鶉の卵殻の扱い方(適宜更新しますが、履歴には明示しません)
Sさん・・・鶉の斑紋は棒の先に脱脂綿を巻き付けて希塩酸をひたしてこすって落としました。希塩酸はさわると危険なので注意しました。殻の割方は白漆で描いた上に殻を乗せ棒で押しつけて割って張りました。輪郭は漆が乾いてからカッターや彫刻刀でカットして整えました。
Sさん(蒔絵師)・・・自分も以前ウズラの卵殻を作るときいろいろと試行錯誤しました。参考までに自分のやり方を紹介します。
確かにウズラの斑点模様を取るのには水で半分くらいに薄めた酢を使うことでとれます。酢だけですと卵殻自体が溶けてもろくなってしまいます。ですから大まかな斑点は水ペーパーで取り後は水で薄めた酢酸で取り省くのがよいと思います。次に卵の中身を出す作業ですがウズラの上下に千枚通しなどで穴を開けそこから息を吹き込み中身を出します。こうすることで卵の原型をあまり痛めることなく中身を出すことができます。
次に薄皮のはがし方ですが、この前に気をつけなくてはならないのは卵殻の切り方です。はさみを小さくした先が曲がった爪切りばさみを使用します上下に開けた穴からはさみを差し入れ縦に切ります。こうすることで卵殻の表面積を大きく取ることができまたそりも緩やかになります。
後は慎重に薄皮を根気よく取ります。
これは伝統工芸作家の方からアドバイスしてもらった話ですが。卵殻を使う場合重要なのは塗り込む厚さと研ぎです。自分は一度塗った漆を美濃紙などで取ります。これは卵殻の表面に余分な漆を付けないことで研ぎの作業を綺麗に仕上げるためです。卵殻は金粉や乾漆を研ぎ出すような研ぎ方では表面がすぐに薄くなり薄汚くなります。これは卵殻の厚さが一定でないため余分に研ぎすぎてしまう箇所が出来るためです。
自分はペーパーでつまみ研ぎと言うやり方でピンポイントで漆をかぶっている卵殻部分のみをねらい研ぎ(そっと漆を落とす程度)します。胴刷りをすることも考えて極力卵殻表面を研ぎすぎないことです。
Yさん(蒔絵師)・・・卵の細い先端の方をカッター等で小さく丸く割り、中身を取り出してから、切ると良いと聞いています。
S先生(蒔絵)・・・酢(水で薄めない)で少し拭き、卵殻の色を見て、青っぽければやめておく。白いようなら全部拭き取る。酢がついたままだと卵殻が弱くなるので、たらいに入れた水で卵を洗う。裏の薄皮については、半分に割ったのち(割り方は人それぞれだが、グラインダーを使うと割り易い)、半分の卵の殻に水を入れ、希塩酸を一滴程度落とすと皮が剥れやすくなる(針などで取る)。細かい殻も使えるので残しておく。
ビデオ「卵殻のわざ」(日経映像)より
*卵殻は塩化ビニール製の?手袋をした上で先が尖って曲がっているピンセットの先に真綿を持ち、真綿に硝酸を含む水を含ませて拭いて落とし(茶碗の中に硝酸を含む水を入れ、そこに卵を数個浮かせて拭いている。水は鶉の斑紋の色でかなり汚れている)、(卵を半分に切る切り方が出て来ない)、ピンセットで薄皮をつまんで剥し、裏に墨を塗っている。
*卵殻は呂色漆(黒呂色)で貼っている。
*卵殻の上に塗る漆は乾くと茶色になるが、塗るときは純白である。
*卵殻を白漆で固めたあとに、鶴の周辺に黒漆を塗り、境目を目立たなくしている。鶴の羽の平文の周りにも蒔絵をほどこしている。
*卵殻の研ぎ出し方。最初駿河炭で荒研ぎ、水ペーパー使用、その後炭粉を刷毛につけて水研ぎしている。
<卵殻の固めかた>(S先生式)
リグロインで薄めた黒呂色漆を卵殻の上から塗り(漆分が少なくならないように)、卵殻の裏面にも黒漆が回るようにしたのち、旭化成のサランラップで余分な漆を吸い取ってから(このとき紙を使うとゴミが混じりよくない)湿り風呂に入れる。
次いで指で錆を卵殻の隙間に摺り込む(卵殻の上に錆が残らないように。いろいろな方向から摺り込むこと)(錆による目止め)。