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盲目の内相、スキャンダルで辞任(2004年12月27日)

英国でキツネ狩り禁止法が成立(2004年12月7日)

地域政府創設に8割が「ノー」  イングランドの地域政府誕生はおあずけに(2004年11月14日)



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NHS患者の手術キャンセルが大論争に発展  保守党、票獲得に必死?


議論の渦中にあるマーガレットさん


【2005年3月6日】政府が運営する国営の医療システム、国民医療制度(NHS)で数回にわたり手術をキャンセルされた女性患者の件をめぐり、与党労働党と野党第1党の保守党が対立、5月にも実施とみられる総選挙を前に激しい論争に発展している。「ガーディアン」紙などが報じた。
 論争の中心となっているのは、チェシャー州に住むマーガレット・ディクソンさん(69)。3月2日に下院で行われたブレア首相への質疑応答で保守党のハワード党首が、マーガレットさんが昨年11月から今年1月にかけ、骨折した肩の手術を7回もキャンセルされたことを明らかにするとともに、労働党政権によるNHSサービス改善が失敗している証拠だとして糾弾した。ハワード党首はさらに翌3日、マーガレットさんの家族を伴って記者会見を行い、再び政府とNHSを非難。一気に注目を集めたマーガレットさんにはテレビや新聞の取材が殺到し、一躍「時の人」となった。
 これに対し政府は、保守党は特定の悪い例を引き合いに出してNHSサービス全体の質が劣っているように見せかけていると反論。政府を弾劾して票を獲得するためにマーガレットさんを「駒(こま)」に使っていると批判している。リード保健相は3日、マーガレットさんから自宅へ招待する書簡を受け取ったが、「保守党の売名行為に巻き込まれたくない」として訪問を拒否。またブレア首相は4日行われたスコットランド労働党の党大会で、ハワード氏を「幻滅と皮肉を撒き散らす便宜主義者」と非難するなど、問題は両党のののしり合戦に発展している。
 NHS病院によると、マーガッットさんは心臓が弱く、手術後は重病患者用の病室に入れられる必要がある。しかし、予定されていた手術日にはいずれも急患などがあり、重病用の病室が満室だったため、キャンセルせざるを得なかったという。また病院側は、キャンセル回数は保守党が主張するように7回ではなく、3回だったと主張している。
 次期総選挙は今回も労働党が勝利するというのが大方の予想で、保守党が政権を奪回する見込みはまずないと見られている。しかし保守党は、住民税を65歳以上は半額にするなど有権者の気を引きやすい政策を打ち出しており、巻き返しに必死だ。



イスラム服で通学禁止は人権侵害  控訴院が判決


ジルバブ姿の原告の女生徒

【2005年3月4日】公立中学校に通うイスラム教徒の女生徒がイスラム教徒の伝統的な服装での登校を禁じられた件で、控訴院は3月2日、学校側の処置は人権侵害にあたるとする判決を下した。
 バングラデシュ系で、現在16歳になる女生徒は、ロンドン近郊ルートンの中学校に通っていた2002年9月、首からくるぶしまで隠し、顔と手しか出さない「ジルバブ(jilbab)」と呼ばれるイスラム教徒の服装で登校したところ、学校から帰宅を命じられた。少女が通っていた学校は生徒の約8割がイスラム教徒で、少女はそれまでの2年間、「シャルワカミズ(shalwar kameez)」と呼ばれる、学校に許可された別のイスラム教徒の服装で通学していた。
 信仰心の深まりとともにジルバブの着用を望むようになっていた女生徒は以後、通学を拒否。教育を受ける権利と、欧州人権条約で保証された信仰を表現する権利を侵害されたとして、校則の司法審査を求めて提訴。しかし高等法院は2004年6月、女生徒の申請を却下し、学校側を支持する決定を下していた。
 同日の控訴院の判決は、学校が女生徒を不当に排除して教育の権利を奪ったうえ、宗教を実践する権利を犯し、人権を侵害したとして、高等法院の決定を破棄。また教育・技術省に対し、各学校を対象に、人権擁護の義務に関するさらなるガイダンスを発行するよう要請した。
 女生徒は判決後、報道陣に対して読み上げた声明で、「(学校の措置は)米同時テロ以降の西洋社会で、『対テロ戦争』の名のもとにイスラム教徒が中傷のターゲットになってきたことの結果」と強調するとともに、判決は、偏見に遭っても自らのアイデンティティと価値観を守りたいと願うすべてのイスラム教徒にとっての勝利である、と述べた。
 学校側は、ジルバブでの通学を認めなかった理由を、転びやすいなど安全上の問題と、ジルバブを着用している生徒がいることで、イスラム教徒の生徒の間に「格差」が生まれることを懸念したためと説明している。
 少女は現在、ジルバブの着用を許可する別の学校に通っている。少女の弁護人は、ブレア首相の妻で人権問題専門の弁護士、シェリー・ブースさんだった。


