(注)名前順に並べてあります。
見やすくするため・・・。
角竜は研究の宝庫♪
(とても)大雑把なジャンル分けを試みてみる。
その方が皆さん参考にしやすいかな?
第1回 Chasmosaurus & Pentaceratops
教科書的
プシッタコサウルス
トリケラトプスの姿勢の復元
動物相、産状
成長段階、性差、形態比較
肩甲烏口骨の角度は、ケラトプス科の姿勢と歩行様式を復元する上で、長い間議論の的となってきた。烏口骨が一対の胸骨と関節するため、胸骨の位置と角度は肩甲烏口骨の角度の指標となる。化石証拠から、胸骨は横に拡がっているのでもなく、また、後方に分岐しているのでもない。互いに平行にくっついているのだ。この復元で、肩甲烏口骨の角度を決めることで、関節窩が後腹方を向く。さらに、胸骨側面縁と後腹方の烏口骨のフック状のカーブの合流点と接しており、上腕骨の真ん中に明らかに限定されることにも結論付けられる。やや機能的、そして、材料研究から、左右の胸部周辺の骨は互いに動くことはなかったが、張力は単独に機能した。上腕骨関節面の近位と遠位の位置と向きは、上腕骨が関節窩と尺骨にやや高角度に関節していることを示し、肘は関節窩のはるか後方に位置し、手は上腕骨の届く範囲内で関節窩の下に来る。生息時は、上腕が一見、胸の一部に見えたように思えるが、見た目の判断から、それほど活動的ではなかったと推定される。
脊椎動物微化石産地から出た関節したパーツと歯の化石は、古地理学的に、より内陸寄りのダイノソーパーク地域(アルバータ)から、より海岸寄りのサウス・サスカチュワン川流域までの250kmに及ぶ範囲での恐竜の数を定量的に測る指標として用いられてきた。ダイノソーパークとサウス・サスカチュワンそれぞれにおいて、時間生層序学的に同等の層準から出た関節した恐竜化石の比較することで、角竜がサウス・サスカチュワン地域でより優勢であり、アンキロサウルス類とパキケファロサウルス類とは真逆であることがわかった。角竜の場合、これらの地域間での同様の分布パターンが、脊椎動物微化石産地からも示されている。加えて、ダイノソーパークとサウス・サスカチュワン川地域ともに、脊椎動物微化石産地からは、角竜が上層に行くに従って相対的に増加していることが判った。これと同じ層準において、ダイノソーパークではアンキロサウルス類とパキケファロサウルス類が相対的に減ってきていたが、サウス・サスカチュワン地域では上層に行ってもその相対的な数に変化があまり見られなかった。
これらの古地理的、かつ層序的なパターンから、Campanian期においては、角竜が内陸よりも、比較的海岸に多かったという仮説を支持する。さらに、一応、アンキロサウルス類とパキケファロサウルス類が一般に内陸に適したグループだったのだろうという仮説も支持する。
中国西部のUrho地域から、プシッタコサウルス・シンジアンゲンシスの部分的標本が見つかり、これまで知られていたシンジアンゲンシス種の分布は広がることがわかった。さらに、この種の成体の特徴がわかった。歯骨にある無数の小歯は歯冠が残っていた。この種の特徴として、小歯が多いというものがあるが、おそらく、成長とともに歯は減少したのだろう。
タイの北東部、白亜紀前期のコック・クルアット層から恐竜の顎が発見された。見つかったのはよく保存された下顎と、部分的な上顎で、原始的角竜類のプシッタコサウルスの新種、プシッタコサウルス・サッタヤラキと分かった。この標本がモンゴルや中国のプシッタコサウルスと異なる点として、下顎の形態があげられる。コック・クルアット層は古生物的証拠からアプト階からアルブ階とされ、他のアジアのプシッタコサウルスが前期白亜紀の後期であったとする仮説を支持する。インドシナ陸塊でプシッタコサウルスが発見されるということは、当時すでにインドシナがアジアの主要プレートと合体していたことを示している。
ユタ州Cedar Mountain層(Albian―Cenomanian境界)と、メリーランド州のArundel層(Aptian後期)から、新たな北米産ネオケラトプシア類の歯が近年発見された。これらの歯は全体の形態から、ネオケラトプシア類のものと判断された。その特徴として、球状で凸面のエナメル質でない歯冠表面を持っており、深いギザギザがあり、よく発達したcingulum、そして、secondary ridgeがcingulumで終わっている点などが近縁の鳥盤類の歯とネオケラトプス類を区別する点である。これらの特長は、その他の形態特性と合わせて研究すると、ネオケラトプス類の歯であることが断定できる。ネオケラトプス類が初期に北米大陸全土に分布しており、この分類群の生物地理の再評価が必要である。
モンタノケラトプス・セロリンクスはケラトプス科の姉妹群とされてきたが、このtaxonの系統的な解析は十分なされていない。モンタノケラトプス・セロリンクスの第2標本は新たに特徴的な形質を保持していた。特に目立ったのが脳函の後半部、肩帯、そして前肢である。8つの基幹的ネオケラトプシア類(プロトケラトプス、レプトケラトプス、バガケラトプス、ミクロケラトプス、ブレビケラトプス、モンタノケラトプス、アジアケラトプス)と4つのケラトプス科(セントロサウルス、アンキケラトプス、カスモサウルス、スティラコサウルス)による系統解析の結果、モンタノケラトプスはケラトプス科の姉妹群であることが示された。ミクロケラトプスとアジアケラトプスはネオケラトプシアの基幹的なグループであった。プロトケラトプス、レプトケラトプス、ウダノケラトプスは単系統群のプロトケラトプス科を形成することが分かった。これによって得られたクラドグラムを古地理学的に解釈すると、ネオケラトプシア類はアジアを起源とし、少なくとも2度に渡ってアジアから北米へと渡ったことが分かる。
