− XJRの毒男◆6pVAlqIcgE さんの恋愛話(その1) −

漏れの恋話。
まだ本当に若かった18の頃。頑張ってバイトしてバイク買ったんだXJR400R45マソのローンw
毎日バイトに明け暮れた、いっぱいイジりたかったし…
漏れのバイト先は地元のホムセン。高校生の割に時給は850円と漏れ的にはアリだった。
ホムセンには夕方学校帰りに直行してた。ちなみに漏れ男子高でしたw

そのホムセンは某大手チェーンだったからバイトも結構な数がいた。
もちろん女子もいたけど厨房の頃は部活に明け暮れ、男子高に進学した漏れに巧みな話術など持ち合わせてる訳もなくorz
黙々と肥料の袋を運ぶ日々w
あるひ漏れが店内の品出しでテンパってる時に「あの〜あの木の板切って欲しいんですけど?」
そのホムセンではよくあるベニアを購入すると好みのサイズに切り分けるサービスをしていた。
漏れは正直、チッ品出し中にウゼェなと思ったけど満面の営業スマイルでハイハィと答えた。
そこには見慣れた顔、の女の子向こうは気付いてない。
漏れ「もしかして村井…さん?」
村井「え?そうですけど…あの?」
漏れ「久しぶり!俺だよ覚えてない…か(苦笑)」
村井「えっ?もしかして武田くん?」
漏れ「おぉ!」
村井「うわっ!久しぶり〜ココで働いてるんだ〜」…。
彼女と厨房時代の懐かしい話を少ししながらベニアを運ぶ。
ベニアを切り終え梱包まぁ地元だしこんな再会もあるんだと思っていた。
村井「ありがとう、武田くん昔から器用だったもんね。こんな板切る位朝メシ前って感じ」
漏れ「まぁ仕事だし」
村井「変わってないね愛想のない所。あんな笑顔してたから誰か分からなかったよ(笑)」
漏れ「余計なお世話だよ。(笑)」
漏れはやっぱり女の子が苦手だった
妙に背伸びしたり強がってみたりするちっぽけな自分が嫌いだったから。
村井「そんなコトじゃいつまでも彼女なんかできないぞ!」
そう言った彼女の薬指にはシルバーの指輪が見えた。
漏れ何かやるせなくなって「じゃ、仕事あるから」と自分から話かけておきながら仕事に戻る。
村井「ありがとうね!また買いに来てあげるからっ」と彼女の無垢な顔が何か追い打ちをかける…。

しばらくして何か漏れ中をくすぐる物があった。村井とは厨房時代同じ委員会でいつも明るくグイグイ引っ張ってくれる頼れる相棒って感じだった。
厨房だし、恋だとか愛だとかわ解らないけど、あのラブリングと思われる物を見て複雑な気持ちになったのは確かだった。
ある日バイトも終り自慢のXJRで帰路に着こうとしたら主任が「武田にお前の友達だって子が来てたぞ。何時までかって聞いてたしまだ居てないか?」
ツレ誰だろうまぁ地元のヤツだろうしメシでも、と考えながら表口に回る。
!正直ビックリした。とうかパニックだ村井がいる。
漏れ「お前何してんの?」
村井は少し黙って「今、時間ある?」
漏れ「あ、あぁでもココじゃ何だし場所変えようぜ…とりあえず乗れよ」
二人で近くの公園へと移動する。初めて女の子を後ろに乗せた。何か石けんかシャンプーかのイィ匂いがする。野郎と違って柔らかい感じがした。そこまで別のコトを考えてよく事故しなかったものだw
村井「バイクって気持ちイィね〜何か嫌なコトも風と一緒にパァーっと流れてっちゃいそう」
漏れ「何かあったのか?」
彼女はうつむいて黙り込んでしまった…。

