声劇用台本 ====================================================================== ■タイトル 順番 ====================================================================== ■ジャンル ホラー ====================================================================== ■設定 訳あって生まれ故郷へ越してきた男。 荷解きをしていると、窓際の柵に子供が現れる。そして・・・。 ※SEが利用できます。一人で臨場感溢れる劇の助けになればと作りました。 SE使用は必須ではありませんし、個人で用意されると更に良いと思います。 事前に音量や音声を確認しておくと良。 尚、SEは別窓で表示されます。→ 劇・順番用SE ====================================================================== ■登場人物 奥瀬 章吾[おくせ しょうご](♂):20代後半。会社を辞め無職。 ====================================================================== ■配役(1:0:0) 奥瀬(♂): ====================================================================== ■台本 <路上> 奥瀬M:不思議な感覚が広がっていく。痛みかもしれないが、そうではない。 遠くから耳障りな音が聞こえてきた・・・水中にいるように歪んで聞こえたが おそらくそれは、救急車のサイレンだったと思う。 次に目が覚めた時、俺は見慣れない白い部屋に居た。 臭いや雰囲気でそこが病室であると分かった。そこにあるベッドの上に寝ていたのだ。 <病院の一室> 奥瀬 :「・・・・・夢じゃ・・・ないな。」 奥瀬M:記憶が混乱しているせいか、治療の際に投与された薬のせいか。 頭の中に靄がかかっているようで、現実と夢の境がはっきりしなかった。 俺の両親は亡くなっていて、病院に駆けつけてくれたのは叔母だった。 ”どうしたの?”としつこく訊いてくる。 なんとなく叔母からは言い出しづらそうな雰囲気があった。 状況が状況だけに、自分で飛び降りたのではないかと思っている節があるようだ。 そう、なぜ俺が病院にいるのか。そこに至るまでの説明が必要だった。 話は、時間を遡り。場所は、越してきたばかりのアパートの一室。 <引越し先のアパートの一室> 奥瀬M:春。新しい社会人達が上京する中、俺はその流れに逆らって田舎へ移住した。 田舎に住んでいた両親は何年も前に亡くなり、気が付けば自分は二十代最後の年を迎えていた。 大学への進学と共に上京し、卒業後も東京で働き続けていたのだが、訳あって退職した。 (SE1:アパートの窓を開ける) (SE1:子供の遊ぶ声) 奥瀬 :「はぁ〜・・・。なんか落ち着くなぁ。」 (夕日に目を細め、しばし眺める) 奥瀬M:その窓から見える景色がなんとも懐かしく感じながらも、少し妙な気分だった。 ここは生まれ育った町だが、越してきたアパートは以前に住んでいたのとは違う場所。 でも、都会に疲れた俺には十分癒される景色だし、家賃にしたって俺の懐に優しい。 奥瀬 :「さーて、荷解きを始めるか。 えーと・・・テレビのセッティングに、冷蔵庫。後は・・・寝るスペースを確保しなきゃな。」 奥瀬M:開けた窓からは近所の子供たちの声が飛び込んでくる。 自分の小さな頃を思い出しながら、無邪気で楽しそうな子供たちに少し嫉妬した。 奥瀬 :「どんな大人になっていくんだろうかね・・・。」 奥瀬M:ポツリとそんなことを溢しながら、荷解きを進める。 持ち込んだ家具に次々と無造作に物をしまい込んでいく。 そんな時、視界の右端に木の柱が写った。 奥瀬 :「・・・ん?」 奥瀬M:「遠めに見る分には、一部が多少黒ずんだ柱。 ただそれだけの柱にしか見えなかったんだけど、 なんとなく気になって、柱の前まで近づいていった。」 奥瀬 :「この黒いのなんだ? ・・・んー・・・。」 奥瀬M:「人差し指でなぞった後、指の腹を確認して親指でこする。 2回ほど同じ動作を繰り返したが、指には何も付かず。 どうやら柱が変色しただけのようだった。」 奥瀬 :「せいくらべ・・・、か。」 奥瀬M:「黒ずんだ所に二本の傷があり、その下にも何本か傷があったので俺はそう思った。 でも、その黒ずんだ所より上に傷は見当たらなかった。」 奥瀬 :「んぁ・・・まぶし。」 奥瀬M:「振り返ると、夕日が更に赤く窓から差し込んでいて俺は目を眩ませた。 左手で光を遮るようにしながら、遠ざけた右側の目をそっと開ける。 その時、窓際にシルエットが見えた。」 奥瀬 :「え!?」 奥瀬M:「逆光のせいか、良く見えない。ゆっくりと右へ移動しながら光を逃れる。 すると、窓際の柵に子供が座っているのが分かった。 俺は驚きのあまり身を固くして、立ち止まった。」 奥瀬 :「誰だ?」 奥瀬M:「俺は瞬きもせず、俯いて座る子供を凝視していると、 その子供はゆっくりと顔を上げて俺の顔を見返してきた。 不思議な気分だった。 どこかで見たことのある顔。 いや、遠回しにそう考えたのは信じたくなかったからだ。 何故なら、その子は子供の頃の自分にソックリだったのだ。」 (SE2:子供の笑う声) 奥瀬M:「無邪気な子供の笑い声が聞こえたかと思うと、ゆっくり・・・その子の体が傾き始めた。 部屋の方ではなく、その子の背中側・・・柵の向こう側へと。」 奥瀬 :「あっ」 奥瀬M:「”危ない”・・・そう言葉を続ける間も無く、子供の姿は窓の枠から消えた。 俺は慌てて柵にのしかかるようにして窓の外へと身を乗り出し、地面を見下ろした。」 奥瀬 :「・・・あれ・・・? いない?」 奥瀬M:「と、その時。誰かが俺の耳元で囁いた。 驚いて振り向こうとした瞬間、誰も居ないはずの部屋の中から突き飛ばされた。」 奥瀬 :「っ!?」 奥瀬M:「ゆっくりと落下して行く。まるで時間の流れが緩やかに進んでいるような感覚だった。 部屋の窓からは、無邪気に笑う子供が見下ろしている。 怒りは無い。理解は出来きた。とにかく・・・胸が苦しかった。 あの囁き声が・・・今まで覆い隠していた俺の記憶を引きずり出した。 ・・アイツは俺にこう言ったんだ・・・。」 (SE3:子供の声「今度は、お兄ちゃんの番だよ。」) ====================================================================== <おしまい> Copyright©2010,2011 chaya_mode.All Rights Reserved. ※事故だったんです。故意ではありません。 (2010- 7-17up)