声劇用台本 ====================================================================== ■タイトル 後ろ向きラジオ −12/23 23:55− ========================================================================== ■ジャンル コメディ ========================================================================== ■登場人物 DJ (♂):深夜ラジオ番組のディスクジョッキー リスナー(♂):新田 忠司[にった ただし] 大学受験を控えた高校生男子。独り言。ツッコミ担当。 ゲスト (♀):島田 奈美[しまだ なみ] 謎のアイドル(?)にこやかにキレる。 ========================================================================== ■配役(2:1:0) 所要時間:12分〜 DJ(♂)[L41]: ゲス(♀)[L28]: リス(♂)[L33]: ※L**:セリフ数 ========================================================================== ■台本 リス:「あーあ、勉強だるいなぁ。」 (天井裏の小部屋に監禁されてる息子) リス:「ったく、終わるまで部屋から出てくんなとか。どんだけだよ。」 (部屋の中を見回す) リス:「この部屋、なんにもねーな・・・。ん?なんだこれ?」 (机の上にあった機械を手に取り、ボタンを押す) (SE:ラジオのチューニング音) DJ:「はぁーい。皆さん、こんばんは。 12月23日、11時50分になりました。 リス:「うお! ・・・これ、ラジオか? うわ。初めて見た。 そういえば、ラジオとか聴いた事ないなぁ。」 DJ:「ミッドナイト・レィディオ。【ハリキリ・トゥデイ】の時間です。 今夜もお相手は、『貴方の聴覚野を酔わせたい。』ソルト・ペッパーです。」 リス:「ま、いいや。CD代わりに聴きながらやるか。」 DJ:「いや〜、すっかり寒くなりましたね。気がつけば、もうクリスマスですね。」 リス:「嫌な季節だ。」 DJ:「去年のクリスマスは、どんなクリスマスを過ごされたんでしょうか? ロマンチックな夜をステキな恋人と一緒に過ごされた方もいるかもしれませんね。」 リス:「・・・俺、何してたっけな? あ、直人(なおと)のヤツ・・・彼女出来たんだっけ。 やっべ、今年、俺マジで独りきりじゃん?」 DJ:「私は去年のクリスマスと言えば・・・ 『ジャックダニエル』と書かれたラベルのアップと 激しい痛みを最後に記憶がありませんけどね。ははは。」 リス:「イヤだねー、大人は。二日酔いになるまで酒飲んで、何が楽しいんだか。」 DJ:「目が覚めたときには、もうサンタも家に帰ってる時間で。 着ているシャツが血で真っ赤に濡れていましたね。」 リス:「おいおい?」 DJ:「色合いがすっかりサンタになってしまう所でした。はっはっは。」 リス:「笑えねーよ。」 DJ:「危うく、トナカイ無しで空を飛んで星になってしまうところでした。」 リス:「地上に留まれて良かったな。」 DJ:「ということで、今日の星座占い。いってみましょう。」 リス:「占いかぁ。・・・ん? 日付変わったっけ?」 DJ:「アナタの星座は、今日は何位だったんでしょうね?」 (手が止まりラジオを睨みつける) リス:「え? 今日って・・・今日!? 残りあと数分だぞ。必要か・・・この占い。」 DJ:「今日の星座占いをリスナーの皆に伝えてくれるのは・・・この人!」 ゲス:「皆さん、こんばんはー。島田奈美です。」 リス:「誰?」 DJ:「はい。ということで、島田奈美さんが来てくれました。 今夜で、この番組に来てくれるのも2回目に・・」 ゲス:「3回目です。」 (できれば食いぎみに、DJ) DJ:「3回目。はい、3回目になりますね。」 ゲス:「はぁい。そうです。よろしくお願いしまーす。」 DJ:「はい。よろしくお願いします。 前回、この番組に来てから沢山のリスナーの方々からね。 えー、是非、奈美さんを呼んで欲しいというハガキを戴きまして。」 