− ナースマン◆nuJa7fpiPk さんの恋愛話 −

俺には以前付き合っていた女の子がいたんだ。彼女の事何よりも愛してたつもりだった。
彼女も俺の事をオカンの次位に愛してくれた異性だとたと思う。
遊びに行く時はいつも2人乗り。車買える程リッチでもなかったし…。
彼女はユキ(仮)として、ユキと付き合いだして二年程たった頃だった、
「ウチ、最近調子悪いねん…朝も起きれへん事多いし」と何気ない会話から始まった。
「病院行ったんか?まぁ元々お前は朝強くないしなw」と冗談程度にあしらった。
彼女の体調は著しい程ではないが以前には見られなかった、貧血などの症状もあった。
職業柄心配になったので、受診・検査を促した。

まぁ貧血症だろうと思っていた。受診から数日後、彼女の家に呼ばれる。
普段と変わらない彼女。俺の心配も消え彼女にいつも通り接する。
すると彼女はポロポロと泣き始めた…。
「何やねん!急に泣き出したりして。何かあったんか?」
「ウチ、白血病らしい…。」
「は?」
「だから【白血病】急性骨髄性白血病…って診断された。
来週から入院して治療する事になったからしばらく会えへん。」
理解できなかった。嘘?白血病ってアレやろ?セカチューとかの…。
「ウチ死んじゃうんかな?トモ(俺)とも会えんくなってしまう…」

必死で彼女を励ました。「アホな事言うなよ、TVとちゃうねんから。
今は治療法もいっぱいあるし、俺が看てきた患者の中にも元気になった人沢山居てるし」
「ウチどうしたら良いんやろぅ…」
医者は自分が絶対に救えない患者を前にした時、どんな気持ちなんだろう。
俺の感情は【無力】。

何もしてやれない自分に腹がたった。何の為の看護師資格なんだ。
俺にできる事は理屈っぽく病気の事を説明してあげる位だった。

彼女の闘病生活が始まる。俺は[彼氏]というだけなので、彼女の詳しい病状は教えてもらえない。
白血病の治療には抗癌剤を使用する、副作用で彼女の髪が抜ける。
食欲もなくなり、点滴で栄養や輸血を行う。一番辛いのは彼女だろう。なのに彼女は、見舞いに行った俺に
「まだバイクなんか乗ってんの?危ないから辞めときぃや」と俺の心配ばかり…。

仕事が手につかない日が続いた。とりあえず師長に相談する。
女性の上司だが、気さくで親身に相談にのってくれた。
長「そうなんや…大変やね。でも私達には患者さんが居てるの!真面目に仕事出来へんなら来なくてエェから。」
「すいません…。」
長「だから休み取りなさい。有給になるけど、アンタも気を落ち着ける時間が必要やし、
医療ミスでもされたらかなんしなw」と長期休暇を貰った。
他の看護師達も、細かい理由は聞かずに心良く夜勤も変わってくれた。
彼女の病院にバイクで向かう。個室の病室内で彼女はエアカーテンに入って眠っていた。
手を洗いマスクをつけ彼女の手に触れる。
こんなにも細かったかな…ハリもなくなってきている。二の腕にはテープで留められた針。
先には幾つもの袋がぶら下がっている。抗癌剤、輸血、栄養剤。
静かな病室にはエアカーテンの機械音と、小さく聞こえる彼女の寝息だけが響いていた。

彼女が目を醒ますと、不機嫌そうに布団に潜る。
俺「ゴメン、びっくりさせようと思って」「恥ずかしいやん、スッピンやし、寝顔見るとか反則やで。」
「お前の寝顔なんか見飽きたわ。」「…ゴメンな、ウチしばらくはトモとキスもできひん」
俺「アホっ!浮気しやすくてエェわw」「事故って氏ねばエェねん」
「…嘘、死なんといて。ずっとウチの側におって欲しい。」と背中を向け肩を震わせている。
「ユキ…」エアカーテンは外からの細菌を防ぐ空気のバリアだ。彼女を抱きしめてあげる事は出来ない。
しばらく背中越しに会話をする。「俺休み貰ってん、プータローやから毎日見舞いに来るわ!」
「ホンマにっ?!」と彼女は無邪気に喜んだ。

