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労働党がマニフェスト発表  経済成果を強調、増税の余地残す


ロンドンで4月13日、マニフェストを発表するブレア首相

【2005年4月14日】与党労働党は4月13日、5月5日投票の総選挙に向け、マニフェスト(政策綱領)を発表した。
 例年より小型のポケット版で全112ページのマニフェストは、「労働政権下で英国は、史上最高の雇用率と、近代で最も長期にわたる持続した経済成長を謳歌し、現世代で最も低い金利とインフレ率を持続している」と、ブレア政権の経済的成果を強調。今後も経済的安定を強化し、成長を持続させると明記した。
 税金については、所得税の基本税率と最高税率は上げないと公約したが、国民保険の納付額については触れず、引き上げの余地を残した。

主な内容は下記の通り。

●経済
・ 公営住宅または住宅協会(*)提供の家の借家人、最高計3万人に、家の一部を購入する機会を与える新スキームの開始(*…低価格の住宅を提供する民間公益団体)
・ 購入者に印紙税が課せられる住宅の最低価格を12万ポンドに引き上げ
・ 所得税の基本税率と最高税率は引き上げせず
・ 食料品、子供服、書籍、新聞、公共交通料金の付加価値税(VAT)を免除を継続

●高齢者向け施策
・ 今年度のみ、65歳以上の住民がいる世帯に、住民税(カウンシル・タックス)を200ポンド還付

●医療
・国家医療制度(NHS)への予算を1997年比で3倍増
・NHS病院の手術待ち期間を最高18週間に削減。2008年末までに実施
・ NHS患者に手術を受ける病院を選ぶ権利を与える。2008年末までに実施
・ 屋内の公共の場所とオフィスを全面禁煙とする。ただし、食事を出さないパブや会員制クラブは対象外

●移民・難民
・国内での難民申請者数の削減
・ 労働許可書発行の審査に、技能に基づいたポイント制を採用する
・ 永住希望者は英語テストを受けるものとする
・ 英国のビザ希望者に指紋押捺を義務付け
・ 難民申請が却下された者の国外退去処分を進める

●教育
・ 大学授業料を最高年間£3000まで引き上げ
・ 公立小学校の校舎改築と施設改善を行う15ヵ年計画「ビルディング・スクール・フォー・ザ・フューチャー」の実施
・ 公立中学校に、生徒の個性や興味に合った教育をする「特別学校(specialist school)」の地位を与える
・ 学校給食の改善

●犯罪
・ 国民全員にIDカード(身分証明書)の所持義務付け
・ 迷惑行為や軽犯罪などの取り締まりに専門であたる警官のサポートチームを全ての地域に配置
・ 刑務所の定員を1300人増
・ ナイフの購入許可年齢を18歳に引き上げ

●テロ対策/国防
・裁判なしで自宅軟禁などテロ容疑者の行動を制限することを可能にする「改正反テロ法」を施行
・ 国防費を37億ポンド増額

●欧州
・ 欧州憲法を支持。欧州憲法批准の是非を問う国民投票を実施
・ 「経済5条件」(*)が満たされれば、欧州単一通貨ユーロへの参加を支持。ユーロ参加の是非を問う国民投票を実施する(*…英国にユーロ導入の環境が整ったかどうかを判断するための基準)
・ 欧州の改革で中心的役割を果たす

家族向け施策
・ 貧困家庭を対象にした育児支援制度「シュア・スタート」の一環として貧困地域で運営されている育児支援施設「シュア・スタート・チルドレンズ・センター」を3500箇所増設
・育児手当の受給期間を6カ月から9カ月に延長。育児手当の支給対象に父親も含める


