蒔絵盆「山法師」の制作過程
蒔絵を施した平成18年1月以降を中心に掲載しています(この前にボディの成型などに時間がかかっています)。
H.17.6.7
盆(山中漆器、ウレタン塗装、フェノール樹脂と木粉の成型品;木粉48%、29.8cm四方)を購入(めいてつエムザ、3675円)
<北國新聞文化センター蒔絵教室(9回目)>H.17.6.20
山法師のデザイン・・・盆の物を置く部分に図案が来ないよう、またスケッチをそのまま図案にするのではなく、自分で考えた図案を5つ考えてくるようにとのこと
<北國新聞文化センター蒔絵教室(10回目)>
図案を見て貰う。8案それぞれに指摘事項あるも、うち2案を描き直して持ってくるようにとのこと。
*卵殻の密な花びらはインパクトが強いので、粗な花びらより上に来るように。花びらの先と先がぶつかり合わないように、等々。
*卵殻のみを研ぎ出しその上に平蒔絵をしてもよいが、その場合は卵殻の高みと釣り合いをもたせるため、6〜8号粉などある程度、大きな粉を用いた方がよい。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(11回目)>
置き目が上手くいっていない。
盆の四隅中心に凹凸が目立ち静岡炭でもっと研ぐ必要がある。
盆の縁がまだガタガタ。
図案1に一部修正必要(片側の花をひとつ傾けること)。
ということであるが、持参の静岡炭は大きすぎるので、盆の四隅にペーパーを当て教室在庫の小さな静岡炭を磨き、炭の研ぎ面を盆の曲面に合わせたのち、その炭で四隅の凹凸を水研ぎする。
盆の側面は荒砥#120(#220では研ぎきれない)で水研ぎし、極力まっすぐにする。
*次回までに盆の凹凸を極力静岡炭で研ぐこと(どうしても凹凸が研ぎきれない場合は錆などで埋めるしかないとのこと)。また縁は荒砥#120で極力まっすぐにすること。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(12回目)>
ガラス板の上で赤砥之粉を箆でつぶし、水を混ぜ、箆でよく混ぜる(混ぜ方が足りないと「めっこ」になる)。その後ほぼ等量中国産生漆をガラス板に出し、箆で混ぜる(重量比でいうと砥の粉100に対し、生漆50〜55)。錆が出来たところで、盆の縁の凹部を錆で埋める。表面の凹部も一部錆で埋める。湿り風呂に入れたのち、もう一度出して来て(盆の縁の端のところが丸く痩せこんでいるので・・・見てもよく分からなかったが)、縁に2度目の錆付けをし、湿り風呂に入れる。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(13回目)>
ガラス板の上で錆を作り、表面の端(四辺)に錆付け。次いで箆を側面に当てはみ出した錆を取る(一度使った箆についた錆は落としてからまた器物に当てないと箆についた錆がまた器物についてしまう)。ロッカーで乾かす。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(15回目)>
裏などを中心に漆のくいつきが悪い部分がある。油などがついたまま綺麗に拭かずに塗った可能性もある。
8.1に漉した黒呂色漆(まだ固まっていなかった・・・蓋紙のサランラップの面は漆の面につけ、空気が入らないようにする)を箆でガラス板の上に出し、広重の赤毛半通し刷毛(一寸)を漆の上で早い速度で何回も往復させ洗い、箆で漆を突き出す。次いで表面を塗るが、まず箆で漆を渡した方がよいが、適当な箆がないので、刷毛で中央部から外側に向けて塗り漆を渡す。次いで刷毛を横に(盆の上から下まで)運び(漆を最初つけ過ぎたので、あまり刷毛に漆をつけずに刷毛を運び、ついた漆をガラス板の綺麗なところに捻りつけて落とす)、次いで縦に運び、引き続き横に運ぶ(45度から60度くらいの角度で・・・刷毛を寝かせるほど塗りが厚くなる)。続いて側面をあまり漆をつけずに刷毛でなぞり(45度くらいの角度で、次いでその横を逆向きに45度の角度で・・・といった風に四辺の側面を塗る。そして盆の裏を指でなぞり(またはティッシュで拭き)裏に漆がつかないようにする(つくと盛り上がってしまい、あとで大変)。盆の表面の四辺(隅)に刷毛を運ぶ(枕箆?)。大きなゴミをつまんで捨て、風呂に入れる。刷毛は油をガラス板の上に多めに出し、そこから少し油を手前に持って来て、刷毛を往復させ何回も洗い、箆で黒漆を突き出す(とすべきだが適当な箆がないので、樟脳油で刷毛先を洗う・・・簡略法?)。刷毛は綺麗な油につけ、しまっておく。塗り重ねるときは、よく油分などを拭いてから次の塗りにかかること。炭粉を使うのもよい(油分を吸い取る)。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(16回目)>
前回の塗りは十分乾いていないという(塗る前に油などがついていると1週間たっても乾かないことがある)。表面の凹部を錆で埋め(盆が曲面になっているので先の丸い箆を使う)、湿り風呂に入れる。少し浮いているところがあり?(何が?)、後で処理が困難になるかもとのこと。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(18回目)>
表面を荒砥で研ぐ。中心部を除いて黒呂色漆を塗り、湿り風呂に入れる(S先生が塗ってくださる)。刷毛を漆で洗い、油で洗い、箆(良し悪しあり)で漆を突き出ししまう。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(20回目)>
盆の四隅や中央の刷毛目を消すように静岡炭で水研ぎする(静岡炭をぺーパー#240などに当ててこすり、形を作る)。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(21回目)>
