− 原付乗り さんの恋愛話 −

「原付免許とりにいかへん?」
恋人だったYの一言が自分がバイクにはまりだすキッカケになりました。
こんな話しをしたのは、忘れもしない去年の8月の中頃だった。
それまでの自分の交通手段といえば電車と自転車、それと徒歩だけだったので、
デートする時とか便利だから、という理由から自分も彼女も軽いノリで原付免許を取りに行く事にしました。

試験当日までは、二人で問題の出し合いをしたり、「免許取れたらバイク買いたいねー。」
って話しをして過ごしました。自分は普通二輪の免許が欲しくて、それを取りに行く予定で、
原付にはそれほど興味がなかったのですが、ただ彼女との共通点を増やしたかったんです。
取れなかったら取れなかったで、バイクの話しも終わりになる感じでした。
で、試験当日の朝、二人で電車に乗り免許センターまで出向いたのですが…
まだ学生の夏休み中だったために、受付は人でごった返し、椅子にも座れない状況でした(涙)
「どうしよー、人めっちゃおるし、受かる自信ないって。」
そう言い落ち込んでいる彼女を自分は必死に励ましました。
「大丈夫、二人で頑張って勉強しあったじゃない。もっと自信を持っていこうよ」ってね。
彼女の不安な表情は変わりませんでしたが、幾分かは緊張が解けた様子でした。

学科試験が始まりました。大勢の人が着席していく中で彼女が座ったのは、自分の真横の席だった。「大丈夫、自信を持って。受かったら二人でどっかツーリングに行こうな」
隣の彼女に言った言葉を今でも覚えてます。
試験中は自分も真面目に予習していた事を思い出し、20分程で終わらせました。
彼女より先に試験場を出た自分はお茶を飲んで落ち着いてました。
正直に微妙だったな、って問題が三問程ありましたが、なんとか平常心を保ってました(笑)
自分より10分程遅れて、彼女も会場から出てきた。ここまで着たら後はなるようになるしかない。
結果発表が始まるまで、電光掲示板下の椅子に座ってた。
彼女はというと、受ける前より暗くなってて「落ちるわ…絶対に…(-_-)」って感じだった。
で、結果が出るまで、そんなに時間はかかりませんでした。<早いんですね、意外と。

合格者が表示される掲示板をドキドキしながら二人で見合いました。
結果は……何と自分も彼女も合格!!(*゚ー゚)b
二人で手を取り合って喜びました。「後は原付講習だけだYo!!やったじゃん!!」
恋人と一緒に試験に合格出来た。免許が貰えた。そんな事が凄く嬉しかった。
昼過ぎからは原付講習だけだ。それを乗り越えれば一緒に免許が貰える。
軽い気持ちで受けた試験だったけど、自分の胸が幸せで一杯になりました。

原付講習が始まる午後までに昼食を取ることにしました。
免許センター内の食堂で早めの昼食。
人が沢山いたので彼女と同じ席には座れませんでした(´Д`;)
彼女はというと、学科に受かったのが余程嬉しかったのか、定食+掛けソバを食べてました。
嬉しい事があると、食欲が出てくる。自分はそんな事を思い出して一人でニヤニヤしてました。

昼食も済み、集合時間までロビーで雑談。
午後の実技講習が心配だとか、どんなバイクを買おうかなどの話をしてました。
その時にバイクが着たら、二人でツーリングデートをしようという約束を改めてしました。
「どこにいこっか?原付乗りちゃん(あだ名)はどこ行きたい?」彼女が自分に聞いてきた。
正直な所、自分はどこでも良かったんです。彼女と一緒にバイクで走れたらどこだってね。
夏場だった事もあり、海岸線や山が良いという彼女の意見を聞いて、自分はある場所を思いつきました。
「そや、○○スカイラインなんてどう?」
この○○スカイラインは景色が良く、ハイキングやレジャーに来る人も多い所です。
夜中は走り屋などがいる峠道なのですが、昼間は気持ちいい風が吹いてて、とても爽やかな所です。
彼女は直ぐに乗ってきて、そこに走りに行こう!!と約束をした。
周りに沢山人が居たのですが「ゆびきりげんまん」ってしましたよ。

