日本最初のリニアメトロ営業線(2017/10/28(土))
日本最初のリニアメトロ営業線(2017/10/28(土))

【はじめに】
 現在、JR東海がリニア高速鉄道の営業運転を目指して、技術開発と鉄道建設を進めている。 そんなこともあり、リニアモータは未来の鉄道の代名詞のように思われるが、実は日本のいろいろなところですでに営業運転中である。 磁気浮上式のものでは、愛知県のリニモ(愛知高速交通東部丘陵線)が2005年に開業した。 地下鉄での導入はもっと早く、1990年に大阪市営地下鉄鶴見緑地線で営業運転開始している。 これは、通常の鉄道のようにレールの上を走るのだが、その推進方式はリニアモータである。
 今回、この日本初の営業リニアモータ鉄道である大阪市営地下鉄鶴見緑地線に乗車したので、リニアモータについて整理した上で、乗車の感想などを報告する。

【リニアモータとは】
 まず、リニアモータが何かということから考えたい。
 普通のモータは、外側に固定子があって、その内側に回転子を持つ構造である。 固定子に磁石を、回転子に電磁石を配置し、電磁石の磁力を制御して回転力を得る。 リニアモータは、直線状に磁石を配置し、動く側にも磁石を置く。 いずれか(または両方)を電磁石にして、やはりその磁力を制御して推力を得る方式である。 高速化のためには、さらに磁気で浮上させて、摩擦力を低減させたりする。 だから、磁気で浮上しているか否かは、リニアモータの原理とは直接関係ない。
 つぎに、リニアモータを鉄道に適用するメリットを確認する。
 鉄道ジャーナル誌によると次の2点が挙げられている。
  ・小断面化
  ・勾配走行能力向上
 小断面化は、駆動機器が小さいことからもたらされるメリットである。 通常の鉄道では、床下に駆動のモータやギアなどを配置している。 リニアモータでは、駆動機器が薄いために、床下のスペースを小さくすることが可能である。 その分、車両断面の小型化が可能である。
 これにより車両限界が小さくできるので、地下鉄などではトンネル断面が小さくでき、建設費を抑えることができる。
 勾配走行能力向上は、駆動原理の違いからもたらされるメリットである。 通常の鉄道は、レールと車輪の摩擦力に頼って前へ進む。 現在のJRの最急勾配は飯田線の40パーミール(1000mの距離で40m上る勾配)だそうだ。 リニアモータは、摩擦力に縛られない。 磁力によることとなる。 実際、大阪市営地下鉄の鶴見緑地線の最急勾配は60パミールである。
 これも都市部の鉄道や地下鉄にはメリットとなる。 都市部やその地下は、すでにいろいろな構造物があり、それを避けて路線建設する必要がある。 急勾配で鉄道を敷設できればルート設定の自由度が上がり、必要な路線を設けることが可能となる。
 これらのメリットがあるため、日本でも次の路線でレール式のリニア地下鉄が活躍している。
・大阪市営地下鉄 長堀鶴見緑地線
・大阪市営地下鉄 今里筋線
・都営地下鉄 大江戸線
・神戸市営地下鉄 海岸線
・福岡市営地下鉄 七隈線
・横浜市営地下鉄 グリーンライン
・仙台市営地下鉄 東西線

【乗車報告】
 実際乗った大阪市営地下鉄・長堀鶴見緑地線について報告する。
 乗車区間は谷町六丁目駅→森ノ宮駅である。 地下鉄谷町線からの乗り換えで利用した。
 谷町線のホームの北の端からエレベータの構造物を巻くように階段を下りていき、通路を経て、長堀鶴見緑地線のホーム西に出る。ホームの西の端からトンネルを覗くと、大きく左に旋回し下っていく路線が見える。 自動車用のトンネルと思うくらい、急カーブ、急坂である。 地下鉄を通す苦労と、リニア地下鉄のメリットを見る思いだ。
●トンネル tunnel

 何も知らなければ、普通の地下鉄の線路と変わりはない。 2本のレールが平行に並ぶ。 ただ、レールの間に白っぽいものが帯状に置かれている。 これが、地上側の磁石であるようだ。 N極、S極が交互に並んでいるのだろうが、白いものがカバーになっていて、構造物の実体は見えない。 それ以外は、普通の鉄道だ。 架線も上に設けられている。
 しばらくすると、ホームに地下鉄が入ってきた。 実物を見ると、車両が小さいことがわかる。 床下のスペースだけでなく、車両全体の大きさも小さくすることで、トンネル断面を小さく抑えたものと思われる。
●地下鉄入線 l-metro

 乗り込もうとすると、ホームと車両入り口の隙間、段差がほとんどないことに、驚いた。 リニア駆動が寄与しているのだろうかどうかはわからない。 また、車両の小ささも実感する。 天井は低いようだし、幅も明らかに狭い。 運行も4両編成なので、輸送量はかなり小さいだろう。
 扉が閉まって動き出す。 インバータのような音階が滑らかに変わっていく音がする。 そして、ゴーというレールと車輪の音は普通にする。 継ぎ目の音はないようだ。 想像していたよりは、音が大きい。 トンネルの中だから、やむを得ないだろう。
 加速は強力で、ぐいぐい引っ張られる感じがする。 立っていても、何かにつかまっていたい。 これは、強さだけでなく、加速の段付き感からきているかもしれない。 これは乗った印象であって、技術的にそういうものなのかは、わからない。 減速も普通の鉄道とかわらないようだ。

【まとめ】
 今回乗った大阪市営長堀鶴見緑地線では、リニアモータの特徴は、意識しないとわからない。 ごく普通の、小型の鉄道であった。
 日本には他にもリニアモータを採用した鉄道がたくさんある。 今後も機会があればそれらにも乗ってみて、従来鉄道との違いを確認したい。

note.
2017/11/25:初版

ref.
川辺謙一 「図解・地下鉄の科学」 (2011) 講談社ブルーバックス
川辺謙一 「図解・新世代鉄道の技術」 (2009) 講談社ブルーバックス

日本地下鉄協会 :リニア地下鉄についての解説を参考にした。
大阪市交通局 :長堀鶴見緑地線などの路線情報を参考にした。

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