ASTRO CALENDAR 2008 June

●空のカレンダー2008年 6月の空

● MOON PHASE

6月4日 6月11日 6月19日 6月26日

6月10日 入梅

6月13日 小惑星ジュノーが衝

 「観望の好機」と言いたいのだが、光度は10等級。見栄えがするわけではない。

へべれけ

 6月13日、小惑星No3 ジュノー がへびつかい座で衝を迎える。近くにバーナード星があるが、ジュノーはこのときで10等。バーナード星よりも暗く、特に見ばえがするわけではない。

 ジュノは4大小惑星のカテに入っているが、その他明るくなる小惑星の予報が天文年鑑に掲載されている。例えばNo6のヘーベは2月6日、しし座とかに座の境界あたりで衝になり、このときは8.9等まで明るくなった。といって、目で見えるギリギリの明るさを6等に見積もっても、そのさらに1/15にすぎない。

 そういえば、このブログは酒を飲みながら、ヘベレケ状態で書くことが多い。この「ヘベレケ」という語源がギリシャ神話に登場するヘーベに由来していると聞いた。ヘーベはジュピターの娘で、宴会でお酒を注いで回る役回りだとか。そのヘーベとギリシャ語でお酌を意味する「エレケ」が結びついてヘベレケになったという。ただし、一種の都市伝説であり、信憑性は薄いともいわれている。

語源由来語辞典 へべれけ
※ ヘーベ像は Thorvaldsens Museum, Copenhagen 所蔵。 The Web Gallery of Art より。

6月21日 冥王星が衝 夏至

 冥王星はへびつかい座での長い旅路を終え、いて座にさしかかった。このあたりは銀河のにぎやかな場所で行く手にはM17やM16が待っている。しかし、歩みがのろいため、この散光星雲に最接近するのは2年後のことである。

 旧山中町のプラネタリウムがオープンしてから1999年までの20年間、冥王星は「太陽系で2番目に遠い惑星」だった。1989年当時の天文教室だったか、惑星の解説で冥王星のことを「248年ぶりの大接近になる」と生徒に説明したことがある。ただ、他の惑星はオリジナル画像つきだが、冥王星だけはない。だって、13.8等だからね。海王星の200分の1という暗い天体だ。視野に導入するだけでも骨が折れる。そしたら「そんなチャンスなら是非冥王星の写真を撮って見せて欲しい」とある熱心な女の子にせがまれた。「よしよし。分ったぞ。いつかな」と約束したものの、ず〜っとサボり続けて20年。時代はすっかり変わってしまったなあ。銀塩のかわりにデジカメが登場し、天体撮影も格段に楽になった。でも、冥王星はもはや惑星ではない。ためしに冥王星の方角へカメラを向けてみると、比較的よく写っていた。

 20年の間にこの私もすっかりしょぼくれてしまったが、その一方あのときの生徒はもう美しいお嬢さん(を通り越してオバサンかな?)になっているだろう。もし名乗り出ていただけたら、この写真をプリントしてプレゼントしたいのだが・・

※上は5月12日13cmの反射鏡で撮影した冥王星。下は5日前の5月7日に撮影したものを比較画像として並べたもの。冥王星の光度は現在14等とのこと。位置同定用には、Sky and Telescope の Pluto in 2008 の PDF星図 によった。

6月25日 ボアッティーニ彗星が近日点を通過

ひそかに新人賞を狙うボアッティーニ彗星

 昨年の晩秋はホームズ彗星の度外れブレイクでお祭り騒ぎになった。そのホームズ・フィーバーで秋の夜長が沸きかえったころに発見されたのがボアッティーニ彗星(C/2007 W1)だ。そのボアッティーニ彗星が2008年4月現在少々騒がしくなってきた。3月から4月にかけて予想よりかなり明るくなっているのである。5月の大型連休頃は月も無く、ちょうどいい位置をキープし、俄然注目ルーキーとして脚光を浴びそうだ。

