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【好きになっちゃいけない人】

1 名前:名無しさん 投稿日:2005/03/27(日) 03:11:36

俺ってイケてんの!?
心の中でそう呟きながら鏡を見た。
何となく顔がニヤケル。
そんなこんなで鏡の前でウダウダしてたら後ろからドンと押された。
「お兄ちゃんキショぃ顔してぇ〜。今日から新学期なんだからね!梨沙子も鏡使うんだから早くどけてよ!」
おおっと!いけねぇ〜ここは我が家の洗面所だった。
「兄に向かってキショぃとか言うな!キショぃとか言ったらお前の顔だって俺に似てるんだからキショぃぞ!馬鹿」
洗面所の鏡の前からどきながら梨沙子に向かって文句を言う。
梨沙子は(しまった!)と言う顔をして
「え!?え!?嘘???キショぃかな?」必死で鏡を見ている。
そしてまた(しまった!)と言う顔をして俺の方に向き直って
「お兄ちゃんの表情がキショかったんですぅ〜。梨沙子は可愛いもん♪」
すっごい笑顔で言い返しながら俺を洗面所から追い出した。

「もう8時近いわよ〜」
お母さんの声と同時に俺は玄関を出た。
梨沙子はまだ鏡の前らしくお母さんの怒る声が玄関先まで聞こえている。
我が妹ながら相変わらずアフォだ・・・・・。
今日から俺も中学2年生。気合入れていくぞ〜!
ファイティングポーズで気合を入れながら通学路を歩く。
今朝ニヤケてたのには、理由がある。

俺には可愛い彼女が春休みの間に出来たのだ。
名前は石村舞波。一見地味だが、笑うと笑窪が出来て可愛いんだ。
成績も優秀で一部の男子から凄い人気がある。
春休み中に電話で呼び出されて告白された時は夢かと思うほど嬉しかった♪
可愛い女の子から告白される=史上最大の幸せだ。
その上、悪友で情報の早い新垣から、同学年の女子の間で俺が人気だという話まで聞いてしまった。
これがニヤケないでいられますか!?って話♪
しっかしなんで俺人気なのかなぁ・・・・・・・・・・・・・・・?
顔は普通。・・・・だと思う。妹と似てるらしいし、女顔なのかな?
運動は・・・・出来るほうと胸を張っていえる。陸上部で結構成績稼ぎしてるし。
勉強は・・・・・・・・・・・・・・・・好きとまでは行かないが得意ではある。
性格は・・・・・・う〜ん?・・・・
また自分の世界に浸っているといつの間にか予鈴が鳴り出していた。
ヤベぇ〜!!!!!!!!!!!
ダッシュで校門をくぐりクラス変え表を見る。B組だ。
もう時間もないので同じクラスに誰がいるなんて見ないでB組の教室に入った。
「遅ぇ〜よ!」
入ると悪友の新垣の姿が見えた。
「お!新垣お前も同じクラスか!?」
席はまだ決まっていないので自然と女子は廊下側。男子は窓側に分かれていた。
窓側の席前の方にいる新垣の元へ急ぐ。前の席に着くとすかさず新垣が、
「俺達も同じクラスだからな宜しく!お前のスイートハニーの舞波っちも同じクラスだぜw」
とニヤニヤしながら話しかけてきた。
廊下側を見ると舞波が笑窪を作り微笑みながら友達の清水や徳永らと話していた。

(そっかぁ舞波も同じクラスかぁ)またニヤケそうになったが自分で自分の顔を叩いて気を引き締めた。
新垣の傍には、悪友同盟(?)の紺野とまことがいた。
新垣は眼鏡が特徴的な新聞部の情報通な親友的な存在で小学校からの腐れ縁で何でも話せる奴。
紺野は成績は全部5なんじゃいか?ってぐらいな完璧人間。でも気さくないい奴。
まことは柔道部で身長は180以上体重も90以上ある大きな中学生で有名な奴。馬鹿が付くほどのお人好し。
(こいつらと一緒だとまた楽しい1年になりそうだなぁ♪)
「また俺ら一緒のクラスかぁ!また騒ぎまくって楽しくやろうぜ!」
「今年は何すんべ?」
などと話していると、本鈴が鳴り、教室のドアが開いた。
「はい〜担任になりましたぁ!稲葉です!1年時同様宜しくぅ!」いつも元気イッパイな稲葉先生。
「稲葉先生が担任かぁ〜」そんな俺のつぶやきに
「クラス表に書いてあったべ!」とすかさず新垣が突っ込みを入れた。
「はいはい!そんでな、今回転校生3人がいます!新しい友達だよ皆拍手ぅ〜♪」
稲葉先生は皆を乗せるのが上手い。
クラス分けされたばかりなのに、皆笑顔で拍手をしている。
稲葉先生が手招きすると3人の女の子が入ってきた。

「「「「おぉ〜!!!!!!!」」」」
クラス中から歓声が上がる。それもそのはず。
「うひゃ〜今回レベル高くねぇ?」新垣が嬉しそうに言った。
「はいはい!静かに!じゃあ、手前の子から自己紹介してもらおうかな?」
稲葉先生の隣にいた女の子が話し出した。
「嗣永桃子でぇすぅ♪●●中から来ましたぁ♪「桃」とかぁ「ももち」とかぁ呼んでくれると嬉しいなぁ♪皆仲良くしてね♪」
「はい宜しく〜皆拍手〜」
稲葉先生が言う前から男子の殆どは拍手喝采。
桃子とか言う女の子は小柄な方で何かクネクネしてて甘い声。顔も確かに可愛く男子受けしそうなタイプだった。
(舞波のほうが可愛いし)俺は心の中で呟いた。
「はい次〜」
次の女の子の番だ。
「須藤茉麻です。●■中からの転校です。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・沈黙になってしまった教室。
無理もない。この須藤とか言う子・・・睨みながら挨拶をしている。こ・・・怖い。
「は!はい!宜しくね。はい!拍手!拍手!」
稲葉先生の言葉に皆拍手をし始める。
そんな空気が流れても須藤と言う女の子は表情一つ変えずに睨んだまま黙っている。
体は3人の中で1番大きいが顔立ちがとても綺麗で、その顔で睨まれているので余計に怖かった

