伊豆半島の旅
動機、準備段階
自転車旅をしたいとは思っていたが、自転車も持っていなく実際旅をする予定は全然なかった。しかしその年のゴールデンウィークが近づき、ふと「この連休で自転車旅が出来るんじゃないか」と思った。伊豆一周をした旅日記も読んでいたので、伊豆一周がしたくなった。
ただ時間がない。連休まであと1週間位しかない。自転車は興味を持ってから色々調べたり見に行ったりしていたが実際どれにしようかは決めてなかった。出発の3日前に自転車を購入。最初タイヤの外し方(輪行袋に入れるため)や空気の入れ方がうまくいかずかなり悪戦苦闘した。こんなんで本当に行けるのか不安になった。後日、買った店に行って聞いたりしてなんとか習得。その他、輪行袋やシュラフ等を買ったり、コースもいろいろ調べた。
旅の行程は、1日目は熱海駅まで電車で輪行し、熱海〜下田。2日目は下田〜最南端の石廊崎〜土肥。3日目は土肥〜行ければ箱根を越えて小田原駅、そこからまた輪行で帰る。旅中の宿泊は基本野宿(道の駅等)。テントは持ってないのでシュラフ(寝袋)のみ。
1日目 〜いよいよ出発!〜
準備段階でいろいろ苦労したが無事出発。電車に乗り7:40熱海到着。さあ!いよいよ出発だ!と思い自転車を組み立てようとすると・・・あれ?・・・ない・・・リュックがない・・・あ・・・電車の網棚に・・・。頭が真っ白になった。今まで立ててきたプランが一気に崩れていく音がした。まだ出発もしてないのに、もうダメだ・・・。とりあえず駅員へ聞くと、8:05に沼津に着くという。意外に早い。間に合うかも。しかし、こちらに送ってもらう事は出来ず、沼津まで取りに行かないとダメとの事。JRは融通がきかない・・・。でも、ダメだと思ったことがなんとか大丈夫そうでそれだけでもよかった。熱海駅前に自転車を置いて電車で沼津に向かう。沼津までの往復がとてもとても長く感じた。
結局2時間遅れの10:00スタート。しょっぱなから大トラブルだった。今度こそ本当にスタートだ。夢だった自転車旅、まさか本当に出来るとは思わなかった。ドキドキし熱海駅をスタート。まずはビーチまで急坂を下っていく。
ビーチでパシャリ!
コンビニで水を買い快調にスタート・・・と思いきや上り坂でいきなりチェーンが外れる。すぐに直し、最初のトンネルへ。震災の影響で照明が節電モードになっており(そう書いてあった)、暗くて怖い。トンネルを越え順調に進む。
網代や宇佐美で時々休みながら、順調に伊東に到着。ヤバイ、楽しい!伊東マリンタウンに入り人目を気にせず試食しまくる。そして「じゃんがらラーメン」を食べる。東京にある有名なじゃんがらラーメン(博多とんこつ)とは似ても似つかず・・・なんか味噌っぽかった。店内になぜか大漁旗もある。
少し休んで出発。途中、国道135を外れ県道109へ、城ヶ崎方面へ行く。川奈いるか浜へ到着。海の水がとてもきれい。そこから急な上り坂になる。この旅最初の急な上りだ。その後もアップダウンが続く。恐るべし川奈。
途中左へ折れ城ヶ崎海岸へ急坂を下る。城ヶ崎海岸への道はここから往復になるので、帰りはこの急坂を上らないといけないと思うと憂鬱になる。駐車場に着いて、そこからハイキングコースを歩いて30分位の門脇吊り橋へ。人はそれほど多くない。
吊り橋の真ん中から
自転車に戻り、下ってきた急坂を上る。つらい、川奈からこの辺でだいぶ体力を奪われた。国道に合流し赤沢で足湯に入り休む。今半分くらいだ。そこから海沿いの国道を激走。車がビュンビュン横を通り怖い。
熱川の手前、あまりに辛く休憩する。午後になり風が出てきたのだ。歌を歌い「頑張ろー!」と気合いを入れ出発。アップダウンを繰り返し、稲取、河津を越える。河津を越えてからの大きなヘアピンカーブの上りが辛かった。長い長い上りを越え白浜へ。やった!あと少しだ。最後の峠を越え、17:00頃やっと下田へ到着!

