− moto12 さんの恋愛話(その4) −

北海道から帰ってきて洗車洗濯掃除を終えた。
で、時間があまったもんで、少し書かせていただきます。
なんつーかね。辛いこともヒトに話すと少し楽になるじゃない。
そーいう効果を期待して、北海道の思い出話を少しばかり。

釧路から2時間程の場所にある道の駅、12時くらいだった。
小便を済ませてバイクに戻ると、いかにも活発そうなショート
カットの女の子がおれのオートバイの近くにバリ押忍を止めた。
「や、こんにちは。寒いですね。どっちから来たんですか?」
「どっちって、今日ですか? 今日は釧路」
「じゃ、昨日は台風が直撃でしょ」
「うん。一日閉じこめられちゃった」
「すごい被害だったらしいね。おれ昨日上陸したけど、
 フェリーの中でバイクが8台くらい横倒しになってたし」
「えー、そんなことってあるの」
「ん、おれも驚いたよ。あれはフェリー会社が悪いけどね。
 バイクを数珠繋ぎにしてるんだもん」

ってな感じで、北海道に到着したっていうのに横倒しになっていた
可哀相なバイク(乗り)たちをダシにして、おれとカノジョは
盛り上がった。(8台のオーナー、ごめんなさい)

カノジョは大学生で、7月末から北海道にいるとのこと。
それにしちゃ荷物も少なく、旅慣れているふうだ。

30分くらいハナシに興じたあと、これから何処へ行くかと訊いたら
目的地は旭川とのこと。おれはこの日、千歳から東へ東へとやってきたから
完全に逆方向だ。

「んー、残念。方向が同じだったら一緒に走ってデートしたかったのに」
と必要以上に悔しがってみせ、もう一度会ったらデートしようね、と
約束して別れた。
おれが先に出発したんだけど、一生懸命何度も何度も手を振る彼女が
ミラーに映っていて、なんだかイイ気分だった。とはいえおれの滞在は
一週間。この時点でまったく逆方向へ向かったふたりがもう一度出会う
確率なんて限りなくゼロに近いんだろうなと思った。

それから何日後か。ふと気付いた。タイヤが真っ平らになっている。
これはまずい。まだ新品といっていいくらいの減り具合だったのに、
こんなに平らになっちゃぁ、また交換しなきゃいけなくなる。

ってことで知床峠を何回か往復して羅臼で一泊し、翌朝4時にもう一回
知床峠を越えてから峠めぐりのコースを選択した。三国峠を越えて
何とか峠を越えて、この日は結局8つくらいの峠を越えた。
峠らしい峠っていったら知床くらいだったけど達成感はあった。
で、結局タイヤには、緩やかな曲線は戻らず、逆台形になっちゃったけど。

この日なによりすばらしかったのは、バリ押忍のカノジョに再開したことだ。

糠平湖畔の湖に落っこちちゃいそうな恐ろしい道を抜け、
道ばたに座ってタバコを吸っていたら、正面からバリ押忍が走ってきて
こっちに手を振り、プップップとホーンを鳴らした。
あ、カノジョだ! 
おれは慌てて立ち上がり、右手を大きく左右に振った。
例年よりもさらに今年はバイク乗りが少なかったし、こんなところで
しかも向こうに気付いてもらえるなんて、なんつーか感動の再開だ。

カノジョのその日の行き先は富良野。おれは特に行く先は決めてなかったけど、
朝四時起きだったし、もう疲れてふらふらで、デートの気力はなかった。
なので、翌日の13時に支笏湖で会ってデートしようと約束した。

ってことで、その日のおれの行き先は札幌に決まった。
かなり疲れていたからぐっすり朝寝したかったし、明後日の夕便で大洗へ
向けて出航する予定だったから、すすきので遊ぶのはその日しかなかった。
その翌日はカノジョとデートして、夜も一緒かもしれないからね。
だから今日はすすき野で遊んでから札幌のホテルでぐっすり朝寝してさ、
しっかり身繕いしてから支笏湖へ向かおう、とね、こーいう寸法。
これがマチガイだった。

