12月22日

雪のため、店を休んだ(1日臨時休業)

●朝日新聞のHPより

人口減、産めぬ現実 「お金かかる」「育児に不安」 人口減少社会の未来は?
 
明治以降、人口が増え続けてきた日本社会が、大きな転換点を迎えた。厚生労働省の推計で05年に生まれた子どもの数が死亡者数を1万人下回り、政府の推計より1年早く人口の自然減が始まった。子どもが生まれにくくなったのは、将来への不安や経済的な負担などが理由だ。だが、30年前から、日本がいずれ少子化によって人口維持ができなくなることは分かっていた。それなのになぜ効果的な対応が打ち出せなかったのだろう。

 川崎市の会社員、中野広行さん(41)と洋子さん(39)は、一人息子の広海ちゃん(2)を認可外の保育室に預けて働く。公立保育園には2年続けて入所希望を出したが、希望者が多くてかなわなかった。「子供1人だって安心して預けて働けない。2人目なんかとても考えられない」と嘆く。

 「仕事は続けたいし、子供も産みたい。妥協点が1人。少子化は問題だと思うけど、たくさん産める人が産んでね、という感じ」と都内の共働きの公務員の女性(33)。

 合計特殊出生率は04年が1・29で過去最低を更新中。「晩婚・晩産化に加え、結婚したカップルが持つ子どもの数が減っている」と、国立社会保障・人口問題研究所の高橋重郷副所長は分析する。

 同研究所の02年調査では、50歳未満の妻にとって理想の子供数は2・56人だったが、結婚期間が15〜19年の妻が実際に産んだ子の平均は2・23人と格差があった。理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」「育児の心理的・肉体的負担に耐えられない」など。

 年金などの制度設計の基礎になる同研究所の2050年までの人口推計(中位)が置く前提は、85年生まれの女性の6人に1人は結婚せず、結婚しても産むのは1・72人。3割の女性は一生、子どもを持たない。これでも「甘い」と批判されがちだ。

 お金の問題は大きい。内閣府の試算では、大卒の女性が退職せずに60歳まで勤務した場合、出産によりいったん退職してパートで再就職した場合に比べ、生涯年収が2億円以上多くなる(国民生活白書)。

 ニートやフリーターの増加もある。UFJ総研の試算では、フリーターが正社員になれないことにより経済力が伴わず、婚姻数が最大で年間11・6万組減少する。結果、13万〜26万人の子供が生まれなくなるという。

 少子高齢化が急速に進行すると、社会や経済に様々な影響を及ぼす。人口問題研究所の推計によると、2030年には、ほぼ3人に1人が65歳以上のお年寄りだ。高齢化で、社会保障の給付は増える。厚生労働省の試算では年金・福祉・医療の社会保障給付は04年度の86兆円から25年度は152兆円になる。支え手が減れば、1人あたりの負担はさらに重くなる。

 ゆとりが生まれる部分もある。内閣府がまとめた「日本21世紀ビジョン」では、良質な中古住宅が市場に出回るようになれば、4人家族の借家1戸当たりの平均延べ面積(98年で59平方メートル)を、30年には100平方メートル以上にできるとしている。

 ゆったり通勤も夢ではない。東京大などの研究は、千代田区など都心の8区に通勤するサラリーマンは00年の310万人から、50年には247万人と2割減ると予測している。(山根由起子)
●鵜飼俊男の感想 1億2千万人の人口は多すぎ。減るのは結構なことである。

●朝日新聞のHPより

社説@人口減少 悲観ばかりではない

 増え続けてきた日本の人口が減り始めるという。いよいよ「人口減少社会」になる。

 日本の人口は05年にピークを迎え、06年から減少に転じるとみられていた。しかし、少子化がいっそう進む一方、インフルエンザの流行などで死亡数が出生数を1万人上回ることになり、05年中に自然減になる見通しだ。

 ついに来たかという衝撃がないわけではない。だが、慌てることもない。というのも、多くの県ではすでに人口が減り始めている。労働力人口も一足先に減ってきた。それで目立った不都合がおきているわけではないからだ。

 人口減は緩やかに進んでいく。いまの約1億2800万の人口は2050年には1億に、2100年には6400万に半減する。その影響はボディーブローのように効いてくる。労働力が減り、経済が縮んでいく。

