に佐紀が小さく呟く。
「それじゃ、私は同じ人を40回もふったわけなんだ・・・」
『呆れた〜』って感じの顔をしながら佐紀が俺を見つめていた。


雨が降ってる6月の普通の昼休み

佐紀は、後ろの席の俺に体を向けて強めに言う。
「だいたい・・・付き合っても無いのに、何で『佐紀』って呼び方するの!?」
少し怒った?(どう見ても可愛い)表情の佐紀に向かって『幼馴染だから』と笑顔で即答する俺。
そんな俺の言葉に昼休み早くも2回目のため息。
佐紀は少しの間、俺に何か言いたそうな表情で見つめていた。
そんな彼女に向かって笑顔で俺が言う。
「佐紀は笑顔の方が可愛いから笑ってよ!」
その言葉に佐紀は『ニコッ♪』と笑顔を俺に5秒見せて〜・・・『はぁ。』と3度目のため息。

「だいたい、君は6年2組の中で2番目に頭がいいのに〜・・・少しは考えて告白しなさいっ!」
そう言って丸めたノートで頭を『ポンッ!』と叩かれる。
・・・佐紀に怒られてしまった。
そんな俺も言い返す。
「何を言うか! 自分だって6年2組のNO.3のくせに!」
そんな言い合いを俺と佐紀がしていると〜・・・1人の男子が俺達に近づいてきた。
彼は笑顔で佐紀の目の前に立つと、持っていた次の時間の算数のノートを出しながら言う。
「佐紀〜・・・悪いんだけど算数の宿題が〜・・・」
そう言った彼に向かって『まったく・・・困ったさんなんだから〜!』と少し顔を膨らませながら自分の机からノートを出す。
そして「あと2回でクレープ1個だからね♪」と笑顔で言ってから彼にノートを渡した。
そんな2人の言い合いを不満そうに『ブーブー』と野次を飛ばしてた俺。
2人は慣れた感じで『はいはい』と声を揃えて俺の野次を流してた。

「何で俺のノートじゃなくて佐紀のノートを借りるかなぁ〜!」 少し不服そうに俺が彼向かって言う。
「だって、佐紀の字の方が綺麗で読みやすいしミスとかが少なそうじゃん!」 そう言って笑顔を俺に見せる。
佐紀は彼の言葉に少し嬉しそうに『クスクス♪』と笑っている。
(くっそ〜・・・佐紀は彼には甘いんだから!)
そんな事を思いながら俺が彼に言い返す。
「だいたい今日の宿題なんてメッチャ簡単だったでしょ!! 10分あれば楽勝じゃん!」
俺は隣の机に座って必死にノートを写してる6年2組のNO.4に言ってやった。
彼は手を動かしながら返事を返す。
「佐紀のノートが見たいから〜・・・かな?」
その言葉に『えっ・・・』と佐紀の顔が真っ赤になる。
俺は(適当に言ってるの分かるだろ・・・マジに取るなっての・・・)って顔を佐紀に送るけど全く彼女には見えていない。
「だっ、だって!雅ちゃんがいるし!! それに・・・わ、私は彼氏とか今は作らないですから!!」
(・・・今の言葉1つで佐紀の中の想像では既に20手は先を考えてるな)
「そ、それに!クレープって言っても前みたいに『2人乗り』を期待してるとかじゃないんだよ!!それってデートとかになっ・・・デート!?!?」
佐紀は照れながら独り言を言い続けて、壁に貼ってる給食の献立に『クレープ』とピンクのボールペンで何度も書き続けてる。
『クレープ』『クレープ』『クレープ』・・・・・・『間接キス』?
(毎日給食にクレープ出してど〜すんだよ・・・ってか最後の『間接キス』って何だ??)