漫画喫茶で2ちゃんねる。
すすき野のスレを読み、一番人気らしきソープ嬢を予約。
90分3万円。高いけど、ま、それは仕方ないとして、
困ったのは時間。21:30からだって。
もうこっちは身体中痛くて眠くて、このまま眠ってしまいたいくらい。
念のため1時間前に電話してと言われていたので風呂屋に電話すると、
少し遅れていて22:30に来てくれとのこと。
待ったよ。待つ以外の選択肢はない。
おれね、女を買うってのは初めてなんだ。買うという行為について
色々と考えを巡らせて、それで時間をつぶした。

ソープは、本題とは関係ないのでさらっと流しちゃうと、はっきりいってつまらなかった。
ホントにこの子が人気なの? と疑いたくなるような相手だった。
顔は美しいけど、かなり太い。足の付け根なんてみれたもんじゃない。
すすき野では高級店らしく、色々なサービスをしてくれたけどね、
確かに気持ちイイと思える瞬間もあったけどね、それよりもようやく横になれた
ってことが一番気持ちよくて、射精せず、そのまま眠ってしまった。
で、終了10分前に起こされて、体を洗って一服。
ふらふらで来る人もいるけど出しもしないで寝ちゃうのは貴方が初めてよ、とのこと。

ハンパに寝たからか、意識がかなり朦朧としていた。
後頭部がじんじんしびれる。もうホテルへ戻って眠ろうかとも思った。
しかし、それなりに期待して風呂屋へ行ったのに寝てしまったってのは、
下半身に後悔が残る。眠くて、自力で勃起させる自信はないが、
どこかで無理矢理絞り出してもらえないものだろうか。んなこと考えつつ
ふらふら歩いてたら、呼び込みの兄さんに声を掛けられた。
いや、歩いていたら何人にも声を掛けられたけど、今回の呼び込み人は
結構いい顔したスマートな兄ちゃんで、道の駅で会ったら楽しく会話
できそうな感じだった。第一印象でいい人っぽいなと思った。
別におれはホモじゃないけどね。でも、同性に対しても外見で判断するってのは
あるよ。誰だって同じだろう。

で、その兄ちゃんの言葉に聞く耳持ったわけだ。
「ね、1時間1万1千円でどーですか?」
「おれ疲れててね。ソープじゃ立たないですよ」
「大丈夫、うちはヘルスですから」
「おけ。じゃ、入ります」
「はーい、1名様ご案内」

ってことで店内に通され、金を払い、注意事項を説明された。
指を入れないこと、キスしないこと、連絡先を訊かないこと、
店外デートをしないこと、引き抜き行為をしないこと、等々。
つまり、客はとにかく黙ってマグロになってろってことだ。

で、女の子に引き合わされ、個室に案内される。
「こんばんは、あみです」
「やぁ、こんばんは。はじめまして」

あみと名乗った女性は、顔もスタイルもおれの好みぴったりだった。
ほっそりしていて、ウエストなんか片手で抱えられそうだけど、
胸はしっかり自己主張している。化粧はほんのり薄く、長い髪を後ろで束ねている。
「うふふ、どーしたんですか」とカノジョ。
言われてみれば、おれは黙ったままカノジョを観察していた。
「いやね、きみ、綺麗だなぁって思って」
「やだぁ。誰にでもそんなこと言ってるんっしょ」
「んなことないよ。そう、ところでさ、ここって・・・ヘルスってどーいうとこ?」
「どうって? 初めてなの?」
「ん。ソープはさっき初めて。眠っちゃったけど。で、ヘルスは今が初めて」
「なーに、それ」と笑いながら、「口と手で行かせてあげるの。本番とかはナシ」
「なるほど。疲れてるし、本番よりそっちの方がいいや」

