眼の合併症増加
脱ステロイドによる皮膚症状の悪化は、感染症や眼症状の合併のリスクを上げる。
小児アトピー性皮膚炎患者の白内障(ステロイド忌避・不適切治療による白内障)
小児のアトピー性皮膚炎と白内障について検討している、ちょっと古い論文があるので、要約して紹介する。白内障はアトピー性皮膚炎の患者さんに合併しやすい眼症状の一つとして知られている。
「小児アトピー性皮膚炎患者における白内障」
皮膚科紀要91: 25, 1996
調査した143例中に、22例の白内障患者がおり、さらにこの22例の中の5例は、視力障害も併発していた。そして、視力障害を生じた5例の全てにステロイド忌避があり、不適切な療法を行なっているうちに皮膚炎が悪化、その後に視力低下を伴う白内障を発症していた。
皮膚科紀要91: 25, 1996
調査した143例中に、22例の白内障患者がおり、さらにこの22例の中の5例は、視力障害も併発していた。そして、視力障害を生じた5例の全てにステロイド忌避があり、不適切な療法を行なっているうちに皮膚炎が悪化、その後に視力低下を伴う白内障を発症していた。
この論文は、多くの重要な意味合いを含んでいる。白内障は、以前はステロイドの副作用ではないかと言われていた時期もあったが、今は否定的だ。つまり、ステロイド外用では白内障は起こらない。
それでは何故、アトピー性皮膚炎の合併症として白内障があげられるのか。それは、主に眼をこすることで(外的な要因で)、発生すると考えられている。だとすれば、小児のように、または、大人だとしても睡眠時などは掻破の自制はきかないのだから、不適切な治療で悪化状態を保っていると、白内障の合併率が高くなるのは当然だと考えらえる。実際に、アトピー性皮膚炎の白内障患者は、皮膚炎の悪化後に白内障を発症し進行するとされている。脱ステロイドによる病状の悪化は、当然ながら白内障の合併のリスクが上がるだろう。
この論文の当時は、ステロイド忌避が今よりも多く見られた時期だ。それだけに、ステロイド忌避で湿疹が悪化した子供も多かったのだろう。その時代に発せられた警告を無視することはできない。
網膜剥離の合併
網膜剥離は、アトピー性皮膚炎の患者さんに合併しやすい眼症状の一つとしてしれている。以下に論文の要約を紹介する。
「網膜剥離を合併したアトピー性白内障症例の検討」
あたらしい眼科 17; 732, 2000
網膜剥離を合併したアトピー性白内障の患者と、合併していない患者を比較している。
血清LDHが、網膜剥離合併群において優位に高値だった(血清LDHはアトピー性皮膚炎の湿疹のその時点での悪化状態の指標になる。つまり、網膜剥離合併群の方が皮膚状態が悪いということ)。また、アトピー性皮膚炎の治療状況は網膜剥離合併群で未治療、民間療法が多かった。
あたらしい眼科 17; 732, 2000
網膜剥離を合併したアトピー性白内障の患者と、合併していない患者を比較している。
血清LDHが、網膜剥離合併群において優位に高値だった(血清LDHはアトピー性皮膚炎の湿疹のその時点での悪化状態の指標になる。つまり、網膜剥離合併群の方が皮膚状態が悪いということ)。また、アトピー性皮膚炎の治療状況は網膜剥離合併群で未治療、民間療法が多かった。
というわけで、湿疹の悪化は、網膜剥離の合併率も上げる。脱ステロイドによる悪化にも、当然ながら当てはまるだろう。論文にある、未治療というのは、ステロイド忌避の患者と思われる。特に、不適切な治療をしている場合に合併率が高くなっているので注意だ。