声劇用台本 
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■タイトル 

  プライベートレッスン

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■ジャンル

  コミカル

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■設定

  一度代行で請け負った家庭教師だったが、先方から継続的に家庭教師を
  してくれないかと依頼があった。しかし・・・。 

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■登場人物
 
 尾下 忠道[おのした ただみち](♂):現役大学生。バイト家庭教師。
 後藤 里沙[ごとう  りさ  ](♀):おとなしい。声はクールで低調。
 
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■配役(1:1:0) 所要時間:15分〜20分程
 
 尾下(♂)[L66]:
 りさ(♀)[L65]:

  ※L**:セリフ数
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■台本

 りさ:「ロミオが力なくジュリエットの胸の中に身をゆだね、
     開いた手のひらから零れ落ちた物。
     それは、かつて幼い頃にジュリエットがロミオにあげた
     ・・・魔法が封印された"おはじき"でした。
     ジュリエットの涙がおはじきを濡らすと突然輝きだした。
     魔王の渾身の一撃が迫り来るその時、二人をまばゆい光が包み込んだのです。
     辺りを煌々と照らす光が魔王の姿を徐々に浄化し、やがて消し去ってしまった。
     ジュリエットが渡した大切な宝物をロミオがずっと彼女を想い大切にしていた・・・
     それこそが、本当のおはじきだったのです。世界に一つしかない特別な"おはじき"。」

 尾下:「うーん・・・。」

 りさ:「ダメですか?」

 尾下:「いや、ダメというか・・・。これ、何?」

 りさ:「答えです。」

 尾下:「何の?」

 りさ:「問題の。」

 尾下:「それじゃあ、もう1回その問題文を読んでみようか?」

 りさ:「はい。
     太郎と花子がおはじきを30個ずつ持っている。太郎が花子に何個あげたら、
     太郎のおはじきが花子のおはじきの数のちょうど半分になった。
     太郎は花子にいくつあげたのか?」

 尾下:「はい。で、どうして答えが壮大な物語になっちゃったのかな?」

 りさ:「文章や心情を読み解いた結果です。」

 尾下:「それは、今いらないかな。うーん、ちょっと読みすぎたかな?
     これはさ、単純に読んで、普通に数学として解けばいい問題なんだよ。」

 りさ:「はい。」

 尾下:「・・・うん。でさ、問題にはロミオとかジュリエットって書いてないでしょ?」

 りさ:「ロミオ太郎とジュリエット花子です。」

 尾下:「あー・・・なんか芸名みたいになっちゃったね。二人は、お笑いコンビなのかなぁ?」(苦笑)

 りさ:「世界の救世主です。」

 尾下:「あ、いや、それはいいんだけど。先生、余計なこと言っちゃったかな。ごめんね?」

 りさ:「いいえ。」

 尾下:「この問題は、一次方程式の問題なんだよ。
     ”太郎が花子にあげたおはじきの数が何個なのか?”ということを
     答えなきゃならないんだよ。それは分かるよね?」

 りさ:「なるほど、そういう意味ですか。」

 尾下:「分かってくれた? よかった・・・。。
     りさちゃんが思ってるより、問題文は簡単に出来てるんだよ。うん。」

 りさ:「少し読み違えました。」

 尾下:「少し? 少しか・・・、うん。まぁ、いいか。
     ・・・じゃあ、今度は答え分かるかな? 太郎が花子にあげた"おはじき"は何個?」

 りさ:「花子がおはじきを貰ったのが、引越しの当日だったために荷物に紛れて失くしてしまいました。
     成長した二人が出会ったときには、太郎も幼少の記憶が曖昧で、結局おはじきを
     何個あげたのかわかりませんでした。でも、3個だけ奇跡的に持っていた太郎は
     告白の際におはじきを2個あげました。なので、答えは、2個です。」