反テロ法改正案、自宅軟禁の決定権は裁判所に


【2005年3月1日】クラーク内相は2月28日、裁判なしでテロ容疑者の行動を制限することを可能にする反テロ法改正案について、「容疑者の自宅軟禁措置の決定権は内相ではなく裁判所が有する」との修正を盛り込むことを明らかにした。
 現在国会で審議中の改正法案は、テロ容疑者に対して「管理指令(Control Order)」を発令し、自宅軟禁や夜間外出禁止、電子タグの装着などを義務付けるというもの。コンピューターや電話の利用を禁止するなどの措置もある。対象者は外国籍、英国籍を問わない。
最高裁判所にあたる上院上訴委員会は昨年12月、裁判なしでテロ容疑者の無期限拘束を可能にし、適用対象者を外国籍の者だけに限る現行法は「人権侵害であり、人種差別的である」との判決を下している。改正法は、この現行法の「テロ容疑者を逮捕・拘束できる」との条項に代わるもの。
 改正法案では、管理指令発令の権限は内相にあるが、今回の修正は、最も危険度が高い容疑者に発令される自宅軟禁措置に限り、「裁判所に最終決定を委ねる」としている。指令を発令された容疑者が指令の根拠となった証拠を見ることは禁じられている。
 改正法案は、裁判官ではなく政治家である内相に管理指令発令の権限を与えていることに対し、野党だけでなく労働党議員からも強い批判の声があがっている。しかし、反テロ法が3月14日に失効するため、政府はその前に是が非でも改正法を成立させたい意向。今回の「譲歩」については、反対意見に屈したとする見方と、異議を鎮め、立法化に持ち込む方策だとする見方がある。


IRAが殺人事件に絡みメンバー除名  ベルファストでの男性刺殺事件で

【2005年2月28日】英領北アイルランドのカトリック系過激組織アイルランド共和軍(IRA)は2月25日、1月末にベルファストで男性が刺殺された件に絡み、3人のメンバーを除名したと発表した。BBCなどが報じた。
 ベルファスト中心部にあるバーの外で1月30日、近隣に住むカトリックの男性、ロバート・マッカートニーさん(33)が刺殺され、友人も刺傷した。報道によると、事件当時店内にいた客の多くはIRAのメンバー。最初に店の中で騒ぎが起きた後、IRAのメンバー数人が店外でマッカートニーさんらをナイフなどで襲撃、さらにIRAは店内を清掃するなどして事件の証拠を隠滅したうえ、目撃者を脅して口封じをしているとされている。
 2月27日付「サンデー・タイムズ」紙によると、除名された3人のうち2人はIRAの古参メンバーで、うち1人はマッカートニーさんの襲撃に直接関わり、もう1人は証拠隠滅や目撃者を脅迫するなどしたとみられる。3人のうちの1人とみられる者が除名後、自ら警察署に出頭して逮捕され、取調べを受けたが、起訴なしで釈放された。これまでのところ、この事件で起訴された者はいない。
 マッカートニーさんの遺族は、犯人と目撃者に対し名乗り出るよう呼びかけるとともに、事件に関わったメンバーを引き渡すようIRAに訴えており、地元住民から多くの支持を集めている。今回のIRAの除名はこうした世論に押された格好だ。IRAの政治組織、シン・フェイン党のアダムス党首も遺族を支持する姿勢を明らかにしている。
 IRAは、昨年末にベルファストの銀行で発生した大金強奪事件で犯人として特定されたのに続き、今月に入ってからはマネーロンダリング(資金洗浄)の捜査で多額の金を押収され逮捕者を出すなど、このところ事件が相次いでおり、シン・フェイン党とともに強い批判を浴びている。



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