11月
岡畑の畦みちくだりわが村の匂いかぎたり秋そばの花
『南風』「蕎麥の花」昭和2年11月6日作
(秦野市蕎麦店石庄)
自然がずんずん軆のなかお通過するー山、山、山
『水源地帯』「空より展望する」昭和4年11月作
注 玄倉、丹澤、甲州山脈の上空を飛ぶ コメット型102号の小機で気流の悪い丹沢上空を飛んだのは夕暮の希望という
(秦野市立南小学校)

2006.9.25 撮影 秦野市菩提 あきそば/道祖神と曼珠沙華
越後獅子
朱い毛を逆立てた越後の角兵衛獅子が、兩足を上にあげて、ひたひたと地を匐(は)つて居る。
私は母の脊にゐて、肩のかげからおそるおそるみていた。越後獅子は、日のかげつた冷たそうな黒い庭土のうへを、あちこちと鶏が餌をさがしてゐるやうに、てんてんてんといふ太鼓の音につれて、赤い野袴をはいた小さな草鞋はきの脚を二つ、脊の方へ反らせて、掌で歩いてゐるのである。
つと、獅子が宙返つたと思ふと、もう兩脚で地の上に立つて、私の方をみてゐる。
私は、母の脊から、朱い手袋をした手をのばして、大きな銅錢を一枚、小獅子の土によごれた掌の上におそるおそるのせてやる。
越後獅子は錢を手にうけると、はつとして一かえり、ひらりと赤く宙かえりをして、街道の方へ早足で、頭の毛を風にふかせながら、坂をおりて行く。
越後獅子1 越後獅子2
『烟れる田園』「秋」
出典 郷土文学叢書 第15巻
「前田夕暮 ふるさとのうた上」〜詩歌歳時記 生い立ちの記〜 村岡嘉子編著 75p
発行 秦野市立図書館
前田夕暮歌碑めぐり 前田夕暮の散文
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