モンタナ、ガーフィールド、マーストリヒト階のヘルクリーク層から出た角竜の断片化石はこれまでの角竜とは異なる種である。特徴としては、低く丸まった鼻角、特に深い吻骨―前上顎骨の穴、そして、対になった後鼻孔である。吻は細長く伸びる。新たなタクソン、ウグロサウルス・オルソニを記載する。
最近モンゴルのオシ層からプシッタコサウルス・モンゴリエンシスの標本を採集した。その中には、2つのほぼ完全な頭蓋と、多くの体部骨格が含まれている。吻骨はプシッタコサウルスのすべての標本で見つかっており、角竜だけに見られる骨であることから、プシッタコサウルスと角竜類は姉妹群であるといえる。プシッタコサウルスの2つの新標本はいずれも幼体で、全恐竜を通じて最小クラスの骨格である。おそらく他の恐竜と同様、親が巣を守ることはしたようだが、孵化後も世話したかどうかは定かではない。プシッタコサウルスの幼体は他の恐竜と同様、兄弟で群れを作っていたかもしれない。
モンゴルのゴビ砂漠で、上部白亜系の層があるUkhaa Tolgodなる新たな化石産地を発見した。そこは無数の保存状態のよい脊椎動物化石があり、哺乳類の頭蓋や体化石が出る。主なサイトは4kuほどで、未採集の獣脚類や鎧竜、プロトケラトプスが100個体以上眠っている。頭蓋つきの標本は多くが関節していて、400以上の哺乳類やトカゲである。その中には、最初の頭蓋が見つかったモノニクスや、最初の獣脚類の巣化石(胎児つき)も含まれている。他の中生代の化石産地と異なり、獣脚類と哺乳類、トカゲの率が異常に高い。上部白亜系に相当するゴビのレッドベッドから産する脊椎動物化石は例外的に、乾燥条件にさらされており、悲劇的な死後、大きな砂嵐に埋もれたのだろう。河川堆積物ではウクハア・トルゴドから化石は見つかりはするが、見事な標本は風成層に濃集しており、急速に砂に埋没したであろうことを示す。これは北米、南米の上部白亜系の河川堆積物が優勢な陸成層とは対照的である。
部分的な頭蓋がカンパニアン期のアルバータ、ダイノソーパーク層で見つかった。全長は1.1mで、これはこれまで見つかったケラトプス科の中で最小のものである。この動物はおそらく2歳以下で、成体の1/15であったろう。鱗状骨の形状と頭頂骨の厚みから、一応、モノクロニウスではないかと思われる。頭頂骨窓の強い相対成長が認められる。
モノクロニウス・クラッススの研究史のレビューである。タイプ標本はモンタナのミズーリ川沿いのジュディスリバー層からでた、関節してない個体のいくつかの合成である。AMNH
3998の頭頂骨はよく保存されており、形質もとられており、モノクロニウス・クラッススのネオ標本として記載する。コープは1989年に新たに3種を記載したが、いずれも部分的な骨格で、妥当性は低い。ランベは1904年にアルバータ南部のジュディスリバー層から出たバラバラの頭頂骨をもとにセントロサウルス・アペルトゥスを記載した。ブラウンはアルバータで完全な頭蓋を発掘し、1914年と1917年にセントロサウルスがモノクロニウスのシノニムであるとして記載した。よって今日まで混乱が続いている。
この研究では、ジュディス期のすべてのセントロサウルス亜科のタイプ標本を、生物的に分析している。モノクロニウスとセントロサウルスは互いに異なる種であり、スティラコサウルスがセントロサウルスにより近いと分かった。セントロサウルスとスティラコサウルスは性的な差なのかもしれない。形態学的な相違は最近では性差と考えられている。セントロサウルス、スティラコサウルス、モノクロニウスは各1種づつを含み、ブラキケラトプスはモノクロニウスの幼体ではなく、妥当な種である。
角竜類は頭部の形態が非常に多様であり、形態学的な解析には格好の材料である。角竜の頭蓋は、頭蓋上の各点をマッピングし、RFTRAで解析をおこなった。これは頭蓋の形態学的なトレンドを相対的に表すことができる。RCTRAによって得られた形態的差異を古典的または分岐学的な手法でクラスター解析した。角やフリルの欠如、そして吻部の構成は、頭蓋の完全に保存されているパーツを用いると分類学的クラスターパターンが本質的に安定であることが示された。示された形質と機能的方向性は、頭蓋のどの部位も関連が認められた。目立った形態的進化傾向として、方形骨の遠位部の前方向への回転と、頬骨の後方への移動、方形頬骨の縮小、そしてカスモサウルス亜科に見られるように鱗状骨の後方かつ腹方への前後軸方向の展開に伴う、頬部の再組成である。咀嚼筋はおそらくフリルの基部に付着していたが、フリル全体には広がらなかった。当時は小さな被子植物が角竜の主要な餌となっていただろう。
トリケラトプスのような恐竜がどのような前肢を持っていたかという問いに対して、これまで幾多の論争がなされてきた。20世紀初頭、古生物学者はケラトプス科の前肢を腹ばい状に据え付け、そして今日まで、議論の的となってきた。角竜の肩と上腕の近位部を調べると、完全直立姿勢が骨学的に問題アリだということが判った。もし上腕が垂直に保たれていたならば、上腕骨の近位端にある内側を向いた大きな縁が体に食い込むことになったろう。この突起が肋骨とぶつからないようにするには、上腕骨がやや外側に向くことが必要だった。この結論は、ケラトプス科が前肢を完全直立させて歩行をしたと見られている足跡化石に真っ向から挑むものである。しかしながら、足跡そのものからでは、それを作った主のサイズや体型といった最も重要となってくる情報は得られない。たった数歩のケラトプス科の前肢の足跡化石からでは、情報があまりに不確かであり、矛盾と言い切れるものではない。