保守党がマニフェスト発表  全28ページのスリム版


4月11日、マニフェストを発表するハワード保守党党首

【2005年4月14日】野党第1党、保守党のハワード党首は4月11日、5月5日の総選挙に向けてマニフェスト(政策綱領)を発表した。
 既に発表された公約が内容の大半を占め、特に目新しい政策はなかった。注目されている所得税減税政策の詳細には触れておらず、後日明らかにされるという。
 「実際に有権者に読んでもらうため」として、全28ページという異例の薄さで発表され、表紙には手書き風の文字で「より多くの警官、より清潔な病院、より低い税金、学校の規律、移民規制、説明責任」と6つのスローガンを掲げた。
 ハワード党首による序文は、労働党政権下で英国が「間違った方向に向かっている」と述べ、保守党が総選挙に勝利した暁には「英国の基盤を支えていながら(現政権下では)忘れられている大多数の人々のために国を治める」との決意を示した。また、労働党や自由民主党に勝利を許すことは「より高い税金、より多くの移民、殺人者や性犯罪者への刑罰がより寛容になることを意味する」と警告した。

主な内容は下記の通り。

●国家財政・減税・年金
*医療、教育、交通、国際開発への政府支出は、現政権と同レベルを維持する。警察、国防、年金への支出は現政権より増やす
*2007年度までに、行政のスリム化によって年間120億ポンドの支出削減を達成する。うち80億ポンドは政府借り入れの削減に充て、40億ポンドは減税に充てる
*65歳以上の住民がいる世帯に住民税(council tax)を年間500ポンド還付
*国民基本年金の額は収入に応じて算出する。これにより、単身者は週あたり約7ポンド、夫婦は同約11ポンドの増額となる

●教育・育児
*大学授業料の廃止
*2009年度までに、公立学校への補助金を年間150億ポンド増額
*生徒の退学処分実施の決定権は校長が持つ
*産休手当の受け取り期間を、9ヶ月または6ヶ月から選べるようにする。6ヶ月の場合、1回の受け取り額が高くなる

●医療
*国民医療制度(NHS)の予算を年間340億ポンド増額
*医療関係の政府機関を減らし、スリム化を図る
*中央政府がNHS病院に課す達成目標の廃止。病院の現場スタッフにより多くの権限を与える
*患者が治療を受ける病院を選べるようにする
*民間の病院で手術を受ける患者に対し、NHS病院で同じ手術を受けた場合にNHSの負担となっていたと試算される金額の半額を支払う。民間病院の利用を促進し、NHS患者の手術待ち期間を減らすため
*MRSA (抗生物質が利かない細菌、通称スーパーバグ)の院内感染防止のため、MRSAが繁殖した病棟を閉鎖する権利を看護管理人(matron)に与える
*移民の健康診断制度を導入

●犯罪
*警官の採用数を年間5000人増やす。警官の書類事務を減らす
*刑務所の定員を2万人増やす。麻薬依存症患者のためのリハビリセンターを現在の10倍に増やす
*現政権下で「危険度小」を意味する「クラスC」に格下げされた大麻を、「危険度中」の「クラスB」に戻す

●移民・難民対策
*移民の年間受け入れ数に制限を設ける
*国内での難民申請審査の停止。難民は、国連から一定数を受け入れるのみにする
*難民保護のための国際条約である国連の「難民の地位に関する条約(1951)」からの離脱 
*港に24時間警備の体制を整える
*労働許可証(ワークパーミット)の発給にオーストラリアのようなポイント制を採用し、英国が必要とする技術を持った者を優先する

●国防
*国防予算は、労働党の計画より27億ポンド上乗せ

●欧州
*欧州単一通貨ユーロには加入しない
*欧州憲法の批准に反対。総選挙後6ヶ月以内に、欧州憲法承認の是非を問う国民投票を実施

●その他
*スコットランドとウェールズの地方政府を廃止。両地方政府の権限を地方自治体に戻す
*下院議員を2割削減
*移動生活者による不法な土地占拠の取り締まりに関し、地方自治体に新たな権限を与える
*キツネ狩り禁止法撤廃の是非を問うため、下院議員で自由投票(党の政策に左右されず、議員が自らの意思で票を投じる投票のこと)を行う。

 

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