夕方になるとユキの母親がやって来る。「お母さん明日からプータローのトモが毎日来てくれるんやって。」
母「でもトモ君仕事は?」「休みもらいました!お母さんも毎日大変でしょ?」
ユキの母親を気遣ったフリをしたが、1分でもユキと一緒に居たかった。
それから毎日朝から晩まで面会に足を運んだ。雨が降ればレインウェアを来て、単車が不調なら原付で。
そんな俺を見てユキは「おかえりっ」帰り際には「いってらっしゃい。気をつけてな?」
と声を掛けてくれる。毎回俺は「自分の心配せぇよ」と照れ隠し…。
そしてお約束の「またバイク??」とお説教。
そんな毎日も決して苦痛ではなかった…体力は。精神的にはorz

ある日俺が病室の椅子でウトウトしていると何やら彼女がゴソゴソ。
目を細めると…「うわっ、お前何してんねん!」白いフルフェイスに後頭部の辺りに、
ピンクの蛍光ペンで“大切な人が心配してる事をいつも頭の片隅に〜”と書いてあった。
高かったのにorz
「こうすればウチがいつも心配してる事忘れへんやろっ、あとプリクラ貼ったら完成やったのに」
とベットに戻る。「ウチがちょっかい出せるんも……」
「コラ!もうエェから。ありがとう。蛍光やし追突予防にもなるわw」「そう思った、じゃあプリクラ貼って書いてw」
「いやいやプリクラは色褪せるからやめとこう」「そうやな、しゃあキーホルダーに貼って。」
彼女は無理に明るく振る舞っているんだろうか、病気の事はあまり考えないようにしていた。

毎日彼女の病院に足を運んだ。休暇の残りも少なくなってきた。
彼女の容体は意外にも元気で、と言うか髪が抜けて少し痩せてしまったか位だった。
白血病に用いられる抗癌剤治療というのは、毎日続ける訳ではなく、
ある程度血中の白血球数値を抑えたら、また数値が上がるまでは療養を繰り返す。
彼女も治療のサイクルに慣れ、良く笑う日が続いていた。
意外かもしれないが、内科病棟とは、外科と違い“見るからに病人”という人は少ない。
彼女も調子が良い時はデイルームで話たりもするようになっていた。
彼女はお茶を飲みながら「ウチ病人じゃないみたいやろ!こんなにピンピンしてるし、
カツラでも被れば外出も出来そうやんw」そんな彼女の言葉を聞いて俺は安心してしまった。
「俺の休みも来週一杯やし、これなら安心して仕事できるわ。」
「…寂しいやん、又会えんくなるの。」「また仕事終わったら寄るやん。毎日土産話持って帰ってくるから。」
そんな約束をして彼女と話ていると、看護師さんが来て「担当医の○○から少しお話があるそうなので詰所まで…」
と呼び出される。「俺も同席して良いですか?」と聞くと色黒のDrが「あぁ大した話じゃないから、どうぞ」と。

自分の職場とは別の詰所には緊張する…。実習生時代の思い出がorz
と考えてると、Drが「彼は…看護師だったかな?それなら簡単に説明するけど、
地がため療法の1段階目が終わったんで白血球値が上がってきたら一時退院にしようかとね。
ユキさんもストレスが溜まるだろうし、期間も結構開くしね。どうかな?」
「ホンマですか?!やったーやっと釈放される〜」っと取り乱す彼女。
「分かってると思うけどもくれぐれも安静に、血が止まりにくい身体になってるから(ry」
と長々と注意点を説明してくれたが彼女はまったく聞いていないw
病室に戻ると早々と身の回りの整理を始めた。「おい気が早いやろ〜まだもう少し先の話やで」
「だって待ちきれへんし。」と今まで一番の笑顔だった。
「分かったから、俺がするから座っとけ。」と彼女をなだめた。

