声劇用台本 
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■タイトル

  接客マニュアル作成

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■ジャンル

  コミカル

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■設定

  開店したばかりのコンビニに、初の強盗が来店。
  しかし、うっかり者の店長は対強盗用の接客マニュアルを作ってなかった。
  そもそも、接客と言う点で少しズレてる。話も徐々にズレていく。

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■登場人物
 
 店長(♂):最近自営で開店したばかりの新米店長。物腰柔らかく。
 千代(♀):ボケ系甘ったるい。店長好き。
 強盗(♂):運の悪い(?)ツッコミ担当男。
 警官(♂):ちょい役。真剣だが、抜けている。
      ※警官は、ト書きを読むのもアリかな。セリフ少ないので;

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■配役(3:1:0)
 
 店長(♂)[L55]:
 千代(♀)[L60]:
 強盗(♂)[L68]:
 警官(♂)[L15]:

  ※L**:セリフ数
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■台本

<コンビニ>

  (SE:ウイィィンと自動ドアが開く)

 千代:「いらっしゃいませぇ〜。」

  (店に入ってきた客が、レジの店員に刃物を突きつける)

 強盗:「動くな!」

 千代:「・・・・・・。」

 強盗:「ほかに従業員は?」

 千代:「・・・・・・。」

 強盗:「おい!聞いてんのか? 答えろ!」

 千代:「え〜、理不尽なこと言わないでくださいよぅ。
     動くなって言うから1mmも動かないように頑張ってたのに。
     なのに、答えろとか言うんだもん。おかしくないですかぁ?
     それって、例えばぁ、ダイエットしてるんだーとかいって
     ダイエット食品をお腹いっぱい食べてるようなもんですよー。」

 強盗:「うるせーよ! 黙れ!」

 千代:「・・・・・・。」

 強盗:「んあ、黙るな!」

 千代:「んもー、どうすればいいんですかぁ? 超自己中ですよねぇ。
     それって、例えばぁ・・・」
 
 強盗:「あーあーあー、もうそれはいいから! オレの質問に答えろ!」

 千代:「質問・・・なんでしたっけぇ?」

 強盗:「お前以外に店の人間は居ねーのか?って聞いてんだよ!」

 千代:「なんかぁ、人にモノを尋ねるって感じじゃないですよねぇ?」

 強盗:「はぁ?」

 千代:「尋ねる時は、
     ”かわいい店員さん、オレは無知だから教えてほしいんだけどよ。
      君は女神なのかい? いや、それは答えるまでもないか。
      それなら変わりに聞きたいことがあるんだけど、店員は君ひとりなのかな?”でしょ?」

 強盗:「バカか、お前。」

 千代:「ふえぇ! バカ? バカって? 千代ちゃんのこと!?」

 強盗:「チヨちゃん? なんだよそれ。」

 千代:「ふわぁ! ”千代ちゃん”とかって、突然馴れ馴れしいんですけどぉ〜!?」

 強盗:「お前が言ったから、オレもそう言っただけだろーが。」

 千代:「・・・でも、なんかキュンってした。キュンって。ここの辺が、キュンって」

 強盗:「あーもー!! えーっと、オレなに聞いてたっけ?
     ・・・あぁ、そうそう。だからよー、店員はお前だけなのか?って聞いてんだよ!」

 千代:「あのぉ。その前にぃ、本当に強盗なんですか?」

 強盗:「えぇ? ・・・この状況でソレ聞く?」

 千代:「自称?」

 強盗:「自称・・・って。・・・・さぁ、たぶん世間的に見ても強盗だと思うんだけど。」

 千代:「へー、強盗って結構若いんですね。」

 強盗:「アホか。」

 千代:「ふぁ! アホ!? 千代ちゃんのこと、アホって言った?」

   (強盗は、頭をボリボリと掻きながら溜息をついた)

 強盗:「はあ〜・・・。めんどくせーなー。
     アホじゃないなら、さっさとレジの金を出せ!」

 千代:「えー? ダメですよー。」

 強盗:「ダメなのは知ってるよ。でも、出せ。」

 千代:「ダメなの分かってて、そんなこと言うなんて・・・不良ぉ〜。」

 強盗:「不良上等! オレ、強盗だからよ。」

   (そのとき、背後から突然)

 店長:「いらっしゃいませ。」

 強盗:「っっうおぉあああああ!!」

   (強盗は驚きのあまり、持っていた出刃包丁を落とし)
   (床にしりもちをついてしまった)

