− FZR1250 さんの恋愛話 −
| とある合コンで意気投合。趣味の話からバイクの話へ。 彼女「何乗ってるの?」俺「FZR。」 彼女「ええ〜っ!私もだよ」(中略) 俺「なら、ツーリング行こうよ。」彼女「いいよ。行こうね〜」 店の紙マッチに電話番号を書いて彼女に渡す。 ちなみにバブル終了直後の頃なので、携帯電話は普及してない。 俺「家に帰る時間がめちゃくちゃだから、朝の8時ぐらいに電話してくれると嬉しいんだけど。」 彼女「電話しづらい時間だね。たぶん通勤電車の中だよ。でも何とか電話するよ。」 俺は社交辞令だと思ったが、電話待ってるね、と云っておいた。 当時の俺は異常に忙しかった。朝10時出勤で、帰るのはだいたい2時3時。 朝の6時もざらだった。 ストレスは2週間に1日位の休日に高速でぬゆわ`以上を出すことで解消していた。 毎朝、電車に乗るときに、ココで飛び込んだら仕事をしなくていいんだな、 って考えるくらい壊れていた。 朝、電話がかかってきた。職場からだと思い、目一杯不機嫌な声で、「もしもし」めんどくさいので名前も云わない。 「あっあの、○○さんですか?△△ですけど、ごめんなさい、起こしちゃいました?」いきなりドン引きの彼女。 とっさに営業スイッチの入った俺。自分でも驚く。「寝てたんだけど、最高のモーニングコールだからちょうどいいよ。」 声も通常の状態。しゃべる俺。10日後くらいにツーリングの約束を取り付ける。 約束の日、待ち合わせの場所にFZR250で行く俺。 彼女は既に来ていた。・・・・・・・・FZR1000に乗って。ちょっと待て。 俺は全くの先入観で彼女も250だと思っていた。 彼女は俺が最低でも400くらいに乗っていると思ってたらしい。 俺「あ〜お姉さんや、コレは大型2輪というモノではないでしょうか?」 彼女「そうだけど、云ってなかったっけ?」聞いてません。 彼女「○○も、400か750だと云ってなかったっけ?」云ってません。 第一、自分の乗っているバイクを400か750なんて言い方するか? 彼女「で、どこに行くの?決めてなかったよね?」 俺の予定では、塩山から、奥多摩に行って東京に戻るつもりだった。 しかし、このオンブバッタのような状況でライダーの多い奥多摩は避けたい。 少し考えて、俺「白樺湖でどう?」彼女「いいんじゃない?」 白樺湖の側には利休庵という、大盛り天丼の店があり、 ツーリングにおいてバイクで負けている分を、大盛り完食で挽回しようと考えたのだった。 何とか完食。(という演技をしておいた。余裕はまだある。)店を出ながら、 彼女「すごいな〜やっぱり男の人は」 俺「きぼぢわるいよ〜」青い顔。「休んでいかない?」さわやかに。 彼女「直球だね、アンタ。女のセリフだぞ。それ。まあいいけど。」 軽い彼女。俺が年下だと知ってから少しキャラが変わったようだ。 バイクでホテルに。彼女「バイクでこーゆートコに来たのは初めてだよ。」 俺「貴重な体験でしょ。」俺は2回目。「ナンバー隠す板使う?」 彼女「前向きでいいでしょ!ばか!」純愛ではないので、甘いピロートークも無し。 俺「明日仕事だから泊まりは無しだよ。」彼女「部屋入って最初にそれかい」 (中略) その後はとっとと帰りました。次に会う約束もなく。 ツーリングの3・4日後くらいの朝に電話が鳴った。彼女「モーニングコールだよ〜。起きてる?」 その頃、朝に電話をかけてくるのは誰もいなかったので、彼女だと思い、普通に対応。 俺「普通は寝てたら電話取れないけどね。第一今は通勤時間じゃないの?」 彼女「今日は早番だから電話できたんだよ。」何か嘘っぽい。 俺「9時くらいでもイイけどね。」彼女「そうなの?」ちょっとホッとした感じ。 彼女「ってモーニングコール毎日させるつもり?」俺「違うの?」彼女「甘えてんじゃないの!」 俺「ところで今日昼飯一緒に喰わない?」互いの職場は交通の便が良い。代々木と飯田橋ってところ。 四谷で昼飯を食うことに決定。俺が店に行くと、やっぱり彼女が先に来ている。 俺「そこのカワイイ彼女〜電話番号教えてぇ?」彼女「頭の悪そうな声のかけ方しないでよ。」 俺「は〜い、判りました。で、教えて?」彼女「何を?」俺「電話番号。」 彼女「・・・・・あ!教えてなかったよね?」お付き合いの行動の順番めちゃくちゃ。 それに俺はあれっきりだと思って電話番号を聞かなかった。で、名刺交換。電話番号を隅っこに書く。 それからダラダラとお話。ノリが合うので、ストレス無く話せる。 