何かとても嫌な空気…。漏れは何て声を掛ければ良いか悩んだ。
しかし何も出てこない…当然だ、こんなシチュエーションに出会したコトがない。
漏れ「なぁ。イィバイクだろ?高かったんだ。コイツのせいでバイトしてるようなもんだ」…
彼女はやはり黙ったままだ。ゆっくりと時間が流れる漏れはこの空気に堪えきれずに、彼女の手を引く。「乗れ!」
村井「えっ?!」
漏れ「いいから!」
そしてドコへ行くでもなくバイクを走らせる…裏道から幹線道路へ出て堤防沿いへ。そしてバイクを停めた。
漏れ「どうだった?少しは気が晴れたか?」
…。「この場所は俺がいつも嫌なコトから逃げ出す時にくるんだ。静かで色々考えるのにはもってこいな場所だし」
少しの沈黙の後彼女は口を開いた。「武田は大人だね。自分をしっかり持ってるって言うか…私なんか。」
漏れ「俺はいつもコイツと来てるからな一人じゃないよ」とバイクを指差す。少し恥ずかしかったw
「バカみたいだけど誰かに話すと楽になることもあるんだぞ?コイツは返事しないけどな(笑)」
村井「何か武田に励まされるなんて変な感じ」
彼女からやっと少しの笑顔が見えた!自分でもらしくないとは思った
でもそれだけ必死で彼女の不安を取り除きたかったのかもしれない

彼女と少し話をした。
バイクの話。中学の時の話。卒業後の話…
彼女は地元の高校に入学し、テニス部片手に大学受験に向けて勉強も頑張っていたそうだ。
漏れ「そうか…共学も楽しそうだな恋愛なんかも自由なんだろ?」
たぶん確信を突いてしまった。
「うん、まぁね…」と返事をしてくれた、だがバカな漏れはドンドンと彼女の傷を突いてしまう。
「あのさ、この前ペァリングみたいなのしてたよな?今日はしてないみたいだけど?」
…彼女は再び黙ってしまう。漏れは覚悟を決めて「もしかして恋愛相談しに来たんじゃないか?」と彼女に聞く。
すると彼女は首を横に振り少し肩を震わせながら「私、今日別れてきたの」と言った。
漏れはかなり焦った!ここまで煽っておいて恋愛したことないから慰めらんねぇとはさすがに言えなかった。
「ゴメンね、久しぶりにあったヤツにこんな話されても困っちゃうよね」と強がってみせる彼女が不謹慎にも愛しく見えた。震える声、肩そして華奢な身体にシャンプーの匂い。
漏れ無力でつよorz
「でもね、そいつったら酷くて、同じ部活の先輩なんだけど2股かけてたみたいで…。私の事別に本気じゃなかったみたいなんだけど。私も告白されて舞い上がっちゃってたんだろうな…。」
淡々と語る彼女をただ見つめて話を聞くことしかできない無力な自分に嫌気がさした。
恋愛した事がないけど相手の男の理不尽さが童て(ryな漏れには衝撃的だった。

「なんてヤツだよ!!平気でそんな酷い事できるヤツなんかブッ飛ばしてきてやる!」
ドラマみたいな陳腐な言葉しか出てこない。でも彼女は「うぅん、もうイイの。今日は武田にバイクに乗せてもらってスゴくスカッとしたし。ありがとう」
彼女がとても大人の女性に見えた、いや、漏れが中身厨房のままなんだろう。
「バイクってイイね。いつでも好きな所に行けちゃうし。…実は私 も相手の事あんまり本気じゃなかったんだ。ただカッコよかったし周りもスゴく煽るから何かその気になった気がしてたのかもね。」
「でもバカな事しちゃったな。こんなに辛い思いするくらいなら恋愛なんか当分しなくてもイイやって気持ちになる」
彼女の思いつめていた言葉を聞いて全てが衝撃的だった。恋愛ってこんなに人を成長させるのかと、漏れの横にいるのはいつもの明るくて無駄に元気だったクラスメイトではなく紛れもなく一人の女性だった。
彼女にもいつもの笑顔が戻りどうせ何も言えない漏れは「送ってくから乗れよ」と二人で帰路につく帰りは少し話をしながら彼女の家の近くまで送った。
「今日はゴメンね、ありがとう…あの…又今度後ろに乗せてよ!」
「あぁ、久しぶりだったけど又連絡する」
そう言って漏れは一人家路につくミラー越しに彼女は見えなくなるまで手を降っていてくれた。