 千代:「あ、店長。なにしてたんですかぁ?」

 店長:「あ、ごめんごめん。ちょっと納入先との話が長引いちゃってね。」

 強盗:「・・・っ・・・・・。」

      (強盗は、地べたに座ったまま、店長を見上げている)

 店長:「ああ、これは失礼しました。大丈夫ですか?」

   (店長は手を差し出し、強盗を立ち上がらせる)

 店長:「はい、どうぞ。これ、お客様のですよね?」

   (そう言いながら、店長は強盗に包丁を手渡した)

 強盗:「あ、ああ。そうだけど・・・。どうして?」

 店長:「”どうして?”とは、何のことでしょうか?」

   <有名な台詞調で>

 千代:「店長。どうして貴方は店長なの!?」

 店長:「加賀さん、どうして貴女は加賀さんなんだ?」

 千代:「キュンキュー−−−ン♪」

 強盗:「おい、落ち着けアホ女!」

 千代:「アホって・・・また言ったぁ〜。」

 強盗:「俺が訊いたのはそうじゃねーの。
     ・・・”どうして、オレに包丁を返したのか?”ってことだよ。」

 店長:「当店では包丁は扱っておりませんので、お客様の所持品ということですよね?
     そうであれば、お客様にお返しするのが当然じゃないですか。」

 千代:「さすがです店長!」

 店長:「至極当然のことをしたまでだよ、加賀さん。」

 千代:「いやーん、店長ぉ。千代って呼んでもいいんですよぉ〜。」

 強盗:「なんなんだよ・・・ったく。・・・調子狂うなぁ。」

   (強盗が大きくうなだれると、店長が心配そうに顔をのぞく)

 店長:「おや、お客様? どうされました?」

 強盗:「なんでもねーよ。」

 店長:「もしかして、具合でも? これはいけない!
     加賀さん、接客マニュアル第5章の10項です!」

 千代:「あ、はい!
     来店されているお客様の中に、お医者様はいらっしゃいませんかぁー!?」

 強盗:「アホかー! 別に具合が悪いわけじゃねーよ。」

 店長:「では、どうされたんです? 顔が・・・酷いですよ。」

 強盗:「これが俺の普通! バカにしてんのか、さっきから!?
     ・・・なるほど、警察が来るまでの時間稼ぎってわけか?」

 店長:「ですが・・・。」

 強盗:「大丈夫だよ。逃げる気も失せたよ。」

 店長:「顔が大変なことに・・・。」 

 強盗:「顔はもういいよ! 顔から離れろよ!
     ったく、強盗をナメまくってんな。」

 店長:「え!? ご、強盗なんですか?」

 千代:「そーなんですよぉ店長! 自称・強盗です。」

 店長:「なるほど。ということは、強盗ではないかもしれないんですね。」

 千代:「もしかして、”オレオレ詐欺”ならぬ・・・”強盗・詐欺”かもしれませんよ!」

 強盗:「ややこしーよ、ソレ。」

 千代:「千代ちゃんが、レジに居たらいきなり”動くな”ってやってきたんですぅ!」

 店長:「なかなか本格的だね。もしかして、本物かもしれないね。」

 千代:「なんかぁ、”千代ちゃん、いま一人?”的なことをしつこく聞いてくるんですよぉ。
     セクハラです! ”セクハラ強盗詐欺”です!」

 強盗:「もう、なんだかわかんねーよ。」

 千代:「セクサギです! 略して、セクサギ!」

 強盗:「肝心な”強盗”の部分を無くすなよ。」

 店長:「では、やっぱり強盗の方なんですか?
     ”強盗さん”とお呼びしても?」

 強盗:「まぁ、そういうこと・・・だから。それでいいけど。」

 店長:「でも、失礼に当たりますから、やっぱりお名前を」

 強盗:「”強盗”でまったく問題ないんで。」

 店長:「そうですか。では『強盗さん』とお呼びさせてもらいます。
     恐縮なんですが、もう一度やっていただけませんか?」

 強盗:「はぁ?」

 店長:「ですから、強盗さんがこの店に入ってきた所から、もう一度やってほしいんですよ。」

 強盗:「なんで、オレがそんなことしなくちゃなんねーんだよ。」

 千代:「それは、強盗だからに決まってんじゃーん。ですよねぇ、店長?」

 店長:「ご名答。さすが加賀さん。」

 千代:「あーん、褒められちゃったぁー。キュンキューン♪」

 強盗:「・・・で、やったらどうなるわけ? なんかオレにいい事でもあんの?」

 店長:「そうですね、ご協力いただければ何かお礼をさせてもらいたいと思います。」

 強盗:「ふーん、何を?」

 店長:「んー、今は思い当たりませんが、お気に召す何かを。」

 強盗:「あっそ。ま、いっか。どうせ俺の末路は決まったようなもんか。」

   (強盗はそう言いながら、やる気無さそうに再現を始める)

