なぜバリュー投資なのか:子育てとバリュー投資の関係

 

バリュー投資とは、「本源的価値(intrinsic value)を下回る割安な価格の株式に対する投資」と捉えられ、たとえて言えば「1ドルの価値ある証券を50セントという捨て値で買う投資」(「バリュー投資入門」、p.i)の方法です。子育てパパ・ママの資産運用に、なぜこのバリュー投資がおすすめなのか。その理由は、わたしのバリュー投資で説明しているようなバリュー投資の特徴と密接に関係しており、例えば以下のような点が挙げられます。もちろん、類似の環境にいる他の方にも当てはまるものです。

 

 

1.余裕のない人に向いている

子育て中のパパ、ママは毎日、家事に育児に飛んだり跳ねたり、時間的にも精神的にも余裕に乏しことです。そうした方にうってつけなのがバリュー投資です。

 

投資の手法には色々なものがありますが、バリュー投資では、毎日の経済・企業ニュースをウォッチしたり、株価の変動に一喜一憂する必要はありません。割安と思われる株を買えば、あとはゆったりのんびり値上がりするのを待つ(バイ・アンド・ホールド)だけです。しかも割安な株を見つけるのに、経済や金融に関する専門的な知識は前提とされないし、景気や企業業績の先行きというような難しい判断を試みる必要もありません。

 

バリュー投資は実にシンプルで、必要な作業が少ないため、1日当たりでみればほんのわずかの時間でも実行することが可能です。他の投資スタイルではこうはいきません。例えば、最近人気のデイトレードでは毎日取引時間中はパソコン画面に向う必要があるほか、グロース投資では日本経済や企業の長期的な展開を考えシナリオを想定して、将来キャッシュフローを予測する必要があり、経済や産業の専門知識が要求されます。チャート分析やクオンツ分析等のテクニカルな手法では統計的な手法を理解しなくてはなりません。

 

 

2.子育てとバリュー投資で共通するセルフ・ヘルプ

もっとも、バリュー投資も良いことづくめではありません。バリュー投資家には、他の投資スタイルとは異なった独特の資質が求められるのです。

 

その代表的なものが、自助・自立で、自分の頭で考え、自分で行動するということです。バリュー投資では、投資する銘柄、投資するタイミングともしばしば他の投資家とは異なります。言い換えれば、皆が買いに群がっているから、といった理由で、他の投資家の意見や行動の物真似をしていてはバリュー投資はできません。虚心坦懐に自分で見て、考えて、決断する、これができるようにならなければいけないのです。

 

そのためには、困難な状況において自分で考えて行動した経験を積む必要があるのではないのでしょうか。子育ては、最初の子供であればパパ、ママにとっては文字どおり未経験の活動です。知識は乏しく、そして多くの場合、身近に相談相手もおらず、孤独のうちに取り組まなくてはなりません。あれこれ迷いつつ、自分自身で一生懸命に考え、行動するしかありません。しかも、子育てに休みはありませんから、体力的にも精神的にも消耗してしまう。しかし、そうした経験が自然と子育てパパ、ママに自助・自立を身に付けさせるようです。

 

 

3.子育てで身に付く根気がバリュー投資には不可欠

バリュー投資では割安な銘柄へ投資しますが、いくら割安といっても市場がそれに気付き株価が本源的価値にまで上昇しなければリターンを確保できません。バリュー投資の多くは、不人気な銘柄です。こうした銘柄が市場で評価されるようになるまでには時間がかかるものです。

 

何事にもスピードが求められる現代社会に生まれ育った者には、根気と長期的視野を身に付けることは容易ではありません。ただ、これらは、子供を持ち育てることで大きく開化する人間の能力ではないでしょうか。子供は何事も実にゆっくりです。また、何らかの目標に向って直進するのではなく、あちこち脇道へ逸れながらそのプロセスを楽しむようです。こうしたペースは大人とは異なるものであり、最初は戸惑いますが、子供と一緒に楽しく過ごしたり、しつけを行うためには、子供の目線に立ち、子供のペースに合わせて粘り強く行動することが欠かせません。この過程で根気と長期的視野が少しずつ身に付くのではないでしょうか。

 

そう、そしてかの有名なMr.マーケットは駄々っ子のようなものです。彼が機嫌よく高値を付けてくれるようになるまでじっくり気長に待てる投資家のみが、大きなリターンを手に入れることができるのです。