 尾下:「どーしてそーなっちゃったんだろーねー??
     なんで、引越しの日にあげちゃったのかなぁ?」

 りさ:「花子がぎりぎりまで太郎に引越しすることを言えなかったからです。」

 尾下:「そういうことじゃなくてね。
     あのー、問題を解く過程で時間の経過を入れる必要は無いんだよなぁ。」

 りさ:「しかし、幼い頃に別れた二人の再会フラグは・・・」

 尾下:「必要ないんだなぁー。成長しなくていいんだよね。ここでは!」

 りさ:「確かに、身体は成長しましたが、心は昔のままです。」

 尾下:「なんかちょっとうまい感じのこと言った風だけど。今はいらない要素だ。
     そうだな・・・ドラマ的なものは必要ないんだ。 こう、瞬間を生きてみない?」

 りさ:「瞬間ですか?」

 尾下:「そう! こう、おはじきをパッ!っと渡して サッ!と持ってる数を確認しようよ!」

 りさ:「そうなると、10個ですね。」

 尾下:「正解!! やればできるんだ! 流石、りさちゃん。」

 りさ:「このあげた10個は返してもらえるんですか?」

 尾下:「え? ・・・いや、これは多分返してもらえないかな。」

 りさ:「将来、再会してもですか?」

 尾下:「うーん、多分再会しても・・・だね。」

 りさ:「では、知らないうちに太郎君の元へ10個のおはじきが帰ってきてるとか。」

 尾下:「それはもう、ホラーだね! そういう展開も無いと思う!」

 りさ:「そうですか。」

 尾下:「そうなんです。
     じゃあ、次いこう、次。 今度は問題文から読み上げてってくれる?」

 りさ:「はい。
     兄が1800円、弟が1000円持っていた。兄が鉛筆を4本買い、
     同じ鉛筆を弟が3本買った。すると兄の残金が弟の残金のちょうど2倍になった。
     鉛筆1本の値段を求めよ。」

 尾下:「はい、じゃあ答えは?」

 りさ:「この事件は実に巧妙に仕組まれたトリックだったのです。」

 尾下:「はい??」

 りさ:「兄と弟がまるで一緒に買い物に行ったかの様に見えますが、
     実はこれ弟が先に鉛筆を買い、その翌日に兄が鉛筆を買いに行ったんです。
     つまり、弟が買ってきた鉛筆を見て兄も欲しくなり、弟から小遣いを巻き上げ
     兄も同じ鉛筆を買いに行っているのです。そして、行く途中で・・・」

 尾下:「(手を打って)パン♪ はい。ありがとう。
     なんかイロイロと大変なことになっちゃったね。
     この問題でも、あのー・・・ストーリー性というか、事件性は必要ないんだよね。」
     