そんな行動も全く気付かないで黙々とノートを写す彼。
顔を真っ赤にして頭の中で『佐紀ワ−ルド』展開中の佐紀。
そんな佐紀も可愛くって〜・・・ 少し微笑みながら俺は見ていた。

「そこ! 計算が間違ってるよ♪」
そう言って彼の後ろから『スッ』と指でノートの問題を支持する女の子。
「えっ!?本当?」
そう言って佐紀は自分のノートの指摘された問題を見る。
生徒会長、クイズの女王、そしてウチのクラスのNO.1 『矢島舞美』姫の登場だった。
俺も一緒になって佐紀のノートを見ながら言う。
「あらら〜・・・姫が言うんだから佐紀が間違って〜・・・ えっ!?これって合ってるよ!?」
俺は自分のノートも取り出して計算を確かめる・・・確かに佐紀の答えが合ってる!
佐紀も俺のノートを見てから『うんうん』と大きくうなずく。
「えっ・・・ そんなはず〜・・・」 そう言って姫も自分のノートを確認しから〜・・・そのノートを俺達に見せる。
「ほら!ここの所が違うんだよ! だって、ここは移項しないとダメな所だし!!」
俺と佐紀は姫のノートを見ながら確認するけど〜・・・やっぱり何か違う。
『あ〜だ!こ〜だ!』3人で言い合ってる間に、自分のノートの隅で計算して答えを出した彼が俺達にノートを見せて言う。
「俺も姫と同じ答えになったんだけど〜・・・やっぱり、これが正解だよ!」
「いや!違うって! だって、ここの計算って移項させたら答えが割り切れなくなるよ!」
「いいんだよ!それで! そうしないと『=』で繋がらなくなるから割らないで分数のまま答えになるでしょ?」
「えっ・・・でも〜・・・どう考えても答えが変な形になってるから違うと思うんだけど〜・・・」

ウチのクラスは飛び抜けて成績が学年トップの実力だった。
その中でも頭がいい上から4人が必死になって算数の1問を討論する。

そして10分後〜・・・

「違うって! 『たまご』が先に決まってる! じゃないと起源が無くなるじゃないか!」
「変だよ! 突然『たまご』が自然に発生する訳ないよ! 『ニワトリ』が先に進化して誕生したんだよ!」
「まって! 『進化した』って、どこの時点で『ニワトリ』って判断するかじゃない? 判断した時が『たまご』だったら?」
「判断の基準がおかしいよ! だって何万年も経ってから『ニワトリ』って単語が生まれたんだから〜・・・」

ウチのクラスは飛び抜けて成績が学年トップの実力だった。
その中で頭がいい上から4人が必死になって『たまごが先か?ニワトリが先か?』を討論してた。
ん?何か話題が変わってる気がする・・・ あれ?

さらに10分後〜・・・

「だから! まいまいちゃんは妖精だからいいんだって!!」
「そうかな? 妖精の世界って、そんなに簡単に人間界に行けるようなセキュリティレベルなの? 変だよ!」
「でも、卒業試験が何とかって理由で来てるんだったら『OK!』なんじゃないの? 他の妖精も来てたし〜・・・」
「いや! まいまいちゃんは試験以前にイタズラしに来てるんだから・・・・・・あれ?? 今って・・・何の話してたんだっけ?」
『・・・何だっけ?』 そう言って4人はお互いに見つめ合って首を横にかしげていた。

ウチのクラスは飛び抜けて成績が学年トップの実力だった。
その中で頭がいい上から4人が必死になって何かを討論してたんだけど〜・・・何を討論してたんだっけ?
誰かのクシャミが聞こえて〜・・・ あれ??

