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【おもちゃのぜんまい】

1 名前:月ハム ◆k/L1XAxYhI 投稿日:05/02/19(土) 10:42:41

今日は、7月1日…
中学校生活にも、なれてきたそんな時だった。
「今日は、転校生を紹介します。」
先生は、いつも通りの口調で話し出す。
「え〜!!!!!」
生徒達は、騒ぎ出す。当然の反応だ。
ひょこっと教室のドアを開けて入って来た。みた感じとても小さくてかわいらしい女の子だ。
「初めまして…清水佐紀です…よ、よろしくお願いします。」
顔を赤くしてペコっとお辞儀する。
不思議と俺は、初めてな感じがしなかった。
「じゃあ清水さんの席は、あそこね」
と先生は、俺の隣を指でさす。
「えっ俺の隣かよ?」
俺は、照れを隠す様に言った。
「転校生に向かってそんな言い方ないでしょ!」先生は、怒った。
「…はい」
俺は、ちょっとふてくされた。
「…久しぶりだね」
はにかみながら清水は、話しかけてきた。
「えっ?」

俺は、びっくりした。
「久しぶり?」
清水さんは、慌ててこう言った。
「ごめんなさい…私へんなこと言っちゃって、初めましてだよね!」
ニコッと明るく笑う。
「ん?うん…」
何故だか照れてしまった。
そして学校が終わり俺は、家に帰った。
「あんた今日、転校生が来たんだって?」
食べてるご飯が吹き出る。
「なんで知ってんの?」
母親が知ってることに驚きすぐに言葉が出た。
「お姉ちゃんから聞いたわよ〜」
テレビを見てる姉を睨んだ。
「何よ〜あんた。その子に一目惚れしちゃった?」
「んなわけねぇ〜だろ!」
顔を赤くして言い放った。
「つい最近では、お人形さん遊びしてたのねぇ〜」
姉は、バカにしてるように言った。
「そうね〜もう中学生だもんね。」
母親が口をはさむ。
「あん時のあんた可愛かったなぁ〜私のウサギぬいぐるみをダダこねてずっとほしがったけ?
お母さんが泣きやまないからあげて?お姉ちゃんなんだからって言ってあげたんだよね〜」
恥ずかしい話、小五ぐらいまでお人形さんごっこをしていた。

その中でも一番大切にしていたのが、姉からもらった【ウサギぬいぐるみ】だった。
「そういえば、あのぬいぐるみどうした?」
「えっ?どっかあるんじゃん」
「もう〜男の子は、すぐこれだ〜」
「俺もう寝るから」
そして寝室に向かった。
「はぁ〜そういえば、どこ行ったんだろう…」
考えてると清水さんの顔が浮かんだ。
「あれ…なんでだろう…」
そして気がついたら朝になっていた。
「う〜んいつのまに寝たんだぁ?」

そして7月2日…
ガラガラッ…
教室のドアを開けて、俺は、席についた。
「おはよう」
清水さんがあいさつしてきた。
「お…おはよう」
俺は、目をそらしながらあいさつした。
そして三時間目が終わり、四時間目が始まろうとしてた時に…
「あっ教科書忘れちゃった」
清水さんがボソっと呟く。
「いいよ。俺が貸してやるよ」
「本当?ありがとう」
そして四時間目が始まった。
「えっと、この文法は〜…」
先生の眠くなる授業が始まった。
でも俺は、眠くならなかった。二人で教科書を見てると二人の肩が数センチで当たりそうだったから…
その時…清水さんのが俺の肩に寄り掛かってきた。
そして俺は、清水さんの方を向くと清水さんは、ぐっすり眠っていた。
何故か懐かしい気がした。
「清水さん?授業終わったよ…」
そっと肩を叩いて起こす。
「ん…あっ!ごめん…つい寝ちゃって」
「転校してきたばかりなんだから無理もないよ。俺のことは、気にしないで」
清水さんは、ちょっと照れながら頷いた。

そして甘い時間は、過ぎてった。
そして下校の時間になって清水さんが俺に話してきた。
「よかったら今日途中まで一緒に帰ろう?」
「えっ?俺とぉー!」
「うん…まだ私、友達もいないし…」
俺は、ちょっとビックリしたけど…すぐに返事をした。
「…いいよ。」
そして二人で帰った。
「ねぇ?」
「何?」
清水さんは、真剣な眼差しで聞いてきた。
「時間たつと大切な思い出も忘れちゃうのかな…」
「え?どうしたの急に。」
「うんん…やっぱりなんでもない…帰り道こっちだからじゃあね!また明日〜」
「あっ…」
清水さんは、手を振り夕日の中に消えていった。

