声劇用台本 
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■タイトル 〜影の将 外伝〜

  霧と桜 〜中編〜

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■ジャンル

  シリアス/バトル/時代劇

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■設定

 襲われる女と爺の二人連れを独りの優男が助ける。
 そして、三人を狙う刺客。用心棒の女と優男の戦い。
 用心棒の女は、状況が変わり優男と共に、荒くれ者の退治に助勢する。

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■登場人物
 
 十蔵   [じゅうぞう   ](♂):朧一族の忍。霧隠十蔵。クール。
 清水 義智[しみず よしとも](♂):40歳位。お琴の方のお供。
 霊刃丸  [れいじんまる  ](♂):隣国・鴬奏(おうそう)の忍。冷静→チャラ
 桜花   [おうか     ](♀):元・来栖の忍。
 お琴の方 [おことのかた  ](♀):少女。国・来栖の姫。次女 

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■配役(3:2:0)
 
 十蔵 (♂)[L29]:
 爺  (♂)[L 5]:
 霊刃丸(♂)[L18]:
 桜花 (♀)[L26]:
 お琴 (♀)[L 5]:

  ※L**:セリフ数
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■台本

 霊刃丸:「ふ・・・食えない男だ。また計画変更だ。良いな、清水殿。」

 爺  :「承知した。」

 お琴 :「え!? 爺や・・・一体、どういうこと・・・?」

 十蔵 :「娘さん。俺は、貴女だけは助けよう。
      残念だが、今ここにいるのは全て貴女の敵であるようだ。」

 お琴 :「そ、そんな? 爺やまで?! 嘘! 嘘です、信じられませぬ!」

 爺  :「・・・残念ですが、その侍の言う通りですじゃ。」 

 お琴 :「・・・・そ、そ・・・・。」

 桜花 :「ざまーないね。身内に裏切られてどんな気分だい? あはははは!」

 十蔵 :「昨日の昼間、桜花・・・で良かったかな?」

 桜花 :「ああ、アタイの名だよ。それがどうした?」

 十蔵 :「桜花殿が爺さんを斬り付けた時、アレは殺める為の所作ではないと受けた時に分かった。」

 桜花 :「・・・。」

 十蔵 :「つまり、爺さんを殺す気は無かった。その時に疑問を覚えたのさ。」

   (ゆっくりと霧が発生する)

 霊刃丸:「やはり面倒な男であったか。桜花、殺ってしまえ。」

 桜花 :「ちっ。」

   (桜花が、小太刀を構える)
   (SE:刀を構える)

 十蔵 :「そして、桜花殿。貴女は、来栖の忍ではないのか?」

 桜花 :「!?」

 霊刃丸:「・・・ち。余計なことを。」

 桜花 :「さぁね。もし、そうだったとして・・・それが何だって言うんだい?」

 十蔵 :「来栖の忍が、来栖の姫を暗殺しようというのは穏やかではない。」

 桜花 :「アンタには関係ない! お喋りはそこまでにしな!!」

   (桜花が十蔵に飛び掛る)
   (霧は、さらに濃さを増してきている)

   (SE8:刃物がぶつかる音)


 十蔵 :「しかし、聞いた話の中に・・・来栖の忍の里が強襲を受けたというのがある。」

 桜花 :「知らないね!」

 十蔵 :「知らぬ訳は無いはずだ。貴女は、その復讐に加担しているつもりなのだろうが・・・」

 桜花 :「お前に何が分かる!!」

  (体術で攻撃を仕掛ける桜花)
  (SE9:攻防する音)

 十蔵 :「貴女は、利用されているに過ぎない。真実は、別にあるのだ。」

 桜花 :「アンタ・・・その身のこなし。やはり只の侍じゃないな!?」

 十蔵 :「来栖の忍の里を強襲したのは、鴬奏(おうそう)の者だ。
      内乱を誘発させるために仕組まれた・・・計略だ。」

 桜花 :「何故そんなことがアンタに分かる!?」

  (SE10:刃物による攻防)

 十蔵 :「情報を収集するのも、忍の仕事だからな。」

 桜花 :「やはり忍か。だが、それでアンタの言う事が正しいとはならないだろう!」

 十蔵 :「確かに。しかし、忍の者がそう簡単に城の侍にやられるものだろうか?
      来栖を治める大河の軍勢が無傷で勝利を収めただろうか?
      その様な事実は無かった。では・・・強襲した軍勢は、どこから現れ、どこへ消えたのか?」
      
 桜花 :「それが、鴬奏からの刺客だったと言うのかい。いろいろと納得いかないね!」

  (再び攻防が始まる)
  (SE:刃物と体術による攻防)

 十蔵 :「話している時間も無い。では、一つだけ重要な情報を伝えよう。」

 桜花 :「ふん。なんだい?」

 十蔵 :「あの霊刃丸という男は、鴬奏の忍だ。」

 桜花 :「っ!? 馬鹿な! そんな筈は無い!」

 十蔵 :「だが、それは事実。そして、襲撃の手引きをしたのもその男である可能性が高い。」

 桜花 :「可能性が高い? そんなんで、アタイを説得しようってのかい? 笑わせる!」

 十蔵 :「信じてもらえぬか・・・。仕方ない。では、手荒いことはしたくなかったのだが。」

 十蔵 :「ふん!」

  (桜花を蹴り飛ばし、距離を取る)
  (SE:地面を滑る音)
  
 桜花 :「くうぅ!」
  
  (十蔵は、素早く印を結ぶ)