表面に錆付け(この錆は、蒔絵山法師額の卵殻に摺り込んだ錆より、漆分を多くする。白すぎることなく黒すぎることもないように)・・・S先生がしてくださる。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(24回目)>
裏面のプラスチックのところへの漆の食いつきが悪いので、指で黒呂色漆を塗り込む。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(25回目)>
前回裏面のプラスチック(と木粉による成型品)にペーパーを当て、指で黒呂色漆を塗りつけておいたが、パラパラと剥れてくるなど漆のくいつきが極めて悪いので、本意ではないが、次回までにカシュー下地(カシューに砥の粉が入ったもの)を高野で買ってくるからそれを使用してみようとのこと。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(26回目)>
ガラス板の上で赤砥之粉を潰し、お猪口に入れた水を加えて練る。次いで中国産生漆をほぼ1:1の比で混ぜ(少し・・・3割くらいを・・・まず生漆と混ぜてから、また残りの生漆と混ぜるようにする)、錆を作る。盆の表面を荒砥で研いだ上で、錆付けしてゆく。裏返し茶碗の上に置き、裏面の上半分を錆付けし、湿り風呂に入れる(あまり厚くなり過ぎないように)。
*カシュー下地は高野漆行にあるにはあったが1800円くらいで、使うのはほんの少しなので買わずに来たとのこと(S先生)。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(27回目)>
荒砥などで錆を研ぐ。縁をまっすぐにする。
*次回一応刷毛と黒呂色漆を持参のこと(一回表面に塗りを入れる)
<北國新聞文化センター蒔絵教室(28回目)>
裏面の漆の食いつきの悪いところを錆で埋める。次いで表面を塗るため、盆の裏の中心に吸盤を貼り、手の指で挟んで持つ。その前に刷毛に油がかなりついているので、まず樟脳油で洗い、次いで黒呂色漆でガラス板の上10cmほどの間を往復させるようにして洗う(このとき箆で漆を伸ばしてみると細かいゴミがあるのがわかる)。引き続きまず、箆で表面の中心部に黒呂色漆を渡し(最初から刷毛で全て塗ろうとするとゴミなども出やすい)、次いで刷毛で中心部から周辺部へ向かって放射状に塗る(このとき刷毛を入れる角度に注意。漆が盆の端に溜らないよう盆の端で刷毛を止めない)。引き続き漆をつけずに表面の上を縦に順番に刷毛を運び(隣の刷毛筋と半分重なるように)、次に横に順番に刷毛を運ぶ。
結局、刷毛筋と刷毛筋の間に漆が溜ってしまうことや、ゴミが多いことから、S先生が塗り直す(糸くずみたいなゴミは上から落ちて来たゴミ、粒のようなゴミは刷毛から出たゴミが多いが、今回のゴミはかなり前に漉した黒呂色漆にもゴミが混じっていたのだろうということで、余った漆は茶碗に戻し、次回塗るときは漉し直すことにする)。
*ガラス板の上の油や刷毛を洗うのに使った漆は箆でガラス板の右上へ除けておく。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(29回目)>
前回塗った表面を静岡炭で水研ぎ、刷毛目を消す(小中研ぎ)。細かいブツブツも静岡炭で研いで消し(盆の下にはタオルを敷くこと・・・裏面の角を傷ませないためと机を炭で汚さないため)、水洗いする。その後裏面の前回錆付けした凹部(漆の接着が悪い部分)にもう一度錆付けし、表面を下にして、風呂の中に置く。
次回(2006年1月16日)までに置き目の紙に盆の図案を転写してくること(ザラザラな方に鉛筆で描き、ツルツルな方から漆でなぞる)。鶉の卵殻をたくさん用意してくること。静岡炭の柔らかめのを購入してくること(表面を研ぐには静岡炭の形を合わさなければならない・・・初めはペーパー#220くらいで形を合わせ、あとは炭がもったいないのでペーパー#800くらいで合わす)。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(30回目)>H.18.1.16
(裏面)錆で埋めたところを中砥で水研ぎする。蒔絵の作業終了後、錆で埋めたところに黄軸鶴書き筆で黒呂色漆を塗る。その後塗った部分の周辺部を指で触り、周りとの段差をなくす。
(表面)赤軸根朱替筆で絵漆を使い、置き目紙のツルツルな方から図案をなぞり、鯨箆で盆に転写する(鯨箆は倒し気味に持ち、盆の内側から外側へと運ぶと紙が破れにくい?とにかく転写がしやすい)。余分についた漆はリグロインを含ませたテイッシュペーパーで拭き取る。
置き目の後、中心部の花の部分に黒呂色漆で金平目12号を貼ってゆく(上に来る花は強調されるように中心部を豪華にし・・・金平目をたくさん貼る・・・下に来る花の中心部は控えめにする)。蒔絵のあと、ついて欲しくないところについた黒漆をリグロインを含ませたテイッシュペーパーで拭き取ったのち、湿り風呂に入れる。
<北國新聞文化センター蒔絵教室(31回目)>
一番左の花から卵殻を貼り始める(作業手順としてはその方が作業がしやすい。また順序としては上に来る「がく」を先に貼り、下に来る「がく」との境目は蒔絵の書き割りのようにする)。黒呂色漆を地塗りし、4枚の「がく」のうち3枚まで貼る。
*デザインカッターは卵殻のはみ出た部分を切るだけとは限らず、時と場合によっては(置き目の範囲からはみ出た)卵殻片を中へ押し込むのに使ってもよい。
*1枚「がく」を貼るごとに、周囲をリグロインをつけたティッシュでよく拭き掃除する。