7月3日…
いつもの様に清水さんと話をしていた。その時…
「おいっ!最近、清水と仲良すぎじゃねぇか?もしかして…」
クラスで俺が一番嫌いなヤツが話かけてきた。
「そんなんじゃねぇよ!清水さんは…」
「やめて!」
清水さんが止めに入った。
「やっぱりこいつらラブラブじゃん」
そして清水さんは、下を向いて黙りこんだ。
「おい!やめろよ」
「うるせぇよ。ラブラブが〜」
そして清水さんは、急に涙を流し教室から出て行った。
「清水さん…」
そして清水さんが早退したことを先生に告げられた。
そして今日の一日は、とてもブルーだった。
「クソ!アイツ清水さんを泣かしやがって…」
気づいたら俺の頭の中は、清水さんでいっぱいだった。

7月4日…
俺の隣に清水さんは、いない…
今日は、休みだそうだ。なんかつまんない。
そんなこと言ってる内に7月5日になった…
けれど清水さんは、今日も学校へは、こなかった。
俺は、家のベランダに出て夜空を見上げていた。
「お〜い!」
下を見るとそこには、清水さんが両手を降っていた。
「清水さん?ちょっと待って今から行くから!」
俺は、一生懸命に階段を降りた。玄関を開けるとそこには、清水さんがいた。

「この前は、ごめん…」
清水さんは、下を向きながら謝ってきた。
「気にしないで俺の方が悪かったよ」
清水さんは、俺の顔を見て少しホッとした顔になる。
「どうして俺の家に?」
「星がきれいだったからお散歩してたんだ」
清水さんは、星空を見上げる。俺もそれに合わせて星空をみる。
「うわ〜本当だ。こんなに星が見えるなんて久しぶりだなぁ」
「もうすぐ…七夕だもんね」
清水さんは、急に寂しい表情になる。
「どうしたの?」
「私ね…7月7日にまた転校しちゃうの」
「…えっ?」
俺は、あまりのショックに口をポカンと開ける。
「でも楽しかった…ありがとう。」
「そんな…」
清水さんの頬には、涙が流れ星の様に伝う。
「私…そろそろ帰るね。また明日学校でね」
「…」
俺は、なにも言えなかった。
清水さんは、俺の前から姿を消した。このままずっと会えない様な気がした…

7月6日…
「え〜今日は、大事なお話があります。清水さんが7月7日にまた転校することになりました。」
先生が清水さんを前に呼んで、みんなにひとこと言うようにお願いしてた。
「え〜…短い間でしたけどお世話になりました。ホント楽しかったです。ありがとうございました。」
パチパチとみんなから清水さんは、拍手をもらい照れていた。
清水さんは、俺の席の隣に戻った。
いつのまにか下校の時間になっていた。
「あのさぁ…」
「なに〜?」
俺は、照れくさそうに清水さん声をかける。
「今日…一緒に帰ろう?」
「…うん!」
清水さんは、すごく喜んで返事を返した。
二人で帰る途中…
「何時ぐらいに町を出てくの?」
「う〜ん明日の夜九時ぐらいかな…」
俺は、心の中で喜んだ。
「…じゃあ明日の七夕祭り一緒に行かない…?」
「本当にいいの?…私なんかで…」
「もちろんさ!じゃ明日の七時に学校の前ね!」
「うん!わかった」
俺は、うれしくて駆け足で家まで帰った。

7月7日…最後の日
「あんた学校休みだからって昼まで寝ないの!」「別にいいじゃんかよ!」
昨日は、興奮してなかなか寝付けなかった…
なんだかんだ家で家族と過ごしてたら約束の時間に近づいてきた。
「何してんの?鏡の前で気持ち悪い!」
鏡の前で髪をいじってたら姉がちゃかしてきた。
「うるせぃ!」
「あ〜デートなんだ〜?」
「違うよ…」
俺は、顔を真っ赤にして姉に反抗した。
「あんた時間大丈夫なの?」
「あぁぁぁぁ!」
俺は、家を飛び出して行った。
約束の時間になんとか間に合った。
「はぁはぁ…ごめん待った…」
「…今来たとこだよ。」
俺は、疲れて下を向いてた顔を上げる。
「あっ…清水さん?」
清水さんは、浴衣姿だった。
「どうかな…お祭りだから着て来ちゃった…」
モジモジしなが俺に言う。
「…とってもかっ可愛いよ」
清水さんより俺の顔が赤くなる…

