声劇用台本 
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■タイトル 〜影の将 外伝〜

  霧と桜 〜前編〜

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■ジャンル

  シリアス/バトル/時代劇

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■設定

 襲われる女と爺の二人連れを独りの優男が助ける。
 そして、三人を狙う刺客。用心棒の女と優男の戦い。
 用心棒の女は、状況が変わり優男と共に、荒くれ者の退治に助勢する。

 ※SEはサンプルです。再配布等は御遠慮願います。
  尚、SEは別窓で表示されます。→ 劇:霧と桜 用SE
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■登場人物
 
 十蔵   [じゅうぞう   ](♂):朧一族の忍。霧隠十蔵。クール。
 清水 義智[しみず よしとも](♂):40歳位。お琴の方のお供。
 霊刃丸  [れいじんまる  ](♂):隣国・鴬奏(おうそう)の忍。冷静→チャラ
 桜花   [おうか     ](♀):元・来栖の忍。
 お琴の方 [おことのかた  ](♀):少女。国・来栖の姫。次女 

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■配役(3:2:0) 所要時間:15分程度
 
 十蔵 (♂)[L26]:
 爺  (♂)[L29]:
 霊刃丸(♂)[L13]:
 桜花 (♀)[L32]:
 お琴 (♀)[L44]:

  ※L**:セリフ数
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■台本

<来栖の国:城下町外れの街道の茶屋>
 
  (道端に転がる、惨殺された二人の侍を目の前にしながらも気丈な娘)

 爺  :「お琴様、いけませぬ!」

 お琴 :「何者です!?」

 桜花 :「さぁ、何者だろうねぇ?」

   (対面に立ち、後ろに二人のお供を連れている賊、その中央の女がジリッと近付く) 

 お琴 :「何故、このようなことを?」

 桜花 :「さぁ?」

 爺  :「お琴様、危のうございます!」

 お琴 :「私の命が目当てなのですか? それならば、そう仰れば済む話ではありませんか。
      このような惨いことをせずとも良かった筈です!」

 桜花 :「知らないね。アタイは、アンタの命を奪うことが仕事。
      その邪魔になるモノは、なんであろうと排除するだけさ。」

 お琴 :「くぅぅ・・・。一体、誰の命を受けて・・・」

 桜花 :「知ってどうする? 今ここで死ぬというのに。」

 爺  :「お琴様! ええい、こうなれば・・・
      この義智が時間を稼ぎます故、一刻も早く城へお戻りくだされ!」

 桜花 :「ふん。爺(ジジイ)が誰の相手をしようってんだい? 茶のすすり合いするんじゃねーんだぞ?」  

 爺  :「老いぼれているとは言え、これでも来栖の武士じゃ。
      お琴様の為にこの命を懸けて、お前達を止めて見せる!」

 お琴 :「爺や! いけませぬ!」

 爺  :「何をしておられるのです! さあ、早く!」

 お琴 :「嫌です・・・!」

 桜花 :「茶番だな。爺が命を投げ出そうが知ったことじゃないが。
      そんなもんで、アタイ等を一寸でも止められると思うなんて・・・可哀想で吐き気が出るよっ!」

   (桜花が目にも止まらない素早い動きで、爺の首へ小太刀を横一閃に斬りつけた)

   (SE1:空振り)

 桜花 :「っ!?」

 お琴 :「じ、爺や!!」

    (爺の元に駆け寄るお琴)

 爺  :「わ、儂は・・・今・・・?」

 桜花M:「確実に・・・仕込めた筈なのに。なんだ今のは?」

   (SE2:じゃりを踏む草鞋の音)

 十蔵 :「ふむ。」

 桜花 :「何者だ。 ・・・今のは、貴様の仕業か?」

   (刺すような視線で、肩越しにその男を睨み付ける)