「それにしても・・・アイツは本当にすごいよなぁ」
席に着いたと同時に隣の席の『なかさきちゃん』に笑顔でノートを奪われた彼を見ながら俺が言う。
なかさきちゃんは4人の答えが合わさった『完全正解』の答えをスラスラと写してた・・・凄い技だ。
佐紀は「彼の〜・・・何がすごいの?」と少し首を傾げて俺に言う。
そんな佐紀を見つめながら俺はため息混じりに呟く。
「顔もいいし、頭もいい、スポーツ万能の3拍子揃ってる」
その言葉に『なるほど・・・』と佐紀が小さく呟いて彼を見つめる。
(うわ〜!佐紀が『ロマンティック浮かれモード』って感じの目でアイツを見てる・・・何だかなぁ・・・)
俺は浮かれモードの佐紀に向かって話しを続ける。
「しかも、彼女は学校で1、2を争う夏焼雅! でも、性格が良いから人気もあるし男子からの人望も厚い! 優しいしなぁ・・・」
「そうだよね〜・・・ 本当にすごいよね〜・・・」と佐紀の虚ろな声が俺の耳に入ってくる。
(・・・佐紀の目が既に俺の言葉で『恋する乙女』の瞳になってる・・・クソッ!)
「これだけ揃ってれば『3拍子』どころか『3・3・7拍子』って感じだよな〜・・・」
そんな俺の適当な言葉に『えっ!!』と突然、佐紀が俺の方を向く。
真剣な表情で、いきなり見つめる佐紀に俺も『えっ!?えっ!?』と戸惑う。
佐紀は小さな声で「さ・・・さんさんなな・・・フッ・・・フフフ・・・」と突然笑い出した。
必死になって笑いをこらえながらも我慢できなくて声を出して笑う。
「さ・・・さん・・・アハハ!! 3・3・7拍子って〜!!」
佐紀の笑いのウイークポイントに『3・3・7拍子』は直球ストライクだったらしく、もう佐紀が止められない。
「何で・・・3・3・7拍子って・・・3・・・3・・・7・・・アハハハッ!」
(・・・そんなに面白いか?)
俺は壊れたように笑い続ける佐紀に向かって何となく、このタイミングで言ってみる。

「佐紀の事が・・・好きだから俺と付き合ってください!」
『アハハ〜♪』と笑っていた佐紀の笑いが『サッ』と止まって少し切なそうな顔で俺に言う。
「ごめんなさい。 今は1人が〜・・・って、今日4回目の合計41回目だよ・・・」
(・・・何で俺が告白すると一瞬で冷めちゃうの?)

「それにしても本当に凄いよね! まさに『3・3・7拍子』だね〜♪」
自分で言って、また『クスクス♪』と笑い出す佐紀。
そんな可愛い佐紀の笑顔を見つめてたら俺の表情も笑顔に変わっていた。

少しして佐紀の表情が寂しそうなものに変わる。
『ん?』 俺が不思議そうに見つめていると佐紀は俺の方に顔を向けて小さい声で言った。
「彼って〜・・・他の男子と上手く行ってるの?」
(何だよ!アイツの心配かよ) 何となく嫌な感じもしたけど佐紀の質問に正直に答える。
「確かに、夏焼を好きだった奴とかは最初は嫌な目をしてたけど。アイツって・・・何て言うか・・・う〜ん・・・わかんない!!」
俺の意味の判らない発言に佐紀は『え〜っ!何それ〜?』って感じで小さく首をかしげながら俺を見つめる。
(うわ〜!メチャクチャ可愛い〜・・・ってか時間が止められたら絶対にキスしてるのに!)とか煩悩爆発の俺が理性を何とか戻して続ける。
「とにかく! アイツを嫌いな男子はいないと思うよ。 『ライバル』って親友は多いみたいだけど! だから安心〜・・・ってオイ!!」
俺が話してる最中なのに佐紀は彼を見つめながら心配そうな目をしていた。
(何だかなぁ・・・)


帰りの会が終わって掃除のために机を後ろに下げていた時だった。
姫が彼と手を繋いで笑顔で俺達の方に走ってきた。

「ねっ!やっぱり議論してた所は『割らないでそのまま』が正解だったでしょ?」
そう言って『ニコニコ♪』と笑顔で見つめている姫に、俺と佐紀は姫の顔を見つめて〜笑顔で『おそれいりました』と言った。
嬉しそうに姫は笑顔で俺と佐紀を見つめていた

