声劇用台本
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■タイトル 

  六月の雨

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■ジャンル

  コミカル/恋愛

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■設定

 梅雨の時期、六月の雨の日。学校から帰ろうとしていると鈴子が想いを
 よせる田所がやってきて・・・

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■登場人物
 
 田所  亨[たどころ とおる ](♂):学生。茅生は幼馴染。オタク属性。
 茅生 鈴子[かやおい れいこ ](♀):学生。口が悪い。属性あり。
                   田所が鈴子をリン子と読んだのが謂れ。
 
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■配役(1:1:0) 所要時間:15分程度
 
 田所(♂)[L 93]:
 茅生(♀)[L100]:

  ※L**:セリフ数
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■台本

<学校:放課後の玄関前>

 茅生 :「六月ってほんと嫌な時期・・・じめじめしてさ。
      雨降らないうちに帰ろうっと。」

  (玄関を出ると弱い雨が降っている)

 茅生 :「って思ったら、もう降ってるじゃん。最悪ぅ〜・・・。」
 田所 :「お、リン子。何やってるんだ?」
 茅生 :「え? あ、亨。」(ちょっとドキッ)
 田所 :「あほ面して何やってるんだと聞いたのだが?」
 茅生 :「うるさいな! 誰がアホ面だよ!」
 田所 :「リン子のことだろ。」
 茅生 :「後ろから近づいてきて、私の顔が見えるわけないだろ?」
 田所 :「ふむ、なかなか鋭い指摘だな。今日は冴えてるじゃないか。」
 茅生 :「ば、べ、別にそうでもねーし。・・・普通だし。」
 田所 :「何、真に受けてるんだ?」
 茅生 :「ちょ!? またバカにして!」
 田所 :「まぁ、落ち着け。そのへんにしておかないと血圧が上がってぶっ倒れるぞ。」
 茅生 :「誰のせいだよ、誰の!」
 田所 :「もしかして雨降ってるんで雨宿りか?」
 茅生 :「ちげーし。」
 田所 :「雨の中を青春よろしくで駆け抜けていく算段でもつけていたのか?」
 茅生 :「なんだそれ? てか、んなわけねーし。」
 田所 :「じゃあ、ここをキャンプ地とするつもりでいたのか?」
 茅生 :「そんなわけあるかよ! バカなことばっかり言いやがって。」
 田所 :「そんなに怒るな、軽いジョークじゃないか。」
 茅生 :「ふん。」
 田所 :「さしずめ、傘がなくて立ち往生といったところか。」
 茅生 :「は?」
 田所 :「梅雨時期だというのに天気予報も見てこないのか? さすがリン子だな。」
 茅生 :「はん! 残念でした! ちゃんと折り・・・」
 田所 :「じゃあ入っていくか?」
 茅生 :「た、た、・・・・・・・・・え?」
 田所 :「え?じゃない。
      傘に入れてやるから入っていくかと救いの手を差し伸べているわけだが。」
 茅生 :「・・・え? ええ?!」
 田所 :「何をそんなに驚く必要がある?」
 茅生 :「い、いや・・・。」
 田所 :「それより、今なにか言ってなかったか? ”た、た”とか?」
 茅生 :「いやいやいや、なんでもねーよ! あはは、聞き違いだよ!」
 田所 :「そうか? それならいいんだが。」
 茅生M:「え、なにこれ?? なにこのシチュエーション! 
      私、死ぬの? なにこの幸運! 神様ありがとう!!」
 田所 :「なにゆえ天を仰いでいるのだ?」
 茅生 :「え。ううん、なんでもない! えへへ。」(照)
 田所 :「嬉し涙でも堪えていたのか? 可愛いところもあるじゃないか。」
 茅生 :「ば、ばかじゃないの!? そんなわけあるわけないじゃない!」
 田所 :「?? なんかいつものリン子らしくないな。女の子っぽいぞ。」
 茅生 :「ちょっと! 一応これでも女の子なんですけど!」
 田所 :「ふふふ、自覚しているのだな。”一応”とつけるあたりが。」
 茅生 :「い、一応じゃなくても女の子だし!」
 田所 :「まあいい、さっさと帰ろう。帰ってゲームがしたいからな。」

