【さくら満開】
冬からの寒さが薄らいできた三月のある日ボクは一人の少女に出会った。
どことなく不思議なその子の魅力にボクの心はその子一色になった。
ボクは今年の四月に中学生になる卒業式も終わって春休み
いつもは、友人達が来てゲーセンやらデパートやら町にでて遊ぶしかし今日は珍しく家でゲームをしていた
すると母が
「あんたの部屋掃除するからちょっと外出てきて」
そう言われたので渋々まだ少し寒い外に出た
一人で町に行ってもたいした面白いわけでもないのでとりあえず自転車で近くの丘にある公園に向かった
公園までの道の途中お葬式をしてる家があった
不意に気になったので参列者を見ると同じクラスだった村上が居た
ボクは自転車を止め村上に近づいた
村上は声をだして泣いていたので少し聞きずらかったが何故か聞かなきゃいけない気がして思い切って聞いた
「誰が無くなったの?お爺さん?お婆さん?」
少なからず村上に好意をいだいていたボクは支えになってあげたいなと思いながら話かけた
すると村上は首を振りながら
「大切な友達がね…死んじゃったの…」
涙ながらにボクに教えてくれた
「大切な友達?」
疑問におもった。
この辺の家ならボクも知ってるはず
「ボク達と同い年の子だよね?」
ボクが不思議そうに聞く
「ずっと入院してたから…君は知らないと思うよ…」
そう言って村上は家の中に入って行った
村上に言われ思い出したがボクの学年で二年ばかり学校に来ていない子がいた
名前は忘れてしまったけど確か女の子だ
村上も行ってしまったのでボクは予定どおり丘の公園に向かった
坂を上がって息を切らせながら公園にたどりついた
風が少し汗ばんだ服を通り抜けた
この公園はもう少しすると一面薄紅色になりお花見シーズンは人で一杯になる
やっと蕾が膨らみだした桜の木に目をやっていると急に声をかけられた
「ねぇねぇ何してるの?」
振り返るとさっきは居なかったはずのボクと同じくらいの歳の女の子が居た
「き、君は?」
ボクは尋ねた
「私は桃子!嗣永桃子!歳は〜っ聞いてないかぁ?」
やたらと元気な子だったそして初めてあったのに胸が痛いくらいドキドキした
「なに赤い顔してるのぉ?あれれ〜桃子の事好きになっちゃった?」
どうやら気付かれてしまったらしい
ごまかそうとボクは
「君こそこんな所で何してるの?」
と逆に質問した
「桜早く咲かないかなぁって」
そう言って桜の木を見上げた桃子の目はどことなく寂しげだった
「まだ早いと思うなぁけどここの桜綺麗だよね」
ボクが言うと
「まだ見たことないんだここの桜…」
また桃子の目が寂しげになった
ボクは
「じゃあ今年はこの桜一緒に見ようよ!」
と初めてあったのにもかかわらずデートに誘った
「やっぱり桃子に惚れたな〜…いいよ!当分はここに居るし」
とボクの頬をつつきながらOKしてくれた
それから毎日お昼の1時に桃子と会うことを約束した
桃子の色んな事を知った
同い年だということ
今は近くのお婆さんの家に遊びに来てること
中学は同じになるかもしれない事
毎日毎日友達の誘いも断って桃子に合った
不思議な事に桃子は町に遊びに行くのを嫌がったがボクは気にしなかった
桃子にあえるならそれでよかったから…
ある日母に言われた
「あんた最近顔色悪いし痩せたんじゃない?」
ボクは
「ハァ?気のせいでしょ?」
といいながら家を出た桃子と合うために…
そとに出ると村上が居た
村上はすごい剣幕でボクにいった
「君最近誰と遊んでる?みんなに聞いたら誘っても断られるって聞いたから!」
村上は真剣な目でボクを見つめている
ボクは早く桃子の所に行きたいので強い口調で
「誰だっていいだろ!村上には関係ない」
そう言って自転車に乗ろうとした
「桃子」
村上が不意に桃子の名を口にした
一瞬不思議に思ったが
「桃子の事知ってるの?」
と村上に尋ねた
村上は青い顔をしながら話した
「やっぱり見間違えじゃなかったんだ…」
ボクはわけが分からない 「先週君と会ったとき大切な友達が亡くなったって言ったよね」
ボクはなぜかゴクリと唾を飲んだ
「その子の名前は桃子、嗣永桃子」
ボクは耳を疑ったそして村上に詰め寄って言った
「だってあんなに元気じゃないか!あんなに嬉しそうな顔するじゃないか!足だってちゃんと…」
「私だって嘘だと思ったよ…でもね昨日の夕方君が一人で楽しそうに喋ってるの見たんだ…桃子あの公園の桜好きな人と見たいっていってたし」
村上の最後に言った言葉は聞こえなかった
ボクはすでに自転車で桃子の所に向かっていた
公園ではすでに桃子が待っていた
ボクを見つけると嬉しそうに
「今日はどうしちゃったの?桃子に合うためにおめかしですか〜?」
といつも通りの笑顔だ
ボクは村上の言っていた事を話した
「ばれちゃいましたか〜?」
桃子はどこか哀しげに話してくれた
「確かに桃子は先週死んじゃった…でも病室でずっとメーグルがここの桜綺麗だって言ってたからどうしても見たくて…
そしたら神様が桜が咲くまでならいいよって、そしたら君と会ったの」
言葉を失ったボクの頬に桃子はキスをした
桃子の唇の感触は確かにボクの頬にあった
急に桃子が泣き崩れて
「生きてる間に君と逢いたかった…知らない間に君の事言葉にならないくらい好きになってたよ…初恋を…ありがとう」
桃子が涙を拭いながら立ち上がり
「桃子らしくないよね!」
無理して笑ってるのがボクにもわかった
涙でボクは目の前の桃子の顔がもう見えない
「男の子が泣いてもいいのはお父さんが死んじゃった時お母さんが死んじゃった時最後は自分一番大切な人が死んじゃった時だぞ!」
ボクの頭をぐしゃぐしゃにした
ボクは今がその時だよ!
と思ったがもう声がでない
桃子はそれに気付いたのか泣きながら作った精一杯の笑顔で
「桃子はもう死んじゃってるぞ!」
そうボクに言った
「毎日毎日遊んであげたんだから」
桃子が恥ずかしそうに近づいて来て
「さっきのお返しがが欲しいなぁ」
桃子は目をつぶってボクの目の前にたった
ボクは目をつぶった
二人の唇は一つになったと思った
でもボクに桃子の唇の感触はつたわらなかった…
桜の木を見上げると桃子からのプレゼントだろうかどこか悲しみにも似てる薄紅色の桜の花が満開に咲いていた
「ファーストキスはあげないよ〜だ」
桃子が笑って言ってる気がした
おわり