− 409 さんの恋愛話 −

昔の話しだが…

今から12年程前に北海道ツーリングを仲間内で計画し数人で行く予定だった。
だが、時期が近付くにつれて仕事の都合があわず結局漏れ一人で行く事になった。
もともとソロも嫌いじゃなかったからそれはかまわなかった。で、キャンプ道具を積んで夢見る広大な大地を目指しひたすら走った。
地名は覚えていないが道南の辺りだったと思うがツーリング2日目に泊まるキャンプ場を探しながら食材の買い出しをしていた。
そこで目に入ったのが個人経営のスーパーだった。表にバイクも数台停めてあり特に気にせず入店した。

先客であるバイク乗りが女性1男性3のグループらしき人達で女性はなにやらうんざり気味の様子。
まぁ、一緒に来たんだからしゃーないだろと思いながらさっさと買い出しを済ませ店を出た。
キャンプ場を決めてた訳ではないので適当に探しながら走っていたら客が全くいないキャンプ場を発見し、そこで一泊しようと決めた。
そこは炊事場、トイレはあるものの管理人がいないので不思議だったが翌朝にでも来るだろうと
そのままテントを張り炊事と洗濯を始めた。
しばらくするとさっきのグループが到着した。

「なんだ、やかましい連中とおなじかよ」と思ったが…仕方ないので我慢した。
で、コンロで調理を始めると、全員で炊事場に来てワイワイガヤガヤとやってる。
聴いた訳じゃないが聞こえた内容では全員がソロな様子。
「どーゆー団体?」と思っていたがどうやらソロ女性につきまとっているらしい。(それでスーパーではうんざり顔だったのか…)
でも、漏れが口出す訳にもいかないからシカトしていた。
食事も終わりバイクのメンテ(チェック)をしている間も女性に取り繕っている取り巻きの連中。
傍目でも不愉快だった。

漏れが口出す訳にもいかないからシカトしテントの中の寝床や片付けをし
調理道具の手入れも終り深夜近くに、やかましいグループも就寝したのかイビキが聞こえる。
漏れが焚き火の揺らめきを堪能しながら翌日のルートを眺めていた時テントから女性が出て来て
「こんばんは」「え?あ…あぁこんばんは」「どこからいらしたんですか?」などとライダー的な
会話をして会話が途切れたので「さっきの連中は何なの?」と聞くと
「昨夜からずっと付いて来て困ってるんです」との返事。やはり全員ソロだが日を追うごとに増えたそうだ(確に美人だ。)

「はっきり断れば?」「言ったけど聞いてくれないの。あの人達同士で喧嘩もするし困ってるんです」
「そっか…じゃあ明日は早朝に出発しな。アイツ達は出発できないようにしておくからさ」「ホントですか?」「あぁ。」「ありがとうございます」
と、他にも会話後女性はテントに戻った」しばらくしてから野郎のバイクのプラグキャップをかなり緩め漏れも目覚ましをセットし、寝た
早朝5時に起きて簡単な朝食後、撤収していると女性も起きてきて目で挨拶。ちょっと笑う顔も美人だ。
女性がそっと片付けていると「おはよー!」と野郎が起き出した

「何だよー冷たいなー」なんて勝手な事を言ってるうちに他のも起き出した。
女性は適当にあしらい逃げるように荷物を積んで出発した。
「待ってよー」とかほざいてるが…エンジンが掛らない。「あれぇー?なんだー?」などと言いながらあっちこっち調べている姿を尻目に漏れも出発した。

漏れの旅も後半に差し掛かった時、観光に立ち寄った。
駐車場に見た事あるバイク…彼女のだ。と、思った瞬間土産売り場横の喫茶コーナーから彼女が「やっと会えた…」と言いながら向かって来た。
どうやらその後はストーカー連中から解放され楽しいツーリングを満喫しているそうな(キャンプ泊はやめたらしい)
で、あの時なにをしたのかってのと名前を聞きたかったらしい。
プラグキャップを外した事は伝えたが名前は言わなかった。
しかし彼女は気が済まないと言い張り住所と名前を書いた紙を渡した。「今は手持ちが無いから後日送ります」

