◇ ブロークバック・マウンテン完全解説
  TOP  年表  FAQ  解説  地図  失楽園  セリフ  イニス  ジャック  ラリーン  感想  掲示板 

解説
登場人物の心理をQ&A形式で解説しています。複数の解釈がある場合もあります。
(2ちゃんのレスを元にしています)未完成です。


1963年、ブロークバック・マウンテンで

Q:ジャックは、全裸で体を洗うイニスを見ようともしないのはなぜ?
A:恥ずかしくて見られないのかもしれないし、あるいは、 男の裸に興味があると思われたくないから見られないのかもしれません。 初心(ウブ)な男子が好きな女子の裸を見たいけど見られないといった心理と同じなのでしょう。
 全裸シーンの前、イニスが上半身裸でブーツを脱ぐとき、 ジャックが缶のフタを開け損なったのは、イニスに意識がいってたためかもしれません。

Q:ジャックがイニスと話している最中、突然大声で叫んだのはなぜ?
A:ジャックは、イニスが心を開いてくれたことがとても嬉しくて、 エルクを仕留めたときのように大声で叫びたかったのでしょう。一瞬それを堪(こら)えますが、 イニスが「ロデオは変な奴がやると親父が言ってた」という言葉を受けて、 ロデオの真似をしたのだと思います。
 原作にある 『人生でこんな楽しい時間を過ごしたことはない。 この馬で飛び跳ねて月の白い部分をもぎ取ってこられるぐらいだ』はイニスの気持ちですが、 映画ではジャックの気持ちとして描かれているのだと思われます。 しかし、それを見たイニスもとても楽しそうです。

Q:一線を越えた翌日、殺された羊にはどんな意味があったのでしょうか?
A:羊番をサボった報いで、イニスに罪の意識と子供の頃の記憶を呼び覚ます出来事だったに違いありません。 それで「一回きりだ」と言ったのでしょう。
 しかし、それでも尚、イニスを惹きつける何かがジャックにはあったということかもしれません。

Q:一線を越えた翌日、ジャックが洗濯していたのには何か理由があるんでしょうか?
A:汚れ(けがれ)を清める気持ちがあったかもしれません。失楽園参照

Q:ジャックはイニス以前にも経験があるのでしょうか?
A:原作では、
  『イニスが「俺はホモじゃない」と言い、ジャックも思わず同調(ジャンプ・イン)して「俺だって(以下略)
 と書いてありますので、ジャックは経験があるか、または経験はなくとも同性に興味を持っていることを示唆しています。
 一方、映画で「俺も違う」と言うジャックは冷静で、思わず言ってしまったという印象ではなかったと思います。シナリオにも、 ジャックの様子については書いてありません。 しかし、以下のようなシーンでジャックは経験があると推測できますが、断定はできません。
  (1)初対面のとき、車のドアミラーでイニスを観察している
  (2)「俺達は地獄へ行く」と言ってる(イニスは否定)
  (3)テントで、自分から誘っている

Q:山を下りる前、イニスは帰り支度もせず丘で体育座りしてたのはなぜ?
A:ひどく落ち込んでいたのでしょう。

Q:山を下りる前、なぜイニスは落ち込んでたの?
A:(1)ジャックと別れるのがつらい、(2)給料が減らされるかもしれない、(3)ジャックから金を貸すと言われて自尊心を傷つけられた、 などの理由から、落ち込んでいたのでしょう。 また、イニスは「俺の部屋はなくなって、今ここにいる」と言ってましたので、今後の行き先を案じていたのかもしれません。
 落ち込みの最大の理由は(1)だと思われますが、ただし、その気持ちにイニス自身は気づいていない、または、理解できていないと思われます。

Q:ジャックがイニスにローピング(投げ縄)したのはなぜ?
A:イニスを元気づけようとしたのでしょうが、もう一つ、イニスの心を捕まえたかったという気持ちもあるのかもしれません。

Q:山を下りる前、なぜジャックはイニスを殴ったの?
A:故意に殴ったのではなく、ぶつかっただけです。シナリオには「ジャックは偶然イニスの鼻をひざ蹴り」とあります(私にはひじだったようにも見えました)。

