−声劇用台本− ---------------------------------------------------------------------------- Delete−R(デリーター) 第2話 『Delete(デリート)』 ---------------------------------------------------------------------------- ■登場人物 レイス=正義(まさよし)=ランスフォート゛ 男27才位 触れることで相手の記憶を削除することができる能力を持つ。 ハーフで整った顔立ち。普段は軽いノリ。記憶削除能力の デメリットを抱えながらも、贖罪を繰り返す。 木村 由佳(きむら ゆか) 女25才 元ヒプノセラピスト(催眠療法士)。しかし、レイスと出会い その能力を知ってから、レイスと共に事務所経営を始める。 論理的な思考を基本とする。しかしレイスと行動を共にする ようになってから、少し感情的な部分が増幅した。 大宮 誠真(おおみや せいしん)男32才 ケーキ屋【アンレーヴ】の店主。一人の娘を持つ父親。 真面目で包容力がある。店主目当ての女性客は多い。 北路 麻衣(きたじ まい) 女19才 記憶削除の依頼をしてきた若い女性。 ---------------------------------------------------------------------------- ■配役(2:2:1) レイス♂(L14): 由佳 ♀(L18): 誠真 ♂(L06): 麻衣 ♀(L15): N 両(L10): ※全キャラ性別を原作では設定しますが、劇においてその限りではありません。 ---------------------------------------------------------------------------- N :事務所でゲームに興じていたレイスは、仕事の依頼を優先させられて 勇者達を電源から消されてしまった。助手の木村 由佳にしてみれば 仕事を優先するのは当然のことだった。 誠真 :「Delete−R(デリーター) 第2話 『Delete(デリート)』 」 N :そして訪れたケーキ屋【アンレーヴ】の一角で、 一組の男女と一人の女が商談をしていた。 この女性。最近では、めっきりと数の減った貴重な依頼人なのだ。 そのためか、由佳は少し気合が入っているようなのだが・・・。 由佳 :「・・・では、契約の前に依頼内容を確認させて頂きます。」 麻衣 :「え? そうなんですか?」 由佳 :「依頼の内容によっては、お受け出来ない場合があります。」 麻衣 :「わかりました。・・・そう・・・ですよね。」 レイス :「・・・。」 レイスN:これと同じ様な光景が記憶の沼から顔を出してきた。 まるでソレに引きずり込まれるかのように、心と体が重くなってきた・・・。 これでは冒険の途中で頓挫(とんざ)した勇者達が浮かばれない。 ・・・そんなことを考えてたりしてた。 由佳 :「では、どうぞ。」 麻衣 :「実は、2年半付き合った彼が居たんですけど・・・。」 レイスM:「やっぱりだ。またこれか・・・。」 N :レイスの表情から張りが無くなった。 どうやら、脳内で独り言を始めてしまったようだ。 由佳はそんなレイスに気付いたが、咎(とが)めるような様子は無い。 麻衣 :「彼の浮気が原因で半年前に別れたんです。 それからスグに今の彼と付き合い始めて同棲してるんですけど。 ついつい、元彼の名前とか思い出のある場所とかで 今彼に勘違いして話しちゃうんですぅ。 今度はそれが原因で今にも別れそうな所まで来ちゃってて・・・。」 由佳 :「・・・はい。」 麻衣 :「でも、私別れたく無いんです。 本当に好きなんです。愛してるんです!」 レイスM:「あーぁ、ゲームのセーブしてないから、どっからやり直しだっけ?」 由佳 :「・・・・・・はい。」 麻衣 :「なので・・・私の頭から、元彼の記憶を消して欲しいんです!」 N :依頼人は盛り上がっているようだが、レイスはすっかり向こう側に 行ってしまっている。由佳はチラリと彼の様子を伺うが、 小さくうなだれて溜息を一つついた。レイスの態度に呆れた訳では無く この仕事が契約範囲外であるということにだ。 由佳 :「お話は分かりました。」 麻衣 :「お願いできますか!?」 レイスM:「なんか、眠くなってきた・・・。」 由佳 :「主様(あるじさま)。」 レイス :「ふわぁーあ・・・。」 由佳 :「主様。」 レイス :「あ?終わった?」 N :依頼人は明らかに怪訝な表情でレイスを見ていた。 これほどやる気の無い態度を取られては、 お願いをしている立場とは言え 気分を害さずには居られないだろう。 麻衣 :「あの・・・。本当に出来るんですか?」 レイス :「出来るのかって、何を?」 麻衣 :「記憶を消してくれるって聞いたんですけど。」 レイス :「んーむ。」 由佳 :「聞いた。というのは、どなたから聞いたのですか?」 麻衣 :「いや、あの。聞いたんじゃなくてネットで見て・・・。」 由佳 :「そうですか。・・・では、今日ここに来る事。 私どもの事。記憶の消去の事は、貴女しか御存知ないんですね?」 麻衣 :「・・・はい。」 由佳 :「主様。」 N :声調は先ほどと変わらないように感じたが、 レイスには何かの合図と分かったようだ。 もちろん、レイスも既にそうするつもりでいたのだが。 由佳 :「では、手を出して頂けますか?」 麻衣 :「え、はい。」 由佳 :「片手で結構です、お好きな方の手をこちらに伸ばして下さい。」 レイス :「じゃあ、ちょっと触れさせてもらうよ。」 N :依頼人は、レイスの手が伸びてくると一瞬怯える様に ビクッと手を引いたが・・・ レイスと由佳の表情を確認すると、力を抜いて腕を預けた。 由佳 :「では、私どもの事を知った時のことを思い出してください。」 麻衣 :「・・・はい。」 N :依頼人はゆっくりと目を閉じて、記憶の糸を手繰り始めた。 レイス :「・・・。」 N :レイスは、虚空(こくう)を見つめたまま無言でうなずく。 由佳はそれを確認すると、依頼人へ更に記憶を辿るよう要求した。 由佳 :「では、次に。今日ここに来て 私どもに会うまでの事を思い出してください。」 麻衣 :「・・・はい。」 レイス :「・・・おいおい、男の事は思い出さなくていいから。」 麻衣 :「っ! す、すみません。」 レイスM:・・・・・・OK、捉えた。 --------------------------------------------------------------------------- <同【アンレーヴ】店内> N :レイスと由佳は、店内の別の席に二人で座っていた。 依頼人の麻衣は先ほどの席に一人で座ってボーっとしている。 誠真 :「お疲れ様でした。」 由佳 :「お疲れ様です・・・。」 誠真 :「・・・はは、どうやらまた仕事にはならなかったようですね。」 由佳 :「ええ。でも、仕方ありません。」 誠真 :「では、お客様には注文を伺ってきますね。」 由佳 :「はい。宜しくお願いします。」 レイス :「いつも悪いねぇ。」 誠真 :「いいえ。」 誠真N :私は、彼。レイスに恩がある。 彼はそう思っていないようだが・・・、今の私があるのは彼のお陰なのだ。 ---------------------------------------------------------------------------- <第3話へつづく>