で、体を洗ってもらい、歯を磨き、その間いろいろとハナシをして、
それから、ベッドに仰向けに寝かされた。
あみさんがおれの乳首を舐め、腹を舐め、足を舐め、いい身体ねぇ、と言う。
「ん、なに?」半分眠っていた意識が呼び起こされる。
「いい身体ねぇって言ったの」
「ああ。兄貴がね、おれの兄貴がすごいデブなんだ。だからおれは贅肉恐怖症で、
 履歴書の趣味の欄には腕立て腹筋って書いてもいいくらい毎日汗流してるからね」
「へー。あ、じゃ、うつ伏せになって。・・・うわ、お尻も締まってて綺麗」
「それよりさ、まずお客様の顔を誉めるべきじゃないの」
と、そんな軽口を叩いていたら、手足を誘導されて四つんばいにさせられた。

おれは四つんばい。その後ろにあみさん。
股の間からあみさんの手がにゅっとはい上がってきて、おれの息子をマッサージ。
それと同時に、びくっと背中に軽く電流がはしり、んっ、っとのどを鳴らしてしまった。
「うふふ、アナル感じるんだ」それからまた電流。おれのアナルをカノジョがちろちろと舐めている。
疲れているところを無理矢理絞り出されるっていうイメージにぴったりな扱かれ方でこれは
気に入ったけど、2分くらいしたら今度は仰向けにさせられた。で、あみさんが
おれに跨ってあそこをこすりつける。
ヤバイ。この体勢はやばい。仰向けになったら眠くなる・・・。
んっんっんっ、って喘ぎながら、演技かもしれないけど喘ぎながらあみさんが腰をくねって
あそこを擦りつける。ヴィジュアル的にはすごく淫靡だ。ソープ3万よりこっちの方が断然イイ。
おれの好みの顔が愉悦に歪み(演技かもしれんけどね)、腰をくねくねしている。
それを見るだけで幸せってもんだけど、でもやっぱり眠くなる。身体中の神経がベッドと
枕に吸い込まれる。BGMは、なんて曲名だっけ。イエス マイ ダーリン ユー ルック 
ワンダーフゥル トゥナイ ってやつ。もう、なんつーか夢心地だ。

で、心だけじゃなくて身体も夢心地だったもんだから、立ちが弱くなったんだろう。
「あれっ」っとカノジョ。
「ごめん。今日は4時起きで、すーっとオートバイで走ってたから」
「じゃ、シックスナインしようか。シックスナイン。好き?」
「ん。好き」

てことでシックスナイン。相変わらずおれは仰向けだけど、あそこを舐めるべく
クビを持ち上げるので、眠気がまぎれる。あみさんのあそこはすでに濡れてた。
最初はおれの両肩を押さえ込む位置にカノジョの膝があったんだけど、
ちょっと肩を抜かせて、と言ったら、膝の位置を変えてくれたので両手が戦力に加わり、
片手は乳房&乳首、もう片手はびらびらと穴の中とGスポット(この体勢でのG攻めは
かなり疲れる)、口はクリトリスを攻め、しばし互いに熱中した。

アナルも攻めようかと思ったけど、穴に指を入れちゃいかんという注意事項を
思い出し、それはやめた。すでにGを攻めといてルールを破ってるわけだけど、
あみさんも嫌がらないし、ま、いーか。
で、おれは69得意なんだけどね、何度かカノジョが竿から口を離してはぁはぁ
してたので勝利を確信してたんだけど、やっぱプロだからか、おれが先に逝って
しまった。まさに無理矢理絞られたってかんじ。
白濁駅を飲むだけじゃなくて、ちゅーちゅー吸いたててくるので、尿道がちゅるちゅる
刺激されて気持ちイイ。負けじとおれもむいたクリをちゅばちゅばちゅばちゅば好いたてたので
射精完了後10秒ほどのタイムラグであみさんも達した。
あみさんの余韻の震えが収まったのを確認してから、おれは頭を枕の上に戻し、
「負けたー。でもズルイよ、そっちがマウントポジションとってるんだもん。
 互いに横向きなら、負ける気がしなかったよ」
「何言ってるの。あたしを逝かせといて。いちいち活かされてたらこっちは大変なんだからね。
 でも、気持ちよかったけど」