無事付いて、ほっ・・・。
コンビニで夕食の弁当を買い下田駅で食べ、事前に調べていた昭和湯(300円)に入り、また駅で時間を潰し、下田公園へ行く。今日はここで寝る。最初東屋で寝ようとしたが、風が強く建物の裏に移動。風は強いしシュラフだけでは寒いしなかなか眠れなかった。
2日目 〜マーガレットライン〜
5:00起床、身支度をして出発する頃ちょうど朝日が昇ってくる。寒いのでカッパを着てスタート。コンビニで朝食の弁当を買い下田駅で食べ6:00出発、国道136を進む。最初の軽いアップダウンを越えると、あとはのどかな平坦な道が続く。途中道の駅でストレッチし、カッパを脱ぐ。銀の湯では湯気が所々で上がっている。
差田から石廊崎方面へ。アップダウンが続く。途中9%の下り坂があり、帰りの事を考え憂鬱になる。

石廊崎へ行く途中
石廊崎の入口が分かりづらく通り過ぎてしまったりしたが、なんとか入口に到着。自転車を置き、結構歩いて岬へ。歩いていく途中廃墟となった観光用の建物がいくつかあった。石廊崎の先端に到着。人はほとんどおらずゆっくり景色を眺める。下の磯では釣りをしている人が何人かいた。
石廊崎から見た右方向
石廊崎からはまた差田へ戻る。9%の上り坂はジグザクに漕ぎ何とか足を着かずに登り切る。やっと差田へ戻り国道136を松崎方面へ。平坦な道を快走するが左折した頃からまた上り。しかもかなり長い。上りきれず途中で休み、歩いて上る。峠の頂上がトンネルになっていてそこから妻良までは下りだ。妻良のすぐ先のトンネルからまた上りになるので手前でちょっと休憩。ケツが痛い!
そこからの上りがキツかった。途中また歩く。伊鈴大橋でおじさんチャリダーに抜かれ、「こんにちは」と挨拶される。こんな坂道をスイスイ上っていくなんてすごいなと思う。歩いては漕ぐが、完全にガス欠で気持ち悪くなってくる。これが“ハンガーノック”か・・・。ひたすら歩いて押す。途中休みながらひたすら・・・。もうヤバイと思った頃「峠の茶屋」発見!干し柿と夏みかんを買う。ここのおじいちゃんがのんびりしていい感じの人だった。水も自販で買い補給。疲れてるので道路に座り込んで干し柿と夏みかんを食べる。干し柿めっちゃうまかった。ちょっと回復。
助けられた峠の茶屋
上りはまだまだ続く。また押す。時々休んでは押す。足がヤバイ。この辺はマーガレットラインと言うのだが、そんなかわいらしいものではない。恐るべしマーガレットライン・・・。
「お食事処」があったので入ると、もうやっていないと。代わりに夏みかん貰う。ありがとうおばちゃん。やっとの思いで夕陽丘休憩所へ到着。そこでカレーライスを食べるが気持ち悪くて少しずつ食べる。その後東屋で少し寝る。足が限界・・・つりそう・・・。今日土肥まで行くのは無理そうだ。目的地を松崎に変更。しかし松崎までまた上りがあったら辛い。本気で引き返そうか迷う。バスだったり色々考えた。バスも本数少ないだろうし、このまま無事帰れるかさえ不安。
ひと眠りし・・・だいぶ回復したので、松崎へ行く!もう下りだろうと思いきや下りはすぐ終わりまた上り!その繰り返しで、その度「またかよー!」と叫んでしまう。そしてやっとやっと長い下り!雲見まで一気に下る。
雲見温泉を発見。入浴しようか迷うが、せっかくここまで来んだし疲れも回復させたいから入る事にする。長い階段を降りていくのだがそれだけでも足がつらい。温泉には(地元の人?)3人位しかいなくすんなり入れた。めっちゃ気持ちいい・・・。目の前が海だし眺めも最高。少し回復。
松崎までまた上りが続くが、コツを掴んだのか、慣れてきた。ギアを一番軽くし、一漕ぎ一漕ぎ歩くようなペースで上る。そしてやっとやっと松崎への長い下り。やったー!やっと松崎だ。無理かと思った。松崎が見えた!