「じゃあ最後お願い!」
最後の女の子の番だ。
「熊井友理奈です。▲▲●中学校から転校してきました。宜しくお願いします。」
「はい宜しくね!皆拍手!」
皆拍手をする。
熊井と言う女の子はとても綺麗な顔立ちでスタイルもモデルみたいなスタイルをしている。
「あ・・・あの子可愛いね。」
普段あまり女子の話をしない紺野がポツリと呟く。
俺も、新垣も、まこともその言葉を聞き逃さなかった。
「お〜お前一目ぼれか?」核心に迫る新垣。
「違うよ!一般論としてだよ。」
少し怪しかったが冷静な口調で紺野が返すので、それ以上は何も言えなかった。

転校生3人は?と言うと教卓の横に急遽置かれたパイプ椅子に並んで座っていた。
それからすばらくは稲葉先生の春休みの様子だとか笑える話が続いて一気にクラスのムードが上がった。
「じゃあ〜早速席替えしちゃおうか?学級委員!席替えの準備お願い!え〜っと女子学級委員は・・・」
稲葉先生の言葉で席替えが始まった。
うちの学校では毎回1学期のみ学級委員を担任が事前に決める事になっていた。
毎回成績のいい奴が選ばれる。
「女子学級委員は石村!はい!前に出てきて!」
女子の学級委員は舞波だった。照れながら教卓へと向かう舞波が凄く可愛かった。
男子は、やはり成績優秀な紺野がなるんだろうなぁ〜とか漠然と思っていたら、今年は違っていた。
「男子学級委員!新垣!前にさっさと出て来きなさい!」
思いもしない学級委員の名前にクラス中がザワついた。

「ええええええええ!!!!!!!!!????俺!!!!!!!!!!!?????」
凄い声で新垣が驚いている。どうやら本人が1番驚いたらしい。
「君以外に(新垣君)はいませんよ!」
稲葉先生が前に出てきた新垣の額をペチっと叩いた。そのやり取りが面白くクラス中大笑い。
転校生も笑っているようだった。(須藤を除いては)
(いいなぁ〜舞波と学級委員。俺もやりたいし・・・・)そんな事を思っていると
「席替えを始めます!男子はAの箱。女子はBの箱から、番号の書いてある(くじ)を引いてください!」
舞波が一生懸命に叫んでいた。
新垣はと言うと・・・・・隣でオドオドしながら佇んでいた。オイオイ・・・・・新垣いつものハイテンションはどこに行ったんだよ?
それから男子も女子も(くじ)を引いて席が決まった。
窓側から男子の列・女子の列と廊下側まで列が交互になる仕組みだ。

俺は窓側の前から3番目だった。
前の席は紺野。後ろの席は新垣。前の方だから先生の目が心配だが、悪友もそろった事だし満足だ。
(これであとは舞波が隣なんてなれば1番いいんだけどなぁ〜♪)
女子が移動してきた。
「君の斜め後ろの席なんだ♪舞波ラッキーだねw宜しくね♪」
舞波が微笑みかけてきた。隣じゃないけど俺もラッキーだよぉ最高だ。
舞波と話していると徳永が話しかけてきた。
「ね〜ちょっと!菅谷君!そこ邪魔なんだけど!熊井さん困ってるよ!」
徳永の方を見ると熊井が困った顔をして立っていた。
「熊井さんは、菅谷君の隣の席なの!私はその後ろ!いくらラブラブだからって教室では控えよね!」
俺が御免と誤る前に「ごめんなさい。私が悪いの。熊井さん席近く同士仲良くしてねw」
舞波が微笑みながら熊井に手招きをした。流石俺の舞波だw
「はい!あ!(ゆり)って呼ばれてたから(ゆり)って呼んでいいよ。私こそハッキリ言えなくって御免ね。」
熊井が笑顔で舞波と話している。
熊井の笑顔が、あまりにも可愛いので不覚にもドキッとしてしまった。
「あ〜いいなぁ!舞波だけ!私も(ゆり)って呼びたい!私は(千奈美)とか(ちな)があだ名だから♪好きなほうで呼んでね!」
徳永が2人の間に割って入った。相変わらず徳永は元気だなぁ〜なんて思ってる間に
すっかり3人の中に俺の入る隙間がなくなっていた。

「へぇ〜熊井さん笑顔も可愛いんだぁ」
紺野が俺に話しかけてきた。
「紺野お前、さっきから熊井の話ばっかりだな。」
「そうか?でも熊井ってあだ名(ゆり)って言うんだな。あだ名も可愛いな。」
「ほらまた!熊井の話じゃん!」
「え〜あ〜そうか?あ!熊井また笑ってるよぉ・・・」
紺野は完全に熊井に惚れたらしい。
この会話を傍で聞いていた新垣がニヤニヤしながら紺野に
「そんなに気になるなら、お前(ゆりって呼んでもいいですか?)とか聞いてみれば?」
笑いながら言った。俺も賛同して同じことを言うと紺野は以外にも納得し、
「熊井さんに話しかけてくる!」
そう言って熊井に話しかけに言った。
俺達は冷やかしのつもりだったので紺野の行動に驚いた。
「わ〜凄いことになったなぁ」俺が新垣に話しかけると、
「あっちも凄いぜ!」新垣が笑いながら廊下側の席を指差した。
廊下側に1番近い席に1人だけ飛ばされてしまったまこと。
寂しいだろうなぁとか心配していたのだが、その心配の必要は無かった!
転校生の嗣永桃子の隣の席で鼻の下をデレデレと伸ばして締まりのない顔をしている。
「惚れたな。あれは。」
「うん。惚れたな。」
2人で顔を見合わせ爆笑した。
まだ1時間もたっていないのに紺野は熊井に。まことは嗣永に恋をしてしまっていた。

