− 868 さんの恋愛話 −

初夏の朝、軽トラックで出勤途中、目の前でいきなりスクーターが転倒した。
間一髪接触をまぬがれた俺は路肩に車を止めスクーターに駆け寄り起き上がれずに座ったまんまの女性に
声を掛け、頭は打っていない様子だったので手を差し伸べた。
見たところ膝を擦り剥いた程度で大事ではなかったが、バイクの方はアスファルトを20m位滑りブロック塀に激突し、
全損コースと言ったところだろうか。

これも何かの縁と思い彼女のバイクを軽トラに乗せて勤務先まで送ってあげた。
俺はバイク専門ではないが、原付からトラックまで扱う修理兼中古車屋だと話すと、修理か中古を探して欲しいと頼まれた。
彼女の勤務先に着いて驚いた。同級生のやっている美容室だったのだ。そこで見習いとして働いていると言っていた。
俺は修理か中古が見付かるまで代車を用意する約束をし、同級生と思い出話をして自分の店に戻った。

その時はカワイイ子だなって思っていた程度でそれ以上の感情は無かったが、同級生の顔を立てて安くしてやらんとと思った。
たまたまガラクタ置き場にエンジンが死んでる同型のバイクがあったのでニコイチにすることにした。
夕方、彼女が代車に乗って店に菓子折り持参でお礼にやってきた。同級生に促されたのだと思うが、なかなか気が利く娘だと思った。

スペックが俺は26才T180、W75で彼女は22才T170、B80C、W65、H90と言ったところだろうか。

彼女は俺のガレージの中を興味深く見ながら俺の愛車に興味を持った様子だった。
俺は急ぎの仕事もあったので、適当にあしらってしまったが、それから三日間、修理が終わるまで仕事が終わると差し入れを持って
彼女がやってきた。納車が終わっても2日と開けずに顔を出す。
初めはウザイと思っていたが、顔を見れないと寂しいと思い始めた頃、同級生から飲みに誘われた。

どういう風の吹き回しだ?と思いながらも俺は指定された飲み屋に向かった。
高校を出て以来は同窓会で顔を合わせる程度の仲だったので飲みに誘われる意味が分からなかった。
手始めにビールで乾杯すると、いきなり彼女の話になった。

何でも俺に一目惚れしてしまったらしい。俺は目が点になった。
「K-1の武蔵」のファンらしく、俺は一度だけ似てると言われたことがある。
可愛いし性格も優しい子だから、付き合ってる人が居なければ考えてあげてよと頼まれてしまった。
確かに彼女は可愛いし、性格も良さそうだ、けど俺には勿体無いと思い、恋愛の対象として考えていなかったことに気付いた。
何よりも惚れていてくれるのが有り難いと思った。
同級生と、次に彼女が顔を出したらデートに誘うと約束して俺は飲み屋を後にした。

翌日、彼女が顔を出したので俺は彼女をタンデムツーリングに誘ってみた。
彼女は二つ返事でOKし、彼女の休みの日に決行することになった。
当日、彼女は早起きして弁当を作ってきてくれた。それが俺の壷にはまってしまったのだろうか?
弁当の卵焼きを食べながら俺は彼女に告白した。彼女はこれも二つ返事でOKしてくれた。

間もなくして互いに一人暮らしだったので一緒に住むようになり、昨日の彼女の誕生日に
「(彼女が)一人前になったら結婚しよう。」と約束して、月収0.3か月分の指輪をプレゼントした。
同級生の話だと彼女はセンスが良く、もう全て任せているとの事。
来年か再来年には独立できそうな雰囲気だ。



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