xy色度図について(理科教育ML「色とは・・・」スレッド)

 

ちょっと長くなりますが、表色系、等色の説明からします。

 

 色を定量的に表現することを「表色」といい、表色のための定義や

規定からなる体系を「表色系」と呼びます。

色相、彩度、明度で表現するマンセル表色系は、代表的な表色系で

美術や印刷で良く使われるだけでなく、美術教育の基礎教育にも

よく使われています。色相環や色立体などは、ほとんどの場合

マンセル表色系やオストワルド表色系の表色空間を図示したものです。

 

 3原色の色を混合すると、任意の色ができることは先日来の議論で

出てきていますが、ある任意の色と、同じ色に見えるように3原色の

強度を調節して混合することを「等色」といいます。

 

 原色混合の等色はあまり簡単ではありませんが、加法混色(光の混色)の

場合は、等色の色(光)の強度を整数倍しても等色であり、等色の色同士を

加えて得られる色も等色であるという特徴があります。

そこで、任意の色を3原色の混合量で表現する表色系を考えると、

比例側や加法則が成り立つ表色系を作ることができます。

 ある3原色(原刺激と呼ぶ)[赤][緑][青]を基準にして、それぞれ

どれだけの強度で混合したものと等色かを調べれば、

その強度値(刺激値と呼ぶ)で色を表現できるわけです。

 

 国際照明委員会(CIE)は、標準として使用できる表色空間として、

3つの単色光を源刺激とする「RGB表色系」を決めました。

その中で、特定の波長の光が等色する3刺激値も発表しました。

波長から刺激値を求める関数を等色関数と呼びますが、これを使えば、

比例側と加法則が成り立つことから、任意の色の分光輝度あるいは

分光反射率を測定し、等色関数との積を波長方向に積分することで

3刺激値を求めることができます。この刺激値(R,G,B)を使った表色系を

RGB表色系と呼びます。明るさを無視して色だけを問題にする際には、

R,G,Bに比例して和が1となるr,g,bを求め、このうちのr,gの2次元平面上で

表現することがあります。これを「色度座標」と呼び、色度座標を平面上に

表現した図を「色度図」と呼びます。

 

 いくらほとんどの色を等色できるといっても、全ての色を[R][G][B]3つの

組み合わせで等色できるわけではありません。例えば[R][G][B]以外の単色

などです。この場合は、測定色と比較色の両方に同じ色を加えて等色し、

測定結果から加えた色の刺激値を引きます。加法則が成り立つからできる

方法ですが、これにより全ての色の3刺激値を求めることができます。

但し、上記の方法で求めたものには負の刺激値が含まれる場合もあることに

なります。

 

 で、このように求めたRGB表色系ですが、等色関数が負になる部分がある

ことなどから、計算が面倒だったりと多少不便な面もありました。

そこで、CIEはRGB表色系とは別に、等色関数が負にならないような

原刺激[X][Y][Z]を定め、XYZ表色系を作りました。XYZ表色系では

等色関数が負にならないだけでなく、3刺激値のYはそのまま測光量(明るさ)に

なっていること、Zの等色関数が錐体の分光感度の一つに一致していること

など、計算に便利なようにできています。また、RGB表色系とXYZ表色系は

相互に1次変換でき、計数も決められています。

# この原刺激[X][Z]は、現実には存在しない色(虚色)です。

#  最近は分光測色計がかなり手軽に使えるようになり、数秒で分光輝度

# あるいは分光反射率を測定して等色関数をかけ、XYZを出してくれます。

 

 XYZ表色系の3刺激値から、色度座標x=X/(X+Y+Z),y=Y/(X+Y+Z)が

求まります。これを図示したのがxy色度図(XYZ表色系の色度図)です。

# というわけで、X-Y色度図は私の誤りで、正しくはxy色度図でした。

 

 やっとxy色度図にたどり着きました。

xy色度図はこのようにして決められているので、全ての座標に対応した

色があるわけではなく、また色があっても印刷できない(インクで表現できない)

色もあります。ですからカラーのxy色度図に書かれている色は、目安でしか

ないのですが、私のような素人には結構役に立ちます。

#  プロは色がついていない方が正しい色を想像できるので、

# あの色は邪魔でしかないそうです。

 明るさ(明度)も含めて色を表現する際には、(x,y,Y)がよく用いられます。

 