「う〜ん・・・ このままじゃチョット悔しいから・・・私からクイズを出そうかな♪」
佐紀が突然2人に向かって言う。
「いいよ♪」と笑顔の姫と「クイズは・・・苦手なんだけどなぁ・・・」と頭をかいている彼。
(クイズの女王にクイズを出すなんて無謀にも程があるぞ!)
そんな事を思いながらも次の佐紀の言葉に俺は『ドキドキ』する。
「答えられた人には〜・・・ 私が出来る限りの事を叶えてあげる♪」
佐紀は笑顔で2人言った。
同時に『おっ!』と2人が声を上げて〜・・・
「私はクレープ♪」とクイズの女王が言う。
「俺は〜・・・」俺は彼の言葉に注目した!
(わかってるよな!? 男だったら〜何をお願いするか!?)
そんな俺の期待も空しく『佐紀の早口言葉!』と不思議な事を言う彼。
(・・・何だそれ??)
俺が呆気に取られてるのに佐紀は『OK♪』と2人にウインクを1つした。
「で〜・・・君は何を叶えて欲しい?」
佐紀は俺の方を可愛い笑顔で見つめる。
俺が「そ、それじゃあ・・・」と言うと同時に
「あっ!今、言おうとしてたエッチなお願いはダメだよ〜♪」と佐紀が少し意地悪な笑みで俺に言う。
「・・・まだ何も言ってないじゃん」 俺が不満そうに言うと3人は大笑い。
・・・とは言ったものの俺の心の中で考えていた願いは『佐紀の柔らかい唇♪』だから何とも言えない。

俺の『お願い』は後回しにされてしまい佐紀はクイズを言い出した。
「私が入ってる『Berryz工房』ってダンスチームがあるんだけど〜メンバーわかるかな?」
その言葉に3人がうなずく。
「8人で歩いているときに『そこの可愛いお嬢さん』と声を掛けられちゃいました♪」
(クイズなのに自分で『可愛いお嬢さん♪』って言う所で恥ずかしがってる佐紀は可愛すぎる・・・)
「えっと〜・・・それで私達の4人は『はいっ♪』て振り返るんだけど残りの4人は振り返らないで歩いて行っちゃうの」
佐紀の不思議な発言に『はっ?』と俺と彼は同時に佐紀に向かって言った。
「さて!その振り返る4人は誰でしょう? ってクイズなんだけどねっ♪」
そう言って、恥ずかしそうに佐紀が上目遣いで俺達を見ていた。

(『可愛いお嬢さん』で振り返るって〜・・・何か図々しい4人だな。でも佐紀は可愛いから振り返るのかな?)
俺は必死になって考えるけど答えは全然検討が付かない。
さすがの女王も〜・・・スグには答えが出ないのか考えていた。
彼は必死に何度も佐紀に思いついた答えをガンガン言っていた。

「だから!千奈美は絶対に自分から振り向くタイプじゃないんだって!!」
「全く問題を理解してない!! やり直し!!」
彼の4回目の間違いに少し嬉しそうに言う佐紀。

俺も全くわからなかった。
クイズの女王は・・・少し笑顔になっていた。

そんな時だった。
「舞美ちゃん!そろそろ生徒会!!」
その声に振り向くとクラスの女子の鈴木愛理(生徒会書記&NO.5)が掃除を終わらせて笑顔で立っていた。
「あれ〜!? そんな時間なんだぁ・・・それじゃ♪」
そう言ってクイズの女王は笑顔で佐紀にコソコソと耳打ち。
『ポカーン』としてる佐紀に向かって「クレープだからね♪」と笑顔でウインクして走って行った。
それを見て鈴木は彼のおでこを『ベシッ!』と1発叩いて「サッカーの手伝いは生徒会が終わったら行くから♪」と笑顔で言う。
その言葉に『あ〜・・・俺もそろそろ練習に行かなきゃ!』と言って佐紀に耳打ちをする。
(ま、まさか! 彼も答えがわかったの!?)
俺が戸惑いながら見つめていると〜・・・
「理由は?」と佐紀が笑顔で彼に言う。
「理由は〜・・・何だろう?」 そう言って笑顔を佐紀に返す。
佐紀は『も〜っ♪』って笑顔で笑いながら彼の胸を『トン』って叩いて言う。
「オマケで正解にしてあげる♪ 理由は明日ね!練習頑張って来て!」
彼は笑顔で俺と佐紀に手を振って走って教室を出て行った。

