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【ある公園にて…】

1 名前:名無しさん 投稿日:2005/03/31(木) 04:13:54

バイトの帰り道、いつも通る公園に立ち寄った。
ふぅ…とタメ息をついてベンチに腰かけたオレはタバコに火をつける。
「…!?ゴホッゴホ!!」覚えたてのタバコを肺に入れた瞬間むせてしまった。…やっぱりオレにはこーゆうの似合わねぇのかな。。…
ふとブランコに目を移すと1人の女の子が暗い表情で地面を眺めていた。
(…訳ありかな?)
オレは暇つぶし程度に女の子に声をかけてみることにした。タバコの火を消すとオレは女の子の隣のブランコに座る。女の子はオレの存在に気がつくと、うつむきながらブランコをこぎ始めた。
「どこの小学校の子?」
恐る恐る声をかける。…少しの沈黙。やがて女の子は過細い声で答えた。
「…〇×小学校です」
「うそ?オレ〇×小の卒業生なんだよね…」
「…本当ですか?」
「本当だよぉ。卒業してもう10年くらい経つかな…。ねぇ!?〇×先生ってまだいる??」
「あ…います。ゴリラみたいな顔した…」
「そうそう!遅刻したらうるさいんだよね〜あの先生。。…君、名前は?なんて言うの?」
「あ…徳永です。徳永…千奈美…」

5分程度たっただろうか…意外にも千奈美との会話ははずんだ。オレはゴホンと1回咳ばらいをすると、いよいよ核心に迫る。
「なんかうつむいてたみたいだけど…学校で何かあった?」
「…」
千奈美は再びうつむいてしまった。余計なこと聞いちゃったか…?
「私…クラスの劣等生なんです」
「…え?」
予想してなかった千奈美の言葉にオレは意表をつかれた。
「テストの点数もいっつも平均以下で…一度も満点を取ったことがないし…」
「…」
「私みたいな出来損ない…いくら頑張っても1番になれないんです…」
「…」
オレは返す言葉が見つからなかった。

その日の深夜、オレは夕方から考えていた計画を実行した。
忍び足でオレは職員室に向かう。…そう。オレは〇×小学校に忍びこんでいた。職員室に入ると携帯のライトを頼りに6年生の教員の机を探す。
(久しぶりだなぁ職員室の匂い……)
懐かしさの余韻にふけっていると、やがて机にたどりついた。

オレはニヤッと笑うと鍵のかかった引き出しをドライバーでこじ開けた。そして、ほくそ笑んで中から1枚のプリントを引っ張り出した。

次の日の朝、〇×小学校の付近を歩いていると登校中の千奈美を見つけた。オレは声をかけるとポケットから1枚のプリントを出す。
「千奈美ちゃん…天国を見してあげるよ」
そう言って千奈美にプリントを渡す。
「…え?ちょ!ちょっと…」
後ろから千奈美の声がする。だけどオレは振り返らずに去っていった。
千奈美はクシャクシャになったプリントを広げてみる。それは問題欄に答が全て書きこまれていた解答用紙だった。
千奈美はそれを手にしたまま何が起こったのか理解できずにいた。

その意味が理解できたのはその日に行なわれた抜き打テストの時だった。前の席から回ってきた用紙は今朝あの男の人から貰ったプリントとまったく同じだ。
千奈美はそのプリントを机の下に隠し入れておいた。

「それでは…始め!!」
先生の言葉によりクラスのみんなが一斉にテスト用紙に答を書き入れる。
千奈美は迷っていた。ここで今朝貰ったプリントの答を答案用紙に書き移せば満点を取ることが出来るだろう。…だけどそれだったらカンニングすることになる。


次の日、テストが返ってきた。千奈美はワクワクしながら答案用紙を受け取った。点数欄には花丸が赤ペンで書かれていた。100点だ。
「ちな凄いね!!こんな難しい問題なのに100点とるなんて!」
「クラスで満点なのオマエだけじゃん!やれば出来るじゃんよ徳永」
千奈美は答を書き移してしまった。だが今はカンニングをしたという罪悪感は消えていた。クラスの男女の見る目が一気に変わる。その快感に魅入られていた。…

「ふぅ…」
やっぱりオレは公園にいた。少しは上手くなったタバコをふかしながらブランコをこぐ。
あの日以来、オレは3回にわたって千奈美に答が書かれた答案用紙を渡していた。そして今日も千奈美は公園にきた。3回の満点ですっかり顔つきまで変わっている。

「それじゃあ今日もお願いしますね」
まるで当然のことのように言う千奈美はオレをキラキラとした目で見つめている。
「悪ぃ…もうおしまいだ」「…え?」
顔を曇らせる千奈美にオレは悪魔の宣告を告げる。
「じゅうぶん天国は見たハズだ。出来損ないの劣等生が一時期とはいえ、みんなに注目された。今度は地獄を見る番だ」
「そ…そんな…」
愕然とする千奈美を横目にオレは更に続ける。
「きっとカンニングだったとみんなは噂するだろう。そしてまた元の劣等生に逆戻りだ」
う…ひっく…と泣きべそをたれながら地面にへたりこむ千奈美をオレは冷酷な目で見下ろした。


それから3ヵ月近くたっただろうか。もちろんこの日もオレは公園でタバコをふかしていた。大分タバコを吸う姿もサマになってきただろう。
銘柄もマルボロから赤ラークに変えた。
いつものブランコでいつものようにタバコをふかしていると前方から見覚えのある女の子が近づいてきた。…あの子は確か…千奈美ちゃんだっけ。

「久しぶりだね…。どうだよ?その後は」
オレは皮肉たっぷりに言い放つと千奈美はニッコリと微笑み、自身ありげにオレに言い放つ。
「必死に勉強しましたよ。みんなにカンニングだと思われないように」
…と、カバンから数枚の答案用紙を取り出すとオレに渡して見せた。
88点…92点…96点…そして今日の日付のテストで100点になっていた。
「へぇ…やるじゃん。どうさ?生まれて初めて努力して取った満点の味は」
「えへへ…。こんな私でもやれば出来るんだなぁって…」
「…それに気づいてくれただけでもオレが学校にまで忍びこんだカイがあったよ」
「え?何か言いました??」
「いや…何も」
「それじゃあ私そろそろ行きますね。。色々ありがとうございました」
千奈美はそう言い残すと帰っていった。

ふとブランコに目を移すと1人の女の子が何やら暗い表情で座っていた。
「やれやれ…またオレの出番かよ」
タバコの火を消すとオレは女の子の隣のブランコに腰をかけた。


おわり