彼女の家族にも話が伝わり皆、安堵の表情。
翌週には俺の仕事も始まり、彼女は一時自宅へ。
彼女の家に行くと、ロングヘヤーのカツラを被った彼女が出迎えてくれる。
「一回こんだけ伸ばしてみたかってん。似合うやろ?」っと毛先をクルクルして言う彼女。
「何か斬新やなぁ」と久しぶりに重い空気無しでノロケるw。
今考えれば、彼女の持ち前の明るさと言うか、ポジティブな姿勢に皆救われていたんだろう。
自宅にいる間は彼女の友人等も遊びに来たりと楽しい日々が続いた。
次の休みの話をしていると「なぁ、どっか行こうや〜折角退院したんやし」と彼女。
「アカンって疲れるし、外出たら危険も増えるやん、普通の体じゃないねんで今は。」
と説教ぽく言ってしまった。けど彼女の為にも家で安静にしているのが一番だと考えたからだ。
「だって…」と涙目になる。彼女のこの顔には弱い。「退院してきたし、トモと思い出いっぱい増やしたいんやもん…」と追い打ち。

久しぶりにのデートの場所は大阪の海○館。
○遊館は俺が彼女に告白した場所でもある。昔から水族館が好きな俺には思い出深い場所だった。
彼女と手を繋いで園内を回る。ペンギン・アシカ・サメ、クラゲにマンボウ。後、何か沢山の魚達w
彼女は病人とは思えない程良く笑い、よく話す。素直に楽しかった。
園を出ると、彼女がどうしても行きたい場所があると言う。
海遊○の隣にある建物の横を沿って歩くと遊覧船の停泊所があるんだが、
そこはなかなか見渡しがよく、人気もまばらで絶好の告白ポイントだ。
彼女と隣り合わせて階段に座る。彼女「今日は楽しかったなぁ、久しぶりに遊んだし」
「ココに来るんも久しぶりにやな。」「うん、今でも覚えてるで俺お前の事好きやでって言ってくれた場所…」
「あのなトモ、ウチホンマはめっちゃ不安やねん…難しい病気みたいやし、
ある意味いつ死ぬかも分からへん病気やろ、そんな事考えたら怖くて。」
「俺はユキの事一生大事にするで。それに白血病は今は難しい病気ではないんやで、
こうして退院もしてるやん。ずっと一緒に居てるやん。」
彼女と再び愛を誓った場所1度告白したのと同じ、場所だった。

彼女は週2回の外来を受診しながら、次の入院時期を待っていた。
俺には一つ心に決めた事があったプ ロ ポ ー ズだ。
決して余裕のある生活はしていない…が彼女の事を考えて、居ても立ってもいられなかった。
彼女が再び療養の為に病院に戻る。準備を進めるには今しかないと思った。
しかし金がorz…。好き放題生きてきたので、大した貯金もない。
悩みに悩んだ末に、単車を売る事にした。
K崎のゼハー750RS20の時に買ってから乗り換えを考えながらも、結局愛着湧いてのり続けてしまった。
壊れては直し壊れては直し。昔付き合っていた彼女とも遊び行ったりした。
思い出も詰まっているが思い切って売却…下取26万orz
そこに給料をプラスして80万の婚約指輪を購入。人生でバイクの次に高い買い物をした。

給料3ヶ月分の指輪を持って彼女の病院に行く。
彼女は前回より多くの薬をぶら下げて横になっていた。
病室に入る。彼女はいつもと同じ反応だった。
「結婚しよう。」「はぁ?どうしたん急に。」と冗談だと思っているようだ。
「本気やから。俺と結婚してくれ。お前に何があっても一生側にいてやるから。」
と指輪を見せる。「どうしたんコレ??」「バイク…売ってきた。」
「なんです?!あんなに大事にしてたのに…」「バイクやったら危なくてお前を運んでやる事もできんからな」「ウチの病気いつ良くなるかも分からんねんで?」
「関係ないよお前が好きやから、思いたったら吉日って言うやろ」
「ありがとう」と指輪をグッと胸に抱く彼女。ちょうど点滴を交換しに来た看護師に、
誓いの言葉を交して模擬結婚式をする。泣き顔で綺麗な式ではなかったが、自分にもケジメをつけたつもりだった。

それから彼女は、じかため療法をステップupさせて、今は良くなった状態を維持する治療をしている。
あ、今は嫁さんですねw
たぶんこれからも病気の事は考え続けなければならないが、
とりあえず寛解療法を続けてガンガって行きますよ(`・ω・´)
ガンガって働いてまたバイク買わなきゃw



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