内モンゴルのBayan Mandahuから、プロトケラトプスの最小の標本とバガケラトプスを含む新標本が採集された。いずれも、卵の殻をともなってはいなかったが、これまでプロトケラトプス類のものとされる卵化石に収まるサイズである。このことは、それらの標本が胎児であったことを示す。完全な標本はなかったものの、胎児の頭部形態の理解に非常に有効である。
中国やモンゴルの白亜紀の層準から無数の卵化石が採られているが、胎児の化石はなかった。それは化石になる過程で卵の中身が腐敗してしまったためだろう。もしそうならば、中央アジアで恐竜の胎児化石が発見されるのは、卵が割れて水分が蒸発してしまった場合に限るということだろう。
原始的なネオケラトプス類のアーケオケラトプス・オシマイを記載した。その体は造りが軽く、2足歩行、4足歩行両方に対応している。頬骨は細長い。前上顎骨の歯は残っており、3から4本ある。眼瞼はよく発達している。後肢は他のプロトケラトプス類と比べて長めである。中足骨は細長い。この新種は最も基幹的かつ、層序的にも最も古いネオケラトプス類である。
大型の角竜トロサウルスはMaastrichtian後期の北米西部の脊椎動物相の中ではレアな存在であった。ほぼ完全な2つの頭蓋が最近モンタナ頭部のヘルクリーク層から出て、ロッキー博物館に収蔵されていたが、それによると、この属の頭部の解剖学的特徴がよく判り、また個体変異も観察できた。変異の範囲は頭蓋の大きさ、角の向きや大きさ、そしてフリルの大きさや向きを含む。最初の標本(MOR 981)は潰れた部分的な頭蓋で長さ3.2m。二つ目の標本(MOR 1122)は潰れておらず、比較的良好な頭蓋で長さ2.8m。後者はいくつかの見慣れない頭部の特徴を有していた。それはキール状の縁後頭骨と顕著な血管溝が上眼窩角に走っていたことだ。これらのトロサウルスの標本の研究から、トロサウルスの系統的な位置付けとMOR 1122の病理に焦点を当てた。
後期Maastrichtianのカスモサウルス亜科角竜であるトロサウルスは、北はサスカチュワン、南はテキサスから発見されている。トロサウルスの標本は後期Maastrichtianのいくつかの層準の時代対比に用いられてきた。そして、トロサウルスは後期Maastrichtianの北米南西部の動物相の中で特徴的な位置を占めていた。しかしながら、多くの南西部における産状は部分的もしくは不完全な標本に基づき、トロサウルスの属としての疑わしさも有していた。テキサスメモリアル博物館(TMN)とニューメキシコ自然史博物館(NMMNH)にある8標本の再検討により、4標本が怪しいと判った。
テキサスのジャベリナ層群、Tornillo層から出た2つのトロサウルス・ウタヘンシスは、TMM
41480-1(部分的な頭頂骨)のみがトロサウルス・sp.と確認され、ばらけた上眼窩角(TMN
41835-1)はカスモサウルス亜科の未確認種とされた。ニューメキシコ、ナアショイビト層群のカートランド層から出た5つの標本も研究された。部分的な上眼窩角(NMMNH
P.32615)はカスモサウルス亜科の未確認種。部分的な頭頂骨(NMMNH P.25074)はトロサウルス・sp.。部分的な鱗状骨と頭頂骨(NMMNH
P.22884)は一応、トロサウルス・cf. トロサウルス・ウタヘンシス。鱗状骨断片の(NMMNH
P.29006)と(NMMNH P.21100)はカスモサウルス未確認種とされた。ニューメキシコのマクラエ層から出た番号の付いていないNMMNHの部分的な頭蓋と骨格はトロサウルス・sp.とされた。
バラバラになった上眼窩角は属の特徴を有してはいないが、鱗状骨の特徴的な形と、幅広で薄く、穴の開いた頭頂骨はトロサウルス特有のものである。トロサウルス・ウタヘンシスの正当性を検討する必要がある。数が限られ、部分的な材料しかないため、トロサウルスが生層序的に有効な種であるとは言い難い。そして、トロサウルスが後期Maastrichtianの南西部における古生態への関与を論じることはできない。
テキサスの南西、アグジャ層から最近産出したほぼ完全な角竜の頭蓋はアグジャでよく見つかるカスモサウルス・マリスカレンシスと同定された。カスモサウルス・マリスカレンシスの形態的特徴は、前上顎骨の間の鼻骨に前正中の広い突起があること、上眼窩角が直立していること、そして側方に丸く張り出した鱗状骨である。9つの頭部形態がカスモサウルス属とペンタケラトプス・スタンバージ、それから他のカスモサウルス亜科で系統解析に用いられた。その結果、マリスカレンシス種は、同様に横に平べったい鼻角を持ち、外鼻孔の前部に修飾がある点で、北部のカスモサウルス・ベリィとカスモサウルス・ルッセリィに最も近縁であることが分かった。カスモサウルス属は南部のペンタケラトプス・スタンバージと最も近縁である。このことから古生態地理を解釈すると、カスモサウルス亜科の北部から南部への移動は最低でも2回起こったということが分かる。