 ただ、4月26日時点での光度は7等の後半。肉眼彗星からは程遠く、なんか気合が入らない。しかし、この後地球最接近時には4〜5等級に達しそう、との話もある。残念ながらその頃は太陽の背後に姿を消すが、7月上旬には明け方の東天に回り、なんかすると3等台にたっするのでは、との見方も出てきた。ただ、常に予想を外すのが彗星の特徴。だからこそ、ホームズのようなサプライズもあるわけだ。近日点通過以後、いったいどんな姿を見せるのか、ここはじっくり見守るとしよう。

▲ 上図は4月27日から5月31日までのボアッティーニ彗星の経路を示している。このころは日没後の南空を西へと移動していく。星図の位置は5月中旬で午後8時頃。

▲ 上図は7月中の彗星の経路図。彗星は夜明けの東天に回り、7月初めには3等級に達する予報も出ているが、さあどうか・・?星空の様子は7月5日午前3時ごろのようす。

かんむり座は変光星の博物館

 夏を告げる星座のひとつに「かんむり座」がある。うしかい座とヘラクレス座に挟まり多少窮屈そうだが、半円形の星に2等星がアクセントになって、王冠のイメージを連想するのは難しいことではない。この星座の歴史は古く、トレミー(プトレマイオス)のオリジナル48星座セットにも、ちゃんと収められている。

 ところで、ネビュラ・フリーというか、ギャラクシー・フリーというか、不思議なことに、この星座には星雲星団の姿を見かけない。かんむり座○○星雲・・ などと聞いたためしが無いのである。その代りと言ってはなんだが、色々な変光星が集まっている。かんむり座R、T、S、V・・ と数も種類も豊富。よくもまあこんな小さな星座に多種多様の変光星が収まったものだ。王冠の宝石部分にあたるα星=アルフェッカも食変光星というが、変更範囲はごくわずか。眼視観測ではムリとのこと。星座にもいろいろ個性があるものだ。

  1. かんむり座
  2. 変光星
  3. かんむり座の変光星図 AAVSO
  4. Corona_Borealis Wikipedia (英文)
  5. Alphekka (Alpha Coronae Borealis)

ヘルクレス座のM13

ギリシャ・ローマ神話においては史上最強の格闘技チャンプ・ヘラクレス。この星座の主役はなんといっても球状星団、M13である。この天体がなければ、ヘラクレス自身の武勇伝とは裏腹に、なんともパットしない星座になっていただろう。こうなりゃ「M13あってのヘラクレス座」と言っても過言ではない。

 M13の発見はあのハレー彗星の回帰を予言したエドモンド・ハレーとなっている。光度は一時期6等級より暗く見積もられていたが、月の無い空気の透明な夜は、私のような貧弱な視力でも認められる。明らかに5等級レベルだ。と、日頃思っていたら、最近の光度は5.8〜5.9等を採用している。

 天球の位置もη星とζ星を1:2で内分する場所だから分りやすい。天体写真を試みたファンなら、一度はカメラを向けたのではないだろうか。私のようなウサンな撮影法でも、そこそこ写ってくれる。さらに、ヤジロベエ的バランスで2つの7等星がアクセントになっている。しかも、片方はスペクトルK型、すなわちオレンジ色で色の対比もよろしい。そればかりか、近傍の系外銀河NGC6207も仲間に加わり、もう至れりつくせりである。

 この天体にハマるのはアマチュアだけではない。1974年、地球外生命を探る科学者が、数十万におよぶこの恒星集団にメッセージを送った。もし、この中に首尾よくメッセージをキャッチし、返信を地球に送るとすれば、そのメッセージが届くのは5万年後のことである。でも、それまで生きてないだろうな・・

  1. ヘルクレス座 Wikipedia
  2. NGC6205 = M13 JAXA SPACE INFORMATION CENTER
  3. M13とアレシボ・メッセージ
  4. アレシボ天文台