だんだん昼休みの時間が少なくなってきたら、なんだか彼女が挙動不審。そわそわしてる。 彼女「あんなことになってから云うのもナンだけど・・・その・・・」目が泳いでる。 俺は時間が惜しいのと、前振りで彼女にいろいろと質問されたくなかったので、先に云った。「好きだよ。」 彼女硬直。しばらくにらめっこ。先に目をそらしたのは彼女の方。 彼女「・・・・ふ〜ん、そうなんだあ・・・・」とつぶやきながら。実は会話になってない。 俺「でも、俺でイイの?仕事が忙しいから、なかなか時間取れないよ?」 彼女「・・・なんでアンタが告白したのに仕切ってんのよ?」 俺「だったら止める?」彼女「・・・・バカ・・・・」下を向く。 俺「それに仕事とか云って他の娘と会ってるかもよ?」 彼女「!!そうゆうコト云うの?(怒)」俺「ゴメンナサイ。モウイイマセン。」 彼女「早まったかなあ・・・・」チラッと俺を見ながら、 彼女「そーゆーコトは冗談でも言わないの!もう!」俺「ハイ、ワカリマシタ。」 ・・・・・俺はここで「否定」をしていない。 そして、彼女にある質問をさせないように誘導している。「付き合っている人は居るの?」 最初の方で、その頃俺は壊れていた、と書いた。 白樺湖で「休んでいかない?」と訊いたときも、四谷で「好きだよ」と云ったときも、 全くドキドキしていなかった。高揚感もなかった。 こう云ったら相手が喜ぶだろう、頷くだろう、盛り上がるだろう、 と考えたことをそのまま口にしていただけだ。 ちょっと前や今の俺なら、外したらどうしよう、嫌われたらどうしよう、と一旦考える。 それで結局言えなかったりして、自爆していただろう。そこに自分の思惑が入っていた。 この時は相手の反応に対応するプログラムで動いているようなものだった。 嫌われてもイイや、ってのが基本だった。一種の自傷行為だったと思う。 仕事も同じだった。自分の手に余るような仕事に無断で次々と手を出していた。 失敗したら辞めればいいや、と。ところが、防御を考えず、攻撃しか考えない仕事は以外と成功率が高かった。 その結果、この頃の俺は生涯のうちで最も仕事ができて、モテていた。 職場の評価も最高だった。でも達成感も満足感も無かった。 遠距離恋愛を同時進行でしていた。自分の地元に。 2年目に突入して、電話の回数が減り、共通の話題が減り、たまに会ってもヤるだけになっていた。 自然消滅は時間の問題だった。 え〜娘が2人になったから、名前を付けます。 FZR1000→代々美 地元→ジモ子 ・・・読み返すとただの結婚詐欺のような感じだなあ。 自分でも思うけど、告白をサラッとできる男はろくなモンじゃない。 マヌケな告白とか、異常に用意周到な告白をする男の方が女の子を幸せにすると思うなあ。 世の中が不景気になって、仕事がだんだん減ってきた。 その分代々美と会う時間が増えた。付き合ううちに代々美の性格も判ってきた。 俺より年上だけど、俺に合わせるように背伸びをしていた。軽い女を演じていた。 ツーリングはその後、行かなくなった。 自分でバイクを運転してホテルに入るのにどうしても抵抗感が有ったようだ。 とりあえず、東京では順調に恋愛(?)をしていた。 地元で問題が発生した。連休中に地元に帰った時だった。 俺の実家にジモ子から電話がかかってきた。「すぐ会いたい。」元気がない。 俺は、ついに来たか、と思った。別れ話だろう。 まあ、今後代々美に専念できるからちょうどイイや。 親の車でジモ子を拾う。車に乗ったら、ポロポロ涙を流し始めた。確定だな・・・ 俺「どうした?」ジモ子「・・・・来ない」俺は「もう来ないで」とマジで解釈していた。 俺「そうか・・・今日が最後か・・・」ジモ子「来ないのっ!!」目一杯の大声で言うと、泣き始めた。大声で。 壊れた俺のプログラムには、この返答パターンはない。そもそも意味が判らない。 俺「えっ????何???」ジモ子「アレが来ないのっ!!」 やっと意味が判った。そして俺は完全に固まった。思考が停止。 5分くらい惚けていたと思う。そして、必死に考えた。どうするんだ?? やっと出た言葉は、「確かめたのか?」ジモ子が首を横に振る。 落ち着いてから、妊娠検査薬を買いに行った。・・・陽性。 大声で泣いたら、ジモ子も落ち着いたようだ。俺にはとりあえず、身に覚えがある。 俺「まず、病院に行ってみて、確認しないと。・・・・・妊娠していたら堕ろしたいのか?」 ジモ子「そんなのヤダヨウ。」俺「判った。俺も混乱しているから、考える時間をくれ。」 ジモ子「どれくらい?」