松崎の市街地に着き、さて、どこに泊まろうかと地図を見ていると、家のおじさんが「どこ行くの?」と聞いてきた。「この辺に公園ありますか?」と聞くと道の駅三聖苑を勧めてくれた。う〜ん、ちょっと遠いからやめようと思ったけど(5km位内陸)、勧めてくれたって事はこの辺に公園無いんだし安心して泊まれるんならと行く。途中イオンで夕食買う。川沿いの平坦な道を快走。足もそんなに辛くない。

道の駅に行く途中、松崎の花畑
道の駅に着くが、東屋がない。考えた結果、この道の駅には入浴施設と休憩室があるので、入浴し休憩室に閉館の20:00までいて、それから軒下でシュラフで寝る。今は入浴し、その休憩室で日記を書いている。
3日目 〜雨、そしてゴール〜
5:00起床。昨夜はやはり寒くて、あと地面が固くてなかなか寝付けなかったが、それでも初日よりはよく眠れた。怪しい天気だ。天気予防を見ると午後から雨。カッパの下だけ履いて身支度して出発。昨日来た川沿いの道を快走。気持ちいい。サークルKで朝食。ボリュームたっぷりの弁当で食べるのに30分くらい掛かってしまった。ストレッチして出発。今日は体調がいい。国道136にぶつかり右折、平坦な道を快走する。堂ヶ島を通過。その後も思ったほどアップダウンはきつくない。
そして黄金崎トンネルに差し掛かる。1km弱もあるトンネルだ。慎重に慎重に進む。(トンネルを走る時、自分は基本歩道なのだが、ほとんどのトンネルは歩道が幅が1m位しかなく段差が20cmくらいありガードレールがない。つまりバランスを崩して車道側に倒れたら大変キケンなのだ。しかも壁側はすすがいっぱいで触れたくない。しかも今回は節電の影響でトンネルの真ん中辺りはほとんど真っ暗)。途中後ろを振り返るが「まだこれしか進んでないの!?」っと入り口がまだ近い。朝なのでまだ車が少ない分よかったが集中して進む。やっと出口に到着し「ふう〜」と一息。
それから下ってとりあえずの目的地、宇久須へ到着。宇久須キャンプ場でしっかり休憩。先を見るとこれから急な上りだからだ。それに備えて東屋で休憩。出発しようと思った頃、ついに雨が降ってくる。この旅初めての雨だ。カッパを着てリュックにはゴミ袋とゴムひもでうまくザックカバーのようにする。うん、思ったよりうまくいった。
さあ上りだ。昨日学んだ通りギアを軽くしてゆっくりゆっくり上る。キツイ上りだが辛くない。なんか上りが楽しい。土肥からの峠越えが楽しみだ。昨日なら考えられないことだ(笑)。
恋人岬へ到着。写真を撮ろうかと思ったが、雨で面倒だったのでやめてしまった。恋人岬がちょうど峠の頂上だったみたいで、そこから一気に下り。雨なのでゆっくりゆっくり下る。下り切った所のファミマで休憩。ここが土肥だと思ったら違うようだ(八木沢?)。
出発しようと思った時、排水溝の柵にすべり転倒・・・しそうになった。とっさに足を付いて大丈夫だった、が、弾みでチェーンが外れてしまったようだ。ふぅ〜危なかった。ヒヤッとした。やっぱ雨の日は注意が必要だ。自転車をひっくり返して直していると、ライダーの方が「大丈夫ですか?故障しちゃった訳じゃないですよね?」と声を掛けてきた。大丈夫ですと答えると「自転車で旅をするチャリダーの方ですか?」と聞かれた。はたして自分がチャリダーと言っていいのかわからず「2泊3日で熱海から伊豆一周してます。」と答える。すると、連れの人と「チャリンコはキツいよ〜」等と話していた。ライダーさん達は気ままに走ってキャンプしているらしい。「頑張ってください」と言われ先に出発し後からライダーさん達に抜かれる。抜かれる際にお互いガッツポーズをする。ライダーはバックミラーでも確認しているという話を聞いていたので、抜かれてからもガッツポーズをしたら返してくれた。話に聞いていた事が実際体験できてすごい嬉しかった。チャリダーと言う言葉も実際初めて生で聞いた。っと、2km位走った所でライトを忘れたのに気づき「くそー」と思いながら戻る。ちょっとロスだ。
