ASTRO CALENDAR 2008 May

●空のカレンダー2008年 5月の空

● MOON PHASE

5月5日 5月12日 5月20日 5月26日

5月5日 立夏

5月14日 水星が東方最大離角

 春から初夏にかけての東方最大離角は、年間を通して夕暮れの水星を見る最大のチャンスだ。6〜7日にかけては月が水星のそばを通り過ぎ、いいアクセントになる。ただ、月と水星が最も接近するときは皮肉にも7日の早朝である。5月14日、東方最大離角時における水星の光度は+0.4等。近くのアルデバランとほぼ同じ。この写真を撮った6日は-0.4等と2倍ほど明るかった。水星は形も光度もめまぐるしく変化する。

 ※(左)5月6日夕方宵の西空にかかる月と水星。Nikon D40にNikkorf105mmを装着。
  (右)同じくf200mmF4を用いる。6枚の画像を合成したため、地上の風景はブレている。
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5月21日 小満

細い月

 晩春から初夏にかけては新月過ぎ細い月の地平光度が高くなる。観望のチャンスが訪れるわけだが、山中のように周囲が高い山に囲まれている地域では、なかなか観望の機会がない。特に月齢1以下の月を眺めようとすれば、5〜7月までのそれぞれ1日程度だろう。つまり実質、年に3日しかない。このとき雨や曇天なら論外。晴天でも西の地平線近くがモヤっているとアウトだ。

 ところが、先日の5月6は日強風と雨上がりの透明度のよい夕暮れになった。この画像は月齢0.9で、朔(新月)から24時間以内の月だ。水星がさらに上空に見えているくらいで、ふつうでは考えられない構図だ。

 普通なら地平線近くに月やってくると、モヤや雲で消えてしまうが、このときは別。古いf200mmF4のニッコールレンズを使ってみたところ、プレアデスの星々まで写っていた。

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おとめ座の意外な真実

 「おとめ座」は春を代表する星座の筆頭格である。乙女、農業の女神、処女宮、スピカ、真珠星・・ などつねに清楚なイメージがつきまとう星座だが、そのサイズは意外にも大きい。隣のしし座やてんびん座はおろか「おおぐま」「ペガサス」「くじら」をも凌ぎ88星座の中では第2位の規模を誇る。もし、このおとめ座がもう1%大きかったら、海の大蛇「うみへび座」を制し、堂々全天最大星座の位に君臨していただろう。コンパクトな三ツ矢型のパターンから、「春の宵にこじんまり」というイメージを連想するが、実際は巨体を揺らしながら黄道をのし歩く、メタボ・オバタリアンという方が当たっているかも。

 三ツ矢の中心に位置するγ星は39光年に位置する有名な二重星で、互いに回りあう実視連星でもある。西側に位置するβ星も36光年と比較的似通った距離にある。面白いことにこの両者は互いにη星の方向に向って接近中で、3万年後には10分角まで近づく。このときはη星も加わり、興味深い眺めとなるだろう。

 γ、βの両星はみかけだけではなく、実際ニアミスをする。多少の誤差はあるものの、最新のデータから導くと、西暦35400年での両者の距離はなんと0.2光年。もし、β星人が夜空を見上げると、-8等級のまばゆい輝星が2つ並んで見えるはずだ。双方あわせると金星の100倍、半月にも匹敵しようかという明るさである。これはおとめ座β星人ならずとも、一度見てみたいな。

うしかい座とアークトゥルス

 夜空でアークトゥルスのオレンジ色の輝きを目にすると、あらためて暖かい春の訪れを実感する。この時期、夜半すぎに天頂近くに上ってくるうしかい座は春より、むしろ初夏の星座に入れるべきかもしれない。うしかい座の主星、アークトゥルスの光度は-0.05等で、日本ではシリウスに次ぎ、事実上全天第2位輝きを誇る。春の星として何かと比較されるスピカのざっと3倍である。

 アークトゥルスは昔からの天文少年、あるいは星ヲタクには馴染みが深い。巨星の代表格として古くから研究されていたようで、「恒星の大きさ比べ」の図では、カペラと並び必ず登場する常連さんだった。私が目にした頃の天文書では「直径は太陽の36倍」とのふれこみだったが、近年では24倍に修正されている。40年の間に2/3にシェイプアップされてしまった。

 アルクトゥルスは固有運動が大きいことでも有名だ。恒星は天球に貼り付いたまま、ほとんど動かないことになっているが、アークトゥルスは1年間で2.3"南南西に移動している。この値は満月の1/800で微々たるような気もするが、言い換えれば800年経つと天球上で満月分位置がずれることのなる。

 この調子で旅を続けると、60000年後にはスピカに5°前後まで接近する。私たちの子孫にとって、間違いなく全天最大の見ものだろう。

  1. ↑恒星の位置図はNOMOTO Tomonori氏作 HippLiner にて作図。
    (画像クリックで、大きな図が開く)
  2. Arcturus SolStation.com (英文)
  3. Wikipedeia の表題ではアルクトゥルス である。
  4. Arcturus Wikipedeia(英文)
  5. うしかい座 JAXA Space Information
  6. うしかい座 Wikipedeia

※ アークトゥルス(Arcturus)は「アルクトゥルス」「アークトゥールス」「アルクツルス」「アークツルス」などいろいろな表記があるが、ここでは天文年鑑の表記に従った。