「そういえば、もう一人の転校生は?」須藤の姿が無かったので新垣に問いかけると、
「そこにいるじゃん!」前方の席を指差した。
真ん中の列の前から3番目(つまり横列で言うと俺と同じ列)にいた。
他の転校生と比べ、誰とも喋っていないし、参考書なんかを読んでいる。
清水が席が近いみたいで話しかけているがイマイチ反応が無い。
「あの転校生変わってるよな。」新垣が俺が思ったとおりの言葉を発したので、また笑えた。
「うん。そうだな」そんな話をしていると、熊井達と話していた紺野が帰ってきた。
「ゆり可愛すぎ!」
「「えええ〜!?」」俺と新垣は同時に驚いた。
「もう「ゆり」呼びかよ!?よし俺も話してこよう!」そう言って新垣も
熊井達の元へ行くと言い出したので俺も行くことにした。
「ね!ね!?熊井さん!俺も(ゆり)って呼んでもいいかな?」
少し興奮気味の新垣の問いかけに熊井は笑顔で「いいよw」と答えた。
「も〜!あんた!興奮しすぎだよ!馬鹿みたい!」呆れ顔の徳永に「いいじゃんか!」と新垣が言い返した。
(俺の友達2人も(ゆり)って呼んでるんだから俺だっていいよな?)
俺も勇気を出して「俺もさ・・・(ゆり)って呼んでもいいかな?」聞いてみた。
するとさっきまで笑顔だった熊井の表情がいきなり曇り「御免・・・・・無理・・・・熊井でいいかな?」
そう言い返してきた。
予想外の答えに俺は勿論周りの皆も唖然としていた。
「彼女がいるのに他の子になれなれしくするの良くないよ!」熊井がとっさに笑顔で答えた。
(あ〜そうかビビッタぁ〜)
「じゃあ(熊井)で!」その会話で皆の空気も元に戻り、給食時間まで楽しく過ごした。

俺の学校は給食当番制度ではなく、学食でケータリングする。
1階にあるホールで全学年合同で給食を食べる仕組みになっている。
メニューも3種類の中から選べるし美味しいことで有名だ。
俺達4人グループは、転校生3人+徳永・清水そして舞波の10人で1階のホールまで移動した。
ホールに着くと皆、トレーを持って列に並んでいた。
「凄いねぇ♪桃こんな給食初めてだからワクワクするよ♪」ハシャグ嗣永に、まことが
「桃子さん!給食乗せたトレーは重いですから俺が持ちますよ!」笑顔で言った。
「まこと君大丈夫?いいのぉ?有難う♪桃子ハッピー♪」まことにピタッと嗣永がひっついた。
「あの転校生凄いね・・・」徳永と清水が少々呆れ顔で、その光景を見ている。
まことはもうすっかり、嗣永の家来(?)だ。

「あ〜菅谷ちゃぁ〜ん発見〜♪」俺の背中に誰かが飛び乗ってきた。
「舞美A組で菅谷ちゃんとクラス離れて寂しいんだからぁ!」学年でも美少女で有名な矢島舞美だった。
「菅谷ちゃんって呼ぶな!てゆーか降りろ!」俺が怒るとますます体重をかけてきた。
(舞美の奴ぅ〜俺が女顔だから(ちゃん)付けで呼んでからかってぇ)
「あ!舞美だけズルイ!菅谷君!みやも寂しいんだよ。」舞美と同じく美少女で有名な夏焼雅が腕を組んできた。
と言うことは・・・・・
「菅谷君・・・・私もA組なの。2クラスしかないのに不公平よね。離れ離れだなんて。私・・・・」
反泣き状態の村上愛が前から抱きついたきた。
(やっぱりな・・・・舞美と雅と愛。・・・・この3人組・・・・)
こいつら3人組は演劇部で我が校でも有名な仲良し美少女3人組だ。
去年俺と悪友達と徳永・清水・石村とこの3人は同じクラスで文化祭の出し物で「ロミオとジュリエット」を演った時に、
俺が何故か女顔だからとか言う理由でジュリエット役をやり、
愛がロミオ役を演じたと言う笑える思い出の共有者である。

後ろは舞美。隣は雅。前はめぐ。この状況で動けないでいると
「あんた達!またやってんの?菅谷君迷惑してるじゃん!それに彼女の舞波だっているんだからね!」
徳永が俺達の間に割って入った。
徳永の後ろで今にも泣きそうな顔をしている舞波がいた。
「あ〜千奈美あんたB組だったんだぁ」雅が言い返した。
「舞波ちゃんが彼女だもんね。ごめんね私・・・・・菅谷君のこと好きだからつい・・・・・」
村上が俺から離れながら潤んだ瞳で見つめてくる。
「あ〜謎ですねぇ。舞波なんて地味な奴よりも、よっぽど愛ちゃんのほうが可愛いのになぁ菅谷君!
 そう思わない?愛ちゃんが先に告白してたら勿論愛ちゃんと付き合ってたよね?」
舞美が徳永と舞波を睨みながら言った。
・・・・・・・・・・・・実は春休み・・・・・・・・・
舞波から告白された3日後に郵便受けに手紙が入っていた。
差出人は村上愛・・・・・。
内容は・・・・・好きだという、ラブレターだった。

そのことを思い出してる最中に俺の顔がみるみるうちに赤くなるのが自分でも解った。
「ほらほら♪やっぱり愛ちゃんだよね!」舞美がすかさず俺の表情を読み取り冷やかす。
次の瞬間2つの泣き声がした。
1つ目は愛の泣き声だった。「私がもっとハッキリしていれば・・・・」とかで泣いている。
2つ目は舞波の泣き声だった。何も言わずただ泣いている。
B組は舞波を慰め、A組みは愛を慰め、互いのクラスのリーダー格の舞美と徳永は喧嘩を始めた。
最悪な事態だ。
(どーしよう・・・・俺のせいだ・・・)この事態に慌てていると・・・・