あれから数日がたった。彼女はちょくちょく漏れのバイトしてるホムセンに足を運んでくれている。
いつも決まってあの堤防に行きくだらない話をしてるだけ。特に付き合っていると言うわけではない。
ただ漏れは懐かしい厨房時代みたく彼女と話ができるのが嬉しかった。
男子高生活の漏れには女の子の存在が斬新でワクワクしていたのは言うまでもない。
「私、部活辞めようと思うんだ。やっぱり居ずらいし。バイトでもしよぅかなって」
漏れ「そうだな。…ウチのホムセンにしたら?給料イイし」
「あっ!それもイイね。そしたら毎日ココにも来れるし」
漏れは驚いたもしやそれって付き合うと言う事か?と。
「でも、今友達の働いてるファミレスに誘われてるんだ!」
早くも失礼w
漏れ「まぁホムセンは体力勝負だからキツイかもな」
「とにかく初めてのバイトだから、頑張っるよ!私が馴れてきたら食べに来てよ」
そんな話をして家に帰った彼女はいつものように手を降って漏れを見送ってくれていた。
その次の日彼女が制服でホムセンに来た。いつもと違う少し短めの三つ編みに白い制服が眩し買った。
「私、明日から働く事になったよ!友達の紹介だったし一発合格だった!」
誇らしく語る彼女同時に漏れにはバイトを始めたらもう来てくれないのではないか?という不安があった。
「あの駅まえのガ○トだから遊び来ててっ!」そう言って彼女は去って行った。
それから数日漏れの予感は的中し彼女がホムセンに来ない日が続いた

それから1週間2週間と経ったが彼女はホムセンには来ない。漏れはいつもの堤防に一人でいる事が多くなった。
もちろん彼女のホムセンに行こうかと何度も考えた…しかし童て(ryで当時バイトヲタとも言えるような漏れにそんな勇気はなかった。
漏れは考えた末に携帯電話を購入した。カラー液晶に3和音着メロ欲しかったと言い訳もできるしこれで彼女と連絡を取ろうと思った。
そして漏れは気付いた…メルアド知らねorz
無駄に購入してしまった携帯。掛かってくるのは野郎かホムセンからだった。
野郎からの連絡でメシに行こうと言う事だったキタ――(゚∀゚)――
漏れはガッツいて駅前のガ○トへ行こうと誘った!違和感なく彼女にあえる。漏れの胸は高鳴った。
いらっしゃいませ。何名様ですか?彼女とは違う女の子が案内してくれた。席につく。メニュー越しに彼女の姿を探す。
あっけなく食事も済みこの後皆で軽く流しに行こうと言う話になった。
「ワリィ俺のXJR最近調子悪いから遠慮する」
そしてとりあえず彼女を待つ事にした。何時間たったろう近くのコンビニで買ったバイク雑誌にも一通り読み終わった頃数人の女の子が出てきた。

彼女がいない…ここまで待ったのに…漏れは開き直った!
「あの、すいません今日は村井さんは来てないのかな?」
女1「あぁ、彼女今日は欠勤してるよ」
女2「最近調子悪いみたいだね」
女1「どーでもイイよ早く帰ろう」
…冷たい。バイト仲間じゃないのか?しかし帰り際に女2が
「香織(村井)ココじゃ浮いちゃってて…最近休みがちなの。もしかしたら家にいるんじゃないかな?」
と教えてくれた。とりあえずその日は家に帰る事にした。何か彼女に悪い事をした気がしたから…

漏れは混乱していた。バイトを始めてからホムセンにも来なくなった。けどバイトにはあまり行ってないらしい。真面目な彼女がサボりがちな訳ない。
とにかく今日も堤防へ行こう…バイクを走らせるシートの後ろが軽いのにももう慣れた。 いつめの堤防へ?先客がいる。
漏れは近くのベンチで溜め息混じりに考え込む…しかし邪魔だなぁいつも誰も居ないのに。こんな所にチャリでくるか普通…。
チャリの先客が移動しようとする漏れの方へ向かってチャリを押しながら。漏れはこの前立ちゴケして出来たタンクの凹みを見ている…。
「武田…。」
寂しそうなか細い声漏れは幻聴かと思った。ガシャァンとチャリが倒れる音がしてバイク越しに向こうを覗き込む。
そこには彼女が立っていた。?!
「お前何してんだよ?こんな所で」
「ココに来れば武田に逢えると思って…」
涙ながらに語る彼女。漏れは
「ホムセンにいつもいるだろ?てかそんな事よりチャリで来たのか?」
「何だか嫌になっちゃってココの景色が見たくなったの。少し遠かったけど…。」
驚いた、地元から堤防まではバイクで30分くらいたぶんチャリなら2時間はかかるだろう道を?
そして彼女とベンチに座り話を聞いてみる。
バイトは最初は順調だったらしいのだが。あの先輩と付き合っていたと判ると皆の見る目が変わったそうだ。
その男他校では有名な女たらしでいわゆるヤリチンと言うヤツだ。彼女はその話をされるのが嫌でバイトを休みがちだったそうだ。
漏れにその話をするのもかなり悩んだうえでの事だったそうだ。