ゲス:「本当ですかぁ? ありがとうございます。」 DJ:「少し、ハガキの方を紹介したいと思います。」 ゲス:「はい。」 DJ:「北海道釧路市愛国西にお住まいの、ペンネーム:妹の右腕さん。」 ゲス:「ありがとうございまーす。」 DJ:「力関係がよく分かるペンネームですね。」 ゲス:「良いですね。自分の立場をわきまえているなんて素晴らしいですよね。」 リス:「このゲスト、ズレてんなー。」 DJ:「えー、”ソルトさん、こんばんは。”こんばんは。 ”11月4日にゲストとして出演した、シマダ・ミナさんがとても好きになりました。 是非! また出演してほしいです。お願いします。”という・・・」 ゲス:「うふ。"シマダ・ミナ"じゃないぞ。ちゃんと覚えてないと、しょーちしないぞ。 私、こーいうの根に持つタイプだぞー。ラジオで本名バラしちゃうぞ。うふ。」 DJ:「はい? ちょっと!ハガキ取らないで・・・ちょ、イタッ!」 ゲス:「オオイズミ・コウジ! ・・・あれ、タカシ? これ、なんて読む・・・あっ!」 DJ:「はい。えー、関越自動車道 大泉インターで、工事が予定されているとかないとか。 詳しく情報が分かり次第、後ほどお伝えしたいと思います。 たぶん工事はしてない・・・です・・・が、次のハガキを紹介したいと思います。」 リス:「軽く事故ったろ。今。」 DJ:「島根県出雲市中野美保南にお住まいの、ペンネーム:爪に挟まった昨日のチョコレートさん。」 リス:「てか、そこまで住所言う必要あるか?」 ゲス:「ありがとうございまーす。」 DJ:「”奈美さんのデビューの頃から大ファンで。しかも、大好きな【ハリキリ・トゥデイ】に 出演しててビックリしました。すごく幸せな時間でした! 是非、また・・・というかレギュラーになってください! では、体に気をつけて頑張ってください!”というハガキを頂きました。」 ゲス:「うふ。今回デビューなんですけどね。 大ファンって言うくらいなら、私のブログを毎日チェックして 出演番組を下調べしておくくらいすべきなんじゃないかな?うふ。 てきとーぶっこいてると、危険物送りつけるぞ! なんちゃってね。うふ。」 リス:「本気だ。この女やりそうだな。」 DJ:「はい。では、ハガキを読ませてもらったお二人には、番組特製ステッカーをお送りします。」 ゲス:「えーと、しまねけん、いずもし・・・あっ! ペン返してくださいよ!」 (マイクから離れて、または小声で) DJ:「勝手にリスナーの住所を書き留めちゃだめっ!」 リス:「DJファインプレーだ、グッジョブ。」 DJ:「では! 気持ち切り替えて、星座占いの方を伝えていただきましょう! お願いします。」 ゲス:「はい。いつも通り時間の都合で、トップと最下位だけを発表しますね。 発表されなかった星座の方は、【ハリキリ・トゥデイ】の公式ホームページで 公開していますので、そちらで確認してください。」 リス:「だから、一日の終わりに占い聴いてどーすんだよ・・・。」 ゲス:「では、今日一番運勢が良かった星座の方は・・・牡羊座のアナタ! おめでとーございまーす! 気になる異性を夕食に誘うと、一気に二人の距離が近づくチャンス!」 リス:「はい、手遅れでーす。」 ゲス:「では、気になる最下位の星座は・・・魚座!」 リス:「ゲッ! 俺かよ?」 ゲス:「とにかく今日は最悪な一日でした。 数百円の買い物をしたら 一万円札しか財布に入っておらず。 そんな時に限って自分の後ろには長い列。 更にレジには研修中の新人さん。 プレッシャーでお釣りの小銭を落としたり。 バーコードがうまく読み取れず、焦りに拍車がかかる。 という嫌な雰囲気に包まれる。 そんな一日になるでしょう。」 リス:「具体的だな! でも、それは最悪ってことでもないだろ。」 ゲス:「そんな魚座さんを助けるラッキーアイテムは・・・ 【12月23日発売、島田奈美のデビューシングル】です。 良かったですね! これで、運気をアゲアゲにしてくださいね!」 リス:「さらっと告知を挟んだろ、いま。」 DJ:「はい。奈美ちゃんありがとうございます。 明日の星座占いは同じくこの時間でチェックして下さいね。」 ゲス:「私。今日の占い2位だったんですよー?」 DJ:「2位? 奈美ちゃん、星座はなんだっけ?」 ゲス:「へびつかい座ですぅ。 ゲストのプロフィールくらい読んどけって感じですー。