「お互い攻める相手間違ってるんじゃないの?
悪いのはハッキリしない菅谷君じゃん!
舞波っちは菅谷君が好きで告白して付き合った。
え〜っと村上さんだっけ?村上さんは菅谷君が好きで告白しただけ。
選んだのは菅谷君なんだから責任は菅谷君にあるんだよ!
だからこの喧嘩は変だよ!間違ってる!」
熊井が少々キレぎみで怒鳴った。そして俺を睨みつけていた。
「ゆりの言う通りだ。ホールは皆がいるんだから、
こんな喧嘩をする場所ではない。
村上さん達も自分のクラスの席に戻って
早く昼飯食べたほうがいいんじゃないの?」
紺野が冷静な口調で言った。
その言葉に3人組は渋々A組のテーブルの方へ帰って行った。

「凄い!ゆりと紺野君格好良かったよ!」徳永が笑顔で喜んでいる。
「私、ゆりの言葉でスッキリしたよ。言ってくれて有難う♪紺野君も有難う」清水もお礼を言っている。
「桃怖かったぁ」その言葉に「桃子さんは僕が守ります!」まことがすかさず言う。
何とか収まったみたいだ。
安心感を持ったのもつかの間。新垣に肘打ちされた。
「お前!彼女泣いてるのに放置かよ!?」新垣が舞波を慰めながら言った。
「あ!違うんだ舞波!舞波のことそんなんじゃ・・・」俺が言い終わる途中に
「泣いたりして御免ね。菅谷君の事、私信じてるから。」舞波が涙を拭きながら笑顔でいった。
「ごめんね。ごめんね舞波。」舞波に誤る俺は、冷たい視線を感じた。
振り返ると、須藤と熊井が俺を睨んでいた。

須藤はいつもだけど・・・・熊井は・・・・・相当怒らせたかな?
ヤバイな。転校初日で2人とも緊張してるみたいだし・・・・よし!ここは誤ろう。
そう思って俺が振り返ると、もう2人の姿はなかった。
「何やってんの?もう皆選んで席に座るよ!」
徳永の声で俺だけがまだトレーに給食を乗せてない事に気がついた。
急いで好きなおかずを選びみんなの待つ席についた。
席は、円テーブルで、男子と女子が向かい合わせになる形で座っていた。
男子は新垣・俺・紺野・まことの順番。
女子は清水・まことと嗣永は必然と隣同士になる。まことはデレデレだ。

「さぁさ♪嫌な奴らもいなくなった事だし昼ごはんにしますかぁ♪」最高の笑顔で徳永が言う。
今日の昼飯もなかなか美味い!皆黙々と食べている。
皆が食べ終わりトレーを集める場所に持っていく時も、まことは嗣永のトレーまで持って
移動していたので「まことは嗣永にだけ優しいなぁ♪」まことを少しカラカってやった。
まことは必死になって言い訳をしているけど文節がおかしく言葉になっていない。
「やだなぁ菅谷君!桃子って呼んでよね♪」嗣永が俺に話しかけてきた。
「名前は仲良くなるための第一歩だと桃子は考えてるの♪だから桃子って呼んでよ!」
ニッコリと微笑んだ顔が可愛かった。
この笑顔にまことは惚れたんだなぁと妙に納得してしまった。
「解ったよ。じゃあ、桃子!」
「そうそう♪菅谷君宜しくぅ〜♪」俺の両腕を持って上下に激しく振りながら桃子が微笑んだ。

今回の転校生は結構仲良くなれそうじゃん!(・・・・・・・須藤は微妙だけど)
そんな事を考えていたら、下校の時間まであっという間だった。
「じゃあ、また明日!もう一回言うけど、明日は1年生の上級式があるからね!忘れないように!
でわでわまた明日!解散〜w」稲葉先生が帰りの挨拶をした。
うちの学校は小・中・高・大と一貫教育で、入学式ではなく上級式がある。
俺の妹の梨沙子も今日から登校しているが、午前中で帰宅し、
明日の上級式では前に出て代表挨拶をする予定だなので、その準備をしているのだろう。
「またまた!今日の仲良し10組で帰宅しちゃいませんかぁ?w」徳永が大声で言った。
「いいけど、何時から俺達(仲良し10人組)になったんだ?」突っ込みを入れた新垣に
「あんたはいつも一言余計なのよ!」と徳永が新垣に逆突っ込みをいれた。
舞波や清水や転校生も、そのやり取りに笑いながらも賛同し、皆で下校になった。

学校から校門を出ると1本道が続く。皆でワイワイ騒ぎながらの下校となった。
給食の時間感じた熊井の冷たい目線。あれは俺の勘違いだったのだろうか?
熊井は他の皆に笑顔で接している。
しかし、今日一日俺には笑顔で接してくれいない。
俺は何故か気持ちがイラだった。
「どーしたの?元気ないねぇ?大丈夫かな?」そんな俺に優しい笑顔で話しかけてきたのは
舞波だった。
「いや、別に元気だよ!」ファイティングポーズをとってみせると
「それなら良かった♪舞波、一緒に下校出来て嬉しいな♪」舞波がくっついてきた。
(かっかっ可愛い〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!)
思わず抱きしめたい衝動にかられたが、新垣と徳永の言い合う声で我に返った。
「俺も嬉しいよ。」ただ一言言うだけでもドキドキした。
「相変わらずラブラブだね♪私も早く彼氏欲しいな♪」清水がニヤニヤしながら言った。
「佐紀ちゃん♪好きな子いるの?」舞波が聞くと、また清水が笑った。
「お〜!清水好きな奴いるんだな!誰だよ教えろよ!w」俺も加わる。
「いるけど内緒。恋は秘め事。秘める想いが美しいのですw」
清水のその言葉に舞波と俺は爆笑しながらも「頑張れ!応援するぞ!」そう言った。

