− ヤマハの人◆V4/xGh2fZU さんの恋愛話(その7) −

友人(以下、ヒデ)は、一緒にツーリングに行ったり、ミニバイクレースに参戦したり、
単車でサーキット走行を楽しんだりしていた仲間の一人です。

ヒデは、年齢=彼女いない歴でした。そんなヒデが20代も後半になった頃、彼女と
出会いました。ある日ヒデの家に遊びに行った時に、ヒデの家には、ヒデの友人達
がいました。ヒデの友人達は、一台のバイクを囲んで、なにかやっていました。
「あれ、ヒデは?」と訊ねると、「あ、風呂に入ってるみたいだよ。」という事でした。

バイクは、エリミネーター250でした。ヒデの家に来る途中に、家を目前にしてエン
ジンが止まってしまったようで、押しがけをしてもエンジンは掛からず、困っていまし
た。一応、知識ありそうな人たちだったので、俺は見物していました。しかしエンジン
が掛かる気配は無く、缶コーヒーを飲み終えた俺は、ちょっと見せてもらう事にしま
した。

ちょっと見てみた結果、エンジンが止まってしまった原因は、プラグの激しい緩みに
よる、圧縮不足でした。「おー、あんた神だよ」みたいな事を言われたけど、真っ先
にプラグを見なかったのかと、小一時間問い詰めたい気分でした。何はともあれ無
事にエンジンはかかり、幸い深刻なカブリも無く、トラブルは終了しました。

「ところでコレ、誰のバイク?」と、ふと疑問に思い訊いてみると、「あ、あのー、私の
です。」と、か細い声がしました。「えっ」と振り返ると、そこには設楽りさ子みたいな
女(以下、りさ子)が立っていました。俺は、まじかよ、と(゚д゚)ポカーンとしていました。
さっきからそこに居たのに気付かなかったのかと、小一時間問い詰められるかと思
いました。

りさ子が俺に言いました。「あのー、お礼は……。」
俺は我にかえり、「ヒデの友達なんだろ?礼なんていらないよ。」と言うと、りさ子は
「でも…、直してもらったし。」としつこいので、「じゃあ缶コーヒーおごってよ。」と、
りさ子に缶コーヒーをおごってもらいました。バイクは、最近中古で買って、まだ慣れ
ていないため、練習中との事でした。その頃、風呂から上がったヒデが、「何やって
んの?」と外に出てきました。

そこへ、みんながほぼ口を揃えて、「おまえ、遅ぇーよ。」と笑いました。

終わってしまえば笑い話。みんなで、事の顛末を面白おかしくヒデに話しました。
りさ子は恥ずかしそうに、下を向いていました。そんなりさ子を見る目が、いつもの
ヒデとちょっと違うなと、俺は気付きました。ヒデの目は、ちょっとエロかった。
りさ子は、ヒデの友人である哲也の友人でした。背は150センチ程。明るく、よく笑
う人で、うっかり俺も惚れてしまいそうな位、かわいらしい人でした。

りさ子は、何度かヒデの家に遊びに来るようになりました。哲也と一緒だったり、他
の友人と一緒だったりしましたが、ツーリングに行ったり、みんなで洗車をしながら
色々話をしたりしているうちに、ヒデとも仲良くなっていきました。りさ子に会う度に、
ヒデはりさ子に惹かれているようでした。

ある日の土曜日の夜、「これからどこか行かない?」と、ヒデから電話がかかってき
ました。夜の散歩は大好きなので、「おぉ、行く行く。行くよ。」と、俺はふたつ返事で
OKしました。その日は、俺の提案で、お台場にある潮風公園に行く事にしました。

公園には、カップルがたくさんいました。ヒデはカップルたちを見て、「(゚д゚)、ペッ」
という顔をしていました。唐突に「なあ、ヒデ。おまえ、りさ子ちゃんの事好きだろ。」
と言うと、ヒデは「えっ、なんでわかったの?」と慌てていました。「そりゃーおまえ、
見ていればわかるよ。」と言うと、「バレてたかー。そうなんだよ。すげー好みのコな
んだよなー。」と、カップルたちに(゚д゚)、ペッという視線を送りつつ、ヒデは言いまし
た。

そして、「好きなら告っちまえよ」「いやムリ」「でも今のままじゃ何も変わらないぜ」
「そりゃそうだけど」「じゃあ告れ」「無理だって」「でも付き合いたいんだろ?」
「それはそうだけど」「やっぱ告れ。今すぐ告れ」と堂々巡りな話をしつつ、レインボー
ブリッジのイルミが消える頃に、俺とヒデはお台場を後にしました。

