幕末の日本12
日本の教育
日本では寺子屋や藩校などの教育制度があり、一般庶民でも識字率は高かったようです。また、オランダを通して日本にも西洋の知識、学問が入って来ていました。
教育
「日本人は知的な教養をかなり持っている。芸術や文学や哲学の教養は、借り物であれ自国のものであれたいして問題ではない。日本では、教育はおそらくヨーロッパの大半の国々が自慢できる以上に、よく行き渡っている。」(大君の都)
「私は、半ダースほどの男の子が師匠の周囲に座って授業を受けているのを見たことがある。彼らは文字の意味を知ろうとして何度もそれを口に出して唱えていた。」(絵で見る幕末日本)
府中の侍の子弟の公立学校
「私は靴を脱いで入口の床の上に帽子を置いてから一室へ丁寧に案内された。そこには30名ばかりの少年が床の上に正座し漢文の書物を前にして6人の教師の監督の元に、先輩生徒の暗誦する後からこれを復唱していた。」(一外交官の見た明治維新)
昌平黌
「孔子の聖堂は外国人に公開されてはいない。そこを取り囲む公園の塀の中に江戸の大学が建っている。日本の貴族(武士)の子息たちが学問を仕上げる所である。彼らはここで地理学や歴史一般および物理科学の基礎と外国語、それに一層に注意をはらって博物学、それにとりわけ国史を学ぶのである。しかし教育の本質的な目的は、日本およびシナの文字を読むことである。」(スイス領事の見た幕末日本)
日本人の知性
「日本人の間に認められる表情の活発さと相貌の多様性は、私の意見では、あらゆる他のアジア民族よりも、より自主的であり、より独創的であり、より自由である知的発育の結果である。」(絵で見る幕末日本)
「一般に日本人について、その知性を誇張しすぎている。育ちが良く忍耐強く人を裏切ることのない優しい顔で話に聞き入ることを心得ている彼らは、細かい繊細な抜け目のない精神を持っている。しかしヨーロッパ人種の力をつくりだしている洞察力、視野の広さ、創造力は、持ち合わせていないのである。」(スイス領事の見た幕末日本)
「おそらく大名は、中世ヨーロッパの城主よりは遥かに教育があり聡明である。しかし日本は、今のこの時代にヨーロッパが生み出してきたように哲学的な思索的な人間を生み出すことができるなどと主張するのは馬鹿げてもいよう。」(スイス領事の見た幕末日本)
科学
「科学の分野が幼児期の段階にあるなどとは決して言えない。一つには日本人自身の努力のおかげで、またオランダ人によって日本にもたらされ日本語に翻訳された数多くの西洋科学書に関する知識が備わっていたことが理由としてあげられる。」(江戸幕末滞在記)
「長崎には1858年の条約が締結されるずっと以前から医学塾があって、出島のオランダ人医師に指導を受けていた。」(江戸幕末滞在記)
「ラウツ教授は知識欲に燃えているのが日本人の特徴であると言っているが、まことに至言である。例えばポルトガル人の渡来以来、日本人は如何によくヨーロッパ人の知識を咀嚼して自己のものにしおおせたか、これは世人の熟知するところである。この知識欲はキリスト教宣教師の努力によって継続的に増進していった。ヨーロッパの事情が日本語に翻訳され、江戸で木版にて印行されたのは既に古い時代のことである。日本人は物理、化学、天文の諸学について非常な蘊蓄を示した。また一般に読み書きの教育は普及し、その国民のゆかしき素養を偲しめる。」(長崎海軍伝習所の日々)
報道
「政治の領域外での興味深い事件は、事件直後またたく間に細部に至るまで詳しい報道がなされ、ニュース屋によって売られたり語り聞かせられたりするが、そのたびに好奇心のかたまりになった連中が廻りを取り囲んで人垣をつくる。日本人の生来の知性と気紛れは、自分たち自身についてだけでなく接触する機会のある外国人を批判的に評価することでも発揮されるが、大胆な筆や非常に辛辣で的を射た筆致の風刺画となって現れることもある。」(江戸幕末滞在記)
日本の工芸
日本の職人の作る工芸品の素晴らしさは外国人を驚かせています。英国公使のオールコックは日本製品を万国博覧会に送ったりもしています。
日本の職人
「今日、我々の織機は驚異にあたいする種々の織物を製造することができる。しかしながら、いまなお中国の縮緬を一片たりとも作り出すことはできない。日本にも、わが国のいかに優秀な技を有する職人でもとても真似ることができないと思われるような絹織物や縮緬がある。」(大君の都)
「また我々は、彼らの美しいほうろう細工の花瓶に匹敵するものを作ることができないし、我々のすべての発見とその応用にもかかわらず、彼らのように小さな木炭の火鉢と火吹き竹で鉄瓶の穴を修理することもできない。」(大君の都)
「日本人は、おそらく世界中でもっとも器用な大工であり、指物師であり、桶屋である。彼らの桶・風呂・籠はすべて完全な細工の見本である。」(大君の都)
