【Silent Emotion】
ポツポツと雨が降ってきた。オレは親に無理矢理に車に乗せられると窓から道ゆく人を眺めていた。
1枚の写真を握りしめて…
チャイムの音と同時に教室が一気にざわめく。
「…ん…ふわぁ…。ん〜…眠…」
目を開けると算数の授業はとっくに終わっていた。時計を見ると12時15分…昼休みの時間か。。
「お〜い!早く体育館行かないと2組のヤツに先とられちまうぞ!?」
いつもの友達がいつものように誘ってきた。
「悪ぃ…オレ今日バスケいいわ。…ちょっと用事あるからさ」
…そう。今日の昼休みはオレにとって特別な時間だ。ひそかに計画していた作戦を決行する日が来た…
12時25分…オレは渡り廊下の階段下にいた。
「…好きです。付きあってください。…ふぅ…落ちつけオレ。。」
…!!足音が迫ってくる…。うわぁ…本当に来ちゃったのか…。
足音の正体は2組の熊井友理奈だった。そう…オレは今からこの娘に告白しようとしているのだ。
「用ってなに??」
「う…うん。。あの…」
12時25分…オレは渡り廊下の階段下にいた。
「…好きです。付きあってください。…ふぅ…落ちつけオレ。。」
…!!足音が迫ってくる…。うわぁ…本当に来ちゃったのか…。
足音の正体は2組の熊井友理奈だった。そう…オレは今からこの娘に告白しようとしているのだ。
「用ってなに??」
「う…うん。。あの…」
…?おいオレ!あれほど練習したじゃねぇかよ!
「……??」
ほら!友理奈ちゃんも困惑気味じゃねぇか!言え!好きですって!
「……。」
…だ…ダメだ。。頭ん中真っ白になってる。あぁ…告白もできずに作戦失敗…か…
「…いいよ」
…あ?
「付き合ってあげる♪」
…いや。…オレ何も言ってないんだけど…
「そのかわり…3月まで…それでもいい??」
「……うん。」
「それじゃあさ!アド交換しよっ♪」
…放心状態だった。まさか学年のアイドルでもある友理奈ちゃんと付き合えるなんて…
…
うおおおおぉぉ!!!!
心の中で思い切り叫んでいた。うれしすぎて…
五時間目は学活の時間だった。黒板には「卒業前のお別れ会について」と書かれている。
…そっか。。あと二ヵ月で卒業だもんな…。
学級委員の話を適当に聞いてると携帯のバイブが鳴った。メール?
友理奈ちゃんからだ…!
「授業ヒマだよねぇ(>-<#)よかったら今日一緒に帰らない??(*^∀^*)」
はい!はい!絶対帰ります!帰らしていただきます!
放課後。よりによって教室掃除かよ…。掃除を終わらせ大急ぎで下駄箱までダッシュする。友理奈ちゃんは待っていてくれた。
「ごめんごめん!遅くなっちゃったね…」
「気にしないでいいよ。帰ろっ♪ 」
校門を出ると友理奈ちゃんが手を繋いできた。…おいおいマジかよ。。
3分たっただろうか…。なかなか話がはずまない。友理奈ちゃんを退屈させまいと考えれば考えるほど頭が混乱してくる…すると…
「ねぇ?何か将来の夢とかある??」
友理奈ちゃんが口を開いた。
「いや…特には決まってないけど」
「…そう。」
…?見間違えだろうか。。ふと友理奈ちゃんが悲しい顔を見せたような気がした…
それからというもののオレは土日となると必ず友理奈ちゃんと遊ぶようになった。登下校も一緒に通うようになりクラスのみんなにも次第にオレが2組の熊井と交際してることが浸透しつつあった。
2月の上旬にスノボしに行ったとき撮った写真を大事にしてるのはオレだけの秘密だけど…
そして3月になり、卒業式の前日…
今日は卒業式練習だったので学校は午前中に終わった。友理奈が大事な話があるから午後から会おう。とのことなので学校近くの公園へとチャリをこいだ。
数分後…ジャケットにデニムとラフな格好で友理奈は現われた。互いにベンチに腰をおろす。
「三月といえど…まだまだ寒いなぁ」
「うん…」
「明日卒業式だよ?なんか寂しいよな…」
「うん…」
返事がギコちない。。どうしたんだろう…
「そうだ…大事な話って何だよ?」
「…怒らないで聞いてね。。」
…嫌な予感がする。。
「君と付きあうの…3月までしかできない…って言ったの覚えてる?」
「…あぁ。でも何で…?」
友理奈は急に黙りこむ。と思いきや急に口を開いた
「…私のお父さんの仕事の転勤で…ここ離れないといけないんだ…だから…君とは…」
…誤算だった。もちろん友理奈とは3月までしか付きあえないってのは分かってた。
でも…心の中でそれはオレ次第でどうにでもなると…オレが今より友理奈にオレのこともっと好きにさせてやれば…。
だからオレは心の中で絶対に友理奈とは離れないって思ってた部分があった。
でも…卒業したら友理奈はまったく違う場所に行ってしまう…その事実を知ったときオレは何故か悲しみよりも怒りがこみ上げてきた。
そしてその怒りを…友理奈にぶつけてしまった…
「…なんでだよ。。」
「え…?」
「なんで今まで隠してたんだよ!そんな大事なこと!!」
「……ごめん。。」
「ふざけんなよ…。」
オレは一目散にチャリに飛び乗って走った。
後ろから友理奈の声がする。だけどオレは振り返らなかった。
頬に冷たいモノが当たった。…雨が降ってきたのか。。
夜、ベットに入る。携帯のメールチェックをするが0件。。毎日1件は必ず友理奈からメールがきていたのだが…
…それにしても外…凄い雨だ。
…ちょっと言い過ぎたかな?
明日は…いつもの明るいオレで…謝ろう。。
卒業式当日…オレは吹っ切れていた。
オレがクヨクヨしていても友理奈は悲しむだけだ。。明るく見送ってやろう。。意気揚揚と教室に向かう途中、職員室がザワついていたことに気付いた。
「それで熊井の様態は!?」
…え?
「○×病院の集中治療室で検査を受けていると連絡がありました!」
オレは無我夢中でチャリをこいでいた。先生方の話によると友理奈は昨日の大雨のせいで路面が悪い状態のトラックにひかれたらしい…
病院が学校から近いせいもあるか5分足らずで着いた。
神様…おねがいだから友理奈を…!
祈る気持ちで集中治療室へと走った。
ドアを開けると友理奈の両親の泣き顔と医者の落胆した顔が目に見えた。
友理奈は点滴やら呼吸器やらを体につけ意識がないようだ
…?
友理奈の口が動いたような気がした。オレに何かを伝えようと…?
そして室内に一定の機械音が響いた。。
告別式では泣かなかった。外に出たらもう雨はあがっていた。
…あの時…確かにオレは聞いた…友理奈の伝えたかったこと。。
「楽しかったよ…♪」
オレは握りしめた写真を広げた。
写真の中では二人がいつまでも笑っていた。
〜終〜