それから何回目かの週末、俺とヒデ、哲也と、その他友人たちとで、ツーリングに行
く事になりました。もちろんりさ子も参加しました。俺とヒデは2stなので、一番後ろで
いいよと言っていたら、高速に乗ったとたん、みんなはかっとんで行ってしまいました。
「おー、若いねえ」と思いつつ俺とヒデも続いていきました。

少し走ると、みんなに置いていかれて、一人で走っているりさ子を見つけました。
「あいつらひでーなあ。りさ子ちゃん、かわいそうに」とぶつぶつ呟きながら、りさ子に
並んで、“一緒に走ろうぜ”とジェスチャーしました。そして、あーこれはチャンスかな
と思い、ヒデに並び、腕を叩いて“フォローしてやれよ”という意味で、りさ子を指差し
ました。ヒデは理解したらしく、親指を立ててりさ子のそばに行きました。

りさ子を先頭に、ヒデ、俺という順で、後ろから来る車やトラックに気を遣いながら走
るのはちょっと面倒だったけど、りさ子のペースで淡々と高速を走りました。しばらく
走ると、りさ子の走りにバラつきが出てきたので、S.Aで休むことにしました。俺はふ
たりを追い越し、合図をして、S.Aに入りました。

「よかったあ。トイレにも行きたかったし、疲れちゃって。」と、りさ子が言いました。
りさ子がトイレに行っている間、「みんなひでえよなあ。置いて行っちゃうなんて。」と
ヒデは怒っていました。「でも、そのおかげでりさ子ちゃんと一緒に走れてよかった
じゃん。」と言うと、「まあね。それはよかったと思う。」と笑っていました。

「ついでだから告白しちゃえば?」と、なんとなく言うと、「うん。しちゃおうかな。っつー
かついでかよ。」とヒデは笑いました。その後も、りさ子のペースでのんびりと走り、
高速を降りたところで待っていてくれた仲間達と合流して、榛名山に向かいました。

漫画で有名になってしまった峠道を走って、榛名湖や榛名富士を見て、ご飯を食べ
て、温泉にも入って、あっという間に帰りの時間になりました。その間、告白するチャ
ンスらしいものはありませんでした。そして帰り道の高速では、またみんなは、ここに
は書けない位のスピードで走っていってしまいました。

再び取り残されたりさ子。これってツーリングって言うのかよ、と軽く疑問に思いつつ
も、もしかしてこれはチャンスかもしれないと思い、「なあ、俺、用事があるから先に
行くわ。じゃな。」と、俺も、ここには書けない位のスピードで家に帰りました。シャワ
ーを浴び、部屋でくつろいでいると、ヒデから電話が掛かってきました。

「おまえなー、わざとらしいんだよ。」と笑いながら言うヒデ。「まあいいじゃん。二人で
走れたんだし。で、どうだった?」と訊ねると、ヒデ曰く、りさ子を送っていく途中、おな
かが空いたので食事をする事になり、ファミレスに入ったそうです。そこで今日のツ
ーリングの話をしたり、バイク談義をしたり、俺の失恋話をしたり)して(おい)、なかな
か楽しかったようでした。

「で、肝心の、告白はどうした?したのか?」と訊くと、「したよ。」と一言。そして無言。
うわあーなんかヤな雰囲気だなあと思っていたら、「わははははは。」と、ヒデが笑い
出しました。なんだなんだと思ったら、
「いやーファミレスで話が盛り上がってな、それで、そのテンションのまま、付き合って
くれって言っちゃったんだよね。それで、なんかりさ子ちゃんも俺のこと気になってた
みたいでさ。OKしてくれたんだよ。今日の事もすげえ感謝してくれててさ。今度は二
人で行きたいね、なんて言ってくれてさ。で、りさ子ちゃん、俺のバイクが好きだった
んだって。今度乗せてくれって言われちゃったよハッハァー。」と、ヒデは一気に話した。

いや良かったなそれは。ていうかファミレスで告白すんなと小一時間(ry
それよりも、なんか微妙だなあと思ったけど、そんな感じで始まった二人も、順調に
交際を重ね、結婚する事になりました。ヒデが乗っていた500ガンマは結婚指輪に化
けたのですが、りさ子が乗っていたエリミネーター250は、何故かドラッグスター400に
なっていました。世の不条理に疑問を持ちつつも、俺はふたりを祝福しましたとさ。('A`)



戻る