「じゃあ!俺はここだから。」紺野の足が止まった。
紺野は学校から10分ぐらいの社宅に住んでいる。
「え〜今野君の家もここなのぉ?桃子の家もここなのぉ!仲良くしてね!」
どうやら、桃子の家もこの社宅らしい。
「私の家もここだよwここの4階♪」清水の言葉に桃子が
「本当にぃ!?桃子5階♪佐紀ちゃん仲良くしてねw」清水に抱きつく。
社宅組3人とはここでお別れだ。「バイバイまたね!」
それから残りの7人で歩いた。
3分もたたないうちに舞波・まこと・新垣の足が止まった。
商店街の入り口だ。
「じゃあ俺らはこっちだから!」新垣の言葉に
「皆お店してるの?」熊井が問いかけた。
「俺の家が食堂。まことの家は魚屋。舞波の家はケーキ屋なんだよ。」
新垣が手早く説明した。
「ゆり♪今度遊びに来てねw」舞波が言う。
「うん♪ケーキ屋さん絶対遊びに行くねw」熊井が微笑み返しこの3人ともここで別れた。
(舞波ともっと一緒にいたかったなぁ〜)そう考えていると
「残念だねぇ舞波と離れ離れぇ〜♪」徳永がからかってきた。
「うるさいなぁ〜!お前の家そこだろ!早く帰れよ!」
徳永の家の前に着いていたので俺は追い返そうとした。
「お邪魔虫は消えますよ〜っだぁ!ゆり♪まーさちゃん♪バイバイ♪」
熊井と須藤も挨拶している。
そして徳永もいなくなり・・・・・俺達3人が残った。

須藤は熊井にだけ、打ち解けた様子で結構話している。(笑顔ではないが・・・)
俺は黙って聞きながら歩いた。
「あ!私の家はここなの。今日は仲良くしてくれて有難う。また明日!」
最近出来た大きなマンションに須藤が入って行った。
「じゃ〜な!また明日!」「まーさちゃんまたねw」須藤は、初めて笑顔を見せながら
「バイバイ。」一言言い家に向かって行った。
須藤の後ろ姿を見つめながら
(須藤の奴可愛いじゃん!学校でも笑えば人気でるのになぁ・・・・)
また自分の考えに浸っていると熊井が
「あ〜須藤可愛いよなぁ俺のものにしてぇ〜なぁ〜」
俺を横目で見ながら言った。いきなりの行動&男言葉にビックリしていると
「しまったぁ俺ってば、舞波って言う可愛い彼女もいるんだったぁ・・・しかも村上からも
告られてるしぃ♪俺ってばモテて困っちゃうなぁ〜」
はぁ?何今の熊井?え?え?思考回路がおかしくなりそうだ。
「私は、あんたなんか絶対好きにならないから!」
昼間のあの冷たい視線の熊井が今俺の目の前にいる。
「な!何言ってるんだよ!いい加減にしろよ!俺の事知りもしないくせに勝手な事言うなよ!」
俺は怒鳴ってしまった。

すると熊井は、しゃがみこみ泣き出してしまい・・・・
「ひーん。ひーん。酷い。少し仲良くなりたいなぁと思って言っただけなのに」
どうやら冗談だったようで俺は焦った。
「ごっ御免な熊井!俺馬鹿だからさ本当御免あの〜え〜っと」
必死で誤るが言葉が見つからない。
慌てる俺を見上げ熊井が立ち上がった。目に涙などない。
「本当馬鹿。今のは嘘泣きだし。君さぁ〜女なら誰にでも優しくみたいな行動やめたら?」
「何だよ!嘘泣きかよ!誰にでも優しくとか考えてねぇ〜よ!」
怒鳴る俺にビビる事もなく睨み返した熊井は一言呟いた。
「・・・・木・・・理。」
「え?聞こえなかった!何だよハッキリ言えよ!」
「鈴木愛理!」
俺はその言葉に驚いた。
「私の親友。鈴木愛理!泣かせたでしょう?許さないんだから!この学校には君に復讐する
ためにやって来たんだから!」
さっきよりも酷く睨みつけたいた。

「ちょっと待てよ!鈴木は・・・・」言いかけたその時だった。
俺の唇を柔らかいものが包み込んだ。
・・・・・・・くっ・・・・熊井の唇?・・・・・俺達キスしてんの?・・・・・・
思考回路停止状態の俺の唇から柔らかい感触が離れていったかと思うと
「復讐始めに君のファーストキス奪いました♪彼女の舞波ちゃんこれ知ったら、どうするかな?♪」
熊井が始めて俺に笑顔を見せた。
「じゃあ私の家はここだからぁ〜♪明日からも覚悟してね♪バイバイ♪」
「ちょ!ちょっと待てよ!」俺が言い返したときには門の扉はしっかりと閉まっていて
熊井の姿は見えなかった。
(この家って俺の家の向かい側じゃんかぁって言うかキスだよキス〜しかも鈴木ぃ?)
俺の頭は今まで使った事のない速さで回転して、パンク寸前だった。

ボケーっとした頭のまま帰宅した。
母さんが何か言ってたみたいだけど解らなかった。
自分の部屋に入ると床に荷物を投げて、ベットに制服のまま寝転んだ。
何か考えようとしても熊井以外のことを考えることが出来なかった。
何故、熊井は鈴木愛理と友達で俺に復讐をしようとしているのか?
それが最大の疑問だった。
今日熊井が朝言っていた転校前の学校に鈴木はいない。
女子校に通っているはずだ。
梨沙子が鈴木の通う学校の制服に憧れていたのでよく覚えている。
鈴木と俺はプール教室が一緒だった。
喘息ぎみだった俺は、小学校1年生の頃から妹の梨沙子と一緒に通っていた。
その時によく一緒に遊んだのが鈴木愛理だった。
中学に入ってからプール教室を辞めるまでは一緒だったが辞めてからは会っていない。
梨沙子と鈴木の3人で遊んだ記憶はあるのだが泣かせた覚えはない。
考えれば考えるほど頭がグルグル回っておかしくなってしまいそうだった。