 強盗:「えーっと、確か・・・オレがこう入り口から入ってきて、包丁を女に向ける。」

 店長:「あのー。すみません。」

 強盗:「なに?」

 店長:「もっと本気でお願いします。」

 強盗:「本気?」

 店長:「ええ、強盗の本気を見せてください。お願いします。」

 強盗:「ちっ。わかったよ。(咳払い:ンッンン) 動くな!!」

 千代:「・・・・・・。」

 強盗:「ほかに従業員は?」

 千代:「・・・・・・。」

 強盗:「おい!聞いてんのか? 答えろ!」

 千代:「え〜、傍若無人な態度ってこういうことですかぁー?
     動かずに答えろだなんて・・・
     それって、例えばぁ、水飲みながらウドン食べろってことですよー?」
 
 強盗:「全然ピンとこねーよ。」

 店長:「はい、カット! 加賀さん見事だったよ。」

 千代:「本当ですかぁ? ありがとうございますぅ。」

 店長:「ふむふむ。”強盗からの突然の要求には従うべし。”と。」

 強盗:「・・・? なにしてんだ?」

 店長:「ん? ああ、実はですね。最近、この店を開いたばかりで・・・。
     接客対応が・・・特に強盗さんが来店したときの接客についてまだ出来てないんですよ。」

 強盗:「はぁん?? お前、強盗来たらどーすんだよ?」

 千代:「だからぁー、今こーやってマニュアルを作ってるんじゃないですかぁ!」

 店長:「加賀さん、ご名答。」

 強盗:「ご名答。じゃねーよ! なんか、店開くとか・・イロイロまだ早かったんじゃねーの?」

 店長:「さ、では強盗さん。強盗の続きを進めてください。はい、アクション!」

 強盗:「(・・・はぁ。)・・・ほかに従業員は?」

 千代:「店長さんが・・・」

 店長:「あ、店長は居ないという設定でお願いします。」

 千代:「ええ!? 店長、千代ちゃんを見捨てるんですかぁ?」

 店長:「いやいや、そうじゃないよ。
     もしかしたら、私は在庫の整理中に棚の物が落下してきて
     その下敷きになっているかもしれない。」

 強盗:「ソレ、もう店長のほうがヤバイだろ。」

 店長:「そんな時でも、君がここで完璧な接客を行えば・・・
     私も助かるかもしれない。」

 強盗:「いや、意味がわかんない。」

 千代:「えぇ!? そんな・・・店長。死んだりしちゃイヤです!」

 店長:「分かってる。私も下敷きになったとしても頑張るよ。
     だから、加賀さんも接客を頑張るんだ!」

 千代:「分かりました! がんばります!」

 強盗:「なんだこれ?」

 店長:「さ、続きをお願いします。」

 強盗:「なんかバカらしくなってきたぜ・・・、もうお前らだけでやれよ。
     オレ、もう帰るからさぁ。付き合ってらんねーよ。ったく。」

 店長:「あ、いや。それは困ります。・・・では、こうしましょう。
     強盗さんに店員をやってもらい、強盗に対してどう接客すればいいか
     実際にやってもらうというのは?」

