脱ステロイドの限界
脱ステロイドの限界 -玉置昭治先生の「脱ステロイド療法」-
≪ことわり≫
これから書くことは、私が調べたことであり、ご本人とお話しをして書いているものではない。間違った内容があるかもしれないことを最初に断っておく。
日本の「脱ステロイド療法」の先駆けの一人に玉置昭治先生がいらっしゃる。玉置先生の著書を拝見すると、「脱ステロイド療法」といいつつも、ステロイド外用剤の使用について、柔軟な考えを持っいらっしゃると分かる。また、「脱ステロイド療法」には限界があると認識されているようだ。
まずは、玉置先生の記載された「脱ステロイド療法(皮膚臨床 40特: 978, 1998)」の論文から、一部分を紹介したい。
「脱ステロイド療法」
皮膚臨床 40特: 978, 1998
抜粋1:
【著者はテロイド軟膏の効用を認識していますから、必要があれば使用します。また、使いたくないと言われても使った方がよいと判断した場合には、説明を充分に行い納得してもらい使用する場合もあります。】
抜粋2:
【脱ステロイド療法は、ステロイド軟膏をやめることから始まったが、現在は患者に正しい情報を提供し、話を聞いてセルフコントロールを促し、支援する治療と位置付けています。】
抜粋3:
【中止により学業、仕事などを中断しなければならなくなることがある旨の説明を十分に行い、脱ステロイドの開始時期、方法などは個々に検討している。】
抜粋4:
【せっかくステロイドを止めようと決心して、脱ステロイドを行っても、経過が思わしくない、これ以上仕事や学校を休めない、結婚式が控えているなどの場合には、ステロイドを再使用しコントロールすることもあります。今までの苦労が水の泡になるのではなく、ステロイドをたとえ使うようになっても生活習慣などをコントロールすることにより、またステロイドを止めることができる例もあります。】
皮膚臨床 40特: 978, 1998
抜粋1:
【著者はテロイド軟膏の効用を認識していますから、必要があれば使用します。また、使いたくないと言われても使った方がよいと判断した場合には、説明を充分に行い納得してもらい使用する場合もあります。】
抜粋2:
【脱ステロイド療法は、ステロイド軟膏をやめることから始まったが、現在は患者に正しい情報を提供し、話を聞いてセルフコントロールを促し、支援する治療と位置付けています。】
抜粋3:
【中止により学業、仕事などを中断しなければならなくなることがある旨の説明を十分に行い、脱ステロイドの開始時期、方法などは個々に検討している。】
抜粋4:
【せっかくステロイドを止めようと決心して、脱ステロイドを行っても、経過が思わしくない、これ以上仕事や学校を休めない、結婚式が控えているなどの場合には、ステロイドを再使用しコントロールすることもあります。今までの苦労が水の泡になるのではなく、ステロイドをたとえ使うようになっても生活習慣などをコントロールすることにより、またステロイドを止めることができる例もあります。】
これが、約15年も前の文章である。文章を読めばわかるが、完全にステロイド外用の治療を否定されているわけではない。どちらかというと、ステロイド外用の問題点を指摘したうえで、その対応の一つとして「ステロイド外用を止める」という選択枝を用い、かつ「悪化因子の除去に努める」ということなのだろう。むしろ、重点は「悪化因子の除去」にあるのかもしれない。とすると、「脱ステロイド療法」という言葉はふさわしくないのでは?なんて疑問も生じる。抜粋2にあるように「現在は患者に正しい情報を提供し、話を聞いてセルフコントロールを促し、支援する治療と位置付けています」という文章から考えても、玉置先生の考える「脱ステロイド療法」は不適なネーミングだったと思う。単純に、ステロイド外用を止めればいいだけ、と誤解されかねない言葉になっている。
つまり、多くの人の言っている「脱ステロイド」と、玉置先生の言う「脱ステロイド療法」は別なんだと思う。なんだが、ややこしい。だとすると、玉置先生の言う「脱ステロイド療法」は、ステロイド外用をどの程度使用しないで治療をしようかという点を除いては、標準治療に近い感覚なのかもしれない。
さて、他にもインターネットに興味深い記載があったので、紹介する。
インターネットからの抜粋(1997年):
【脱ステロイドの対象と限界 玉置昭治先生】
