声劇用台本
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■タイトル

 モザイク

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■ジャンル

  ホラー?

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■登場人物

 稲原 利之[いねはら としゆき](♂):25歳,サラリーマン。
 加納 康江[かのう  やすえ ](♀):24歳,OL。稲原と同棲している。
 尾崎 隆文[おざき  たかふみ](♂):40代,稲原の上司。
 小田 吾郎[おだ   ごろう ](♂):40代後半,稲原の会社の商談相手先。
 謎の女           (♀):20代前半。正体不明。

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■配役(3:2:0)

 利之(♂)(L58):
 上司(♂)(L12):
 先方(♂)(L 6):
 康江(♀)(L28):
 謎女(♀)(L 8):

 ※(L**):セリフ数
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■台本
<自宅>
 利之 :「ふわぁ〜あ。おはよう。」
 康江 :「おはよう。」
  (テーブルの朝食を見る利之)
 利之 :「うわ・・・オレ、ちょっと食欲ないんだよね。」
 康江 :「もー。また夜中に何か食べたんでしょ?」
 利之 :「あ〜。ちょっと、だけ。」
 康江 :「6個入りのロールパンと       1.5リットルのジュースが無くなってましたけど。       それがちょっとなんですか!?」
 利之 :「仕方ないだろ、起きてると腹減るんだから。」
 康江 :「遅くまでゲームして、早く寝ないからでしょ。」
 利之 :「仕方ないだろ、仕事で帰り遅いんだから       ・・・自分の時間作るには、睡眠時間を削るしかないだろ。」
 康江 :「そうかもしれないけど、睡眠も食事も       ちゃんとした時間に取らないと体に悪いんだから。」
 利之 :「はいはい。」
 康江 :「心配して言ってるんだからね?」
 利之 :「分かってますよ。食べりゃいいんだろ。」
 康江 :「そんな嫌々食べないで、きちんと感謝してよね。」
 利之 :「感謝感謝。もぐもぐ。」
 康江 :「まったくもぅ・・・。」
 利之 :「あ、今日ちょっと接待あるから、少し遅れるわ。」
 康江 :「じゃあ夕飯いらないんだ。」
 利之 :「ああ。もしかしたら、美味いもん食えるかも。」
 康江 :「ずるーい。私も食べたい。」
 利之 :「接待なんだから無理だろ。」
 康江 :「だったら、今度どっか連れてってよ。美味しい所に。」
 利之 :「ん〜、あー。今度な。」
 康江 :「でた。”今度な”って、全然連れて行ってもらってないんですけど?」
 利之 :「・・・わかったよ。じゃあ、週末あたりにでも」
 康江 :「やった! 決定ね!」
 利之 :「・・・はいはい。」
  (出勤の準備をしながら)
 利之 :「疲れ目かな・・・。」
 康江 :「どうしたの?」
 利之 :「んー。なんか、昨日から人の顔がボヤけてて、良く見えないんだよな。」
 康江 :「目が悪くなったんじゃない? ・・・ゲームのやりすぎで!」
 利之 :「・・・言うと思った。」
 康江 :「私の顔は見えてる?」
 利之 :「んー? よく見えないなー。」
  (顔を近づけて、軽くキスをする)
 康江 :「んもう。」
 利之 :「康江の顔は良く見えてるよ。今日も綺麗だ。」
  (照れながら微笑む康江)
 康江 :「・・・ありがと。ほら、早く準備しないと!」
------------------------------------------------------------------------------------------ <利之の会社>
 上司 :「稲原。今日の接待、大丈夫だよな?」
 利之 :「あ、はい。」
 上司 :「何時からだっけ?」
 利之 :「18時からです。時間と場所は一応メールで送っておきました。」
 上司 :「そうか、ありがと。私は先方と一緒に行くから、先に行っててくれ。」
 利之 :「わかりました。」
------------------------------------------------------------------------------------------ <料亭>
 利之 :「はぁ〜。着いたはいいけど、落ち着かないなぁ。       こんな料亭、初めてだ。気合入ってんだな〜今回の契約・・・。」
 上司 :「どうぞ、こちらです。」
 先方 :「あ、どうもどうも。」
 利之 :「・・・え?」
  (利之は、戸惑いながら二度ほど目をこする)
 上司 :「どうした? 挨拶しないか!」
 先方 :「ははは、初めて見る顔だね。」
 利之 :「あ、はい。初めまして、これからお世話になる稲原といいます。」
 先方 :「はははは、気が早いねぇ。それとも、尾崎さんの入れ知恵かな?」
 上司 :「滅相もありません。稲原!」
 先方 :「なんとも初々しいですな。」
 上司 :「いや、どうも申し訳ありません。」
 利之M:「・・・どうなってんだ? なんで、顔が見えないんだ?       ぼやけてるってレベルじゃない・・・まるで、モザイクが掛かってるような。」