うふ。」 リス:「ぶっ! 【へびつかい】って、あの【13星座占い】か? って事は・・・俺、魚座のままでいいのか?」 DJ:「あー・・。それで、占いの結果はどうだったのかな?」 ゲス:「【くじら座】の人との仲に進展がある日だそうです。」 リス:「くじら座?? ってことは、【13】じゃなくて【14星座占い】かよ!? マニアックな占いやってるなぁ〜。」 DJ:「くじら座の人ねぇ。ほー。 奈美ちゃんは、心当たりなんて、あったりするのかな?」 ゲス:「はい。去年のクリスマスに別れた恋人が。」 DJ:「え? あぁー・・・。”お父さんが【くじら座】”って話じゃ・・・」 ゲス:「いいんです。私にとって最初で最後の恋だったかもしれません。 でも、その思い出を胸に生きていけますから。」 リス:「途端に重いな。」 DJ:「あの、奈美ちゃん? そーじゃなくて」 ゲス:「ええ、突然イブの朝にメールが来て、一行・・・”別れよう”って。 何も思い当たることなかったから、パニクっちゃって。 何度も電話したんだけど、出てくれなくて。 だから家まで行ったんだけど居なくて、だから私・・・」 DJ:「はい!そうですか。今年も良いクリスマスが過ごせるといいですね。」 ゲス:「はい? 聞いてました? 私の話。」 DJ:「あ、いや。台本に・・・あー。はい、ということで。ね? 今夜はこのようなステキなゲストの奈美ちゃんに 来ていただいたのですから、奈美ちゃんの歌をリスナーの皆さんに 聴いてもらいたいと思うんですが、どうでしょうか?」 (冷めた顔に棒読み。無感情の奈美) ゲス:「・・・・・・えー、本当ですカー。うれしいですー。」 DJ:「ははは・・・。では、曲紹介の方をお願いします。」 ゲス:「本当に本当に好きな人とお別れしなくちゃならなくて、悲しいけど。 でも、”前を向いて進んでいこう!”という想いを込めた歌です。 聞いてください、【私は使い捨てカイロ】。」 リス:「曲名が後ろ向きぃー!」 (それから、延々と後ろ向きな歌詞が流れる) (テンション低いDJ) DJ:「はい。島田奈美ちゃんのデビュー曲で【私は使い捨てカイロ】でした。」 (テンション低いリスナー) リス:「・・・なんか、クリスマスとか、恋人とか 凄く要らないんじゃないか・・・って感じになってきた。」 ゲス:「どうでしたかぁ〜?」 DJ:「あ、いや。・・・人とのつながりとか、温かさとか幻なんじゃないかって思えてきて。 それが冷めた時の痛みを考えたら・・・ もう、最初から独りでいいような気がしてきた。うん。なんか、肩が重い。」 リス:「DJ。お前もやられちまったか・・・。」 (DJ、なんとかテンションを振り絞り) DJ:「はい。それでは、今夜の番組はこのへんで。ゲストは」 ゲス:「事務所への私生活救援物資を大募集中の島田奈美と」 DJ:「『貴方の鼓膜をプルプルさせたい。』ソルト・ペッパーでした。 それでは、良い夜を・・・See You Next Time。」 リス:「うー。なんか、勉強するパワーも呪いの歌にもってかれた感じ・・・。 でも、勉強やんなきゃ・・・。」 (時報:00:00を告げる。ポーン♪) DJ:「はい、こんばんは。【グレイトフル・イエスタデー】の時間です!」 リス:「番組名が後ろ向き! 過去にこだわり過ぎだろ・・・。 俺は寝る。明日がんばる! これ前向き! よし、おやすみ!」 DJ:「日付が変わりました。12月24日。クリスマスイブです。」 リス:そして、その年のクリスマスは『シングルベル』という言葉が再流行。 一体何が起きたのか? 俺の脳裏によぎったのは、深夜に電波で飛ばされた人の心を侵食する歌。 アレが原因じゃないのか・・・? かくいう俺も、シングルベル。 皆さんは、良いクリスマスを過ごしてくれ。 DJ:「『貴方の中耳を火照らせたい』ソルト・ペッパーでした。『Merry Christmas』」 (ラジオを消す音:ブツッ) ==================================================================================== <おしまい> Copyright©2009-2011 chaya_mode.All Rights Reserved. (2011- 7- 8 rev) (2009-12-19 up)