「…じゃ行こうか?」
俺は、清水さんに手を差し出した。
「…うん」
二人は、手を強くつないでお祭りをまわった。
「清水さん、ここに願いごとを書いた短冊をかけると、願いが叶うんだよ。古い言い伝えだけど…」
「私もお願いしたいな…」
「じゃあ二人で願いごと短冊に書こうよ!」
「やった!」
子供の様にはしゃぐ清水さんがとても可愛いかった。
二人は、短冊に願いごとを書いて飾ろうとした。
俺は、すぐ届いて短冊を掛けたけど清水さんは、背が低く一生懸命に短冊を掛けようとしていた。
「俺が手伝ってあげるよ」
「大丈夫だよ…きゃっ!」
俺は、清水さんを抱き上げて短冊を掛けるのを手伝った。
「できた?」
「うん…恥ずかしいから降ろしてよ〜」
「あっごめん…」
俺は、ゆっくり降ろして清水さんと目が合わせられなかった。しばらく二人は、黙ったままだった。
「…ねぇ、なんてお願いしたの?」
「え〜と…内緒だよ。清水さんは?」
「私も内緒!」
二人に笑顔が戻った。

「あっ!もうこんな時間…」
清水さんは、時間を気にし始めた。
楽しい時間は、あっと言う間だった。
「そろそろ行くの?」
「…うん」
「そっか…」
俺は、とても悲しかった。
「とっても楽しかった…お礼に私のヒミツ教えてあげる」
清水さんは、ニコッと笑う。
「えっ?」
「ついてきて?」
清水は、俺の手を引っ張りお祭りのやってる方とは、逆の裏山につれて行かれた。
「清水さん?時間大丈夫なの?」
「ここが…迎えに来てくれる場所だから…」
「えっ?」
いきなり夜空からすごい光が僕らを照らした。
ポッポー!シュ〜…
なんと夜空から機関車が降りてきた。
「清水さんこれは?」
「私これに乗って帰るの…」
俺は、話しがさっぱりわからなくなった。


現在時刻8時55分…

「私ね…本当は、【ウサギぬいぐるみ】なの」
「ウサギ…ぬいぐるみ?」
俺は、まだ話しがわからなかった。
「そう…とっても大事にしてもらってた…ウサギぬいぐるみ」
「!」
俺は、すべてを思いだした。
「もしかして俺が…小学校の時に大事にしてた。」
コクンと清水さんは、頷いた。
「でも…そんなことって?」
清水さんは、不思議がってる俺を見てしゃべりだす。
「ずっと…ずっと…ありがとうっていいたかったの!」


現在時刻8時58分…

俺は、ぬいぐるみとの思い出を思い出していた。
「友達とケンカして一緒に泣いたこと…
寂しくて一緒寝たこと…
ねぇ覚えてる?私と遊ばなくなる前に七夕祭りに行ったこと…私を忘れて帰っちゃって、その後一人で戻って来て泣きながら探してくれたよね…とってもうれしかった。
大人に近づくにつれて遊ばなくなるのは、わかってたけど…お礼が言いたかったの…」
「俺は…俺は…」
「もう何も言わないで…」
清水さんの目からは、涙が溢れていた。
そして俺の目からも…
「私は、これからおもちゃの国に行くの。もう会えなくなるけど…思い出の中でいつも見守ってるから…」
俺は、清水さんの手を握りしめた。
「行かないで…俺また大事にするから…行かないでくれ」
「ごめんなさい…」
清水さんは、機関車に乗り込む。
俺は、手を離さなかった。


出発時刻9時00分…

機関車は、走り出した…
自然と手が清水さんから離れてく。
離したくないのに…
俺は、一生懸命機関車を追いかけた。清水さんは、泣きながら手を降ってくれている。
俺も泣きながら走る。
「ありがとう〜私を忘れないで…」
「あぁ絶対に忘れない!いつまでも…いつまでも…」
機関車は、夜空の天の川へと向かっていた。
清水さんの姿は、あの【ウサギぬいぐるみ】だった。

機関車は、天の川へと消えてった…

The end

大人になって忘れてしまった。大切なおもちゃ…忘れないでください。あの頃の思い出を…

 

つづく