「ボランティアと環境保護」シンポジウム開催 2002.12.27 於:中国社会科学院
昨年12月27日、北京市にある中国社会科学院において、べブネット主催、中国社会科学院環境・発展研究センター後援により、パネルディスカッション「ボランティアと環境保護」を開催しました。

 今回のパネルディスカッションは、地球環境基金の助成と中国社会科学院環境・発展研究センターの後援を得て実現しました。会場は江沢民主席もスピーチに立ったという社会科学院内の国際会議場。
 4人のパネラー、3人の通訳も忙しい中、やっとの思いでかけつけてくれました。準備 期間が短く、十分な広報活動ができない私たちに対し、今までの活動を通して知り合った多くの中国の友人達が宣伝に協力してくださり、環境問題に関心のある人たち や環境保護メディアの記者、環境NGO関係者など予想を超える約80名(約9割が中国人)が参加してくださいました。 

  司会は信州大学農学部教授・加藤光一先生。今回のテーマ「ボランティアと環境保護」について、その今日的な意義の導入があり、自分の言葉で語ってほしいと4人のパネラーに要請がありました。

 最初の発言者は『緑の地球ネットワーク』大同事務所所長・武春珍女史。「苦しくてもやり抜くこと、そこに発展がある」と題し、日本のNPOのカウンターパートとして 山西省大同市の緑化協力事業に取り組んできた11年の経験を多くのエピソードを交えて語ってくださいました。

  2番目は北京人民ラジオ局『時代雑誌』キャスターの康雪女史。北京のNGO「自然の友」の理事でもある康さんは、「誰でも環境保護ボランティアになれる」と題してNGOでの経験のほかに、日常生活でだれもが取り組める環境保護の実例を具体的にあげてくださいました。

  3番目は中国社会科学院環境・発展研究センター副秘書長 ゴン益 教授。(ゴンの字は龍の下に共) 「ボランティアと環境保護」というそのものずばりのテーマで、ボランティア活動は下から上へという形式で「民 主」を実現し、また善良な志を持つ者たちのよき交わりであると、その意義を強調さ れました。
 
 4番目は主催者であるべブネットを代表して、創始者の一人である大野木昇司さんが「べブネットの活動紹介と存在意義」について、日本と中国の架け橋を目指して活動するべブネットを色々な角度から紹介しました。

  ここで一旦コーヒーブレイクがあり、パネラー、通訳、参加者、主催者が自由に交流して、それぞれの人の輪をひろげることが出来たと思います。後半はこの時に集められた各発表に対する質問メモに各パネラーが答えていく形で進行しました。この方式は好評で、参加者から多くの質問が寄せられました。

 「消費の抑制や節約は、政府の消費拡大政策に反するのではないか」、 「ボランティアが活動をするとき、政府の許可を取らねばならないのではないか」、「清末から進めてきた漢民族を中心とした移民開墾政策がもたらした砂漠化問題を中国政府はどのように総括するのか」、「政府のあるプロジェクトが環境に影響を与える場合、ボランティアとして何ができるのか」、「このディスカッションはボラン ティアの賛美集会と化しているのではないか」などなど、突っ込んだ質問が多く寄せられ、パネラーが「この問題に対しては、政府の閣僚ですら満足できる回答はできないだろうが、とにかく回答を試みましょう」と、緊張する場面もありました。
最後は、環境問題も究極的には人間の問題であり、人間の心の汚染が環境汚染の元凶であるという見解に収れんされていきました。

  質問への回答に時間をとられ、討論の時間が大幅に不足してしまったのは今後への大きな反省点ですが、このディスカッションは共通の結論を目指したものではなく、まずはそれぞれの考え方を開示し、今後の議論につなげていくことで、一層の相互理解を目指すという方向性が示され、お開きになりました。今回のパネルディスカッションは日中の環境保護面における交流や相互理解を増進し、活発な国際的議論を実現できた点で成功と言え、来年以降もさらに充実させて続けていくことが確認されました。

  最後にゴン先生が言って下さった「私の知る限り、北京で、外国人がはじめた民間環境保護組織が、このような会議を開いたことは、初めてのことである。何事も最初は難しいものですが、今後に期待します。」という一言で、関係者一同の苦労も報われ ました。最後に、お忙しい中快くご協力いただいたすべての方に心からの感謝を申し上げます。

 北京環境ボランティアネットワーク 広報班 松江直子