俺「とりあえず1日」その日はそこで別れた。 しかし、家に帰ってきたジモ子をジモ子の母親が待っていた。さすが母親、全部お見通し。 病院にも連れてった。確定。 次の日、俺は実家のベッドに1日中寝ていた。気分が悪いと云って飯も食わなかった。 選択肢は2つ。結婚かそうでないか。ちゃんとした仕事はしているから責任は取れる。 俺の実家の親は結婚しろ、とせっついているから、結婚の障害は相手の親だけ。 代々美を幸せにする男が今後出れば、代々美も幸せになる可能性がある。 逆の場合。まず一人死ぬ。そして確実に不幸になるのが一人。選択の余地無しと判断。 そこでジモ子を呼び出した。待ち合わせ場所には、なぜかジモ子の母親が。 目の前真っ暗。直立不動で挨拶。訳判らん。 ジモ母「東京で仕事でしょ。帰りなさい。この子は堕ろす。夫が知ったら、あなた殺されるよ。」 言い訳できない状況。云うとおりにする。 次の日、職場でも仕事にならない。別の意味で壊れていた。 考えていたのは、幸せになる方法。 このまま放っておけば、不幸になるのは間違いない。たぶん俺も。 そうと決まれば行動である。同じ状況で結婚した先輩に相談。 今の職場でプライベートの相談をしたのは初めてだった。 答えは、相手の親にすぐに謝りに行け。許されなければ、許されるまで。 仕事が修羅場だけど、無理矢理休暇を取った。地元に直行。今考えると向こうの親に試されてたな。 その後はいろいろあって、承諾を取りました。あんなに頭と身体を無理に使ったのは初めてだった。 ジモ子フェイズ終了。 残ったのは代々美をどうするか。 当時の俺より真面目に恋愛していたので、ヘタな対応をすると、暴発する。 そのころ東京の住まいは会社の独身寮。女人禁制なので、情報を統制できる。 だから安心して二股がかけられたと云うこともある。 まず上司に直訴。結婚するので地元に転勤させて欲しい。 通常、入社2・3年の社員がこんな要求をしても、無視される。 だが、俺は仕事の実績のおかげで人事担当者に念書を取らせることができた。 ただ、横車を押しまくったせいで2度とこの手の要求ができなくなった。 外堀は埋めた。最後は代々美である。 土日は地元に土下座しに帰っているので、平日の晩のみ。無理やりアポ取り。 いろいろ考えて、新橋のチェーン系居酒屋にする。下見もした。 何も知らずに来る代々美。 代々美「珍しいね〜平日の晩に誘うなんて。でも明日も仕事だから、遅くまでは無理だよ。」 代々実をチラッと見て視線を外す。俺「え〜悪いお知らせがあります。」 軽い感じで話す。代々美「?」 俺「転勤が決まりました。地元県です。」 代々美「!」顔色が変わる。「それってどういうコト?」 俺「俺がもうすぐ東京から居なくなると云うことです。」代々美「真面目に話してよ!」 ため息をついたあと、俺「こうやって会うことができなくなるってコト」 代々美「遠距離になるってこと?」予想どおりの回答。俺「できると思うか?」代々美「!」 できないだろ、と俺は言外に匂わせた。代々美「・・・アタシのことそんな風に考えていたんだ・・・」 しばらく続く罵倒。俺をわざと怒らせようとしているのでは、と思った。恐らく逆ギレ狙い。 でもココにいる俺はヘタレの俺。代々美「・・・ここの代金払っておいてね!ばか!」 出て行く代々美。何回もバカと云われたが、一番応えた。代々美半泣きだし。正直、殴られるのを覚悟していたが。 店員に代金を払い、裏口の場所を訪ねる。店員に変な顔をされたが、裏口から出る。 外側のブロックを回って、2階から広場を眺められるFF店に入った。 居酒屋の出入り口を見ている代々美がいた。ハンカチを顔に当てている。 酔っぱらいのサラリーマンがちらちら見ている。どうした、と声をかけているのもいるようだ。 新橋にして正解だった。新宿、渋谷、池袋ではたちの悪いのが声をかける可能性が高い。 代々美もヤケになっているので危険だと考えた。 代々美が居酒屋にもう一度入ろうとして、戻る。3回目の時、そのまま新橋駅に歩いていった。 結局30分ぐらい居ただろうか。見えなくなったのを確認して地下鉄で帰った。 代々美とはそれ以来会っていない。 最低の男でし。ここで生まれたのが11才の娘。俺に激似。だから、嫁とはバイクが絡まない。 最後に。何年か後に嫁に遠距離恋愛中の俺はどうだったか訊いてみた。 一番仕事ができてモテてた頃。「だんだんキカイみたいになって行くようで嫌だった。」 お見通しのようで。結婚するまでに知り合い状態3年、恋人4年だし。 |