そしてついに土肥に到着!「やったぞー!」と思わず叫んでしまった。本当は昨日の目的地だった土肥。けどつらくて来れなかった。その分余計に嬉しかった。自転車は頑張って目的地に着いた時の嬉しさがハンパない。自分の力で来たんだ!という思いだ。これが自転車の魅力だろう。着いた時はホント嬉しい。
土肥のセブンで休憩。ちょっと考える。この先旅人岬に行こうと思っていたが、天気悪いし眺望も無いだろうからやめた。このまま峠アタックする!ならばと思い、ハンガーノックにならないよう弁当買って食べる。水も補給。あと、昨日おばちゃんに貰った夏みかんを食べる。「疲れが取れるから」と言っていたなぁ。ストレッチもして準備万端。
10:00頃出発。小雨だ。国道136を進み10:30位から本格的な上りになる。ギアを軽くし一漕ぎ一漕ぎ進む。登山と同じような感じだ。一漕ぎずつ、しかし確実に上っていく。足はつらくない。すっかりコツを覚えなんだか楽しい。上に進むに連れ霧が出てきた。天気がよければ眺望はいいのだろうが、真っ白。すごい角度をそれ程辛くなく上る。途中お土産屋があり寄る。
お土産屋。霧がすごい
何も買わず出発。上りはまだまだ続く。すると「カニ汁無料サービス すぐそこ」と言う看板が出てくる。よしっと思い進むがなかなか着かない。車では「すぐそこ」かもしれないがチャリなら大変だ。やっと到着。カニ汁を飲む。うまい!写真も撮る。
カニ汁
するとドライバーさんから声を掛けられ伊豆一周している事を話すと「ずいぶん大変なコースをとっているんですねぇ。頑張ってください」と言われる。やっぱ大変なコースなんだよなぁ。まだ初旅なのに・・・。
土産物屋を1回りして出発。まだまだ上りは続く。でも辛くない。急な上りでもゆっくりだがそれ程辛くなく登れる自分が嬉しい。昨日追い込まれた末に掴んだコツだ。そして頂上の船原トンネルへ。やった、このトンネルの途中から下りだ。しかし、このトンネル、今までの最長の1km以上もあり車の通りも多い。慎重に慎重に進む。車が来たら時折止まる。歩道にホイールや物が落ちていたりしてホント神経使った。今までで一番怖いトンネルだった。
そしてトンネルを抜けて下りへ。12:10、約1時間半掛けて上ってきた。これから長い長い下りだ。雨なのでゆっくり下る。緩やかになりトップギアに入れ快走。下り切るのに30分位掛かった。下るに連れ雨が強くなってきた。下り切った頃にはドシャ降り。
国道136を三島方面へ。屋根付きのバス停でパンを食べルート確認。当初寄る予定のなかった修善寺に行ってみようかと思う。ドシャ降りの中136を激走し程なく修善寺へ。観光案内を見ると「独古の湯」なるものがある。川沿いに建てられた無料の足湯だ。メイン道路を進んでいくと温泉街が現れる。雨だが情緒たっぷりだ。独古の湯がすぐ目にとまりチャリを置き入る。熱い!50℃くらいあるんじゃないか!?足だけ入れるのだが3秒と入れてられない。何度もトライし徐々に慣れてきてしばらく浸かっていられるようになって来た。が、熱い!他にも数人いたのだが、皆「熱い」「熱い」とすぐに足を出してしまっていた。
真ん中が独古の湯
その後竹林や温泉街をブラブラし出発。やはりドシャ降りだ。136をひたすら北上。靴の中までビショビショになってきた。おまけに車道が狭く歩道を走っていたのだが、デコボコでケツが痛い。伊豆長岡で温泉に入る予定だったが、雨だしめんどくさいので通過。このまま一気に三島を目指す事にする。平坦で真っ直ぐな道なのだが長く感じる。三島はまだかと思いながら走っていた。と同時にもう旅も終わりに近づいてるんだなぁと思っていた。最初にリュックを電車に置いてきちゃったり、いろんな事があったけど、無事ここまで来れたんだなぁ、よくここまで来れたなぁ等と考えていた。
三島が近づくに連れ渋滞も出てくる。三島大社の手前を左に曲り、そして、いよいよ三島駅方面へ右折。駅が見えてきた!やったー!着いたぞー!ゴールだ!お疲れ様〜と駅前で写真をパシャリ。15:56無事ゴール。雨で後片付けが大変だったが、何とか自転車を輪行袋に入れ帰った。
END
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