近年ノースダコタのヘルクリーク層で発見されたトリケラトプスは、トリケラトプスの姿勢の解明に重要な発見となった。それまで、トリケラトプスは多量に見つかってはいたが、部分的にでも関節している標本は見つかっていなかった。さらに、はっきりとした足跡も知られていない。それゆえ、様々な姿勢で骨格復元がなされてきた。二つのよく保存された関節したトリケラトプスの標本は、腱が脊柱の補助として片持ちばりの役割をし、腕が垂直に伸びていたことを示す。一方の標本「ウィリー」からは背面方向から関節した状態で見つかり、脊柱と骨盤が骨化した腱で強固になっていたことが示された。二つ目の標本「レイモンド」からは、側面から関節した状態が観察できた。関節窩の位置、烏口骨の曲がり具合、そして、平たくてほぼ真っ直ぐな前部の肋骨からは、垂直な前肢と幅の狭い胸部であったことが示された。この標本の前肢と後肢の位置と関節具合は、角竜のものとしてコロラドのララミエ層から記載された足跡化石と合致する。
角竜の一属、カスモサウルス属はカナダ西部のジュディスリバー層(カンパニアン階、ジュディス期)から産し、頭部形態が個体発生の過程で非常に多様化している。さらに、2種前後に明確に識別される。相対成長と性差はこの差を説明できず、異なる2種がいたと考えるほうが自然である。カスモサウルス・ベリィは、頭頂骨の後方端がほとんどえぐれてなくて、1対の大きな縁後頭骨をフリルの後方側方端に持つ。他にも縁後頭骨はあったろうが、それはもっと小さい。カスモサウルス・カナデンシス、カスモサウルス・カイセニ、カスモサウルス・ブレビロストリスも同様にこのような特徴をもつため、カスモサウルス・ベリィのジュニアシノニムとする。カスモサウルス・ルッセリィは深くえぐれた頭頂骨の後方端をもつことで識別される。フリルの後方側方それぞれに、3つの等サイズの三角形の縁後頭骨をもつ。これまでカスモサウルスの種を分けるのに用いられてきた他の頭部形態(上眼窩角、鼻角の長さ、眼窩の形態、鱗状骨性後頭骨の数)はこれら2種の間でまばらに見られる形質である。それは、死後の変形、種内変異、性差によるのかもしれない。両種とも、上眼窩角に性的な差異が現れている。
カスモサウルス・イルビネンシスは以下の点でカスモサウルス属のほかの種と分けられる。列挙すると、鼻が幅広く、上眼窩角がない(本来角があるべき位置は骨がゴツゴツしているか、皺になっている)、頬骨の切り込みが広く丸い、長方形に近い鱗状骨、頭頂骨の後部端のバーが直線的で10個の縁後頭骨があり、うち8つは平たく、前方にカーブしていて、ほとんど互いに癒合している、そして、小さく、横に長い頭頂骨窓がフリル後方にある点である。この種はダイノソーパーク層の上部から産出が限定されており、その他のカナダ産カスモサウルスのベリィ種、ルッセリィ種よりも時代的に若い。系統発生的分析から、カスモサウルス・イルビネンシスはテキサスのカスモサウルス・マリスカレンシスよりも、カナダのカスモサウルス属と最も近いことが分かった。
角竜の頭蓋のフリルや角、そして他の部分は溝が走り巡っており、かねがねそれは血管であろうといわれてきた。この血管系はトリケラトプスやトロサウルスのような角竜の頭蓋に特徴的に見られ、血流から表皮へふんだんに栄養が供給されていたことを示す。更新世と現生の哺乳類や鳥にもそのような構造があり、いずれも、ケラチンの厚い場所の下の骨の表面に見られる。特徴的な血管系はオオナマケモノのメガロニクスの末節骨や現生の鳥の嘴、とくに厚くケラチンが覆う場所に見られる。トリケラトプスやトロサウルスでは、ケラチン膜が頭蓋のほぼ全域を覆っていたと考えられ、フリルの裏側にまで及んだと思われる。現生の動物では、ケラチンの厚さは血管系の大きさと関係しており、厚いケラチンは深く太い血管系の直上に形成される。これが正しいならば、ほかの恐竜、例えばティレオフォラ類も頭蓋や鎧にケラチン質の覆いを持っていた可能性があり、ギルモアの記載したステゴサウルスの盾もケラチンで覆われていたろう。
角竜の前肢の姿勢と走法のモデルは、良好な保存状態の材料と、トロサウルス(鳥盤類;角竜類)の前肢の詳細な生物工学的な分析によってなされた。簡単なモデルでは、真実そのままに、かつ柔軟に取り付けられた前肢のキャストを用い、新型の機械的関節装置によって洗練された動きを実現し、肢の可動性と関節の仕方において、おおよそ生物的に本物っぽい向きを調べた。
我々の精巧なモデルでは、トロサウルスでは、直立傍矢状の前肢の向きと動きでは、生物機能的に無理が生じることが示された。モデルではすべての角竜の姿勢の復元仮説に関して、強制可能な余裕を持たせている。このモデルによって、角竜亜目全体の前肢の姿勢と動きの範囲を調べることができた。
新属ブレビケラトプスはプロトケラトプス・コズロウスキィとして記載されたものに新たにつけられた名である。その特徴として、細長い襟飾りと、鼻角の存在があげられる。
新属新種のプロトケラトプス科、ウダノケラトプス・ツチチョビは、主にその大きな体と、鼻骨に角がないことから特徴づけられる。ウダノケラトプスの系統解析をおこなった。
カスモサウルス・マリスカレンシス(鳥盤類;角竜類)はテキサスのブリュースター地域、ビッグベンド国立公園のアグジャ層(後期Campanian、ジュディス期)から出た角竜類の新種である。この種が他のカスモサウルス属の種と分けられている点として、比較的短く広い鱗状骨と、そこに附随する6つの非常に大きな縁後頭骨、そして、上顎骨に目立った側面棚がない点、前上顎骨に後背方への伸長がない点、さらに、成体で非常に長い上眼窩角を持つ点があげられる。骨層には関節していない10〜15個体の幼体、亜成体、そして完全な成体のカスモサウルス・マリスカレンシスを含んでおり、そして、この属の最初の完全な体部骨格がある。雄と雌は、上眼窩角の生える方向によって分けられる。これは最も派生的なカスモサウルス属の種で、形態学的にペンタケラトプスとの中間的な形質をいくつも有している。
