− ヤマハの人◆V4/xGh2fZU さんの恋愛話(その9) −

今日はクリスマス。街行く人は皆、誰もが楽しそうに歩いている。
仲の良さそうなカップル。きっと、幸せいっぱいなんだろうなあ…。私だって、誰にも負
けないくらい、ううん、もしかしたら誰より幸せなはずなのに…一人でいたい。そんな気
分のクリスマス。

胸がキュンと痛くなるような、切なくて悲しい思い。一体、どうしてなんだろう。


〜学生時代、サークル仲間と思いっきりはしゃいだクリスマス。銀色の月を眺めなが
ら、ロッヂで迎えたクリスマス。そして、あなたと過ごした去年のクリスマス〜

色々なクリスマスの想い出が、次々と浮かんでは消えていく。何ひとつ不安なことも、
悲しいこともないはずなのに…。彼からの電話にも出ずに、私はひとり、色とりどりの
イルミネーションに飾られた街を歩いた。

歩き疲れて、キラー通りにほど近い、とあるティールームに入り、街の様子をぼんや
りと眺めていると、ひらひらと桜の花びらが落ちてきた。なんで桜が?と驚いてよく見
てみると、ひらひら舞い降りてきたものは桜ではなく、雪だった。それは空からのクリ
スマスプレゼントみたいで、私の心を暖かくさせた。

急に彼に逢いたくなって、私は彼に電話をかけた。
「もしもし、私。今、あのお店。ごめんね、本当にごめんね。別に、結婚するのが嫌に
なったとか、そういうわけじゃないの。ただ…ただね、今年のクリスマスが、結婚前の
ラストクリスマスなんだなって思ったら、つい、感傷的になってしまって。」

「うん、でももう大丈夫。こんなことじゃ、あなたのいい奥さんになれないしね。
…あのね、わがままついでにもうひとつ、甘えてもいい?恋人同士で迎える、ラスト
クリスマス。遅くなっちゃったけど、これから始めたいの。」

そう一気に話したあと、私は大きく息を吐いた。白い息が、空に吸い込まれる。その
様子が、彼のバイクの排気ガスみたいで、なんとなくおかしくて笑った。
彼のバイクは少し古いもので、いつも白い煙が出ていた。よく故障もして、バイク屋を
探して押して歩いたことも、何度もあった。彼は、古いバイクなんてこんなものだよと
笑っていたけれど。

あの時はもうバイクなんて嫌い!と思ったものだけど、今思えば、いい想い出なのかな
…と、彼の事を考えていたら、さっきまでの気持ちは、いつのまにかどこかに消えて
しまっていた。

もうすぐ彼が迎えにきてくれる。外は寒かったけど、なんとなくこのまま、雪の降る中、
彼を待っていたいと思った。




このあと彼女は、彼と一緒に帰ったそうな。彼女が話してくれたのはここまでなんで、
半端な終わり方ですまないっす。ちなみに文中の彼女のセリフは、ちょいと脚色して
ます。あと、インタビューwによると彼のバイクはKHっぽいです。そりゃ白煙も出るわ。



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