 このように加法則が成り立つ系から切り取られた色度図ですので、

色度図上の特定の色と特定の色の混合色は、それぞれの色の色度図上の

点を結んだ中点(あるいは混合比で分けた点)になります。

ですから、ある3原色で作ることのできる色は、3原色を頂点とする

三角形の内側になります。逆にその外側は作ることができない色と

いうことになります。液晶ディスプレイや、CRTなどでは、

この三角形を使って色再現範囲を評価します(xyでなくて他の

空間を使うことも多いですが、表現の方法は同じです)。

 

 多くのxy色度図には、U字型のような線が書かれていますが、

これは、単色光のxy色度を示す点を結んだもので、単色光軌跡と呼びます。

ある波長の単色光がxy色度図上でどこに位置するかがわかります。

単色光軌跡の両端を結ぶ直線は、純紫軌跡と呼ばれ、可視スペクトル両端の

光の加法混色でできる色の線で、これと等色する単色光は存在しません。

世の中の色は、全て単色光の混合なので、上で説明しましたように、

単色光軌跡と純紫軌跡で囲まれた領域の内側だけが、実在する色(実在色)と

いうことになります。

 

 xy色度図で、x,y座標でなく、無彩色の点W(白色点と呼ぶ)からの

距離と方向で色を表現する場合もあります。Wから、ある色を示す点に

向けた線を延長し、単色光軌跡と交わった点の波長を主波長と呼びます。

また、Wからの距離を単色光軌跡と交わるまでの距離で割った値を

刺激純度と呼びます。その色は主波長の単色光と白を混合することで

得られ、刺激純度が高いほど主波長成分が強いことになります。

ですから、刺激純度は彩度を大まかに表現しているともいえます。

延長線が純紫軌跡と交わる場合は、反対側に延長して補助主波長とします。

この場合はその色と補助主波長の光を混合すれば白になります。

 Wは、通常光源色に対してはx=y=1/3を、物体色に対しては照明光の

色を使います。

 

 物体色の場合は、照明光の色によって白がずれてくるわけで、

そのために照明光の色を決めておく必要があります。

xy色度図の真中あたりに曲がった線があれば、たいていそのための線です。

 ある温度をもった黒体からの輻射の色をxy色度図上で表現したものは

黒体軌跡と呼び、千Kあたりから∞Kまで線が引かれています。

黒体軌跡はPと書かれていることがあります。

これに交わるような線が何本もあれば、等色温度線で、光源の相関色温度を

求めるときに使います。相関色温度とは、その色に最も近い色を出す

黒体の温度です。

 また、Dで示された昼光軌跡が書かれているかもしれません。

これは、多くの時刻、天候での昼光を解析し、よく近似する2次曲線を

求めたものです。

 他にAとかBとかの点が書かれているのは、CIEが決めた測色用の

標準光源の色度です。白熱電球照明の時に使うA標準光源、直接太陽光で

照明する時に使うB補助標準光源、昼光で照明するときに使うC標準光源、

昼光照明のためには他に色相関温度の異なるD50、D55、D75(それぞれの

数字は下付き文字)などもあります。

 

 注意しなければいけないのは、xy色度図上の距離は人間の感覚での

色の差とは一意に対応していないことです。人間が同じ位違う色だと

判断する色同士でも、xy色度図での距離sqrt(x^2+y^2)は同じとは

限りません。xy色度図左下の青紫付近では、色度の僅かの差でも

識別できるのに対し、上の方、緑色の付近では約10倍の差でやっと

識別できるといった具合です。

 xy色度図上で、人間が色の違いを識別できる限界の大きさの目安を

いくつもの楕円で示すこともあります。

 

 心理的距離と座標距離が一致する表色空間を均等色空間といいますが、

XYZ表色系は均等空間になっていません。これに対し、均等色空間として

CIEからはW*V*W*(*は上付き文字)やLAB、LUVといった空間勧告されています。

こちらは印刷の色合わせなどでよく使われます。

 

 

 ここまで読まれた方、お疲れ様でした。以上でおわりです。

# 図なしの説明は、われながらわかりにくい、

# やっぱり黒板は貴重です。

 

00/01/16 作成 fuji

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