進化したタイプの角竜であるケラトプス科は、主にフリルの相対的プロポーションとそこに空いた窓によって、2つのグループに分けられる。これらのグループは非公式に、ケラトプス−トロサウルス系列の長盾角竜類(長顔角竜)と、モノクロニウス−トリケラトプス系列の短盾角竜類(短顔角竜)とに分けられてきた。一方ランベは、ケラトプス科は3つに分けられるとしたが、後の研究者たちは非公式な分類を好み、ランベの分類法を用いることはなかった。
ランベの提唱したエオケラトプス亜科は、エオケラトプスがカスモサウルスのシノニムであることが分かったために拡大され、長盾角竜はトリケラトプスを含むことになった。ランベのカスモサウルス亜科とセントロサウルス亜科は有効で、長盾角竜、短盾角竜という呼び名に優先されるべきものである。これらの亜科のメンバーは頭部の多くの特徴によって区別され、両者を正しく識別できる。トリケラトプスの位置づけは問題であったが、現在ではカスモサウルス亜科に入れられると考えられる。パキリノサウルスはマーストリヒト期初期まで生き残った特殊なセントロサウルス類といえそうだ。
角竜の種レベルの分類は、多くの種で著しい個体差と成長段階、性差が認められるため、大変複雑である。テキサスのカスモサウルス・マリスカレンシスでは、多くの標本から、上眼窩角の特徴が性差を分ける基準になるとされている。この基準に従えば、すべてのカスモサウルス亜科は雄型の個体と、雌型の個体が見つかっていることになる。テキサスのカスモサウルス・マリスカレンシスの部分的成長パターンによると、成長とともに吻部と上眼窩角の伸長が認められ、おそらくこれはカスモサウルス亜科全体の傾向としても見られたろう。他のカスモサウルス類に見られるフリルの顕著な伸長は、カスモサウルス・マリスカレンシスでは知られていない。これまでの調査から、ケラトプス科のほとんどの属で、それに含まれる種を再考する必要があるだろう。ケラトプス科の属は、これまでいくつかの種名が与えられてきたが、テキサスの標本のように種内変異が大きいとしたら、これらはひとつの種に収まる可能性もある。
これまで見つかっていなかったペンタケラトプス・スタンバージの標本により、頭蓋の知られざる形質とこの種の形態的多様性が明らかになった。ペンタケラトプス・スタンバージはよく発達した後前頭骨泉門をもち、脳函の構造は他のカスモサウルス亜科と似ている。頭頂骨の後部端には、正中線の両側に1対の上方に反り上がった縁後頭骨があり、アンキケラトプスの短い鉤状構造に似ている。ペンタケラトプスの層序的分布はカンパニアン後期からマーストリヒチアン前期であるが、これまでの報告とは違い、マーストリヒチアン後期にまで延びることはなかった。
テキサス西部のエル・ピカチョ層から産出した長盾角竜の断片的骨格は、これまで知られていない種である。出ているのは特徴づけるには不十分な頭頂骨と、三面体の縁頬骨である。脳函の側壁は厚く、後前頭骨孔はよく発達している。アメリカ南西部では、上部白亜系から4種が知られることになった。ペンタケラトプス・スタンバージ、カスモサウルス・マリスカレンシス、トロサウルス・ウタヘンシス、そして、エル・ピカチョ産の新種である。これらはすべてカスモサウルス亜科に属する。
ペンタケラトプス・スタンバージの大型骨格が見つかり、この角竜の正確なプロポーションが明らかになった。これは、頭部と体部の多くが一緒に見つかった唯一の個体である。復元された頭蓋は3m近くにもなり、角竜を通じて、否、全陸生脊椎動物を通じて最大の頭蓋である。吻骨は長く、前上顎骨の構造は緻密、そして前頭骨と側脳の洞は複雑で、これらの形質は幅広い種内変異を起こしている。これら形質は、他のカスモサウルス亜科で種レベルを分ける際に用いられるべき形質ではない。カスモサウルス亜科の前上顎骨の鼻部の複雑な形態の機能は、おそらく、植物食への高度な適応と相関しているであろう。
北米西側の後期白亜紀(カンパニアン〜マーストリヒチアン)の恐竜動物相は極めて局所的である。独特な風土に適応した植物食恐竜は、くっきりとした緯度分布、高度分布を見せた。カンパニアン後期の間、多様化と特殊化を果たしたハドロサウルス優勢の動物相がおこった。しかし、マーストリヒチアンになると、ララミディア造山運動で環境はガラリと変わり、ハドロサウルス類と角竜で多様性は減った。特に影響を受けたのはランベオサウルス亜科とセントロサウルス亜科である。白亜紀最末期になると、竜脚類、プロトケラトプス類、ヒプシロフォドン類、翼竜類が、内陸の乾燥帯から進出してきた。このマーストリヒト期の動物相逆転は、白亜紀末における北米の恐竜の絶滅になんらかの影響があったと思われる。
ララミエ層(上部白亜系:Maastrichtian)は無数の足跡化石を産する層準があり、角竜、鳥脚類、獣脚類などの多様な足跡や連続足跡化石を含んでいる。ケラトプス科の足跡化石が見つかったのは初めてのことで、新たな生痕化石としてケラトプシペス・ゴールデンシスと命名した。これらは、ケラトプス科の前肢の姿勢を示唆するもので、腹ばい型の姿勢が誤りであることが示された。おそらくティラノサウルスであろう足跡を含む獣脚類の連側足跡化石から、多様な動物相が構成されていたことがわかる。部分的な連続歩行痕では、チャンプソサウルス類の最初の足跡化石も含み、チャンプソサウリクヌス・パーフェティと命名された。生痕化石動物相はさらにハドロサウルス類の歩行痕もあり、この地域に棲息していた動物相の復元に役立つ。
