− Iターンライダー さんの恋愛話 −

北海道ツーリングの帰り道、日程的に余裕のあった俺は東北自動車道ではなく下道を気の向くままに南下していた。
分岐点があるとコインの裏表で右左を決めるようなそんな気ままな帰り道だった。
気ままに入った林道で道に迷い、山の中をウロウロしやっと舗装道に戻れたのが夜9時。
パーキングエリアを見付け、芝生にテントを張り人心地付いたのが10時。
ベンチに座りスキットルのバーボンを寝酒にしていると一台の原付がエリアに入ってきた。

別に気に留めていたわけではないが、自分から離れたベンチで誰かを待っている様子だった。
寝る前にトイレで歯を磨きテントに戻るときに、彼女と遠目で目が合った。
「どうしたの?待ち人が来ないのかな?」
「・・・」彼女は黙ったまんまだ。
「コーヒーでも入れようか?」と声を掛け直すと彼女はこちらに近付いて来た。
ヤンキー姉ちゃんと思っていたが、近くで見ると年は二十半ばの水商売風だった。
「横浜からですか?」彼女が俺のバイクのナンバーを見ながら尋ねてきた。
「横浜と言っても田舎の方だけどね。」俺は湯を沸かしながら苦笑いした。

「何でこんな夜中にこんなところに居るの?」俺は率直な疑問を投げかけてみた。
彼女は訳を語り始めたが、かいつまんで話すと、
・親から農家の長男との見合いの話を強硬に薦められているが、農家のしきたりを知っているので拒絶している。
・現在、場末のスナックに勤務していて、交際中の男は居ない。
・今夜は非番だったが、上記の件で両親と喧嘩して家を飛び出してきた。

よくある話だと思って聞き流していたが、見た目より言葉遣い等がしっかりしているなと思いながら聞いていた。
コーヒーがバックの奥から引っ張り出した土産のニッカウヰスキーにに代わり、場所もベンチからテントの中に移動した。
ウイスキーの瓶が半分空いた頃・・・  俺達は衝動的に男と女の仲になっていた。
たまたま旅先での出会いを期待して財布に息子用のメットを携帯していて予想通りの展開にはならなかったが、
それを機に2年間の交際を重ねた。
衝動的な結ばれ方も何かの縁だと思えるほど彼女は身持ちの固い家庭的な人だと理解出来た俺は、
昨年の六月に彼女と教会の鐘を鳴らした。

元来、田舎暮らしに憧れていた俺は、義父と共に農業を営む傍らで、農地の一角に趣味でバイクガレージをオープンした。
これ以上言うと宣伝になってしまいますが、なまはげで有名な県で田んぼの傍らにログハウスがあり、
看板はありませんが、休日にはバイクが数台止まってバーベキューしたりしています。
経営は損しない程度、地元のバイク仲間の口コミ営業です。
ツーリング途中に見掛けたら寄ってみてください。



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