 十蔵 :「どうかしたのかい?」

 桜花 :「こいつ・・・恍けやがって。そいつ等の肩を持つのかい?」

 十蔵 :「さぁ。そうかもしれぬし、そうではないかもしれぬ。」

   (尻餅をついている爺とそれに寄り添うお琴を庇う様に、十蔵が立ち塞がる)

 桜花 :「そうかい。アンタ、来栖の者じゃぁなさそうだが・・・? 酔狂なら止めておいたほうが良い。」

 十蔵 :「私は酒は飲まない性質でな。このかた酔ったことなど無いが。」

 桜花 :「何かと鼻につく野郎だ。お前等、やっちまいな!!」

   (女の号令と共に、後ろで構えていた部下らしき男二人が襲い掛かる)

   (十蔵は、襲い掛かる男二人を鞘で倒す)
   (SE3:打撲音×2)

 十蔵 :「無粋な。」

 桜花M:「こいつ・・・剣の腕が立つというだけでは無い・・・。恐らく、只の侍ではないな。」

 十蔵 :「この茶屋から見える景色はとても良い。これ以上、血で汚したくは無い。」

 桜花 :「ふ。ああ、そうかい。小娘を殺す簡単でツマラナイ仕事だと思っていたが、
      アンタのお陰で少し面白くなってきたよ。」

 十蔵 :「ふむ。」

 桜花 :「また直ぐ遭う事になるだろうよ。その時は、遊んでやるよ。
      それまで好きな景色でも存分に目に焼き付けておく事だね!」

   (風が吹き桜の花びらが舞う。小さな旋風が起きる。)
   (SE4:姿を消す)

 お琴 :「え? 女の姿が・・・消えた?」

 爺  :「むう・・・。」

   (十蔵は何も言わず、その場を去る)

 お琴 :「爺や、怪我は無いですか?」

 爺  :「はい。あの侍のお陰で、なんとか。」

   (お琴は、慌てて立ち上がり呼び止める)

 お琴 :「あ、あの・・・! お侍様、お待ち下さいませ!」

 十蔵 :「ん。もしかして、俺か?」

 お琴 :「はい。私共の命を救って下さり有難うございました。」

   (お琴が深々と頭を下げる)

 十蔵 :「気にするな。通りすがっただけだ。」

 お琴 :「迷惑である事は重々承知しておりますが。
      どうか、私共にお力添えをしては戴けませんか?」

 爺  :「お琴・・・様?」

 十蔵 :「んむ。」(思案)

 爺  :「いけませぬ。確かに、今しがた命を救われたのは事実ではありますが・・・。
      身元も分からぬ者と同行するというのは、賛同出来ませぬ。」 

 十蔵 :「では、失礼する。」

   (十蔵は、きびすを返し道を歩いていった)

 お琴 :「爺や! 何故にあのような事を・・・。命の恩人ですよ?」

 爺  :「はい。確かに命は救われましたが、私には、貴女様をお守りするという使命があります。
      それ故、そう簡単に信用する訳にはいきませぬ。
      もしかしたら、あの侍も襲ってきた賊の仲間かもしれませぬし。」

 お琴 :「爺や! そんな・・・なんて事を。」

 爺  :「お琴様は、少々・・・人を疑うということを学ぶべきです。」

 お琴 :「ですが・・・!」

 爺  :「御自分の立場を理解し、今のような命を狙う輩が居るということを心に刻んで下さいませ。」

 お琴 :「わかりました・・・。」

   (お琴は、納得できない表情をしたまま、納得した振りをする)

 爺  :「とにかく、護衛も失った訳ですから城へ引き返すのが得策でしょうが・・・。
      もう少し進むと宿場町があります。
      日も暮れてきましたので、今宵はそこで宿を見つけることにしましょう。
      その後については、そこで話合うことで宜しいですかな。」

 お琴 :「・・・分かりました。そうしましょう。」

   (お琴と爺は、宿場町を目指す)

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<宿場町:町角(夜)>

 桜花 :「何だって? 宿にあの侍の姿が無いだと!? おい、真面目に調べたんだろーな!」

  (桜花は、引き連れた手下共に大声を上げていた)