 先の先を見越して、経済の変革を着実に進めなければならない。

 労働力を広げるため、高齢者や女性がもっと働きやすいようにする。高齢者向けの商品開発など新しい市場を開拓する。経済の効率を高め、1人あたりの生産性を上げる。

 年金や医療、介護など、現役世代が高齢世代を支援する社会保障の仕組みも、さらに改革する必要がある。少子化と高齢化が同時に進んで人口が減れば、制度は立ち行かなくなる。

 少子化対策にいよいよ本腰を入れて取り組まなければならない。減少カーブを少しでもなだらかにして、人口減がもたらすさまざまな衝撃を緩和させたい。

 1・29まで落ち込んだ出生率は回復できない、とあきらめるのは早すぎる。フランスの1・90は遠いが、スウェーデンや英国の1・71くらいまで盛り返せないものか。

 政府の少子化対策は、すでにメニューは出そろっている。必要なのはもっとコストをかけることではないか。

 社会保障費のうち、年金や介護など高齢者向けが70%を占めるのに、児童手当や保育所など子ども向けは4%にすぎない。これでは少子化は止まらない。

 若い世代が結婚して子供を産み育てたいと思える環境をつくるには、企業も積極的な役割が求められる。パートや派遣ばかりに走らず、正社員を増やし、安定した人生設計が立ちやすいようにしてもらいたい。

 ただ、人口減少社会は悲観的なことばかりではあるまい。真の豊かさという観点から見れば、拡大一辺倒できた戦後日本の価値観を見直し、新しい生活のありようを探る好機といえるかもしれない。

 日本の人口が減っても東アジアの経済が繁栄すればどうなるのだろう。人やモノはますます国境を越えて移動する。一国だけの尺度で人口を考えてもどこまで意味があるのか疑問にも思えてくる。

 豊かに成熟していく。そんな道を考えていきたい。

社説ANHK改革 「私たちの公共放送」に

 不祥事や受信料拒否に揺れるNHKを変えるという政府・与党の動きが活発になってきた。

 政府の規制改革・民間開放推進会議は「公共放送のあり方について来年度早期に結論を得るべきだ」と小泉首相に答申した。NHKのチャンネルが多すぎるのではないか。受信料を払わないと見られないスクランブルをデジタル放送にかけるべきではないのか。そんな問題が提起された。

 来年度早期というのは、来年6月にまとめる政府の「骨太の方針」をにらんでのことだろう。それに向けて、竹中総務相が放送と通信の融合に関する懇談会を設け、NHK改革などの議論を始めることになっている。

 自民党もあわただしい。国会議員が「NHKの民営化を考える会」を作り、党の部会でも議論している。

 NHKのあり方をどうするか。議論が必要なのは確かだ。パソコンや携帯電話でテレビを見られる時代になり、通信と放送の垣根は低くなった。テレビを買えば受信料を払わなければならない制度はインターネットで動画を見る時代にふさわしいのか。解決すべき課題は多い。

 民間でできることは民間へ。そんな流れを推し進めてきた小泉内閣にとって、郵政民営化の次の標的はNHKの改革なのかもしれない。

 しかし、こんな大事なことを総務相の懇談会だけで決めていいはずがない。政治との距離を問われるNHKをどうするかは国民の幅広い議論で決めるべきだ。

 その際、まず考えるべきなのは、公共放送とは何かということだろう。

 いつでも国民一人ひとりに必要な情報を伝えるのがNHKの役割だとされてきた。それが受信料を取る根拠になっている。しかし、だれにでも伝えなければならない情報とは何か。NHKが果たすべき役割とは何か。そうしたことから議論を始めるべきだ。

 民放ばかりになった場合のマイナスも考える必要がある。視聴率にとらわれず、質の高い番組をつくるのも公共放送の役割だ。

 当のNHKにも、あるべき公共放送の姿を聞きたい。ラジオから始まり、地上波のテレビ、さらに衛星放送とチャンネルが増え続けた。組織が大きくなっていくにつれ、民放と変わらない番組も多くなった。これらはすべてNHKでなければできないことなのか。みずから縮小を言い出すことがあっていい。

 規制改革会議の答申には、うなずける点も少なくない。子会社を統廃合する。受信料の使途を詳しく公表する。これらはNHKがすぐに実行できることだ。

 視聴者の側でも、NHK問題を考えるシンポジウムが開かれるなど、改革に向けて発言する機運が高まってきた。

 公共放送は視聴者が支え育てるものだ。「みなさまのNHK」ではなく、「私たちのNHK」にするにはどうすればいいのか。政府・自民党が突っ走るのにまかせず、大いに声をあげたい。

鵜飼俊男の感想

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