 りさ:「では、鉛筆の値段は一本200円です。」

 尾下:「それだと、お兄ちゃんの残金が弟の残金の2倍にならないんじゃないかな?」

 りさ:「鉛筆は書くために買います。」

 尾下:「そうだね。」

 りさ:「この兄は本当に優しい人なんです。」

 尾下:「そうなの?」

 りさ:「兄は思いました。間違えて書いたらどうしよう。」

 尾下:「そうだね。人間は間違える生き物だからね。」

 りさ:「だから、自分の分と弟の分の消しゴムを買ったのです。」

 尾下:「なるほど、その消しゴムの値段が?」

 りさ:「100円です。従って、兄の残金が800円、弟の残金が400円になりますので。」

 尾下:「鉛筆一本の値段が200円になる、と。」

 りさ:「正解です。」

 尾下:「ありがとう、でも不正解です。」

 りさ:「え、それは不可解です。どこがおかしいですか?」

 尾下:「どこかと言えば、消しゴムの部分だね。」

 りさ:「メーカーも明記したほうが良かったのですか?」

 尾下:「あのね。出処とか、種類の問題じゃないんだよね。
     消しゴムの存在自体に問題があるんだよ。
     鉛筆しか買わないんだ。これは絶対事項なの。」

 りさ:「では、どうやって消すんですか?」

 尾下:「ここでは、消すことは考えなくていいの! 鉛筆だけを考えればいいの!」

 りさ:「では、鉛筆一本100円です。」

 尾下:「・・・正解。やれば、できるよねー。」

 りさ:「・・・? 先生、どうしたんですか? 具合でも悪いんですか?」

 尾下:「いや、ちょっと目眩がして。寝不足かな・・・? ははは・・はぁ〜。」

 りさ:「良ければ、少し眠ってはどうですか?」

 尾下:「いやいや、そんな! 勉強を教えに来てるのに、悪いよ。」

 りさ:「私、催眠術得意なんですよ。」

 尾下:「いや、僕は睡眠の方が好きだから。おかまいなく!
     さ、続きをやろうか! 次は・・・問3だね。問題文を読んでみて。」

 りさ:「はい。
     yがxに比例し、y=x+1 の関係がある。これについて次の問いに答えよ。」

 尾下:「うん。」

 りさ:「y=18のときのxの値を求めよ。」

 尾下:「はい、じゃあ、答えはいくつになるかな?」

 りさ:「xは、19以上、22以下です。」

 尾下:「あいまいだね。どうして?」

 りさ:「女子18才で大人の世界に憧れてて、大学生の彼氏を作り。
     そして、キープを1人。なので、大よそ19才〜22才の間になると思います。」

 尾下:「そうきたかぁ。」

 りさ:「何ですか?」

 尾下:「あ、いやいや、こっちの話。
     そうだねぇ・・・もう、どうツッこんで良いか分からないから・・・
     とりあえず、不正解だね。
     ま、とりあえずじゃなくても不正解なんだけど。
     ここまで来るともう、逆に感心しちゃうよね。」

 りさ:「ありがとうございます。」

 尾下:「って言われても困っちゃうんだけどさ。
     ・・・そうだなぁ・・・、どうしよう?」

 りさ:「では、バツ1の子持ちって感じですか?」

 尾下:「そうきたぁ? もう、なんか。生生しい人生の方程式だね。
     先生、教えてあげられる自信なくなっちゃったな・・・。」

 りさ:「大丈夫だと思います。」

 尾下:「あ・・あぁ、ありがとう。
     何が大丈夫か・・・ちょっと先生、まだ分かんないんだけど。
     どうしようね? 学校でテストあるんだよね?」

 りさ:「はい。中間試験があります。」

 尾下:「ふぅ〜・・・・・・・・。
     とりあえず、上からもう一度、正解の導き方を勉強していこうか?」

 りさ:「はい。」

 <時間経過>

 尾下:「・・・ってなことがあったけど。テストどうだったんだろうなぁ・・・。
     あれじゃ、無理だろうしなぁ。このままじゃ家庭教師クビだぞ?
     ・・・・いや、でもクビになったほうが良いかもしれない・・・かもなぁ。
     正直、あの子にキチンと勉強教えてあげられる自信ないんだよな・・・。」


  ★扉をノック (SE:コンコン)

 
 尾下:「おじゃましまーす。」

 りさ:「先生、こんにちは。」

 尾下:「こんにちは。早速だけど・・・テスト、どうだった?」


  ★テスト用紙を先生に渡す(SE:紙の音)


 りさ:「はい。」
 
 尾下:「・・・えーっと・・・? え!? これ、どういうこと?」

 りさ:「”どういう”って、どういうことですか?」

 尾下:「だって、これ。100点って・・・。え?!」

 りさ:「先生のお陰ですよ。喜んでくれないんですか?」

 尾下:「いや、まぁ・・そう言って貰えると嬉しいけど。全然、実感が無い・・・かな。」

 りさ:「お母さんも大喜びで、先生にしばらくお願いしようって言ってました。」

 尾下:「あ、そう・・・なんだ。そっか。」

 りさ:「では、この前の続きからですね?」

 尾下:「ああ、そうだね。えーっと、宿題にした所からか。」

 りさ:「はい。」

 尾下:「じゃあ、38ページの問1だね。答えは?」

 りさ:「姉と妹がケーキを買いに行ったが、姉はダイエット中だったため上のイチゴだけ食べました。」

 尾下:「あれぇ〜?? そうなっちゃった?
     おかし〜なぁ。これ、テストの問題と同じような問題なんだけどなぁ。」

 りさ:「・・・・・・。」

 尾下:「じゃあ、ちょっと先生が問題を出すから答えてくれるかな?」

 りさ:「はい。」

 尾下:「では問題です。
     ある家庭教師が生徒に勉強を教えていましたが、その時はいつも0点です。
     しかし、その生徒が学校でテストを受けると100点でした。
     家庭教師には、何が足りないのでしょうか?」

 りさ:「先生に足りないものはありません。しいて言うなら、私への愛情が足りません。」

 尾下:「・・・はい!?」

 りさ:「もっと私のことを見てください。」

 尾下:「ちゃんと見てるよ??
     ちゃんと、真っ直ぐ向かって勉強を教えてる・・・と思うんだけど・・・?」
 
 りさ:「違います。そういう意味じゃありません。」

 尾下:「えーと・・・先生にも分かるように教えてもらえないかな?」

 りさ:「分かりました。先生にも分かるように、教えてあげます。」

 尾下:「・・・はい、よろしくお願いします。」

 りさ:「私。」

 尾下:「はい。」

 りさ:「先生のことが・・・。」

 尾下:「はい。」

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<おしまい>

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(2010- 8-31 up)