その時ふいに俺のお腹の上に何か落ちてきた。
「お兄ちゃん!助っ人お願い!可愛い妹のお願い聞いて♪」
梨沙子が俺の腹の上に乗っかっている。
「おい!ここは俺の部屋だぞ!ノックぐらいしろよ!」
「何度もしたも〜ん。お兄ちゃん無反応だったもん。」
「無反応だからって勝手に入っていい訳ないだろう?」
「入っていいですかぁ?って聞いたもん。」
どうやら考え事をし過ぎて聞こえなかったらしい。
「解った。ごめん。話きくから腹の上からどけてくれ。」
いい加減腹が痛いので梨沙子に頼んだ。
「明日の挨拶文のチェックを御願い致します!お兄様♪」
俺の隣に梨沙子が座った。
梨沙子の持っている原稿用紙を受け取り文章を読む。
「いいんじゃない?1つ言うなら自己紹介が2回も登場してるけどこれはウケ狙い?」
「え〜嘘!?あ〜本当だ!これは一回でいいの!」
梨沙子が俺から慌てて原稿用紙を奪い返し持っていた赤ペンで×印をつける。
(そうだ!梨沙子に鈴木愛理のこと聞いてみよう!)

「なぁ〜梨沙子、鈴木愛理って覚えてるか?」
梨沙子は原稿用紙に目を向けながら「うんwとーぜん♪覚えてるよん♪」答えた。
「そっか。・・・・・・・あのさ、梨沙子・・・俺、鈴木に何か悪いことしたかな?」
原稿用紙を見ていた梨沙子が(????)と言う感じで俺を見返して
「何?どーかしたの?変なお兄ちゃん。
仲良しだったから悪いことなんてしてないに決まってるじゃん♪」
無邪気な梨沙子の答えに安心した。
「そっか。そっか。俺の勘違いだよな。ならいいんだ。」
「ねぇ♪ねぇ♪それより♪友理奈ちゃん美人じゃない?」
俺は心臓が止まるかと思った。
「ゆ・・・・友理奈?熊井の事?あぁ同じクラスだよ。何で梨沙子知ってるの?」
顔が強張る。
「だってぇ2・3日前に挨拶に家に来たもん♪美味しいケーキ持って♪」
「はぁ!?家に来たのかよ!?俺知らないぞ!」
熊井が家に来たぁ?有り得ない。。。。。
「お兄ちゃん出掛けてたもん!新垣先輩とかと釣りとかで朝早くから!
その時に友理奈ちゃん達家族が引越しの挨拶に来たの!」
「釣り!?あ〜あの日かぁ・・・・。」
新垣に無理矢理誘われて朝4時から夜中の2時まで出かけたあの日だ!

「それで梨沙子は友理奈ちゃんと仲良くなったの♪お兄ちゃん!お嫁さん連れてくるなら
友理奈ちゃんにしてよ!」
もう本気で心臓と頭が変になるかと思った。
「なぁなんで俺が熊井とぉ・・・」声が緊張で裏返る。
「だってリビングに飾ってあるお兄ちゃんの見て、梨沙子にお兄ちゃんの事色々
聞いてきたもん。友理奈ちゃん絶対お兄ちゃんの事好きだよ♪」
(ち・・・・違うんだよ梨沙子。奴は悪魔なんだ俺に復讐をするためにぃ・・・)
「しかも友理奈ちゃん凄い美少女でしょう?お兄ちゃんと結婚したら、梨沙子の
お姉ちゃんになるんだよ♪自慢のお姉ちゃんだよぉ〜w」
梨沙子の無邪気な笑顔が余計に熊井の悪魔な感じを引き立たせた。
「あのなぁ梨沙子!俺は熊井に、そんな気持ちないし、熊井だって俺の事
本気で嫌いだと思うから無理だよ。」
精一杯の冷静で俺は梨沙子を説得する。
「え〜?さっき梨沙子お買い物の途中で友理奈ちゃんに会って明日学校一緒に行く
約束したよ♪そしたら友理奈ちゃん(丁度菅谷君に用事があるからいいよ。)って
笑顔で言ってくれたもん♪だから明日は一緒に学校行こうねw」
梨沙子は笑顔でスキップしながら部屋を出て行った。
そしてドアの前で振り向いて「ちゃんと2人のムードは保つから♪」
万遍の笑みで言うとドアを閉めた。

はぁ〜あばばばばばばばばばばばばばっばばばっば
明日話がある=復讐の話だ!どうしよう俺!?
その夜は夕飯もいつもみたいに食べれなかったし、
夜も目を閉じると熊井の唇の感触や言葉が鮮明に蘇ってくるので、
全然全く眠れなかった。
そんなこんなで朝になり、朝食をボーっと食べていると珍しく支度の終わっている
梨沙子が「早く行かなきゃ!友理奈ちゃん待ってるよ!」俺を急かした。
歯磨きをして嫌々ながら靴を履く。
梨沙子が背中を押す。玄関のドアを開けると熊井の姿があった。
「おはよう♪梨沙子ちゃんに菅谷君♪気持ちのいい朝ね♪」
昨日とは別人としか思えない熊井の姿がそこにはあった。
今日は髪をポニーテールにしているせいか昨日より柔らかいイメージだった。
「友理奈ちゃん♪おっはよう♪」梨沙子はご機嫌だ。
「おはよう。・・・・。」うつむき加減に俺は挨拶した。
「あ!お兄ちゃん友梨奈ちゃんが可愛いから照れてるんだぁ!
あのね友理奈ちゃん!昨日の夜ねお兄ちゃんが友理奈ちゃんの事
(とーっても綺麗だ)って言ってたよ♪」
「言ってないよ!」(梨沙子の奴〜!!!)