「・・・何か不公平だと思うんですけど〜」
そんな俺の言葉を流すように
「さて、私もダンスの練習の時間だから体育館に行かなきゃ!」と言って、俺に笑顔で『バイバイ♪』と小さく手を振る。

可愛いから何でも許せちゃうんだよな〜・・・ずるい。

忘れ物を取りに放課後の教室に1人戻ると、俺の前の席〜佐紀の机の上に何かが置いてあるのに気付く。
「あ〜・・・これ!!」
それは、今日の3時間目まで佐紀が付けていた可愛い銀色の髪止めだった。
体育が終わって戻ってみると無くなっていたらしく必死になって一緒に探したっけ!
多分、誰かが教室の隅に落ちてたのでも見つけて佐紀の机の上に置いておいたんだろう。
・・・時計を見ると6時ちょい前。
この時間なら佐紀の入ってるダンスグループのBerryz工房は体育館で練習をまだやってる時間だろうな。
(しゃ〜ない!渡しに行こうかな!)
俺は佐紀と会える口実ができた嬉しさで胸を弾ませながら走って体育館へ向かった。
手にはしっかりと佐紀の髪止めを握り締めて。

体育館の前に付く。
さて、放課後の体育館は女子がダンスレッスンをしてるから男子は入りづらい感じになってるんだよなぁ・・・
(いや!俺には理由があるんだし! それに、これは好意でやってるんだから嫌がられる事は無いだろ!!)
そんな事を自分に言い聞かせるように心で力強く思う。
1つ大きな深呼吸をして〜・・・よし!
俺は体育館のドアに手を持っていって開けようとした時だった。

「ちょっと!!何か用ですか!!」
ドアの少し開いた隙間から誰かの声が聞こえる。
これは〜・・・隣のクラスの菅谷梨沙子の声だけど〜・・・何か少し怒った声?
俺がそんな事を考えている間に次は別の女の子の声が聞こえる。
「言いたい事があるならハッキリ言えばいいでしょ!!」
今度は隣クラスの須藤茉麻の声。
(何か〜・・・もめてる?)
俺の中に少し興味の種が生まれて来ていて、少し開いた隙間から体育館の中の様子を見てみる。

何か女子同士で向かいあって〜・・・睨み合ってる?
Berryz工房の8人と〜・・・向かいあってるのはウチのクラスの女子5人だった。

(う〜ん・・・あの5人って、何か男子の前では甘える感じで他の女子に評判が悪いグループだ)
昼休みとかに席が近いから、学級委員の佐紀の所に他の女子からの苦情の話を俺は何度か聞いていた。
その度に(・・・俺は絶対にひっかからないでおこう)と思ってたけど〜・・・さて、真相はどうなんだろう?
俺は息を殺すようにして女子同士のイザコザを見ていた。

クラスの女子5人の中心の奴が嫌味くさいトーンで話し出す。
「あのさ〜・・・マジで彼氏いるのに男子にコビ売っててウザイ人がいるんだけど!何とかならない?」
そう言って夏焼を睨むように見ていた。
夏焼は少し切なそうな表情で下を向いたまま何も言わなかった。
菅谷は夏焼に抱きついて守る様にして相手を睨む。
隣のクラスの熊井が強めに言い返す。
「別に雅ちゃんは男子にコビ売って無いし何もしてないでしょ! 彼氏いるのに勝手に雅ちゃんを好きな男子が諦めてないだけじゃん!」
その後でスグに須藤も一緒に言う。
「あなた達も彼の事を狙ってたんでしょ? それで雅ちゃんが彼女になったから面白くないから雅ちゃん責めて・・・もう止めてくれない?」
その言葉が図星だったのかクラスの女子は何も言えなくなってしまっていた。