トンプソンの等位変形システムは角竜の個体発生と系統発生の両方に用いられてきた手法である。ラル(1933)系統解析とグレイ(1946)の相対成長解析の結果を確かめた。手法の評価と相対成長の法則を調べた。
1910年にアメリカ自然史博物館の遠征隊がバラバラの脳函を採集した。その主はアルバータ南部のホースシューキャニオン層から産出した最初の角のないネオケラトプシア類であった。この脳函は北米産の角のないネオケラトプシア類であるモンタノケラトプス・セロリンクスとレプトケラトプス・グラシリスの2種といくつも解剖学的な特徴を共有していた。その形質とは、垂直な上後頭骨、基翼状骨突起と基蝶形骨本体の間の深い切れ込み、後ろに反転した基後頭骨の管などである。その他の形質、例えば、上後頭骨の正中の窪み、基後頭の管を分割する(つまみ、というより寧ろ)細長い切り込み、などの形質はレプトケラトプス・グラシリスと異なるが、モンタノケラトプスと似ている。ホースシューキャニオン層はモンタノケラトプス・セロリンクスを2個体産出したセントメリーリバー層と同時代で、本標本はこの種の古地理学的な拡がりを示すものである。モンタノケラトプス・セロリンクスとレプトケラトプス・グラシリスの脳函の特徴に多くの一致が見られるが、旧来、モンタノケラトプスはケラトプス科の姉妹群として位置づけられ、両種の位置づけはかなりかけ離れたものとされてきた。モンタノケラトプス・セロリンクスの脳函を含む完模式標本を含めて、基底的なネオケラトプス類の再評価を行なうと、モンタノケラトプス・セロリンクスはレプトケラトプス・グラシリスとウダノケラトプス・ツチチョビを含むタクサに入った。
計16種がトリケラトプスとして記載されてきた。驚くことに、この属は未だ正式に特徴づけられていない。最初の種はトリケラトプス・アルティコルニスだが、これは明らかにトリケラトプスではない。2番目のトリケラトプス・ホリドゥスがタイプ種となるべきである。その他大勢のトリケラトプスの種はすべて種として独立するには弱い。これらの種の違いとされてきた形質は全て種内変異の範囲に収まる。さらに、16のタイプ標本のうち、実に11が層序的、地理的に同じランス層から産出し、場所もロードアイランドの1/4の面積の範囲に収まるという。
白亜紀後期のアラスカのノーススロープからはケラトプス科の骨格、カメ、恐竜の足跡、そして淡水生の貝に小型の肉食性爬虫類の歯型が出ることから、当時の陸生動物相は適度に豊かであったことが分かった。古植物の研究から、気候は寒かったことが示されており、白亜紀後期に気温が年々低下したらしい。冬場の気温は少なくとも一時的に氷点下になったらしい。恐竜はノーススロープで越冬したかもしれないし、渡りをしたかもしれない。現生の高緯度地方の植物食動物は、高い代謝であるにもかかわらず、乏しい食物しかない環境下で棲息している。白亜紀後期の高緯度地方では、長期間の寒冷な環境か、恐竜の体組織を害するほど極寒な場合を除けば、現生の高緯度地方の植物食動物よりも周りの食料が多く、気温も暖かかったので、恒温、変温を問わず、これらの爬虫類が冬のアラスカで生き残ることはできたろう。また、恐竜が白亜紀後期の北極圏、通称”太陽の道”を2100km弱渡った可能性もあり、1km/時で一日のうち半分は歩けただろう。寒冷地域の厳しさと、冬場の長さは具体的には知られていないが、渡りをするほどのものであったかどうかは分からない。
Johnson(1990)は、トロサウルス半直立の前肢をした新たな復元を発表した。これは十分な証拠に基づくものではない。トリケラトプスかトロサウルスのものとされたMaastrichtianの足跡化石は、後肢が体の正中線をまたぐ形となっていた。手の痕は足の痕よりもやや外側にあり、手と手の幅は掌の幅の1.5倍ほどであった。同様の状況が他の恐竜や一部の偶蹄類の足跡化石にも見られる。骨格復元から、ケラトプス科の手は肩関節の直下にあり、完全直立歩行をしており、足跡化石とも一致した。Johnsonの骨格復元では、手が肩関節の外側に来ている。その理由として、a)前方の肋骨の誤った関節により、腕の姿勢が捻じ曲げられる点、b)後肢が正中線から離れすぎており、それによって手も正中線から遠く離れてしまう点があげられる。
ケラトプス科の前肢は、種内の闘争(外敵に対する攻撃ではない)で頭と頭をぶつけるため、二次的に半直立の姿勢をとったかもしれない。巨大な角竜、偶蹄類、そしてゾウのの通常の腕の動きと脊柱の強固さを対比すると、角竜は生力学的にギャロップ疾走が可能だっただろう。
角竜は伝統的に腹ばい気味の前肢として復元され、高速では走らないとされてきた。別の見方として、角竜がサイのように傍矢状の前肢運動ができ、現生のゾウよりも早く走れたとするものがある。角竜の骨格を組み立ててみると、前肢を伸ばすこと自体は問題なかったが、そのとき、肋骨や椎体との関節で解剖学的にいくつかのひずみが生じた。角竜の足跡化石からは、角竜の前肢の接地面が関節窩の真下に来て、手は側方を向くことが示された。さらに、前肢の足跡は側方を向いており、腹ばいになる爬虫類のような中央を向くのとは異なっていた。後肢の足跡は前肢の足跡よりも内側で、肘をやや外側に張ってたことを示し、また、大腿骨の遠位端の関節顆が、下腿がやや内側に向くことで、非対称になっていたことにもよる。あらゆるサイズの角竜で、肢はしっかりした屈曲関節を持っており、巨大な前肢は、腹ばいの復元が間違っていることを示している。奇麗に残った肩甲烏口骨と前肢との関節面は、前肢がほぼ傍矢状の可動域しかもたず、肘がわずかに張るくらいだったことを示す。最大の角竜の推定最高速度はゾウのそれを越え、おそらくサイと同程度だったろう。