「私、そんな人だったなんて知らなくって…でも本当はキスとか奪われて…他の男の子からも軽い女みたく見られてる気がして…。」
泣きながら語る彼女その話を聞くだけ自分には解らない世界だった…。キッス?ヤリチンってセクースしまくりなヤツ?今回ばかりは何も言う事ができない。
ただ淡々と自分の思いを吐き出して行く彼女。
漏れには金色に光るXJRのエンブレムがやけに眩しく見えた。

たぶん安っぽいフォローを沢山した。そんなトコ辞めちまえよとか男は皆狼なんだよとかw今思えば取り乱してるのがよく分かる。
時間も夜11時を回ってヤバい時間。
「今日は帰ろう。親も心配してるだろうし」
チャリにU字キーをかけて彼女を家まで送る。今日はうつ向いたままの彼女が漏れの服を掴む。
いつもよりも強く掴んでいる気がした…。幹線道路の信号待ちで。後の彼女が漏れに抱きついてきた。
「私、帰りたくないよぉ…学校にもバイトにも行きたくない。」
後続車のクラクションがなる。とりあえずハザードを出し路肩へ。
「けどお前の親父さんやおばさんが心配するだろ?俺がこんな事言えた義理じゃないけど…。学校もバイトも行かなくてイイから家には戻れよ。」
「…武田はどうして私にそこまでしてくれるの?」
「バカ、友達だろ!」
ここで好きだからと言えない漏れがバカだorz。
漏れは残酷だと思った彼女の気持ち解ってない癖に変な正義感で彼女を家まで送る。彼女の家の近くいつもの辺りで彼女を降ろす。
無言のまま「じゃあ」と別れをつげる…。右のポケットからゆずの夏色の着メロが。漏れは思い出したように。
「今度何かあったらここにかけてこいよ!黒いバイクの正義の味方が助けに来るから!」
彼女は小さく頷いた。 今日ばかりはミラーで見るのが心苦しい…

それからしばらく彼女とメールのやり取りをした。漏れは厨房時代のツレに協力してもらいその先輩とやらがよくタムロする場所を探しだした。
何かする訳じゃないけど一言言ってやりたかった。地元から少し離れた大きいゲーセン。 いつも学校帰りに仲間と寄るって話を聞いた。写真なんかも見て確認してたから間違いない。見るからにヤバそうなツレもいる。頭が赤かったり黄色かったり…パンピーの漏れには縁のない世界。
でも居ても立ってもいられない状態だった。
漏れ「あの、荒木くんですよね?ちょっと話があるんスけど」と先輩を呼び出した。

荒木「何か用?」
漏れ「いや、何て言うか、結構女に嫌な思いさせてるみたいじゃないスか…。」
荒木「ハァ?なんで初対面のヤツにんな事言われなきゃなんない訳?」
漏れ「俺のツレが嫌な思いしてるからだよ!」
荒木「何だテメェ正義の味方気取りかよ。終わった女なんか関係ねぇよ。」

キレた。初めて頭のなかでブチッて音がした気がした。漏れはテンパってしまって殴りかかってしまった。
敵う訳ないよ。漏れリアル童貞だけど喧嘩なんかもほとんどした事なかったし。赤いのや金色のも混じってきてボッコボッコ。漏れ漫画の見すぎとちょっと後悔したよ。けど必死だった。
「テメェ謝れよ!本気で傷ついてるヤツもいるんだ!」
初めてホムセンの砂袋を運ぶ仕事が役立った気がした。あんま痛くない。

そこからはあんまり覚えてない。ベコベコにされて…XJRもウィンカーとか割られたり。
でも満足だった。言うこと言ってやったし。
とりあえずその日もコブつくりながらバイトへ行った。あぁウィンカーって割れてても使えるんだとか思いながら。
家に帰って傷が炎症起こして寝込んだのは言うまでもない…。

漏れがゲーセンで暴れて2日彼女からメールが来た。
[今日はバイトあるの?]
漏れはやっちまったもんは仕方ないとゲーセンの事件を電話で話した。
「引くだろ?乱暴だし、ホント正義の味方気取りで。ただの自己満足だし。」
彼女は電話越しに泣きじゃくってしまった。「ゴメンね、ゴメンね…」と電話越しになんども謝ってくれていた。痛かったけど悪い気はしなかった。