(おぉ!さすが須藤だ! ハッキリと物事を言うし、ノリが良いから男子から人気あるんだよなぁ!)
見てる俺は確実にBerryzチーム側を応援してた。
いつもは可愛い佐紀も今は真剣に怒った表所で相手を見ていた。
佐紀は小さい頃から曲がった事とか弱い者苛めみたいな事が大っ嫌いで正義感が強くって・・・
まぁ、結局は男子に向かって行って返り討ちにされて泣かさちゃってたなぁ。
後で俺が相手を倒して、泣いてる佐紀を慰めて〜・・・懐かしいなぁ。
そんな過去の余韻に少し浸ってる時だった。
クラスの女子が言った言葉で夏焼の表情が一気に変わって・・・そのまま堪えきれずに泣き出してしまった。

「あんた達さぁ!よく一緒に仲良しグループなんて作れるね? 皆だって彼が好きだったんでしょ? 取られて悔しくないの?」

俺は何となく、そこら辺の事情は知っていた。
夏焼にとって1番キツイ事を言われてしまった。
泣き出してしまった夏焼を必死に慰める佐紀と菅谷。

熊井が睨みながら早口で言い返す。
「変な事言わないでよ! 私達は全員キッパリ諦めてるし、雅ちゃんは大切な友達なんだから!!」
「本当に納得いってるの? ってか、夏焼さんはモテるんだから別の男子と付き合えば良いと思うんだけど!」
そんな嫌味の入ったヒニクな言葉に7人の表情が一気に変わる。
スグにでも誰かの手が飛びそうな状況。

(う〜ん・・・ 男が出て行く場面でも無いけど〜・・・ 何か状況が状況だしなぁ・・・)

俺は一呼吸を入れてから体育館のドアを開ける。
『ガラガラ』と鳴る音に女子の目が一斉に俺に向けられる。
気まずい雰囲気の中をテクテクと歩いて行って、泣いている夏焼を抱きしめてる佐紀の前で俺が笑顔で言う。
「ほれ!佐紀が無くした髪止め。 誰かが見つけて机に置いててくれたみたいだよ」
そう言って佐紀の髪に、そっと銀色の小さな輝きを付ける。
その場が『し〜ん』とした状況に変わって〜・・・ 佐紀は少しして笑顔で『クスッ♪』と笑って「ありがとう♪」と言った。
俺と佐紀のやり取りに緊迫していた空気が変な感じに変わっていた。

そんな中、クラスの女子が俺に向かって言う。
「君だって清水さんの事好きなんでしょ? でも、清水さんは未だに彼の事を未練タラタラで好きなんだよ! ムカつかないの?」
その言葉に佐紀が『そんな事無いよ!!』と反射的に言いそうになったのを俺が途中で切る様に言う。
「別に。 ってか、誰にムカつくんだよ? 俺が勝手に好きになったのに佐紀に? 佐紀が誰か好きだと俺は諦めないとダメな訳?」
俺がゆっくりと笑顔で言うと彼女達は『バカじゃないの!』という言葉を残して帰って行った。

「やれやれ・・・女子の裏の世界は怖いから嫌だね〜・・・ってヲイ!須藤!」
言いかけてる途中で須藤は笑顔で俺にヘッドロックを掛ける。
「男子が放課後の体育館に入ってくるのは『ご法度』だけど〜・・・今のはナイスタイミングだった!偉い!!」
そう言って、さらにきつく締めてくる。
「だって、俺が入らなかったら絶対に須藤が殴〜・・・って、痛い!マジで痛いから!!」
俺の必死の声に、やっと須藤は腕を緩めてくれた。
そんな2人のやり取りに『アハハッ♪』と皆の笑い声が体育館に響く。