  (田所が傘を開く)

 茅生 :「じゃ、じゃあ。おじゃましまーす。」
 田所 :「なんだそれは。」
 茅生 :「いや、なんとなく・・・。」
 田所 :「気持ち悪いな、普通に入れ。本当に今日は何か変だぞ?」
 茅生 :「変かな。・・・そう、かも。」
 田所 :「うーむ、風邪でもひいたか? 熱でもあるんじゃないのか?」
 茅生M:「ちょ、ちょ、ちょっと!! おでこ触ってるぅ〜!!!」
 田所 :「むう、わからん。まあ平熱だろうな。」
 茅生 :「ふう・・・、勝手に人のおでこ触ってんじゃねーよ!」
 田所 :「はいはい。じゃあ行くか。」
 茅生 :「あ、ああ・・・。」
 田所 :「リン子、俺が通りがからなかったらどうするつもりだったんだ?」
 茅生 :「え、いやー、そのときは・・・。」 
 茅生M:「持ってきた折り畳み傘で、なんて言えるわけないし、絶対!!」
 田所 :「おり・・・」
 茅生 :「お、折りたたみ傘なんてもってないしぃ〜!?」
 田所 :「・・・なんだ突然?」
 茅生 :「え、あ、いや。あはは・・・は」
 田所 :「いつも一緒にいる折原ってやつでも待ってたのか?」
 茅生 :「なんだ、優衣(ゆい)のことか・・・。」
 田所 :「違うのか?」
 茅生 :「え、あ、ああ。そうなんだな、たぶん優衣のこと待ってたんだけど
      先に帰ったっぽいってゆーか。帰ったかどーか連絡しようとしてたというか」
 田所 :「そうか、そりゃ邪魔をしたか。」
 茅生 :「邪魔なんてとんでもない!」
 田所 :「お、おう。」
 茅生 :「え、いや。助かったよ、マジで。」
 田所 :「それならいいが。」
 茅生 :「亨は・・・」
 田所 :「なんだ?」
 茅生 :「亨は、こうやって簡単に女の子を傘に入れたりするのか?」
 茅生M:「って、なにバカなこと聞いてんだ私はー!!」 
 田所 :「え? いや・・・そう聞かれると、そんなことはしないと思うな。」
 茅生 :「そ、そうか。」
 田所 :「たぶん、リン子だったからだろうな。」
 茅生 :「へ?」
 田所 :「幼馴染だし、抵抗は特になかったな。」
 茅生 :「あ、そっか。だよね。」
 田所 :「なんでだ?」
 茅生 :「いや、亨から一緒に入ろうだなんて言われたら女にキモがられるだろうからな」
 田所 :「お前は人の傘に入らせてもらっている分際でよく言えたものだな。」
 茅生 :「でも、本当は亨だってそう思ってるだろ?」
 田所 :「何を言っている、俺の傘に入りたくて傘を持ってない女子が
      列をなして待っているくらいだぞ。」
 茅生 :「という妄想だろ?」
 田所 :「お前は見たことないからそう言えるだけで、中には折り畳み傘を持ってきてる
      のに傘を持ってないフリをして入れてくださいと懇願するような視線を向ける
      女子が何人いることか!」
 茅生 :「・・・・・・・。」
 田所 :「・・・ん? どうした、ツッコんでくるところじゃないのか?」
 茅生 :「そういうのは分かってるんだ。」
 田所 :「悲しいがな。」
 茅生 :「・・・まぁ、でももしかしたら一人くらいはいるかもね。」
 田所 :「なにがだ?」
 茅生 :「傘に入りたいって思ってる人。」
 田所 :「ほほう。それは興味深い話だな、できれば住所、氏名、年齢、電話番号を
      教えてもらえるとありがたい。」
 茅生 :「個人情報を流出するわけにいかないだろ、こんな妄想変態野郎に。」
 田所 :「貴様ぁー、まだ自分の立場をわきまえてないようだな!
      俺の傘下にいるということを忘れるな!」
 茅生 :「はいはい。ありがとうございます。」
 田所 :「むむ! あんなところに雨に濡れてる女子高校生を発見!」
 茅生 :「本当に変態くさいこと言わないでくれよ。」