 桜花 :「ちっ。あの娘と一緒だったんじゃないのかい。
      あの時、やっちまえば良かったか。面白そうな侍だったんだが・・・。」  

  (宿二階にお琴の影が揺ら揺らと映っている)

 爺  :「お琴様、戸の近くに御立ちになられませぬように。」

 お琴 :「爺や、少し落ち着いてはどうだ?」

 爺  :「落ち着いてなど居られましょうか! お琴様は命を狙われているのですぞ!」

 お琴 :「・・・。事実そうであったな。しかし、私にはその・・・心当たりが無い。」

 爺  :「んん・・・。ともかく、相手の目的が貴女様の命であることは明白でございます。
      十分に御気を付けて下さいますよう。爺からの切なる願い、お聞き入れくだされ。」

 お琴 :「わかりました。ですが、汚れた体を清めに、湯に浸かってまいります。」

 爺  :「お琴様! むう・・・、致し方あるまいか。」 

<旅籠:一階奥の廊下>

    (SE5:廊下を歩き、軋む音)

 お琴 :「あ! 貴方は。」

 十蔵 :「ん。」

 お琴 :「先刻に茶屋で助けて頂いた、お侍様ではありませんか?」

 十蔵 :「・・・そうかもしれぬし、そうではないかもしれぬ。」

 お琴 :「そのような事を言って、私を謀(たばか)るおつもりですか?」

 十蔵 :「んむ。」

 お琴 :「”んむ。”では、分かりませぬ。何故、こちらに?」

 十蔵 :「ここで遭ったは、偶然であろう。」

 お琴 :「・・・そう、でしたか。私はてっきり・・・」

 十蔵 :「湯に浸かりに行くのでは?」

 お琴 :「そうであった。されば、湯から上がった後、少しお話し出来ませぬか?」

 十蔵 :「話・・・?」

 お琴 :「詳しいことは、その時に話しましょう。では、後程に私共の部屋へ来てくださいませ。」

 十蔵 :「ふむ。」

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<翌日・早朝:宿場町はずれ>

   (夜が明けた早朝。宿場町のはずれに二人の影)

 爺  :「朝靄が酷うございますな。・・・お琴様? いかがなされました?」

 お琴 :「・・・何故、昨晩。あの方は来てくれなんだか。」

 爺  :「爺としては、少し安堵しておりまするが。」

 お琴 :「爺やは、まだあの侍の事を疑っているのですか?」

 爺  :「立場が立場です故、念には念を入れて・・・。」

 お琴 :「私にも人を疑ってかかれと?」

 爺  :「左様でございます。さ、急いで城へ戻りましょう。」

 お琴 :「・・・うむ。」

<宿場町から離れ、城へ向かう>

   (朝もやが立ち込め、視界は悪い)

   (SE6:砂利の上を歩く音)

 お琴 :「爺や。昨日、この道は通っておりませんよね?」

   (木立から不意に現れる桜花)

 桜花 :「やっと来たかい。」

 お琴 :「!! あ、貴女は昨日の!?」

 爺  :「ん・・・。今日はお主一人なのか?」

 桜花 :「ああ・・・。ちょいと、ね。
      だが、小娘一人をくびり殺すにゃアタイ独りで十分さ。」

 爺  :「ふむ・・・。」

 お琴 :「一体、何が望みなのです?!」

 桜花 :「アンタんとこのお姫様は馬鹿なのか?
      こんな頭の悪そうなヤツが生きていたって、何の脅威にもなりゃしないだろうによぉ。」

 爺  :「お琴様、お逃げ下さい。」

 お琴 :「ですが!」

 爺  :「ここは私に任せて、早く城下町へ!」   

 お琴 :「爺やを置いてなど行けませぬ!」

 爺  :「んん・・・。」

 桜花 :「あはははは! 大根役者だねぇ。えー?」

   (SE7:3つの影着地)