「どーしよっか、これから。まだ時間あるけど、も1回する?」
「ん、それよりキスしたいな。だめ?」
(そうそう、書き忘れてたけど、キスも禁止と書いてあった)

「いいよ」と言うのでおれは上半身を起こし、カノジョを抱き寄せ、
そのままベッドに倒れ込んだ。
「じゃ、腕枕して」と言われて右手を出し、その上に頭を乗せた彼女を
引き寄せて唇を合わせた。
じゅばじゅばじゅば。あみさんは舌を思い切り突き出し、おれの口の中で暴れさせる。
「そんなエロビデオマニアが喜びそうなんじゃなくて、もっと普通にしようよ」
といって、ちゅっちゅっちゅっとフレンチキスをしてから、あみさんの口にそっと
舌を侵入させた。ねちゃねちゃと、舌と舌が絡み合う。ねちゃねちゃねちゃねちゃ。
あみさんが足を絡めてきた。ねちゃねちゃねちゃねちゃ。おれの太股にあそこが
擦りつけられる。熱く湿っているのがわかる。左腕で、ぎゅっと彼女を抱きしめて、
彼女の下唇をじらすように何度も甘噛みすると、我慢できないってかんじに
舌がでてきたのでそれを強く吸った。

ぷはー、っと口を離してから互いに見つめ合って微笑。
「キス、好きなのね」
「好きだよ。キスと、あと手をつなぐのが好き。どきどきするじゃない」
「でも、精子の味がしたっしょ」
「う。客商売なのにそんなこと言っちゃダメだよ」
「うふふ」
「ははは」

再び口づけ。いつの間にか、互いに互いの性器をいじりながら口を吸い合っていた。
すると、ピピピと電子音。
「なに?」
「あと10分っていう合図」
「えー、もう終わりなの?」
「もう一時間延長する?」
「うーん。おれ、あみさんに惚れたんだよね」
「えっ」と言いながら、目元が嬉しそうに見えた。
「もともと好みのルックスだったけどさ、キスを繰り返してたら本当に好きになってきちゃって」
「・・・・」
「ごめん。こーいうのイヤ?」
「ううん、嬉しい」

「じゃ、今日は延長しないで帰るよ。もう20時間以上起きてることになるし、
 かなりくたくたなんだ。明後日の夕方のフェリーで帰るから、明日もう一回くるよ。
 明日は二時間でも三時間でもいちゃいちゃしようね」

ってことで身体を洗ってもらって、彼女の身体はおれが洗わせてもらって、

「こんなことしてもらうの初めてぇ」って言うから「そりゃ、客はこんなこと
 しないだろーけど、こんな美しいからだ、男は洗いたくてうずうずしてるよ」

と言いながら胸や股間をこにょこにょイタズラ。

身体を洗い終えてからキスをして、服を着てからまたキス。
「もう。キス魔なのね」
「うーん、キスは好きだけど、魔はヒドイんじゃない。レイプ魔とか
 ゴーカン魔とか、魔ってそういう単語だよ」
「うふふ、でもこんなにキスばっかり」
と言うあみさんにもう一回キス。深ぁいやつ。
「キスってさ、恋人みたいでいいじゃない。あみさんさ、彼氏いるの?
 いないんだったらおれと遠距離恋愛しようよ。それで結婚しようよ」

ピピピピっと、ここでまた電子音。
「う、もしかして時間ぎれ?」
「うん。でも、ちょっとくらい平気だよ。一服してく?」
「する」と言ってマルボロを取り出し、彼女にも一本勧めた。

