−声劇用台本−
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Delete−R(デリーター) 第1話 『依頼人』
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■登場人物
レイス=正義(まさよし)=ランスフォート゛ 男27才位
触れることで相手の記憶を削除することができる能力を持つ。
ハーフで整った顔立ち。普段は軽いノリ。記憶削除能力の
デメリットを抱えながらも、贖罪を繰り返す。
木村 由佳(きむら ゆか) 女25才
元ヒプノセラピスト(催眠療法士)。しかし、レイスと出会い
その能力を知ってから、レイスと共に事務所経営を始める。
論理的な思考を基本とする。しかしレイスと行動を共にする
ようになってから、少し感情的な部分が増幅した。
大宮 誠真(おおみや せいしん)男32才
ケーキ屋【アンレーヴ】の店主。一人の娘を持つ父親。
真面目で包容力がある。店主目当ての女性客は多い。
北路 麻衣(きたじ まい) 女19才
記憶削除の依頼をしてきた若い女性。
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■配役(2:2:1)
レイス♂(L16):
由佳 ♀(L21):
誠真 ♂(L04):
麻衣 ♀(L06):
N 両(L12):
※全キャラ性別を原作では設定しますが、劇においてその限りではありません。
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N :人は、記憶をしながら生きていく。
無意識に記憶し、無意識に引き出す。
好む、好まざるに関係することなく
自らを生かすために記憶を生かす。
N :しかし、時として。
自らの記憶で殺されることもある。
由佳 :「Delete−R(デリーター) 第1話 『依頼人』 」
N :ある寂びれたビルの一室。
小さい曇りガラスが張られた、色褪せた青いドア。
内装は所々傷んでおり、ビルの肌が露わになっている。
ピリリリリリリリ・・・・
N :広いとは言い難いが、決して狭いわけでもない。
中央には、2人掛けのソファがテーブルを挟んで2つ。
ピリリリリリリリ・・・・ピッ
由佳 :「はい。」
誠真 :「【マロン】が入りました。」
由佳 :「分かりました。すぐに伺います。」
N :青いドアを開けると、目の当たりにする1つの机。
それは受付窓口であり、秘書兼助手である木村 由佳(きむら ゆか)
のデスクでもある。今鳴っていた電話ベルは、彼女の携帯の着信音だ。
由佳 :「主様(あるじさま)、ケーキが入りました。」
レイス :「・・・ちょっと、待ってくれぇ。」
由佳 :「主様。」
レイス :「セーブポイントまで、時間が掛かりそうなんだ・・・。
先に行っててくれないか?」
N :主と呼ばれている男が、このボロ事務所の長(おさ)である。
どうやら、最近発売したばかりのゲームで忙しそうだ。
肝心の本職は・・・この様子を見れば想像が付くだろう。
由佳 :「早くしてください。」
レイス :「オレに言うなよぉー。遠慮せず沸いて出てくる敵に文句を言ってくれ。」
由佳 :「わかりました。では、お手伝いします。」
N :平坦な声調でそう答えると、由佳はツカツカと彼に近寄り
ほんの人差し指で彼の苦悩を取り除いてあげたのだ。
途端、寝そべっていた彼がソファから飛び起きる。
レイス :「のぁ!?」
由佳 :「これでもう大丈夫ですね。」
レイス :「おまぇ・・・ゲームの電源消すなよ!?」
由佳 :「敵はもういません。さぁ、行きましょう。」
レイス :「おー・・・い。また消しやがってぇ・・・。」
N :また消されたと言うことは・・・つまり、いつもこんな調子なのだ。
レイスは、起こした身体を力なくソファに横たえようとしたが、
由佳がそれを許さない。
由佳 :「寝ない!!」
レイス :「はい・・・。」
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N :二人は事務所を後にして、道路を挟んでビルの斜め向かいにある
ケーキ屋へ向かった。ケーキ屋の名前は【Un reve(アンレーヴ)】。
フランス語で【夢】という言葉だ。
カランカラン・・・
誠真 :「いらっしゃませ。」
由佳 :「こんにちは。」
N :彼がこのケーキ屋の主人であり、一人娘の父親でもある。
大宮 誠真(おおみや せいしん)。
訳あって、レイス達の仕事の手助けをしている。
レイス :「どーも。景気はどう?」
誠真 :「ケーキ屋だけに・・・って。そろそろ新しい挨拶はどうかな?」
レイス :「なんだよぉ、今日は機嫌悪いのか?」
由佳 :「主様。仕事が待っていますので。」
レイス :「うわ、もっと機嫌悪いヤツがいたんだ・・・。」
誠真 :「また何かやらかしたのですか・・・。」
レイス :「いやー、いつもの事よー。」
由佳 :「・・・自分で分かっているなら、学んでください。」
レイスN:味に定評があり、しかも店長は子持ちながら女性客の人気も良い。
お客が居ないのを見たことが無い・・・というのは、少し言いすぎか。
オレは仕事以外でこの店に来ることはほとんど無いからな。
だから、オレが知っている限りではいつもお客が居る、
・・・と言い変えておこう。
由佳 :「こんにちは。」
麻衣 :「あ、こんにちは。」
由佳 :「【マロン】を頼んだのは貴女ですね?」
麻衣 :「はい・・・。」
レイスN:店の奥に、他の客席からは目の届きにくい席がある。
【マロン】を頼んだ依頼人は、必ずこの席へ案内される。
この席を使い始めたのは、いつからだろう・・・?
もう、オレの浅い記憶には残っていないようだ。
由佳 :「それでは、お話を伺いたいのですが・・・その前に。
概(おおむ)ね御理解されていると考えて宜しいですか?」
麻衣 :「・・・何を・・・ですか?」
由佳 :「私どもの業務内容と、契約。それとお支払いについてです。」
レイス :「相変わらず事務的で・・・。」
由佳 :「・・・。」
レイス :「・・・素敵だね・・・。」
N :レイスは、由佳に睨まれて咄嗟に取り繕った。依頼人は
緊張しているのか、そんなやり取りを余所にうつむいたまま固まっていた。
麻衣 :「あの・・・ごめんなさい。契約って何ですか?」
由佳 :「契約といっても畏(かしこ)まる必要はありませんよ。」
麻衣 :「保証人が必要とか・・・そういった事は・・・?」
由佳 :「大丈夫です。御本人様との確認が取れれば、私どもは問題ありません。」
レイス :「まぁ、仕事の内容が内容だけにね。」
由佳 :「弊社では守秘義務を徹底しております。もちろん個人情報についても
他に漏らすようなことは絶対にあり得ません。」
麻衣 :「・・・よかった。」
N :依頼人は少しホッとしたようで、小さい笑みがこぼれた。
しかし、その依頼内容に今度はレイスが固まることになるのだった。
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<第2話へつづく>