Q:山を下りる前、なぜイニスはジャックを殴ったの?
A:ジャックと別れることがつらいという気持ちを理解できず、感情のやり場に困っていたイニスは、 ジャックが元気付けようと思ってしたローピングを「からかわれた」と思い、また、偶然とはいえ鼻血が出たことや、その前に自尊心を傷つけられたことなどから、 やり場のない感情をジャックにぶつけたのでしょう。
 ジャックと別れた後、嘔吐しながら壁を叩くのと同じような気持ちだったのかもしれません。

Q:ジャックと別れたあと、なぜイニスは吐いたの?
A:ジャックと別れたつらさから、「泣く」を超えて「嗚咽を漏らす」といった状態だったのでしょう。 原作によると、イニスは『腹がとんでもなく痛く』なったが、その原因がわからなかったとあります。




1966年、テキサス州の小さな町で

Q:ジャックが道化師をナンパに失敗した後のバーテンダーとの会話の意味は?
A:シナリオによると、道化師が向かったのはローピングをやっている連中のところで、表向きの意味は、
 バーテン「今度はローピング(投げ縄)に挑戦するのか?」
 ジャック「俺がローピング用の馬を買えるように見えるか?」
ですが、裏の意味は、
 バーテン「縄で男を捕まえるのか(男漁りでもするのか)?」
 ジャック「俺がそんな風に見えるか?」
と解釈できます。
 ところで、これはシナリオを見て分かったのですが、この場面はテキサス州なんで、 ジャックが男に色目を使ったことを知ってる人間がテキサス州には少なからずいということですね。





1967年、イニスとジャック、4年ぶりの再会

Q:イニスが子供の頃の回想シーンがよく分からなかったんだけど…
A:イニスが子供の頃、近所にアールとリッチという年配の男が2人で一緒に牧場を経営してた。彼らはタフだったが、町の笑いものだった。
 イニスが9歳頃、タイヤ・アイアン(タイヤ交換用工具)で殴り殺されたアールが見つかり、イニスはそれを父親に見せられた。 イニスは父親がやったと思っている。





1977年感謝祭、モンロー家で

Q:ジャックとの釣りについてアルマに責められて、イニスはなんで逆切れしたの?
A:2つの見解がありましたので、そのままコピペ(転載)します。
  (1)
  アルマが「Jack Twist...Jack nasty」
  ジャックツイスト・・・汚らわしいジャック・・と罵ったので
  「ジャックの事を悪く言うな〜俺たちの事にかかわるな〜」
  と怒ったのかもとも推測。
  自分は何と言われ様が構わないけど、ジャックのことは
  そういう風に言うなと・・・
  (2)
  私は、秘密を暴かれた、と思って動揺して余裕がなくなった末の、
  「それ以上言うな」っていう怒りだと思った。
  なんてったって、イニスにとっては死に直結し、
  これまでの生き方を覆されかねない、絶対認められないことだったろうから。



1978年、ダンスパーティで

Q:牧場主任に誘われたのは、ゲイの人から見ればジャックがゲイだってことはバレバレだったんですか?
A:そうなのかもしれません。一瞬2人の目が合うのですが、ジャックはすぐに目を伏せます。それが怪しかったのかもしれません。



1978〜81年、イニスとキャシー

Q:イニスにとってキャシーはどんな存在だったの?
A:アルマが、「娘達が一人でいるイニスを心配している」と言ったので、 娘達を安心させるために再婚しようと思っていたのかもしれません。 しかし、キャシーに会ったアルマ・ジュニアの沈んだ顔を見て思いが変わった、 あるいは、ジャックの方を選んだものと考えられます。
 イニスにとって、打開への(最後の)チャンスだったのかもしれません。
 また、キャシーは、「女は面白いから惚れるんじゃない」とイニスに言う、重要な役でもあったと思われます。



1981年、イニスとジャック、最後の逢瀬

Q:ジャックが「牧場主任の妻と浮気している」と言ったときは笑っていたイニスが、 「メキシコに行った」と聞いて激怒したのはなぜ?
A:イニスは、「俺達はクィアじゃない。釣りに来たついでに夜を共にしているだけなんだ」 と思っており、「メキシコに行って男を買春するのはクィアのすることだから、許せん!」という気持ちなのかもしれません。

Q:イニスはなんで泣き崩れたの?
A:概ね3つの解釈になるようです。
  (1)ジャックに"I wish I knew how to quit you."(別れられるものなら別れたいとさえ思う)と言われてショックだった。
  (2)ジャックへの愛情が溢れてきて、それを抑えることが出来なくなった。
  (3)自己嫌悪。