「ね。明日の昼間は何してるの?」
「んー。すでにへばってるしね。夜に元気な状態であみさんに会うために
 一日中ぐっすり寝てようかな、って気もするんだけどね。でも、一応
 ここには走りに来てるんだから、短距離でも、一応走ろうかな。
 っていうと、支笏湖あたりでノンビリかな」

(ここで思い出した。そうだ、バリ押忍の女子大生と13時に支笏湖だ。)

「じゃぁ、支笏湖で会おうよ」
「え?」
「実はわたしもバイク乗るんだ。****だけど」
「わお、最高。ますます結婚したくなった」
「じゃぁ、支笏湖で遊ぼうね」
「うん、喜んで。ボート乗ろう、ボート。おれ、ボート魔でもあるんだ。
 北海道のボートはオールが小さくてスピードでないけど、それでも
 恋人の乗り物は手漕ぎボートでしょ」
「うん、いいよ。じゃぁ、待ち合わせは・・・」
「現地集合で、午後3時くらいでどう? で、デートしてから一緒に札幌に
 戻って、あみさんは職場へ行って、おれはそこの客になる。そーいや仕事は
 何時から? いや、仕事休んでくれたら一番いいけど」

(現地集合って指定したのは、女子大生とあみさんをうまくやりくりするため。
 すでにこのとき心はあみさん一本に近かったけど、とりあえず鉢合わせはマズイしね。)

「いいよ、休んじゃう」
「ほんと? やったー」と右の拳を握ってぷるぷる震わせてから彼女を抱き寄せ、キス。

ピピピと、また電子音。
「あ、もうほんとに行かないとマズイかな」
「うん」
「じゃ、詳しくは明日。ね、明日はデートで、その後は遠距離恋愛しようね。
 その後は結婚だよ」

こくりと頷く彼女。はにかんでいるのが可愛らしくて、もう一回キスをした。

店を出ると、おれを呼び込んだ人が付いてきて、「女の子どーでした?」と問う。
「さいこー。あなたに感謝します。ほんと」

いくら台風とはいえ、フェリー内でバイク横転ってのにおれはかなり驚いたよ。
そのへんにつっこみはいるかと思ったけど、そうでもない。北海道スレで既出なのかな。
ところで、今年は2人連れ、3人連れのライダーがやけに多かったように思う。
で、そーいう人たちは、一緒に来た人以外とはあまり交流しない。
なんつーか、時代が変わったのかなと思って、走りながらこんな曲を口ずさんでた。(以下拙訳)

オートバイに乗る人たち ちょっと集まってきて聞きなさい
自分に理解できないことを 批評してはいけませんよ
新しい世代のバイク乗りは あなた方の常識には囚われません
あなた方の古い路は急速に消えていくのです
お願いだからこの新しい時代から出ていってください もし手を貸すことができないのなら
なぜなら 時代は変わっていくんだから

というのはまあどーでもいいんだけどね、そんなわけで今年の北海道は出会いが
少なかった。その場限りとはいえ、仲良くなったのは男が3人、女が1人。それだけ。
そう考えるとバリ押忍の女子大生も捨てがたいなぁ、あみさんの3つくらい年下かなぁ、
そーいやおれは女子大生とつきあうには年をくいすぎてるかなぁ、いやいやバリ押忍に
拘らなくてもあみさんだってバイク乗りなんだよなぁ、でも約束したわけだから
とにかく13時には支笏湖に行かなきゃなぁ、それでバリ押忍と盛り上がって惚れちゃった
りしたら困るけど既に心はあみさんに囚われてるから要らぬ心配かなぁ。
と色々考えていると、疲れ切っていたはずなのになかなか眠りに落ちない。
そうこうしているうちに息子が元気になってきた。俗に言う疲れマラというやつかも
しれないし、あみさんのことを思い出したからかもしれない。いかんいかん、眠らなければ。