内モンゴルの恐竜プロジェクトのフィールド調査で、7箇所からプシッタコサウルス類が採集された。2種の新種のプシッタコサウルスが発見され、はっきりと定義される種はこれで6種類となる。ひとつは、ほぼ完全な骨格に基づき、プシッタコサウルス・モンゴリエンシスに似るが、より小型で、大きめの頭と長めの尾を持つ。もうひとつは頬に角を備えるが、プシッタコサウルス・シネンシスやプシッタコサウルス・ジンジァンゲンシスとは異なる形質を持つ。プシッタコサウルス内で、より多くの標本と形質が知られることで、プシッタコサウルス属内での系統関係を十分にいえるようになる。プシッタコサウルスは小型の恐竜で、この仲間の骨格は風成層の化石としては驚くほど完全である。現生の同程度の大きさの哺乳類と比べて小さい脳を持ち、行動パターンはやや単純だったと考えられる。
後期マーストリヒト期の恐竜相は、多くの場合広域でなく、豊富な海岸平野で、大型植物食恐竜にとって限られたニッチェしかなかった結果とされる。彼らは地域的な裸子植物林から被子植物林への植生の変化にも適応し、北部の多様性の低いところへも進出し、南部では地域的な温暖によってカスモサウルス亜科−ハドロサウルス亜科主体相ができあがった。
北米産のプロトケラトプス類は、モンタナのマーストリヒト階とアルバータのカンパニア階から出た断片的なモンタノケラトプスの骨格と、アルバータとワイオミングの後期マーストリヒト階から出たレプトケラトプスが知られている。本報告では、アルバータのダイノソーパーク層、カンパニアン中期から出た北米最初のプロトケラトプス類を報告する。本標本は、レプトケラトプス属と思われる断片的な右歯骨と、ほぼ完全な左歯骨である。最近のアルバータの脊椎動物の微化石研究から、プロトケラトプス類の起源は2000万年ほど遡るらしい。アルバータでのこれらの小型鳥盤類の化石記録は稀で、これは海岸の湿潤環境に適応した大型角竜類から追われたことを示すのだろう。
骨層43はカナダ・アルバータの上部カンパニアンのダイノソーパーク層に少なくとも8つあるセントロサウルスボーンベッドのうちのひとつである。これまで、この産状は、恐竜が群れて社会構造を持っていた証拠とされたが、詳細な分析は今までなされていなかった。この骨層はバラけて、僅かに磨耗したセントロサウルス・アペルトゥスを産し、少量だが、大型ティラノサウルス類であるアルバートサウルス・リブラトゥスの歯も出る。化石は、古流路の浸食部あたりに堆積したり再堆積したりしたラグ堆積物が連続的に合わさった部分にある。一番考えうるシナリオとして、セントロサウルスが大きな動物の群れ(それはおそらく数千頭に上ったろう)の構成員で、沖積平野で溺れて死んだというものがある。バラバラの化石は、ボーンベッドよりも上流で見つかる。元のサイトか、その付近で獣脚類の抜け落ちた歯が数多く見つかることから、主としてアルバートサウルスのような獣脚類によって漁られたのだろう。続いて、化石化する前に、多くの幼体や流体力学的に軽いものが、死んだ場所から現在の位置まで運ばれたのだろう。残ったものの中で、データ上でははっきりとしたサイズ区分が示されているわけではないが、部分化石のサイズ分布は、小さな子供から成熟した大人に至るまで、現生の動物のそれと同様である。骨層43からの多量の標本データベースにより、セントロサウルスの成長に伴う頭部形態の変化を知ることができるだろう。
2つの新種、アケロウサウルス・プロクルビコルニスとアケロウサウルス・ホルネリがモンタナの上部白亜系に相当するTwo Medicine層から発見された。エイニオサウルス・プロクルビコルニスは2つの骨層から3つの頭蓋と無数の骨が見つかっている。アケロウサウルス・ホルネリは3つの頭蓋と1つの関節した体部の化石に基づく。セントロサウルス亜科の系統はセントロサウルス、スティラコサウルスを含む系統と、パキリノサウルスと今回の新種2つを含む系統に大きく分かれることがわかった。グループ内の形質を分析すると、性差によると思われる差異が頭の頂部に現れていた。さらに、角竜の進化パターンを見ると、この系統は白亜紀後期のBear Pow海進とともに、急速に進化したのかもしれない。
現生脊椎動物の行動と形態の相関関係と、古生物学と化石生成のデータを総じると、ケラトプス科の社会構造についていろいろと想像できる。ケラトプス科は種特有の頭部形態を発達させ、角やフリルに特に顕著に多様性が表れている。そして、それらはともに異性を認識し、また、競うために用いたと考えられる。単一種の角竜が同じ箇所に大量に死んでいる例が多いことから、角竜は少なくともある季節においては群居性の社会構造をしていたと考えられる。体の大型化と草の刈り取りへの歯の適応が同時に進化しており、ケラトプス科は低カロリー食者だったと考えられ、これまでの古棲息地の研究から、食物資源は地域によって異なってたと考えられる。性的二型があったとしても、最小限で、同じ箇所を性徴として用いるため、その多様度は大きく制限された。角やフリルのような性のアピールの道具は、少なくともセントロサウルス亜科では成長を遅らせていたようだ。敵対者との遭遇は、ディスプレイや闘争、そして負傷をもたらした。これらの証拠から、現生の動物と比較して、少なくともいくつかのケラトプス科の種は定期的に大きな、なわばりのない階層構造を持ち、さらに混性の集団を作ったのだろう。捕食者に対する防御は群れの大きさがものを言ったろう。