1982年、イニスとラリーンの電話

Q:ラリーンが涙ぐんだのはなぜ?
A:ジャックの空想の場所だと思っていたブロークバック・マウンテンが本当に存在し、 そこが、イニスと出会った場所であったことを知ったラリーンは、 夫ジャックの中では自分よりもイニスの存在の方が大きかったのだとわかって涙ぐんだ。
 そして、悲しみながらも、夫の遺志なら…と、イニスに遺灰の事を教えてあげた。




1982年、ジャック・ツイストの実家で

Q:ジャックの父親は最初、「家族の墓には相応しくない奴だ」 と言っていたのに、イニスが帰る頃には「家族の墓に入れる」と心変わりしたのはどういう心境なんでしょうか?
A:原作とシナリオでジャックの父親は、
 "He thought he was too goddamn special to be buried in the family plot."
 「あいつはきっと、自分は特別な人間だから、
  先祖代々の墓には入れないんだろうとでも思っていたんだろうな」(原作の翻訳本より)
と言ってますので、最初からジャックを家族の墓に入れるつもりでいたと解釈できます。

Q:ジャックの両親はジャックが同性愛者であることを知っていたの?
A:「知っていた」「薄々気づいていた」2つの解釈がありますが、「知らなかった」と思っている人はいないようです。

Q:ジャックの父親はジャックを許していたの?
A:(1)許していた、(2)許しはしないが理解し譲歩していた、(3)嫌悪し許していなかった、の3通りの解釈に分かれるようです。 「それまで話にしか聞いたことのないイニスが本当に存在することを知り、イニスに会って気持ちが変わった」といった意見もいくつかあります。
 (1)と(2)の代表的な意見をそのままコピペ(転載)します。
  (1)
  父親は家族の墓にいれるという伝統的なやり方でジャックを受け入れたんだと思う。
  保守的な父親にしてみればそれが最大の赦しって感じに思えた。
  (2) 注:(1)を受けてのレス(書き込み)ではありません
  俺も、ジャックの父親はジャックを「許し」てもいないし、
  同性愛に寛容になったわけでもないとは思います。
  が、「それでも自分の息子にかわりないのだ」という所までは譲歩というか
  自分で自分を納得させたんだろうと思います。

Q:ジャックが違う男と牧場を経営すると聞いて、イニスはなぜ驚かないの?
A:シナリオには、「イニスの顔色が失せる」とあるから、すごいショックを受けたのだと思われます。

Q:ジャックは牧場主任と浮気していたの?
A:イニスと最後に逢ったときに浮気していたのかどうかはわかりませんが、死ぬ間際には何らかの関係を持っていたと推測できます。→FAQの※03参照

Q:ジャックはなんで牧場主任と牧場経営すると言ったの?
A:「イニスのことは愛していたけど、イニスと自分との将来が見えない」
 「イニスが苦しめているのは自分だと悟って、愛しているがゆえに身を引いた」
 「全くの虚言だった」
 などの意見が出ていましたが、真実は観客一人ひとりの胸の中にあるのかもしれません。



1984年、イニスのトレーラーハウスで

Q:ラストで、娘アルマ・ジュニアが上着を忘れていったのにはどんな意味があるの?
A:娘の上着の匂いをかいでクローゼットにしまったときの感情が、 ジャックのシャツの匂いをかいで、そしてクローゼットにしまったときと同じ感情だったので、 初めて自分がジャックを愛していることに気が付いたと解釈できます。
 なんら後ろめたさを感じる必要のない娘への愛と対比されるという意味が、アルマ・ジュニアの上着にはあったのです。



Q:結局、ジャックはゲイなの?
A:「ゲイだった」あるいは「ゲイに目覚めた」と思っている人の方が多いようです。
 (1)バーで道化役の男をナンパ(未遂)、(2)メキシコに行って男を買春(?)、(3)モーテルでの会話、 などから考えて、そう解釈できます。
 それらは全てイニスの代替にすぎず、ゲイではないという反論もあります。

Q:結局、イニスはゲイなの?
A:わかりません。「ゲイ」「バイセクシャル」「たまたま愛した相手が男だった」などの意見があります。 同性愛をどう定義するかによっても見解が分かれるのではないでしょうか?