ホテルのベッドは気持ちイイ。寝袋とは比べモノにならないくらいほど良い。
で、目が覚めたのは15:00だった。まだ身体の節々に痛みが少し残っている。
(ホテルは2泊とっていたので、その点は問題ない。)

目やにをこすりながら時計を見て、急速に頭が冴えた。
で、意味がないと分かっていながらも自分の頬をかなり強くピシャリと叩いてから
もう一度時計を見る。15:00だ。

むくれて支笏湖を後にするバリ押忍女子大生の顔と、しょんぼりうつむくあみさんの
顔が同時に頭に浮かんだ。やっぱりおれはあみさんを好きだ。
顔を洗い、急いで服を着てメットとグローブを持ち、ホテルの駐車場へ。
連泊だから荷物は置いたままでOKだ。
って、バイクに跨ってから気付いたけど、キーを部屋に置いたままだった。
で、部屋に戻ってキーを持ってきてニュートラルに入れてエンジン掛けて
バイクに跨り、後ろへ移動してガツン。
しまった。メット用のロックを後輪のディスクの穴に引っかけたままだった。
何もないよりはマシと思ってのディスクロック代わりだったんだけど、
普段こんなことしないし、慌てていたので、ついうっかり。

結構トバした。おれにしては。
しかし途中激しく道に迷ってしまったのもあって、支笏湖についたのは17時を過ぎていた。
支笏湖なんて、いつも帰りの日の時間調整に寄っていたし、札幌からずうっと
道なりなのに、ナゼこーいうときに限って迷ってしまうんだか、自分のバカさが
恨めしい。しかも、ツーリングマップルはウエストバッグと一緒にホテルの部屋の中だった。

で、支笏湖にはバリ押忍はもちろん、あみさんのバイクも見あたらない。

あみちゃんは朝8時まで働いてるんだ。それで15時にここに来たはずなんだ。
身体だって、毎日疲弊してるだろう。それなのに、おれは何時間寝てるんだ。
そう考えると自分が情けなく思え、泣きたくなるほど惨めな気分になった。

地面に腰をおろして湖を見つめる。タバコに火を付ける。
煙が目に染みる。その勢いで、涙を流してしまう。
涙が止まらない。くい、くい、と肩を押される。
「なにか悲しいことでもあったの?」
そう声を掛けられて振り向くと、あみさんが微笑んでいる。

・・・・そんな妄想に浸ってしまい、一層わびしくなった。
タバコをもみ消し、携帯灰皿はポケットに入っていたけど、
なんとなく吸い殻をそのままにしてしまってバイクに戻った。
とりあえずホテルに戻ろう。

あみさんはこの一件をどう思うだろうか。
おれはあんなに喜んで見せたんだ。だからすっぽかされたとは思うまい。
寝坊というまぬけな事実に思い当たってくれるだろうか。
事故とか、そーいう恐い想像をしてるんじゃなかろうか。
とにかく支笏湖で会えなかったら、もう一度会う場所といったら店しかない。
そう思い当たってくれるだろうか。そう思い当たってほしい。
今日は仕事を休むと言っていたが、それを取り消していてほしい。
もう、それに掛けるしかなかった。

店が開くのは22時からだ。
ホテルに戻って洗濯物をキャリアに乗せ、もう一度バイクで外に出て
コインランドリーへ向かった。自分が一番イイと思っている格好で
あみさんに会いたかったから、お気に入りのTシャツを綺麗にするためだ。
もらいものなんだけど古着屋で8千円したとかいうからモノはいいんだろう。
シルエットも見た目も確かにイイ。

で、ホテルに戻ってシャワーを浴びてヒゲを剃り、コンビニで買ったはさみで
髪を切り、まだ時間があったので少し横になった。
あらかじめセットしておいたタイマーで21:30に起きると、もう一度
シャワーを浴びて寝汗を落とし、21:50にいざ出陣。