プシッタコサウルス類の新種、プシッタコサウルス・シンジャンゲンシスは、関節した状態の標本一個と、複数個体分のバラけた骨格に基づいている。種を同定する特徴は前方に平たくなった頬角と、上顎骨と歯骨の歯が珍妙なほど高いこと、腸骨の後寛骨臼部が細長いこと、そして、尾に骨化した腱が走っていることである。
新種のプシッタコサウルス類、プシッタコサウルス・メイレインゲンシスは保存状態の良い頭部と体部に基づく。頭蓋はその長軸と比べて比較的高く、楕円形の横顔をしている。この新種に特徴的な形質は、方形頬骨の低い角と、歯骨の腹側に顕著な縁があることである。
プシッタコサウルス・メイレインゲンシスとプシッタコサウルス・モンゴリエンシスが同層準から見つかっていることから、彼らが共存していたことを強く示している。
プシッタコサウルス・モンゴリエンシスの成長に伴う形質変化の研究である。分類的な見地では、プシッタコサウルス類には1属(プシッタコサウルス)と2種(モンゴリエンシス種とシネンシス種)がはっきりしている。新たに2種が中国の下部白亜系から産出し、それを記載した。
セントロサウルス属はコープの記載したモノクロニウス属とは異なる。モノクロニウスでは、鼻角の基底部が長く、横に潰れて、さらに反り返っており、そして成長してからも分離している。フリルの後端は薄く、フックや縁後頭骨を欠く。コープの記載したジュディスリバー産のモノクロニウス・クラッススとモノクロニウス・スフェノセルスはおそらく同一種で、スタンバーグの記載したモノクロニウス・ロウェイとは別種である。モノクロニウス・レクルビコルニスはセントロサウルスとされる。ブラキケラトプスはモノクロニウス属と同義であるとされた。モノクロニウス・ダウソニはブラキケラトプスではなく、セントロサウルスに入れられる。
モノクロニウス・ロウェイ、セントロサウルス・ロンギロストリス、そしてカスモサウルス・ルッセリィは全てアルバータのオールドマン層から産出した新種である。
2タイプの巣と卵化石がプロトケラトプスのものとされてきた。白亜紀のその他の生痕化石との比較から、これまでプロトケラトプスのものとされてきた巣は実は鳥脚類の巣であることがわかった。プロトケラトプスの本物の巣はあるが、これらはもっと小さく、単純である。50年以上も一般書や専門書に勘違いされてきた。その背景には、プロトケラトプスがクレーター状の巣に卵を産んだという先入観による。さらに、プロトケラトプスの巣は薄い土を被って、放射状になっていたためだろう。
アルリノケラトプス・ブラキオプスのタイプ標本だけが疑いなくアルリノケラトプス属と断定できる。しかし再記載が必要である。記載されたものとは異なり、鼻角は存在し、頬骨は長い前方突起がなく、鼻骨と吻骨は決して接しない。頭頂骨の内側は証拠不十分。これらの理由により、アルリノケラトプスには再記載が必要である。
ニューメキシコ州西部のズニ盆地にあるMoreno Hill層下部から、角竜のZuniceratops christopheri が発見された。Z. christopheri は幾つかの形質が角竜類の中で非常に独特のものであった。より派生したケラトプス科と近い特徴は、長く伸びたフリル、発達した上眼窩角、歯の垂直方向へのせん断構造、上顎骨の歯列の尾側への伸長、そして反り返った坐骨などである。Zuniceratops が保有している原始的な特徴は、比較的弱弱しい四肢の骨と、縦列に最大でひとつの交換しかできない、歯根がひとつだけの歯を持っていることである。凹型の鱗状骨はフリルの窓の相当の部位を占める。骨化石から知られている北米の角竜の分布はZ. christopheri の出るTuronian期まで遡ることになり、また、上眼窩角を持つ角竜としては最古のものである。Zuniceratops の研究から、ケラトプス科を特徴付けるいくつかの派生的な形質(上眼窩角や垂直方向に重なる歯など)が、セントロサウルス亜科やカスモサウルス亜科に共通して見られる2重歯根とデンタル・バッテリーといった特徴よりも以前に発達したことが判った。Ceratopsomorphaは、それ以降の子孫が目立った上眼窩角を持ち、Zuniceratops やアジアのTuranoceratops 、それからケラトプス科を含むものとする。
ここであげる標本は中国日本シルクロード恐竜探検隊によって、Mazongshan地域から得られた。プシッタコサウルスの新種、マゾングシャネンシス種はプシッタコサウルス科に入れられ、暫定的に系統解析を行なった。胃石の存在は大変興味深い。
角竜は非鳥類恐竜の中で、最後に登場し、最も反映した種族のひとつである。最近のどの系統解析でもケラトプシアの原始的グループがオウム様のプシッタコサウルス類とネオケラトプス類に分岐したことを示す。しかし、このグループの初期進化は、化石記録が不完全なため、ナゾが多い。今回、中国から原始的角竜を発掘した。分岐分析の結果、この新種はネオケラトプスの最も基幹部に位置することがわかった。この新たな分類群はネオケラトプス類の形質がこれまで知られているより多くあり、角竜の初期進化過程でモザイク進化をしていることがわかった。