− 796 さんの恋愛話 −

振られた。

初めて「好きだ。つき合ってくれないか?」と言った。
彼女はすまなそうに首を横に振って行ってしまった。

バイクに乗り、ヘルメットを被る。シールドを降ろすと、何故か涙が流れる。
振られるのは分かっていたはずなのに、それなりの覚悟は出来ていたはずなのに。

しばらくそこで泣いた。

家に帰るといつもの面々が夕食を食べていた。元気のない俺に気づいたのか、姉が
声をかけてきた。「元気ないね?」素直に話したら、ポッキーをくれた。そして、俺にキー
を渡した。姉のVFRのキーだ。「走ってきたら?たまには別のバイクで走ると面白いかも
よ。」

近くの峠に大きく遠回りして行った。夜景がよく見える所にバイクを停めた。こんな夜景を
二人で見たかった。涙が流れそうになる。上を見て流れないように、星を見ているふりをする。

そこで、しばらくウジウジしていた。時計を見ると12時を回っていた。

峠を心地よいスピードで下る。冷たい風が首筋を突き刺す。走り終わるとスッキリした自分がいた。

姉のVFRのエンジン音を残しその日は帰った。

「ありがとう」と、一言姉に礼を言い、キーを返した。


初めて姉に心から「ありがとう」と言えた。



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