そもそも昨夜(この日の早朝か)は半ば寝ぼけていたから、店の場所はうろ覚え。
同じ一画を3回も回ってしまった。
「さっきから何回も声をお掛けしているんですけどダメですか」とか
「な、だからちょっとハナシ聞けよ。いい店あるんだって」とか客引きがウザイ。
店の前に立っている店お抱えの客引きよりも、フリーの(とでもいうのかな。
うろうろ徘徊してる)客引きが特にウザイ。
ぐるぐる歩き回っているおれは良いカモに見えるんだろう。
最後には、ソープの客引きにあみさんの名刺を見せ、そのビルの場所を教えてもらった。
そこには22:00オープンって書いてあるのに、すでに22:15だが
店は開いていなかった。
なのでホテルに戻り、オリンピックを見て時間をつぶし、もう一度シャワーを浴びて
汗を流してから23:00に外に出た。

昨日の客引きが見あたらないので、閑散としたビルに入って2階に上がる。
入り口には太ったオッサンがひとり。昨日の客引きと同じ色のYシャツを
着ているので、この店の人だろう。
「あのぅ、あみさん、今日来てますか?」
「いや。今日は休みだよ。ごめんねぇ」

迂闊にも、「いるよ」という返事しか予期していなかったので
おれは言葉を失ってしまった。
その様があまりにも哀れに見えたんだろう。オッサンはおれの肩に手を置いて、
「うちはほかにもレベルの高い子が揃ってるから大丈夫だよ」と、親切そうな声を出した。
「じゃ、いいです」

オッサンに背を向けて階段を下りていく。耳がキンキンした。

ビルを出るとフリーの客引きと目があった。
20そこそこに見えるニキビ面のガキが寄ってきた。
「どーしたの。いま入ったとこですよね。お目当ての子がいなかったんすか。
 それよりもイー店ありますよ」

そいつをひと睨みしてからホテルへ向かって歩き出した。
「ねーねー、そんな顔しないで。ほんとすごいんスよ。コスプレもありますよ」
「付いてくるなよ」と振り返って、おれは仁王立ちになった。
コイツ相手にむしゃくしゃを発散しようかと思ってにらみつけた。
ニキビ面もおれを睨みつける。おれの態度が癪に触ったようだ。そりゃそうだ。
至近距離で5秒くらいにらみあった。近くにはコイツの仲間がいるかもしれないし、
とりあえず最初の一発はコイツにあげよう。そこからやりかえせば文句ないだろう。
そんなことを考えつつヤツの両肩を注視していたら、「へっ」と言ってヤツは行ってしまった。

分かってる、ガキに当たっても仕方ないんだ。
それよりも失態を取り戻すべく努力すべきじゃないか。
そう思ってあのヘルスに戻った。
「あのぅ、済みません」
「お、結局来たか」
「あの、あみさん。今からお店に来てもらうわけには行きませんかね」
「・・・」
「ごめんなさい、変なこと言ってしまって」

おっさんのあきれ顔を見て、自分がいかにキチガイな発言をしたかに気付き、
恥ずかしくなって階段を駆け下り、ホテルに戻った。

これでもうあみさんに会えないのか? おれは最大限の努力をしたのか?
帰る日を遅らせることができれば、と思ったが、金曜日はおれが仕切らなきゃ
ならない会議があるし、そのための資料はいくつか未完成で朝からそれに
とりかからなきゃならない。帰るのはやはり明日の夕便だ。
ってことは、おれとあみさんをつなぐのはやはりあの店しかない。
しかしデート禁止連絡先を聞くのも禁止という店で、しかも女の子に会う前に
その注意書きを朗読する店で、おれと彼女の間を取り持ってもらうのは無理だろう。
聞く耳を持ってくれたところで、店の女の子に入れあげたキチガイとしか
思われないだろう。