しばらくは腫れがひくまでバイトも休みをもらって学校も休んだ。初めてしたマジ喧嘩は少し漏れを大人にしたような気がしていた。
とりあえずやる事もないし部屋のベッドで眠りこけていた。何時間寝ただろう。最近色々な事があってこんなに爆睡した事はなかったかもしれない。
目を覚ました漏れは覚えのあるイイ匂いでボケっとしている。ん?目を疑う。
「あっ!良かったぁ、スゴい顔してるし心配しちゃったよ。」
彼女が居てる。漏れの部屋に?!
いつもの三つ編みに眩しいくらい白い制服。彼女の鞄を置いてある後ろのバイク雑誌が山積みにしてある中には漏れのお気に入りのエロ本が隠してあるし、部屋は散らかってるし寝間着だし、髪ボサボサだし??????
「いててっ」
余りに驚いたが身体の痛みが先行したw
「ダメだよ無理しちゃぁ!」
彼女の身体が近付く。漏れは身体の一部を除いて大人しくする事にしたwそれから彼女の話を聞いた。
荒木が停学になった事で一時の話も影を潜め、彼女も辛い思いをしなくなったので学校に通えるようになったそうだ。
それからは彼女の学校では黒いバイクのヒーローの話が流れているらしい。漏れは少しバイクの乗り換えを考えたww
「もぅ、本当にムチャするんだから!最初聞いた時はビックリしたよ!…でも嬉しかったよ。他に泣き寝入りしてた子いっぱいいたみたいだし。」
漏れ「良かった!」
「えっ?!」
漏れ「俺、何も考えずに突撃してったからさ、今考えたらもしかしたら復讐とかされるかもしれないだろ。でもそんなヤツなら誰の関係者か解らんから村井も安全だろ」
「バカ、バカ、こんなに怪我して…私なんかの為に…。」また彼女が泣き出す。
漏れは彼女の頭を撫でて「お前なんかの為にじゃなくて、お前の為だから頑張れたんだよ。俺もXJRも名誉の負傷ってヤツさ(笑)」
「ば、バカぁっ…」

二人の距離がグッと縮まった気がした。彼女は心配して家まで来てくれた上に食い物まで持って来てくれていた。
「急に家に押し掛けて台所借りるのも何だし、コレ買って来たんだ!」と彼女はフルーツの缶詰を取り出した。
漏れはフルーツの缶詰が大好きでよく厨房時代に弁当と一緒に持って行ってたくらいだ。
「ハイ、あーん。なんちゃって(笑)」
照れた。漏れの中で余程縁のない台詞だと思っていたから。少し照れながらやっている彼女が余計に漏れの気持ちを煽る。
「バカ、何言ってんだよ。自分で喰…っつ!!」
「ほら、照れてないでっ!そんなんじゃキチンとご飯食べてないでしょっ!ハイっ」
甘かった。けどミカンの酸っぱさが切れた口内に染みた。
「いてっ、口がっ…。」
「あっ、ゴメンね!見せて」と彼女の顔が近付く…!!



ファーストちっすを奪われた。
血の味とミカンの味が重なったみたいな。柔らかくて、ちょっと冷たい。たぶん漏れが興奮して熱があったからだと思う。
彼女はサッと漏れに背を向けた。漏れは放心状態だった。
「こっ、コレは御礼だからね!べ、別に深い意味はないんだからっ…。」と彼女は耳まで真っ赤にしながら言った。漏れにはまだ理解できていないでいた。
「じ、じゃあ私帰るね!元気そうだったし。またメールするから」と言って放心状態の漏れに目を合わせず走り去って行った。

ちょうど19になる頃漏れはファーストちっすを奪われた。同時に漏れが彼女が好きだと言う気持ちに気付いた。


漏れは幸せの絶頂だった。
特に何もなかった高校生活だったが、彼女との出会いで色々な世界が見えた気がしたから。
それからは彼女とメールのやり取りをしたり、遊びに行ったり…。
特に付き合ったりという訳ではないし、あの後はちっすもしてない。ただ彼女と逢える日が毎日楽しくって仕方なかった。
この後の進路の事なんかどうでも良くなるくらい漏れは幸せ者だと思っていた。ある日いつもの堤防で今後の話をした。
漏れは自動車科の専門に推薦がもらえてそうだった。
彼女は言葉を濁す。
「今はまだ何も…」
しばらく2人は進学に向けて勉強する事になった。
時々メールを交す程度で逢う機会も減った。バイクにも乗るのも控えた。

