− 426RR◆wI.EWP8otc さんの恋愛話 −
| 別れは突然だった。「このまま半端な気持ちでは続けていけないと思う」 そんな一方的な別れ話を彼女から突き付けられた。 俺は無言で煙草をふかしていた、いや何も言えなかった。 3年付き合った、結婚も考えてはいた。あまりにも突然で理不尽な話。 彼女と別れてからは毎晩の様に地元の峠に走りに出ていた。 デートに使っていた金がバイクに回せる。ガス代、タイヤ代、欲しかっバックステップ。 彼女の事を忘れ去るようにガムシャラに走り込んだ。 限界ギリギリのワインディングもしていただろう。 自分の中に複雑な感情が混ざりあってイライラして… 時間が経つと自分の気持ちも少し落ち着き、後に残ったのは後悔の念。 「あの時何か言ってたら…」「和解を持ち掛けていれば…」たら、れば……orz その日もいつもと同じルートで会社から自宅へ。 シャワーを浴び、革ツナギに着替えバイクの元へ。 暖気をしつつ注輪場で一服…毎日飽きもせずorz 我が愛車CBR600RR赤×黒。タイヤのサイドが擦り減ってきたか?まぁ金はある。 景気良くクラッチを繋ぎボロアパートを後にする。 30分程走れば峠の入り口に着く、梺のコンビニ…数台のバイク。 「よし、やっぱりこの時間なら車は居ない。今日はいつもよりシビアに攻めよう」 そんな事を考えながら峠を登る………。 その峠には自分がいつも折り返し地点にしている小さ公園がある。 公園と言ってもベンチが一つ、二つ。街灯と自販機くらいだ。 俺はこの場所が気に入っていた。ボロアパートからは見えない星空や、 遠くに聴こえるエグゾースト音が、辺り一面拡がる夜の峠に消えて行く。 此処にいればアイツの事も俺の中から消せるだろうか…。 そんな未練タラタラな気持ちで一服するのが日課だった。 適当に休憩を終えて峠を下っていく。いつも同じ道、いつもと変わらない国道。 アパートの注輪場にバイクを直して部屋に…もぅこの部屋に彼女は居ない。 買い貯めておいた100均のラーメンをすする。 2chを見ながらゴロゴロ…あっココだけ畳の色が…そっかアイツの化粧箱いつもココだったもんな… ………。 やっぱり電話しよう、このままじゃ本気で鬱になってしまう。 携帯に手を伸ばし彼女のメモリを呼び出す。090-…よく使う番号って覚えてるもんだな。 trrrrr trrrrr ガチャ 只今電話にd(ry メッセージをどうぞpi― 「もしもし、俺だけど…少し話したいので連絡下さい。」 2時間程待った事携帯の着信音がなる。「もしもし」 「あ、もしもし私。まだ起きてた?…今からでも大丈夫?」 「うん、うん、ハイハイ」駅前のファミレスで待ち合わせの約束をかわした。 しまったバイクを引っ張り出してファミレスへ向かう。 店内に入ると彼女が小さく手を振っている。俺「ゴメン、待たした?」 彼女「ううん、今来た所だから…音でスグに分かったよ。」 俺「…ぁっ、スイマセンアイスコーヒーを。」 …………。 しばらくの沈黙。覚悟を決めて来た割に何から話していいのやら。 俺「元気にしてた?仕事上手くいってる?」 彼女「うん、まぁね…。」 俺「そっか……。あのさ、やっぱり納得できないんだわ、俺。」 彼女「…。」 俺「何て言うか…。直せる所があるなら直すから。」 彼女は目に涙を浮かべて、「ゴメンなさい…」と一言。 俺「…。俺にはもう魅力感じない…か。」 彼女「そんなんじゃないけど…ないんだけど。 今は本当に好きか分からなくなってて、一緒にいてもまるで空気みたいだし。」 俺「ここ数日、俺は空気を無くしたから毎日胸が苦しかったよ。」 彼女「…。」 俺「…。」 とまたしばらくの沈黙。 彼女は決して多くを語ろうとはしなかった。 ただ「ゴメン」と小さく何度か返すだけで…。 あぁコレが本気で別れるという事か…やっとフッ切れた。 俺「そっか…。なぁよかったら家まで送らせてもらえる?」 彼女「いいよ、そんなに遠くないし、タクシーで。」 俺「ゴメン、最後に我が侭言わせてくれよ。」 彼女「分かった、じゃあお願い。」 本当は彼女と仲直りをして、楽しくタンデムするつもりだった。 彼女を後ろに載せて、彼女の自宅へとバイクを走らせる。 彼女「相変わらず乗りにくいね」そう言った彼女の手は、昔と変わらず俺の腰にまわされていた。 彼女「もうこうしてバイクに乗る事もなくなるんだ…。」 俺「…そうだな。」 「いつでも乗せてやるよ」そんな台詞が頭に浮かんだが口にはださなかった。 彼女の家。数えた事はないがデカイマンションだ。 EVホールだけで俺の家位はある。マンションの少し手間で彼女を降ろす。 彼女「ゴメンね、最後までこうやって送ってもらって…。」 メットを脱いで少し話しムード。 彼女「このバイク買った時は嬉しそうだったもんね。子供みたいにはしゃいで…。」 俺「結局お前以外は後ろに乗せる事なかったからな。これからは頑張るよ。」 彼女「事故…しないでね」 俺「お前も体に気をつけてな」 彼女「本当にゴメンなさい…」 俺「いや、むしろ付き合ってくれて有難うございましたって感じだよ。」 「ゴメンっ」と涙を堪えて振り返る彼女を黙って見送る事はできなかった。 後ろから彼女を抱きしめる。俺「ゴメン、これで本当に最後の我が侭…。」 しばらく泣きじゃくる彼女を抱きしめた後、逃げる様にバイクに跨る。 俺「本当にありがとう。楽しかった、お前と居られて。何て言うか…サヨナラ…かな。」 背を向けたままの彼女。俺も涙を堪えてきれそうになかったので、その場を後にする。 家に帰り、バイクを片付けて部屋で泣いた。 別にバイクで出会った訳ではないが、最後の別れ際までバイクといたのは初めてだ。 俺は今でもあの公園で時間を潰す事がある。 大切な何かを失ったから、手探りな中で何かを探しているのかも…。 |