で、その店へ行った。
オッサン、又かよってな顔で「あみは休みですよ」
「ええ、分かってます。誰でもいいです」
ってことで、金を払って個室に通された。
店のひとよりも、そこで働いている人の方がおれのハナシに
理解を示してくれるんじゃないかと思ってもう一度客になったってわけだ。
「こんばんはー。ゆきでーす」
「あ、どうも初めまして」
「ゆきねー、店長からきーちゃったぁ。あみちゃんにすごくお熱なお客さんだよーって」
「はは。そーなんだ。ごめん、そーいうのってイヤだよね」
「ううん、そんなことないよ」

「ほんと?」
「ほんとほんと。このお店って、働いてる人同士はほとんど顔会わせないんだけど、
 あみちゃんねー、ヒマがあるとゆきの部屋に来てくれて、いろいろお話するんだ」

ここで、「これは好都合」と思うべきだったのに、おれの頭はどうかしていた。
自然に顔が曇ってしまった。だって、あみちゃんと仲がいい人のお客さんになるなんて。
今にして思えばね、ゆきさんと何もしなけりゃそれでいいだけのハナシなんだけど。

「だいじょーぶよ。あたしのお客になったことなんか、あみちゃんには言わないから」
「いや、あの、あみちゃんに・・・」
「もーほらほら、今はわたしのお客様でしょ」

ゆきさんがおれの服を脱がせ、自分も手早く脱いでからおれの手を取りシャワーのところへ
ひっぱっていき、かるく身体を洗ってくれて歯ブラシをつきだす。で、歯磨いてうがいして
身体を拭いてベッドに仰向けになって、じゅばじゅば吸われて射精した。

「ね、ここの基本的なサービスって、これだけ?」
「そうよ。あとはいくつかあるけど、全部別料金よ」
「身体触っていいの?」
「だめ」

ゆきさんは本当に嫌そうに顔をしかめた。
「ははーん。あみちゃんに色々してもらったんだ。それでお熱なのね。
 そーか、あみちゃんって、そういうことやって指名稼いでるんだ」

ほんとにこいつは仲良しなのか?
あみさんがおれに基本サービス以上のことをしてくれたっていうのは、
指名稼ぎじゃなくておれへの好意だと思っていいんじゃないか。たぶん。
会話はいろいろはしょって書いたけどね、「延長する?」と彼女が訊いたのは
おれが時間終了に泣き言をいったからだし、明日またくると言ったら彼女は
お金なかったら無理しないでよと心配してくれたし、その後のデートの約束だって。

今日のことについての謝罪の言葉とおれの連絡先を書いたメモをこの人に
託そうかと思っていたんだけど、あみさんへの彼女の発言を聞いていると
そんな気にはなれなくなってしまう。
でももう少し探りを入れてみたくて、失礼かとは思いつつも、なるべく自然な
流れで何度かあみさんを俎上に乗せた。しかしことごとくサラっと話題を変えられてしまう。
しかも、露骨に嫌な顔をされる。
ダメだ。彼女に伝言なんか託せない。

で、ピピピと電子音が鳴った。
「あー、もう時間よ。ほら、服を着て」
言われるままに服を着て、店を出た。
まだ10分前という知識はあったけど、この人と一緒にいたいわけでもないし、
ま、1時間1万っていったらこんなのの方が普通なんだろう。

最終日。
フェリーに乗船したら一番風呂と決めているおれは、バイクをとめてすぐ
ネットに引っかけてあった手提げ袋とメットとグローブを持ってエレベーターへ向かった。
で、当然のように一番ぶろ。
まだ出航していないので湯船の窓からは苫小牧港で作業している人たちが見える。
ひとり、何もしないで突っ立っている人がいる。この舟の方を見ている。
女性っぽく見える。メガネはバイクに乗るときしか掛けないので、寝台上のウェストバッグに
入っている。なので、立っている人が女性っぽいということしか分からない。
あれはあみさんなのだろうか・・・

てことで以上です。



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