「すべての職人技術においては、日本人は問題なしに非常な優秀さに達している。磁器・青銅製品・絹織物・漆器・冶金一般や、意匠と仕上げの点で精巧な技術をみせている製品にかけては、ヨーロッパの最高の製品に匹敵するのみならず、それぞれの分野において我々が模倣したり肩を並べたりすることができないような品物を製造することができると、なんのためらいもなしに言える。」(大君の都)
「小さな象牙の彫刻や、ドレスを締める金属製のバックル類は、見方によると立派な骨董品である。たいてい小形で、男、女、猿、その他の各種動物、植物をかたどっている。彫刻者の手腕を示すそれらの陳列品は、好適な光線を受けて確かに驚くべき努力と勤勉の効果を示している。」(幕末日本探訪記)
博覧会
「私は、漆器や磁器や青銅製品の見本−それらの多くは非常に優良かつ珍貴な物である−を集めて、ヨーロッパの最上の細工品と綿密な比較テストにどこまで耐えうるかを調べるために大博覧会(1862年、ロンドン)へ送った。その結果は、けっして日本人の名誉を傷つけることにはならなかった、と思う。」(大君の都)
「(万国大博覧会の審査員の評価)このコレクションは、ひじょうに素晴らしいものだ。ブローチや留め金のような小さな装飾品は、みごとな出来ばえを見せている。どの模様にも国民性が完全に正しく表現されている。これらの品は、主として鉄製で部分的に金と青銅の細工を張り付けている。これらの作品から優れた才能がうかがえる。」(大君の都)
和紙
「日本の紙のほとんど全部は木の樹皮から作られ、ある品質のものはヨーロッパのどの紙よりも。特に強さの点で優っている。薄い種類のものでもなかなか破れにくいし、強い品質のものはどんなに努力しても破れない。」(大君の都)
「日本の油紙は非常に品質優良で、用途は多方面に利用されている。どんな雨にも耐えられるので、きわめて安価な雨合羽を着用することができる。上等な絹織物や他の高価な織物を、雨や湿気から守る包み紙としても重宝である。」(幕末日本探訪記)
漆器
「漆器については何も言う必要はない。この製品の創始者はおそらく日本人であり、アジアでもヨーロッパでも、これに迫るものは未だかつてなかった。」(大君の都)
「古代の漆器の光沢は比類がなく、しばしば金の蒔絵が施されている。漆細工は、硯箱、料紙箱、盆、飾り棚、屏風などに適している。」(幕末日本探訪記)
陶磁器
「日本の新しい製品は、シナの古陶器にははるかに及ばないが、近頃のシナ製よりは勝っていると思う。たとえばイギリス婦人を描いた上等の茶碗や水盤があった。それは日本人特有の敏捷な模倣性と、遅鈍なシナ人との差異をはっきり示している。」(幕末日本探訪記)
漆器や陶磁器の店
「金で模様を施した素晴らしい、まるで硝子のように光り輝く蒔絵の盆や壺を商っている店はずいぶんたくさん目にした。模様の美しさといい、精緻な作風といい、セーブル焼きに勝るとも劣らぬ陶器を売る店もあった。たとえば、まるで卵の殻のように薄いにもかかわらず、きわめて丈夫な陶磁器の茶碗がある。竹や藤を格子状にめぐらした茶碗もある。格子はとても強く、しかも極めて精巧にできているので、顕微鏡でも使ってみないと陶器なのか藤なのか見分けがつかないくらいである。」(シュリーマン旅行記 清国・日本)
日本刀
「日本刀の名声は東洋全体に鳴り響いている。その堅牢さと切れ味は凄いもので、太さ2センチの鉄の棒を一打ちに断ち切ることができると誰もが請け合ったものだ。」(シュリーマン旅行記 清国・日本)
金属加工
「地金は青銅であるが、レリーフに浮彫にされた像は、多くの場合、金、銀、銅、白金の4種の金属を組み合わせて使う。とにかく白金がこんなに惜しげもなく使われているところから、この金属は我々イギリス人よりも日本人にとっては明らかにずっと平凡なもので、つまり日本人は近代化学の力でやっとなし遂げた白金溶融の秘訣を前から知っていたわけである。」(幕末日本探訪記)
玩具
「玩具店には、あらゆる種類のおもちゃが豊富に陳列されていた。あどけなく可愛らしいものや、硝子鉢の中には頭や尾や足をしじゅう動かしている子亀が群れていた。心棒に小皿の付いた唸りゴマをテーブルの上で回転させると、その小皿も一緒に回り始めた。」(幕末日本探訪記)
「さまざまな種類の人形はたいへん魅力的で、髭剃りをしたり、髪を切ったり、腹を押さえると大声で泣くものなどがあった。また、やっと見分けがつくような小さなものを炭火の上に置くと、光る虫が生命と活気を得たようにそこら中を動き回った。この大玩具店の存在は、日本人がいかに子供好きであるか証明している。」(幕末日本探訪記)
「日本のおもちゃ屋は品数が豊富で、ニュールンベルグのおもちゃ屋にもひけを取らない。みな単純なおもちゃだが、どれもこれも巧みな発明が仕掛けてあって、大人でさえ何時間も楽しむことができる。休みなしに宙返りをうつ人形、馬の尻尾の毛の上を上下する独楽、魔法の本、覗き眼鏡、万華鏡等々。」(江戸幕末滞在記)
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2014.11.27 野沢 清 kiyoshi_nozawa@yahoo.co.jp