 強盗:「おい、なんでオレが店員なんかやらなきゃなんねーんだよ?」

 店長:「それは、”強盗さん”なのですから。強盗がやろうとしていることがわかるはず!」

 千代:「なるほどー! その技をマニュアル化しちゃえばいいんですね?」

 店長:「ご名答。加賀さん。」

 千代:「ぅふーん。店長ぉ〜。」

 強盗:「うざいから、それやめろ。」

 千代:「ふん!」

 店長:「では、二人の立場を入れ替えて・・・もう一度続きからやってみましょう。」

 千代:「はぁーい。」

 強盗:「(ため息)はぁ〜あ。」
 
 店長:「アクション!」

 千代:「強盗だ!おとなしくしろ!」

 強盗:「あー、はいはい。抵抗はしねーから、殺さないでください。」

 千代:「うむ、物分りのいいヤツだな。強盗のくせに。」

 店長:「それ言うと、訳わかんなくなっちゃうから。店員って呼んでね、加賀さん。」

 強盗:「ハッ、怒られてやんの。フハハ。」

 千代:「・・・何、笑ってんの?(危険な雰囲気)」

 強盗:「は? お、おい?
     バカヤロウ!! こっち向けんな! 
     ちょ、こっち・・・向・け・ん・な っての!!」

 店長:「加賀さん。まだ刺しちゃだめだよ。」

 強盗:「”まだ”も何もあるかー! 刺したらだめだろ!
     早くその包丁を取り上げてくれよ!」

 店長:「加賀さん、包丁をこっちに渡して。変わりにコレを。」

 千代:「はぁーい。」

 強盗:「・・・おでんの・・・コンニャク?」

 千代:「おい。金だせ!」

 強盗:「いや、これじゃ出せねーよ。緊迫感ねーもん。」

 千代:「出せって言ってんだろぉー!?」

   (こんにゃくに刺してる串を持ちながら振る)

 強盗:「あちっ! ちょ、バカ! 振るな! 汁が、あつっ!」

 千代:「ほらっ、どうだ! うりゃうりゃうりゃうりゃ!」
 
   (乱れ踊るこんにゃく。と飛び散る汁。そして、すっぽ抜けたこんにゃく)

 強盗:「うわっ!? あぢぢぢぢぢっ!!!
     こんにゃく、顔に飛んできたっ、バカか?てめぇ?!」

 店長:「加賀さん、食べ物で遊んだらだめだよ。」

 強盗:「渡したのお前だろ・・・!」

 千代:「早く金出せぇー! この串で刺しちゃうぞ!」

  (SE:ウイィィンと自動ドアが開く)

 店長:「あ、いらっしゃいませ。」

 警官:「おい! 刃物を捨てろ!」

 店長:「は?」

 警官:「さっさと、手に持ってる刃物を捨てるんだ!」

 千代:「え、なに? だれ? 警官?」

 警官:「そっちの女も・・なんだ? その・・・手に持っている凶器を捨てて、おとなしくするんだ!」

 店長:「あ、あのう。なんですか?」

 警官:「なんだじゃない! 通行人から”強盗に襲われている”と通報を受けて来たんだ!」

 千代:「もー、強盗はこっちの店員のフリ」

 警官:「これ以上罪を重ねるな。今ならまだ間に合う。さぁ、凶器を捨てるんだ。」

 店長:「あの、失礼ですが・・・強盗は、こちらのレジにいる人で」

 警官:「・・・じゃあ、あんたは誰なんだ?」

 店長:「え? 私? 店長ですけど。」

 警官:「その手に持っているのは?」

 店長:「これは、強盗さんの包丁です。」

 警官:「もう一度聞くぞ、あんたは誰だって?」

 店長:「店長です。」

 警官:「じゃあ、レジにいるあんたは?」

 強盗:「今は店員です。ちょっと前から・・・一時的に、だけど。」

 警官:「串を持った女。今の彼の証言は本当か?」

 千代:「ホントって言えば、ホントだけどぉ。」

 警官:「ってことは、やっぱり店員ってことじゃないか! 
     一時的なバイトかもしれないが、それでも歴とした店員だろう。」

 千代:「一時的って、そういう意味じゃ」

 警官:「なるほど。見えてきたぞ。
     包丁のお前。店の面接で落とされた腹いせに強盗に押し入ったんだな!?
     自分じゃなく、そのバイトの男を採用したってことに腹を立ててな!」

 千代:「はぁ? なに言ってんのぉ? 店長は店長なの。訳わかんないこと言わないでよ!」
 
   (おでんの串で警官を指す)

 警官:「やめろぉ! 凶器をこっちに向けるな! 本官は、尖端恐怖症なんだ!」

 店長:「加賀さん、とりあえず言う通りにしよう。」

 千代:「・・・はぁい。」

 店長:「ちゃんと話せば分かって」

 警官:「よし、未だ!確保!」

 店長:「分かって・・・わか・・・。あれ?」

 千代:「ちょっと、離してよ! 店長ぉ〜!」

 警官:「おとなしくしろ。詳しい話は署で聞くから!」

   (SE:ウイィィンと自動ドアが開く)

   (強盗が、まるで店員のごとく)

 強盗:「・・・・・・ありがとうございましたぁ〜。」
 
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<おしまい>

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(2010- 4- 7 up)