   (突然3つの影が桜花の背後に現れる)

 霊刃丸:「何を梃子摺っているんだ。・・・桜花。」

 お琴 :「あっ?!」
  
 桜花 :「アンタかい。何だってこんな所に? 
      この仕事、アタイに任せたんじゃなかったのかい?」

 霊刃丸:「部下はどうした?」

 桜花 :「ああ・・・。そういえば、あの二人は昨日の晩から行方不明さ。」

 霊刃丸:「自分の部下の状況くらい把握しておけ。」

   (霊刃丸の背後に独り、昨日まで桜花に付いていた男が居た)

 桜花 :「ん? お前、生きてたのかい。だったらそうとアタイに・・・」

 霊刃丸:「ああ、探ってた旅籠で見ず知らずの侍にやられたと、報告を受けてね。
      そのまま付いてきたんだ。」

 桜花 :「けっ。何がアタイの部下だよ・・・アンタがアタイに付けた監視役だったってことかい。
      ま、いいけどさ。部下とか柄じゃないんでね。」

 お琴 :「爺や、今のうちに!」

 爺  :「・・・・・・。」

 お琴 :「爺や・・・?」

 桜花 :「で、なんでアンタがここへ?」

 霊刃丸:「状況から・・・少し計画を変更しようと思ってね。」

 桜花 :「変更?」

 霊刃丸:「長話が過ぎて、大事な主役が戸惑っているじゃないか。さぁ、さっさと任務を遂行しろ、桜花。」

 桜花 :「・・・ああ、そうだね。」
 桜花M:「計画の変更? 何故わざわざこの場に現れたんだ・・・。何かありそうだねぇ。」

   (桜花の視線が、お琴を捕らえる)

 お琴 :「っ、どうして、私を殺そうとするのですか? 何故なんです!?」

 桜花 :「アタイにとっては、忌々しい大河(おおかわ)の娘であり、来栖国の蛆虫だからさ!!」

   (瞬時に間合いを縮めて、のど元に狙いを付け小太刀で一閃)

   (SE8:刃物のぶつかる金属音)

 桜花 :「!?」

 霊刃丸:「何者だ?」

   (刃物をいなし、そのままお琴を抱え大きく距離を取る十蔵)

 桜花 :「はっ! 昨日の優男じゃないか。やっぱり来たね。」

 十蔵 :「ふむ。」

   (十蔵の小脇に抱えられたお琴)

 お琴 :「お前!」

 十蔵 :「”お前”・・・呼ばわりとは。いつの間に。」

   (十蔵は、お琴を地面に下ろす)

 霊刃丸:「そうか、貴様が・・・例の侍か。部下が世話になったそうだな。」

 十蔵 :「世話? したかもしれぬし、してないかもしれぬ。」

 霊刃丸:「ふ。」

 お琴 :「お前、何しに此処へ!? い、いや・・・お願いだ、爺やを助けて下され!」

 十蔵 :「ふむ。話は?」

 お琴 :「話・・・?」

 霊刃丸:「おい、侍。一応・・・訊いておこう。貴様、何故ここに居る?」  

 十蔵 :「何故? ふむ。」

 霊刃丸:「道に迷ったなどと言うならば、来た道を戻るが身の為だ。早々に立ち去るが良い。」

 十蔵 :「昨夜、娘と話をするという約束をした。
      その約束を守る為に、こうして捜し歩いていたのだ。」

 霊刃丸:「戯言を。」

 十蔵 :「ようやく、こうして再会することが出来たのだ。邪険に追い返さずとも良いではないか。」

 霊刃丸:「ふ・・・食えない男だ。また計画変更だ。良いな、清水殿。」

 爺  :「承知した。」

 お琴 :「え!? 爺や・・・一体、どういうこと・・・?」

 十蔵 :「娘さん。俺は、貴女だけは助けよう。
      残念だが、今ここにいるのは全て貴女の敵であるようだ。」
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