脱ステロイドの問題点を載せています。


脱保湿の理由(仮説)


脱保湿


ステロイド外用、タクロリムス軟膏を使わない方針(脱ステロイド)の先生が、さらに保湿剤を使わない「脱保湿」というのを提唱している。
では、保湿剤を使わないことに根拠があるのか?調べた限り全く見つからない。
それらしい理屈を書いてあるインターネットの情報もあるが、全く理論ができていない。本当に、どこからこんな考えがでてきたのだろう?しかし、理屈がなくても、本当によくなるのなら、それはそれで良しなのだが……良くなったという報告もない。
比較試験もない。逆に、保湿の重要性を示す論文は多い。比較試験もされている。


脱保湿の理由(仮説)

脱保湿の根拠がないが、何か意味があるのだろうか?個人的には、脱ステロイドという特殊な状況が関係するのではないかと思っている。以下に説明する。


以前の記事に書いたが、アトピー性皮膚炎の湿疹部位は、正常部位と比べて細菌が増殖しやすくなる。
黄色ブドウ球菌は、湿疹部位で100〜1000倍も増える(→コチラ)。溶連菌は、アトピー性皮膚炎の重症例に多く検出され、しかもステロイド外用中の患者さんで14.0%の検出率にも関わららず、ステロイド外用を使用していない患者さんでは50.9%と高率に検出された(→コチラ)という報告がある。ステロイド外用やタクロリムス外用を用いると、免疫を抑制するため細菌が増殖すると書いている人もいるが、実際には湿疹の状態が大きく影響しているので、湿疹を良くしていく方が、細菌の増殖を抑えられるのだ。

つまり、脱ステロイドをすると、湿疹が悪化し、細菌が増殖する。細菌はジュクジュクと湿潤した環境を好む。

細菌が増殖すると、伝染性膿痂疹(とびひ)などの皮膚感染症を起こしやすくなる。さらに、細菌が出す毒素が、アトピー性皮膚炎の悪化因子になることも報告されている。脱ステロイドで湿疹が悪化するとき、こういった可能性が常につきまとう。そこで、どうすれば細菌の増殖を防げるのか?と考えたとき、湿疹部位を乾かしてカピカピにさせた方が細菌の増殖が抑えらえるだろう、ということだと思う。

細菌は、ジュクジュクした湿潤環境を好み、カピカピした乾燥部位を嫌う。


通常の治療で、湿疹が抑えられていれば、保湿をしっかりすることが病状の安定に役立つ。保湿の重要性は高い。ところが、脱ステロイドという細菌が増殖しやすい特殊な環境を作ったため、細菌の増殖を防がなければいけないという余計な心配をしなければいけなくなったのだ。


さて、ここまで書いておきながらこんなことを言うのもなんだが、脱ステロイド中に脱保湿をするのが正しいことなのか、私には分からない。なぜなら、脱ステロイド中の患者の治療において、保湿群と脱保湿群に分けて治療比較をした研究がないからである。あくまで、理論的に考えると、こういうことなのではないか、という話だ。理論ばかり考えて頭でっかちな治療をすることは勧められない。

最後に、あくまで今の医療で確立された治療は、ステロイド外用を主体とした治療だ。脱ステロイドは勧められない。