12月
○わが祖父がのこしたる田を賣らんとしてかなしき心相模に馳する日
「天然更新歌稿」大正12年 「僅に賈殘せる郷里の田を賈りに行きて」
○老農の顔みぬ様にして田を賣る話ひそかにする時雨ふる日暮
「天然更新歌稿」大正12年 「僅に賈殘せる郷里の田を賈りに行きて」

2005.12.4 撮影 秦野市菩提峠 /2005.12.31撮影 秦野市だるま市
つぐみとせきぞろ
十二月といふと、私はつぐみの聲を思い出す。あの單音の續斷的なリズムのなかに、冬が來た、冬が來たといふ寒い言葉が感じられる。(中略)
せーせつせ、せつきのせきぞう。
せーせつせ、せつきのせきぞう。
手拭を吉原かぶりにして、七三に尻を端折(はしょ)つた、年の暮そのもののやうな寒さうな不氣味なせきぞろが、久しぶりで私の記憶に歸つて來た。此せきぞろは何だかつぐみのやううな氣がしり。
注1 つぐみー鶫。ひたき科の小鳥。秋シベリアなどから渡来する。
注2 せきぞろー季節候と書き「季節に候」の意味。歳末から新年にかけて二三人一組となり赤い絹で顔をおおい「せきぞろござれやと囃しながら歌舞し、初春の祝事を述べて米銭を乞い歩いた
『朝、青く描く』「少年の春」
出典 郷土文学叢書 第15巻
「前田夕暮 ふるさとのうた上」〜詩歌歳時記 生い立ちの記〜 村岡嘉子編著 80p
発行 秦野市立図書館
前田夕暮歌碑めぐり 前田夕暮の散文
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