  (SE:印を結ぶ音)

  (霧は更に濃く立ち込め、十蔵の姿がその中へ消える)

 桜花 :「しまった! この霧・・・アンタの術かい!?」

  (視界不良で戸惑っている桜花の背後を取る十蔵)

 十蔵 :「しばらく、大人しくしていてもらおう。」

 桜花 :「か・・・体が、痺れ・・・。アンタ・・・何を・・・?」

  (体の自由を奪われた桜花は、その場に倒れる)
  (SE:倒れる音)

  (桜花の身体の上に、十蔵は誰とも分からぬ血を掛ける)

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 お琴 :「どこじゃ? 侍! どこにおる?」

  (濃霧の中から現れる十蔵)

 十蔵 :「しっ! 静かに。そちらの草むらの影に隠れていて下され。」

 お琴 :「何がどうなっておるのじゃ・・・。」

 十蔵 :「大丈夫、直ぐに終わる。」

  (瞬時に姿を消す)

 お琴 :「消えた・・・。」

  (霧が薄くなり、ぼんやりと人の影が見える)

 霊刃丸:「終わったか? ・・・ち。」(勘付く)

 十蔵 :「桜花殿は、残念ながら・・・。」

  (薄くなる霧、横たわる血まみれの桜花の姿がぼんやり見える)

 霊刃丸:「使えねーヤツだ。」

 十蔵 :「お主、仲間であろう? 同じ来栖の。」

 霊刃丸:「ああ。そうだな。元仲間ってところだ。死人の仲間など、何の役にも立たんからな。」

 十蔵 :「来栖の忍は、皆そのように薄情なのか?
      それとも・・・お主が鴬奏の忍だからなのか?」

 霊刃丸:「・・・。」

 十蔵 :「沈黙は肯定と受け取らせてもらおう。
      爺さんも鴬奏と聞いて何も反応を見せぬとは、やはり事実なのであろう。
      恐らく甘い蜜で誘惑され間者となったのだろうが・・国や仲間、そして仕えていた姫君を裏切るとは。」

 爺  :「ふん。青二才に諭される謂れは無いわ。」

 霊刃丸:「ち、馬鹿が。余計なことを。」

 十蔵 :「爺さん、それは裏切りを認めるということか?」

 爺  :「来栖の領土を守るためには、必要なことなんじゃ。儂は」

   (SE:刀で斬る音)

 爺  :「ぐあぁっ!? な・・・なに・・・を。」

   (爺は、血飛沫を撒き散らし倒れた)
   (SE:倒れる音)

 霊刃丸:「年寄りは喋り好きで困る。」

 十蔵 :「やはり、来栖の忍の里を強襲したのは鴬奏の人間だったのだな。」

 霊刃丸:「あーぁ、もういいや! あの女も死んだ事だし、芝居をする必要もないか。」

 十蔵 :「襲撃の手引きをしたのは、お主だな?」

 霊刃丸:「はいはい。そーですよー。俺が上手いことやったんだ!
      ったく、あんなもん仲間のフリして長々潜入せずとも・・・一気にやっちまえば良かったんだ。
      生き残った忍も残すとこ数十匹。今回のが終われば、一掃して古巣に帰るってね。」

 十蔵 :「非道とは言わぬ。我等は、それと同じ様な事を繰り返してきたのだから。」

 霊刃丸:「ああ、そうだよな! ならば何故、そんな話を持ち出す? 意味がわからねーな。」

   (のそりと身を起こす桜花)

 桜花 :「・・・ふ。」

 霊刃丸:「何ぃ!? ・・・桜花、お前。」

 桜花 :「は、はは・・・はははははは!」

 霊刃丸:「・・・っ。」

 桜花 :「てめぇ、そんな喋り方もするんだなぁ。おい!霊刃丸!!」

 霊刃丸:「聴かれた・・・か。ち、仕方ねぇなぁ。」

 桜花 :「まんまと騙されてたよ! 
      そうかい、なるほどな。人格を装って、里の仲間から信頼を得ようとしてた訳かい。」

 霊刃丸:「んぁ〜ちょっと違うなぁ。俺は、信頼を”得た”んだよ。あの馬鹿共の、よ。くくく!
      あぁあ、ちょいと終わりが近づいたもんで気が緩んじまったか。
      だが、これはこれで気が晴れた。」

 桜花 :「この野郎、絶対許さねぇ!
      信じたまま、手前ぇを守りながら死んでいった奴等も沢山居ただろうが!」

 霊刃丸:「そうだなぁー。必死になって俺を助けようとしてたぜ。
      ・・・笑いを堪えるのが大変だったけどな。くくく、ははは!
      無防備の背中から殺っちまっても良かったんだがよ。
      折角得た信頼だ。思う存分味わわせてもらったよ。
      俺だって大変だったんだ、笑いを堪えるのにな!
      偉いよなぁー俺って。そう思うだろ? なぁ?」

 桜花 :「この糞野郎が!! 仲間達の無念。今ここで晴らす!!」

 霊刃丸:「へへっ、いいぜ。だが、俺に勝てるのか?」

 桜花 :「来栖の忍を舐めるな!!」

   (瞬時に飛び掛り攻防が始まる)
   (SE:地面を蹴る音)
   (SE:交わる刀の音)

   (加勢しようと身構えた二人の部下に対峙する十蔵)

 十蔵 :「戦いの邪魔をするな。部下であるお主等は・・・私が相手をしよう。」

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(2010- 7-12up)