俺が怒っても、俺が照れ隠しで怒ってると梨沙子は思い込んでいる。
「じゃあ!邪魔者は消えるよ!また学校でね!」
梨沙子は走って通学路の先へ消えていった。
「おい!待てよ!梨沙子ぉ〜」俺の声は虚しく響いた。
そして俺はまたいつもの冷たい目線を感じた。
「最低!私の事まで言ってるんだ。もう見境なしだね!」
完全に勘違いした熊井が怒っている。
「お前自意識過剰なんじゃないの?俺がお前の事綺麗だなんていう訳ないじゃん!」
俺も必死だ。
熊井の顔が少し赤くなったがまた、冷酷顔に変わり
「これから、沢山復讐するんで宜しく!」
そう言いながら少し歩く速度を上げた。
「おう!受けてたつよ!俺復讐なんて怖くないから!しかも昨日の復讐になってないし!」
こうなったら俺も自棄だ。戦闘態勢で行こう!
「どういう意味?」熊井が少し動揺した。
「俺ファーストキスなんて、とっくに終わってるし!」
「舞波っちと?じゃあ今日学校についたら、その時の話舞波っちに聞いちゃおう♪」
熊井も負けてはいなかった。
俺の(ファーストキスは終わってる)が嘘だと見破ったらしい。

「舞波には絶対に言うなよ!」
「舞波っち以外には言っていいの?♪」
「誰にも言うな!絶対だぞ!」
「はぁ〜いフフフフフ♪」熊井は笑いながら答えた。
(クソー完全になめられてるぞ俺!学校でまたこんな風なことされたらどうしよう?)
またいつもの思考回路グルグルがやってきた。
俺の頭は不良品らしい。学校の勉強はなんとか出来ても、
こんな場合の対処法が全く解らない。
でもこんな場合が普通ではないのだから普通なのだろうか?
色々考えてるうちに学校に着いた。
「おっはよう♪何?何?ゆりと2人で登校したの?♪」清水と桃子が寄ってきた。
どうやら同じ社宅同士仲良くなったらしい。

さっきの言葉に否定しようとした俺より先に熊井が
「うん。そうなの。家がお向かいさんでね、偶然会ったから、私が無理言って
一緒に登校してもらったの。私って方向音痴でさぁ〜よく迷子になっちゃうんだ。
だから助かったよ菅谷君有難うね♪」
別人の笑顔で俺に話しかけてきた。
「舞波っち御免ね。彼氏をナビみたいに使っちゃって・・・・」
席に座ると同時に舞波に熊井が謝る。
「ゆり悪くないよぉ〜!菅谷君優しいから、ちゃんと教えてくれると思うし、
これからも何かあったら菅谷君に頼りなよw」
舞波は完全に安心しきってる。
「本当!?有難う舞波っち♪あ〜昨日の宿題なんだけどさぁ・・・」
別人としか思えない姿になって清水や桃子や舞波と喋る熊井をじーっと眺めていると
「ゆりは今日も完璧に可愛いね」
紺野が話しかけてきた。
「相変わらず熊井にラブってますねぇ紺野君w」
「違うよ!冷やかさないでくれ!」
こんな会話をしていると、まことが登校してきて、須藤が登校してきて、
予鈴が鳴った。

稲葉先生が教室に来て「はーい皆おはよう♪」今日もメッチャ元気に挨拶している。
「じゃあ出席確認するよ〜」稲葉先生の言葉と同時にガラっと大きな音と
バタバタと言う大きな足音が響き渡った。
「キャーもう出席確認してるぅ〜」
「セーフだよね?俺セーフだよね?」
「私もセーフだもん!」
ハアハアと息を切らしながら汗だくになっている徳永と新垣だった。
「だいたいあんたが邪魔するから遅くなったのよ!」
「何だよ!お前が飼育小屋の前でうさぎに餌やったりするから遅れたんだよ!」
「うさぎが可哀想だと思わないの?」
「そう言う意味じゃなくってもっと早く餌やれって言ってんの!」
「何よ〜」「何だよ!」この2人の喧嘩は始まると長い・・・。
見かねた稲葉先生が2人の元へ行き
「はいはい。夫婦喧嘩は解ったから。円満な夫婦でいて下さいよ。奥さんも旦那さんもセーフですよ。」
冗談ぽい稲葉先生の口調にクラス中が大爆笑していた。
「ち!違う!夫婦なんかじゃ!」徳永の顔は真っ赤だった。
「俺だってこんな奴と夫婦なんて御免だね!」新垣がそう言い放つと徳永の顔が一瞬曇った。
「はいはい!いいから席につく!」稲葉先生の言葉で皆静かになった。

稲葉先生が今日の日程を一通り言っている。
1年は進級式だが、俺達は普通に授業があるらしい。
1時間目は国語だった。ほとんどが自己紹介で終わった。
2時間目は数学。いきなりの小テストに皆苦戦していた。
3時間目は社会。社会も自己紹介だったのだが・・・・・いつも
ハキハキしている清水の様子が変だった。
何度も自己紹介でツマッテしまうし、筆箱を床に落として中身をバラまいてしまうし、
社会担当の小池先生も苦笑する程だった。
4時間目は英語。英語での自己紹介をすると言う内容だったが、さっきの授業は
一体なんだったんだ?と言うぐらい清水は落ち着いていたし、皆も普通だった。
それから給食の時間になり俺達10人はまたホールまで移動した。
今日はA組が4時間目が体育だったおかげで、あの3人組に邪魔される事なく食事が出来た。
トレーを片付けている俺と舞波に清水が話しかけてきた。
「昼休みちょっといいかな?」舞波と俺はOKした。

昼休みの体育館裏。誰もいない。
舞波と俺と清水の3人だけだ。
「あのさ、私社会の時間変じゃなかった???」
清水が顔を真っ赤にしながら聞いてきた。
「え?」舞波が不思議そうな顔をする。俺も不思議だったが
清水の様子が確かに社会の時間だけおかしかった事を伝えた。
「あ〜どうしよう。やっぱり・・・あ〜」清水が体育館裏を行ったり来たりする。
「佐紀ちゃんどうしたの?何か悩み事?」舞波が優しく問いかけると
「じ実はね・・・・・」清水が恥ずかしそうに切り出した。
「私・・・・社会の小池先生の事好きなんだ。・・・・すっごく。」
俺と舞波は顔を見合わせた。
(マジかよ!?小池先生・・・・確か25・6歳で独身。見た目はボーっとした感じ。
よく言えば優しい感じの人・・・・清水が小池先生を?)
困惑する俺を余所に、舞波が
「そっか。それで緊張して社会の時間あんな風になっちゃったんだね。解るよ。
本気で小池先生の事を佐紀ちゃんは好きなんだね。」
恥ずかしそうに頷く清水。