そして漏れは希望通りの専門学校の推薦を獲得した!彼女に連絡して自分の進路を話そうと思った。
しかし電話が繋がらない…
?まぁ家に言ってみるか…。
久しぶりにバイトを走らせた。彼女の家に着く。携帯が繋がらないので直接訪ねる事にした。
呼び鈴を押す。
「ハイ」と彼女が出た。
「あっ、武田だけど…。」
「…ちょっと待って」
しばらくして彼女が出てくる。
「電話繋がらないから…。」と言う。彼女は玄関の前で黙っていた。
「俺、推薦決まったんだ…。」
彼女はうつ向いて「私も進路決まったよ」と。
漏れには訳の解らない事が沢山あった…けど何か嫌な予感はしていた。彼女の進学先は遠く北海道だそうだ。彼女には向こうでどうしてもやりたい事があるそうだ。
漏れ「よかったじゃん、夢に向かってて!でも何で教えてくれなかったんだよ?」
「よくないよ!武田と…武田と別れなきゃいけないじゃない。私、武田の事好きだよ。だからお別れしなきゃいけないのは辛すぎるよ。」
「だからって黙って行くなんて…」
泣きじゃくる彼女を責める事はできなかった


それから彼女とは連絡を取っていなかった。
漏れの中である意味終わった恋愛だんたんだろう。何もする気が起きない…
漏れも新しい学校に通う為に色々と準備があったし。たぶん忙しさで忘れたかったんだと思う。

ある日スーツを試着してる時に携帯がなる。漏れが初めて買った携帯から大分進歩したものだ。1件のメール…

[明日出発するよ。短い間だったけど楽しかった。ありがとう]

漏れはいつもの堤防に居た。ここでも色んな事があった。もう彼女に逢える事は無いかもしれない…。
気がつけば朝になっていた。漏れはバイクを走らせる…空港に行こう。彼女に逢えるかは解らないけど。
何時発の便かは聞いていない。こんなドラマみたいな展開で逢えるわけないのは解っていた。人多杉。
何度も待ち合い室を往復する。時々乗り込み口を見たり、玄関で待ってみたり。あまり寝てないから眠い。走り回って息も切れて、漏れ何でこんな事してんだろう。
待ち合い室の椅子に座ってボーッとする。疲れたよ。バカバカしい。はぁ眠い…。
寝てしまっていた。漏れはバカだorz
現実なんかこんなもんだと思った。バイク無事かな?適当な所に停めたしと思い出口へ向かう。
誰かにシャツの裾を引っ張られた。

まだ夢かと思った。彼女がいる。大きな鞄を持って多分時間もかなり過ぎているのに。
彼女は涙顔で「そんな所で寝られたら、心配で出発できないよ」
予約をキャンセルして漏れが起きるのを待っていてくれたらしい。
身体が勝手に動いた。彼女を抱きしめて漏れも泣いた。
「好きなんだ。ずっとずっとお前の事が。」
彼女は「私も」と言って泣きじゃくった。

それから彼女をタクシーで下見に送り漏れはバイクで後を追う。
彼女は今日出発してる事になってるそうなのでやっぱりいつもの堤防に行く。
考えてみればいつもXJRにメットが2つあったのはいつでも彼女と移動できる為なんだと思った。
それからは沢山話をした、漏れが推薦にこぎつけた経緯とか、彼女のやりたい事の話。
キスも沢山した。このまま夜が明けなきゃと本気で思った。彼女は「今日初めて私の事好きって言ってくれたね。嬉しかった」と言う。
漏れ「遅くなったけど俺達付き合わないか?遠距離恋愛でもいい。やっと俺も素直になれたんだし」
彼女は嬉しそうにOKしてくれた。そしてまたキスをする。毒男だった漏れの人生も大きく変わったもんだw

次の日彼女を空港に送り。今度はキチンと見送る…。思えば彼女には驚かされてばかりだった。けどこれからは2人で恋人同士として遠距離恋愛でも頑張って行こうと思った。

漏れも少し大人になり乗らなくなったXJRは売ってしまった。
でも今でも彼女と撮した写真の前に割れたウィンカーが置いてある…



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