 上司 :「稲原! 何ボサッとしてるんだ、早くお注ぎしろ。」
 利之 :「あ、はい。すみません。」
 利之M:「だめだ・・・。こんなに近くで見てるのに、顔が・・・見えない。」
------------------------------------------------------------------------------------------ <翌日:会社>
 上司 :「おはよう。昨日は、お疲れ様。」
 利之 :「おはようございます。」
 上司 :「先方、満足して帰っていったよ。       お前、なかなかやるじゃないか。接待向きだな。はははは!」
 利之 :「どうも。」
 上司 :「今日の午後一(いち)に先方と詳しい商談をする事になった。       急な話だが、このチャンスを逃す訳には行かないからな。       会議室と商談の資料を揃えておいてくれ。」
 利之 :「はい。分かりました。」
  (利之は、話の途中で何度も目をこする) ------------------------------------------------------------------------------------------ <会社:昼休み>
 康江 :「病気かもしれないから、はやく病院行った方が良いよ。」
 利之 :「でも、午後から会議だし。今日は無理だな。」
 康江 :「そんなこと言って、悪くなったらどうするの?」
 利之 :「大丈夫だろ。なんとかなるって。」
 康江 :「もう。お願いだから病院行ってよ!」
 利之 :「オレは康江だけ見えればいいよ。ふふ。」
 康江 :「冗談言ってないでさ!」
 利之 :「・・・分かったよ、明日行くよ。どっか良い眼科無いか聞いといて。」
 康江 :「分かった。じゃあ、気をつけてね。」 
 利之 :「ああ、んじゃ。」
  (携帯電話を切ると、時計を見て昼休みの終わりを知る)
 上司 :「稲原! 先方が下に着たみたいだから、迎えに行ってくれ。」
 利之 :「はい!」
 利之M:「・・・いつの間にか、職場のみんなの顔が見えなくなってる・・・。       やっぱり病院行った方がいいかな、これは。」
------------------------------------------------------------------------------------------ <会社:受付>
 利之 :「あの、・・え!?」
 利之M:「そんな。受付の子まで見えないなんて。       いや、周りにいる全員の顔が見えない! なんで? なんで顔だけ!?」
 先方 :「おお、稲原君。」
 利之 :「え。」
 利之M:「どこだ。誰が呼んだ!? こっちを見てる人・・・あれか?それともあれか?」
 先方 :「稲原君?」
  (いきなり肩を叩かれた利之)
 利之 :「あ! ああ、はい。お待ちしておりました。」
 利之M:「ヤバイ、まったく見えねーよ。       もう一人連れてきたみたいだけど、そっちも顔が見えない。訳わかんねーよ!」
------------------------------------------------------------------------------------------ <帰路>
 利之 :「はぁ・・・。だめだ、明日は会社休んで病院だな。」
  (道で女性とすれ違う)
 謎女 :「ちょっと! シカト?」
 利之 :「?」
 謎女 :「フッ。私の顔を忘れたって?」
 利之 :「・・・オレ?」
 謎女 :「アンタに決まってんじゃない! バカにしてんの?」
 利之 :「いや、そういう訳じゃないんだけど。・・・どちら様ですか?」
 謎女 :「フハハ、そう。そういう態度するんだ。ふーん。」
 利之 :「オレの知ってる人・・・なんだよね?」
 謎女 :「はぁ〜。いい加減にしてくれる?       どこまでバカにする気なの? ってゆーか、バカなの?」
 利之 :「ごめん。オレ、何かしたっけ・・・。本当に覚えが無いんだけど。」
 謎女 :「もう我慢できないわ。やっぱり我慢できない! 絶対に許さない!」 
  (暗がりで一瞬光る何か)
 利之 :「んぐっ! な、なに? ・・・痛てぇ・・・。」
 謎女 :「アンタみたいなフザケタヤツは、死んだ方がいいのよ!       私のことをあんなにして、私の顔を忘れたですって?!」
 利之 :「あ・・・あぁ・・・くぅ。」
 謎女 :「あははははは!」
 利之 :「なんで・・・誰? 誰なんだよ!?」
------------------------------------------------------------------------------------------ <自宅:寝室>    (寝室で利之を揺り起こす、康江)
 康江 :「トシ。起きて! 会社遅れちゃうよ!」
 利之 :「あれ!? はぁ・・・なんだ。」
 康江 :「どうしたの? 大丈夫?」
 利之 :「あ、ああ。・・・ちょっと変な夢を見ちゃってさ。」
 康江 :「変な夢?」
 利之 :「!!」
 康江 :「え、なに? そんな顔して!?」
 利之 :「・・・康江、だよな?」
 康江 :「もぅ。寝ぼけてるの〜? 早く起きて、ごはん食べよ。」
 利之 :「・・・そんな・・・・・・。」
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