「舞波っちと菅谷君は付き合ったりしてるでしょう?だから相談できそうだなぁって思って。
いきなり困るよね。御免ね。」
「全然!」舞波と俺が同時に否定した。
その声が面白くって3人で笑い出した。
結局清水は卒業式まで冷静に考えて告白するみたい。皆恋愛してるんだなぁ。
俺も舞波と恋愛してるって言うんだろうなぁ〜
「2人に相談して良かったよ♪有難うね!それはそうと、
菅谷君舞波ちゃんの事見つめすぎよ!」清水が背中をつつきながら言った。
俺は考え事をしていて気がつかなかったが、舞波の顔をずっと見つめていたらしい。
「いや!そんな事は・・・・」俺がもう1度舞波の方を見ると舞波の顔は真っ赤だった。
そんな舞波につられてまた、俺も顔が熱くなる。
「いや〜青春だねぇ♪」清水が背伸びをしながら言った。
そして3人また改めて笑った。

「あ〜いた!いた!3人とも〜」徳永と熊井が走って来た。
「探したんだからね〜こんな解んない場所にいたんじゃ見つからないはずだよ〜。
あ〜疲れた。ねぇゆり!」
徳永が息をきらせながら言った。そうとう探してくれたらしい。
「来月の経費授業の事で2年生全員もう体育館に集まってるよ!」
熊井が汗を拭きながら言う。
「あ〜忘れてた!」「そうだったぁ」「いけねぇ!」
3人とも完全に忘れていた。
「稲葉先生が探しておいでって!だから私達探してたの!早く行こう!」
徳永の言葉と同時に皆で走って体育館に向かった。
体育館に着くと俺達B組の仲間は勿論、A組の連中も集まっていた。

「遅い!何やってたの!早く座って!徳永・熊井有難うね!」稲葉先生が大声で叫ぶ。
A組・B組の全員の視線がいっせいに俺達に集まってきた。
急いで新垣が手を振る方に行き座った。
「経済学習」とは、我が学校で毎年あっている社会経済勉強の1つだ。
将来家庭を持った時に家計を上手くやっていけるか?それを題に、
男子・女子でペアーになり、1週間「夫婦」として過ごすのだ。
もちろん「夫婦」と言っても一緒に家計簿をつけたり節約案を出したりするだけで、
なんて事ないイベントなのだが、毎年盛り上がる。
学年合同でペアーの相手は先生が決めるので
(成績の関係で先生が色々考えるのだろう)
一体今年は誰と相手になっているのか毎年ドキドキする。
去年は舞波と一緒でそれをキッカケに、舞波は俺に好意を持ってくれたらしい。
A組・B組合同なので、(あの3人組)の誰かと一緒になる可能性もある。
それは勘弁だ。あと・・・・熊井と一緒も絶対に嫌だ。
そんな事を考えていたら稲葉先生とA組の先生がペアーの発表を始めていた。

次々と発表されていく中、まず最初に俺達の中では新垣が呼ばれた。
「B組新垣〜!」稲葉先生が呼ぶ。
「はい!はい!はぁ〜い!」新垣が早足で前に出て行く。
「新垣。(はい)は1度でいいの!そして、女子B組徳永〜!」
稲葉先生が呼ぶと同時に徳永が出てきた。
徳永はいつも笑顔だが、今日はいつもより、もっと笑顔な感じがした。
新垣たちは一緒に家計簿を受け取り、呼ばれた人が座る待機場所に移動していた。
それから呼ばれたのはまこと。
桃子と一緒で、もの凄く喜んでスキップで家計簿を取りに行っていた。
桃子はA組でも人気らしく、ホトンドの男子がまことを羨ましがっていた。
文句を言う男子達にも桃子は笑顔で手を振っている。
そんな桃子の気使いでその場の騒ぎは落ち着いた。

それから清水と須藤が呼ばれたが2人ともA組の人とのペアーで
ぎこちない態度で接していた。
A組1番人気男子高橋が呼ばれた。女子がザワついた。
そして相手は「B組!石村〜」稲葉先生の声に俺はメマイがした。
たっ高橋の相手が舞波?嘘だろう?アイツ格好いいんだぞ?しかも・・・・
昔、高橋は舞波が好きだと噂で聞いた事がある。
そんな事を考えるとヤキモチで胸の中がイッパイだ。
案の定、高橋は舞波の肩を抱いて待機場所に向かっていた。
(クソー!)俺の心の叫びと同時に女子もギャーギャー騒いでいた。
それから俺が呼ばれた。
もう相手なんてだれでもいいや。そんな投げやりな態度の俺にまた不幸が襲った。

「男子は菅谷で女子は熊井ね!」
嘘だろう?熊井・・・・・と・・・・・・・・・俺が・・・・・・・・
メマイがした。倒れてしまいそうだった。男ながらに泣いてしまいたい気分だった。
俺の気持ちとは裏腹に熊井は営業スマイル(?)で俺に微笑み「宜しくねw」と言ってきた。
俺も皆の手前上「宜しく」なんていったが全然そんな事思っていなかった。
どうせ熊井だってそう思ってるに違いない。
「舞波っち、あのA組の人のほうがお似合いだね。君なんかと一緒だなんて私って超不幸!」
熊井が耳元で俺に言った。
(やっぱりこいつは・・・・こう言う奴なんだよ〜!!!!)
俺も言い返したかったが次の人達が呼ばれていたので
そのまま無視した。

 

つづく