大した事じゃないからやめれと言っても聞かないので了解した。
その時「あ!私は○○と言います」と言いながら住所氏名の書いてある紙をくれた
「相手のを聞いて自分のを言わないのは反則だからね」うむ、なかなか気の効く良い女性だ。と、感心してしまった。
で、そこで一緒に観光しながら「なんでここにいた?」と訪ねたら
「あの時地図開いてたでしょ?あの地図のこの場にフセンが貼ってあったからきっと来るだろうと思って…勝手に見てごめんなさい」
「なるほどー、いや構わないよ。」

そんな雑談をしながら新鮮なデートを楽しんだ。
この後は漏れがあと一泊、彼女は二泊で帰る予定だったので進行方向が違うので
「じゃあ、元気で気を付けてね!ありがとうございました」
「○○さん(彼女)も事故にも気を付けろよ!」と交差点で左右に別れた。
翌日、漏れの旅も終り地平線と広大な空に別れを訃げそのまた翌日に自宅に付いた。
疲れた体を休めるため昼寝をしていたら電話で起こされた
「んだよー」と思いつつ電話に出ると「○○さんですか?」「はい、そうですが?」「私、○○(彼女)の母ですが…」

(少し嫌な感じがしながら)「はい、なんでしょうか?」
「実は…○○が交通事故で…(泣きじゃくってよく聞こえない)」「え?!なんですか?」どうやら交通事故で集中治療を受けている間「○○さんにお礼しなきゃ」と
訴えていたそうだ。
御両親は彼女の友達に総当たりしてもわからず荷物をアサっていたら漏れが渡したメモを見付けたらしい。
で、事情が分からないまま電話をしてきたそうだ。
両親は医者に最悪な事も…と言われパニックになり誰でも良いから仲良くしてくれた人に来てもらっているらしい。

病院の住所と名前と電話番号をメモり
地図と財布を掴み車に飛び乗った。
高速をめちゃくちゃにとばしオービスも何度か光らしながら到着し病院に駆け込んだ。
しかし集中治療室には肉親のみしか入れないので外にいる友達らしき人に声を掛けた。
ツーリングの帰宅途中、あとわずかな距離で車と接触し電柱に激突したらしい。
彼女の様態はまだ情報が無いからわからないとのこと。
それから数時間後、医者と看護士が出て来たが安否は言ってくれない。(両親から聞けと。)
で、しばらくして母親が出て来てくれて、漏れは自己紹介をし安否を聞いた。

「今は脳が腫れて頭蓋骨に圧迫されているから危険だが腫れが引けば一安心」との事。
もう深夜をまわっているが両親がつきそっているので廊下で仮眠をとり
翌朝、上司に事情を説明しその日は休んだ。

その日の夕方から薬が効いたのか腫れがひきはじめたらしく「もう大丈夫」と医師から太鼓判を貰ったので
両親に「意識が戻ったらよろしく伝えて下さい」と伝言を託し帰宅した。
1週間たっても連絡がないので電話したが繋がらない…焦る気持ちを押さえ我慢した。
2週間程たって母親から電話があり意識が戻って漏れの事を伝えたら

申し訳無かったと泣いていたらしい…
早く元気になって声を聞かせてくれるのが何よりの謝罪だよと伝言してもらい電話を切った。

一命を取りとめた安心と急かすのも悪いと連絡せずに2ヶ月程が過ぎたある日の土曜
電話が鳴った「もしもし?」「あの…○○さん(漏れ)いらっしゃいますか?」「あ!○○さん(彼女)?」「はい!そうです!」
〜中略〜
その後は順調で早ければあと1ヶ月程で退院できるとの事。
頭以外に足も骨折していた事、北海道での別れ際に
「事故に気を付けろ」と言われた約束を守れなかった事
見舞いに来てくれたのに無礼な対応で申し訳無かった事などを
泣きながら謝罪してくれた。

しばらくは電話のやりとりで済ませ
退院の日はどうしても仕事が外せなかったのでせめて電話で…と思い会社から電話しても誰も出ない。
まぁ退院祝いで食事でもしてるんだろうと帰宅したらしらない車が止まっている。
「誰だろう?」と思い玄関に入ると漏れの両親の笑い声。なんだ親の客か…ま、一応挨拶でも…と
ドアを開けると客は彼女と御両親(姉妹も)だった。
事故した日のパニック電話と対応の謝罪に一家で来てくれていた。

それがきっかけとなり…

今?うちの名字を名のってます。



戻る