「さ・て・と♪ そろそろサッカーの練習が終わる頃だから私と雅ちゃんは早退しま〜す♪」
そう言って徳永千奈美が夏焼の手を取って皆に向かって言う。
夏焼は〜・・・まだ目をこすりながらも必死に涙を流しながら笑顔を作って皆を見ていた。
「最近は雅ちゃんよりも千奈美ちゃんが積極的に練習を見に行ってるのは内緒な話だけどね〜♪」
そんな石村の言葉に徳永が『へっ、変な事言わないでよ!!』と戸惑いながら言う。
「舞波っ!内緒になってないぞ♪」 そう言って嗣永が笑顔で石村を見る。
そんな少し楽しい雰囲気の中を夏焼と徳永は走って体育館を出て行った・・・

・・・と、同時に俺を含めて残った全員が一斉に『はぁ・・・』と大きくため息を付いた。

「可愛いすぎるのも〜・・・何だかんだで辛いのかもねぇ・・・」
そんな嗣永の言葉に「桃ちゃんも可愛いすぎるから!』と必死になって言い返す石村。
嗣永は『はいはい♪』と石村に笑顔で言った。

「佐紀が俺に聞いてた『彼が男子に〜』ってのは、この事か・・・ 夏焼って毎回こんな感じで女子に嫌がらせされてるの?」
俺が佐紀を見つめながら言うと彼女は少し切なそうな表情で俺を見て言う。
「本当に1部の女の子だけどね。 雅ちゃんと彼が人気あるから・・・ 雅ちゃん、大抵は我慢するんだけど〜今日のは彼女が1番気にしてる事だったから。
私達は本当に彼の事を今は何とも思ってないんだけどね。 それでも雅ちゃん自身はやっぱり気にしてるんじゃないかな?」
そんな佐紀の言葉に『なるほど・・・』と俺がうなずくと熊井がため息交じりに言う。
「月・水・金は私達が、火・木は『あぁ!』ってグループで愛理ちゃんと愛ちゃんが雅ちゃんを守ってる感じかなぁ・・・まぁ、毎回来るのは
決まった女子だから呆れてるんだ・・・何とかしたいんだけどねぇ・・・」
(何か・・・女子の世界って男子と違ってゴチャゴチャって聞いてたけど〜・・・微妙な世界なんだなぁ)
俺が少し複雑な心境で考えていると佐紀が俺に向かって言う。
「あっ!本当に『髪止め』ありがとうね!!」
そう言って笑顔で俺が付けた銀色のピンを触りながら言う。

「佐紀・・・」
俺は真剣な表情で佐紀を見つめる。
佐紀は『えっ?』って感じで首を少し傾けて俺を見つめた。
「俺は佐紀の中で彼には勝てない? 佐紀って本当は今でも彼の事を〜・・・」

・・・そんな俺の言葉が途中で止まる。
佐紀の掌が俺の頬を『ジン』と熱くさせて・・・
佐紀は俺の顔を悲しそうな表情で見つめて・・・そのまま涙が瞳からこぼれる。
「何で・・・君が・・・そんな事・・・言う・・・うっ・・・」
佐紀は泣きながら必死に俺に向かって言うと・・・走って体育館を出て行った。

「いくら何でもタイミングがあるでしょ〜・・・」
再度、静まり返った体育館に熊井の声が響く。
「タイミングかぁ・・・ タイミングなら今だったと思うよ。 今、言わないと・・・ずっと変わらないと思って・・・」
俺は叩かれた左の頬を軽く触れながら天井を見つめて言う。
「一生・・・口を聞いてくれないかもね〜」
少し意地悪に言う須藤の声が、俺を元気付ける様に言ってるのが何となくわかった。
今の白と黒が混じり合ったような心境に何となく心地よく伝わってきた。

(算数の方程式なら簡単に解けるんだけどなぁ・・・)
そんな事を思いながら、ジャンプしても届きそうに無い何メートルも先の世界を仰向けになって見つめていた。

 

〜続く〜