【6年ほど前はステロイドをやめればよくなる患者が多く、積極的に脱ステロイド療法をすべてのアトピー性皮膚炎患者に勧めた時期があったが、その後、症例を重ねるにつれ、その効果の限界を認識するに至っている。しかし脱ステロイドを希望して受診される患者は今なお後を絶たない。現在ではそういう患者さんに対し、今のところステロイドしか効く薬がないことを理解してもらうようにつとめ、理解が得られない場合にのみ脱ステロイド療法、即ちステロイド以外の薬のみで治療を組み立てる、ということを行っている。ステロイドをすでに使用している重症例でもむろん即座にやめるようなことはせず、休薬日をおいて外用剤を漸減してもらい、その間に気分転換や生活習慣の是正に努めてもらい、ストレスの軽減やスキンケアを指導している。】
第96回日本皮膚科学会総会 1997年4月11-13
http://www.mahoroba.ne.jp/~shuzo/contents/atopy/97-1.html
掲示板の記載からの抜粋(2012年):
【最初に脱ステ提唱した玉置先生の所に入院してたけど「昔は(ステロイド外用を)止めれば治るって考えだったが、今は(ステロイド外用を)最終的に止めれるように」って治療だったよ。】
2012年4月 2ch
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/atopi/1319463137/l50
【脱ステロイドの対象と限界 玉置昭治先生】
【6年ほど前はステロイドをやめればよくなる患者が多く、積極的に脱ステロイド療法をすべてのアトピー性皮膚炎患者に勧めた時期があったが、その後、症例を重ねるにつれ、その効果の限界を認識するに至っている。しかし脱ステロイドを希望して受診される患者は今なお後を絶たない。現在ではそういう患者さんに対し、今のところステロイドしか効く薬がないことを理解してもらうようにつとめ、理解が得られない場合にのみ脱ステロイド療法、即ちステロイド以外の薬のみで治療を組み立てる、ということを行っている。ステロイドをすでに使用している重症例でもむろん即座にやめるようなことはせず、休薬日をおいて外用剤を漸減してもらい、その間に気分転換や生活習慣の是正に努めてもらい、ストレスの軽減やスキンケアを指導している。】
第96回日本皮膚科学会総会 1997年4月11-13
http://www.mahoroba.ne.jp/~shuzo/contents/atopy/97-1.html
掲示板の記載からの抜粋(2012年):
【最初に脱ステ提唱した玉置先生の所に入院してたけど「昔は(ステロイド外用を)止めれば治るって考えだったが、今は(ステロイド外用を)最終的に止めれるように」って治療だったよ。】
2012年4月 2ch
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/atopi/1319463137/l50
当初「脱ステロイド療法」を提唱された先生自身が、何例も症例を経験するうちに、「脱ステロイド療法」には限界があるとの結論に至ったようだ。つまり、調べる限りでは、現在の脱ステロイドを行う医師とは異なり、極端な考えを持っているわけではない。特に、「ステロイド外用を最終的にやめられるように」という考えは、標準治療でも同じだ。
掲示板からの抜粋にあるように、「昔はステロイド外用を止めればよいという考えだったが」、ということは、「ステロイド外用を止めればいいという考え」は間違っていた、と現在は考えているということである。自分がおこなっていた過去の過ちを認めることは、ちょっとした事でも、なかなか難しかったりする。間接的な情報からの推測では、率直な先生のように感じる。
ステロイド外用剤は薬だから、もちろん副作用があり問題点もある。その対応として「どうすべきか」の答えが、医師によって異なるように思える。
大多数の標準治療を行う先生は、適切なステロイド外用の使用を行い、それでも副作用がでるようなら対応しましょう、また、タクロリムス軟膏も併用していきましょう、という考えだろう。いかにQOL(生活の質)を改善して、日常生活を問題なく過ごせるかに重点を置いている。
一方で、少数の医師は、大胆に「使うべきじゃない」と主張する。こういった先生は、生活に支障をきたしても(仕事など中断しても)、悪化するかもしれないが、痕が残るかもしれないが、ステロイド外用をやめて、薬を使わない生活を目指そう、としているのかもしれない。確かに、薬を使わない生活は理想だし、もちろん標準治療をしている先生も同じ気持ちだろう。
ただ、玉置先生は、その限界を上記のように感じらていらっしゃるようだ。アトピー性皮膚炎は、いまだに原因不明の病気であるし、完治できる確実な方法はない(これは多くの病気にも言えることで、特別な事ではない)。なので、どうしてもアトピー性皮膚炎の全ての治療法に限界がある。標準治療をしている医師には、その限界の自覚が十分あると思う。一方で、文章から察するに、玉置先生自身にも治療の限界の自覚があるようだ。