脱ステロイドの問題点を載せています。


副腎機能の抑制


重症アトピー性皮膚炎では、副腎機能が抑制される


昔は、ステロイドを使うと副腎機能が抑制される怖い副作用が出るよ、なんて言われていた。ところが最近、ステロイド外用よりも、アトピー性皮膚炎を重症化させる方が副腎皮質の機能を抑制させることが分かってきた。


人は生体内で副腎皮質ホルモンを産生している。副腎皮質ホルモンは、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル調整などの生体にとって重要な役割を担っている。この副腎皮質ホルモンを人工的に合成したものがステロイドである。

さて、 ステロイドの副作用として副腎機能の抑制が挙げられる。生体内でステロイドを産生しなくてもいいほど十分なステロイドホルモンが投与されると、生体は副腎皮質ホルモンを産生しなくなり、しだいに副腎機能が抑制される。副腎機能が抑制されると、脱力、疲労、起立性低血圧などの症状がみられる。ただ、これはステロイドの全身投与(内服、点滴)の場合であり、外用や吸入ではまず起こらない。ステロイド外用の場合、副腎機能の抑制が起こるには、かなり強いランクのものを広範囲に長期間使わなければならない。


この副腎機能抑制は、ステロイドの投与で起こるとばかり思われてきた。しかし、実は重症アトピー性皮膚炎が副腎機能の抑制を起こすことが報告されている。
以下の論文を紹介する。この論文 (Br J Dermatol 156: 979, 2007) では、25人の入院治療を必要とした重症アトピー性皮膚炎患者と、28人の外来通院の中等症中心のアトピー性皮膚炎患者を比べいている。

    Low basal serum cortisol in patients with severe atopic dermatitis: potent topical corticosteroids wrongfully accused.
    Br J Dermatol 156: 979, 2007

    Mean cortisol levels at admission were 0.087 lmol L-1 lower than the lower limit of the reference range for cortisol (0.20 lmol L-1) (P <0.05). In the outpatients, basal cortisol levels were normal (> 0.20 lmol L-1) in all but three patients.

    日本語訳:入院を要する重症アトピー性皮膚炎患者の血中コルチゾール値(副腎皮質ホルモンの一種)の平均値は、基準値下限を大きく下回っていた。 外来通院している中等症中心のアトピー性皮膚炎の血中コルチゾー ル値は、3名を除く全ての患者さんで正常であった。(一部意訳)

皮肉なものである。ステロイドの副作用の副腎機能抑制を恐れて、ステロイド外用を使わなかった患者さんもいたと思う。ところが、そのような患者さんの中には、ステロイド外用を使わずにアトピー性皮膚炎が重症化し、副腎機能の抑制を起こした可能性がある。
紹介した論文から言えることは、あまりに重症化したアトピー性皮膚炎患者さんは、皮膚だけではなくて全身に影響をおよぼしているということだ。