さて集合時間になり、午後からの実技講習が始まります。
最初に運転経験者組みと未経験者組みに分けられたのですが、
自分は以前に高校の安全講習で原付に乗っていたので経験者組みに入らされました(´Д`;)
周りを見てみると、いかにも無免許で乗ってたって感じの方々ばかり。
彼女とは別々になっての実技講習となりました。
フルフェイスメットを被らされて、炎天下の中、休憩なしで延々と二時間以上も…。
ふっと初心者組みの彼女を見てみると、楽しそうに講習を受けてるではありませんか。
「あぁ、免許取れて喜んでるんだなぁ。ツーリング行くまでに自分も彼女もバイク慣れなきゃなぁ。」
などと思いながら講習を受けてると、案の定というか、進路を間違えてしまいました(鬱)
実技講習中は彼女と話すことも無く、炎天下の元で法規走行などの練習を黙々としつつ、
あぁ…空はなんでこんなに青いんだろう。どうして夏場はこんなに暑いんだろう。現実逃避をしてました(笑)

炎天下の実技講習もようやく終わりました。この後でもう一つ講習があったけど、それは省きます。
自分と彼女はロビーの自販機でジュースを飲んで休憩を取っていた。
彼女(以後、香里)がため息を付きながら話しかけてきました。

香里「やっぱあたし向いてなかったかもー…原付乗りは運転上手やから羨ましいわ…」
自分「何度も何度も、何同じゆーてんねん(笑)あんなん慣れやって、慣れ。」

でも自分も今まで運転なんて一度したした事がなく、慣れだなんて言える立場じゃなかった。
インドア系だった自分は今までバイクや車なんて乗せてもらうだけだったんです。

香里「そうかなぁ…絶対そうは思えんけど。」
自分「疑りぶかいなぁ。さっきも約束したけど、これからどこへでもバイクで行けるから、
   楽しい所に毎日でも連れてってやっから!!したら香里もバイクに慣れるしょ?」
香里「・・・…うんっ」
自分「んじゃ、そろそろ行こか。もうそろそろ免許交付される頃だし」

そうです、もう少しで免許が出来上がり、自分達に交付されるんです。
この時ばかりは自分もはしゃぎました。だって生まれて初めての免許証ですから。
彼女も貰いたての免許証を手に取り、マジマジと見つめていた。

香里「ふふっ、原付乗りちゃんと、おそろいの免許証だね」
自分「そやねー。香里と同じ日に取ったし、二人の記念日やね。
香里「うんうん、二人の大事な思い出になった一日やったね。マジ嬉しいわ〜」

嬉しいことを言ってくれます。願わくば、これからも思い出を作っていけますように。
少し恥ずかしいけど、そんな事を自分は心の中で呟いていました。
そして免許も貰えた事だし、自分はさっさと帰宅しようと彼女の手を握りました。

自分「さて、帰ろっか?」
香里「うん。物凄く疲れたから、早く帰ってゆっくりしたいわ…」
自分も彼女も疲れてしまい、免許センターから出て駅に行こうと歩いていきました。
免許センターの出入り口辺りに差し掛かった時だったか、一台のバイクが免許センターに入ってきました。
当時の自分にはパッと見ても、なんていうバイクか分からなかった。
でも今なら分かる。あれはホンダのバイク、HORNETだった。
自分は、HORNETの大きさ、スタイルを見て、かっこいいなと見とれてしまった。
それと同時に、いつかはこんなバイクに乗りたい、彼女も後ろに乗せて遠くに行きたい。そう思った。

香里「何じーっとみてんの?早く行かな電車でてまうで?」
自分「ん、あー……」

HORNETに見とれていた自分は電車の発車時間を忘れていました。
県庁所在地と言っても、そこは田舎の辛い所。電車に乗り遅れるとカナリ待つ事になります。
だけど、さっきのHORNETをもっと見ていたいという未練もありました。

香里「もー……とっとと歩く!!」
そう言いながら彼女が自分の手を取り走り始めます。
こうなったらHORNETも何もあったもんじゃありません。自分も彼女について駅まで走る事になりました。

今日という一日が、とっても長く思えた。
これから先、バイクで出かける事や走る事を考えてドキドキしていた。今思うと、これが失敗だったのかもしれないが。
……こうして原付免許を取得した自分達は免許センターを後にしました。



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