 田所 :「ここでお前からあの女子高校生に入れ替えということを一考。」
 茅生 :「するなよ! って、人の傘に入っている私が言うことじゃないかもだけど。」
 田所 :「ようやく理解したようだな。」
 茅生 :「でも、ほら。彼女コンビニで傘買ったみたいだし。」
 田所 :「くぅ、残念! もっと早くに声をかけていれば・・・!」
 茅生M:「・・・・・・って、私もここでコンビニで傘を買ったほうがいいの?? え、え?」
 田所 :「仕方ない、帰路を急ごう。」
 茅生 :「あ、あのさ。・・・私もコンビニで傘買っていくから、もう大丈夫だよ。」
 茅生M:「あああ、もう自分でなに言ってんのよ。折角、神様が与えてくれた時間を・・・」
 田所 :「コンビニで傘を買うだと?」
 茅生 :「お、おう。」
 田所 :「やめろ。」
 茅生 :「え?」
 田所 :「このまま傘に入っていろ。」
 茅生 :「ふぇ?!」
 田所 :「金がもったいない。」
 茅生 :「は?」
 田所 :「ばかやろう! 数百円もするんだぞ! もったいないじゃないか!」
 茅生 :「はー!?」
 田所 :「なんだ? その物言いたげな顔は?」
 茅生 :「いや、確かに・・・その、言うとおり?かもしれないけど。理由がそれなの・・・?」
 田所 :「ん? これ以上の理由がどこにある?」
 茅生 :「はぁ・・・、なんでもない。ちょっとドキッっとした自分がバカみたい。」
 田所 :「なんでドキッとしたんだ?」
 茅生 :「へぁ? 口に出てた?」
 田所 :「よだれか?」
 茅生 :「よだれじゃない! もう、なんでもない!」
 田所 :「だが、しかしだ。」
 茅生 :「ん?」
 田所 :「その傘に使うはずのお金を俺へのお礼の気持ちとして使うのはどうだろう?」
 茅生 :「は?」
 田所 :「それは実に良い使い道ではないか? 道理だ!」
 茅生 :「どういうこと?」
 田所 :「どうせ買ったところで使わなくなるようなビニール傘に費やすより自分を雨から
      救ったこの俺様に気持ちとして形あるもので表すことは道理じゃないか!」
 茅生 :「要は、何かオゴれってこと?」
 田所 :「要は、そういうことだ。」
 茅生 :「はぁ・・・わかったよ。じゃあちょっとコンビニ寄ってこ。」
 田所 :「おお! 今日のリン子は一味違うな! いつもならゴネるのにな。」
 茅生 :「そんなことないだろ!」
 田所 :「お前にも人の心というものがあったのだな。」
 茅生 :「いい加減、絞めるぞ。」
 田所 :「おおう、昔から首を絞めるのは得意だったな。今日はこのくらいにしてやろう」
 茅生 :「まったく・・・。」

  (コンビニから茅生が戻ってくる)

 茅生 :「何がいいか分からないから私の好きなもの買ってきたけど文句ないよな?」
 田所 :「おお、望むところだ。」
 茅生 :「まったく。」
 田所 :「・・・って、なんだこれ?」
 茅生 :「なんだこれって、見たことないのか?」
 田所 :「いや、見たことあるがゆえに自分の目が信じられないのだが。」
 茅生 :「プリンだろ、どうみたって。」
 田所 :「はい、俺の目 正常でした。」
 茅生 :「プリン嫌いなのか?」
 田所 :「そうじゃないだろ、お前はバカなのか?」
 茅生 :「はぁ?プリンの何がバカなんだよ!? 私がプリン好きなのがおかしいのか?」
 田所 :「そうじゃなくて。俺は片手が傘でふさがっているというのに
      どうやって俺に食えというのだ。」
 茅生 :「あ・・・。」
 田所 :「やっぱりリン子はバカなんだな。再認識させてもらいました。
      どうもありがとうございます。」
 茅生 :「そんな言い方しなくてもいいだろ? ちょっと、選択ミスとは思うけど。」
 田所 :「まあいい、食べられないこともないしな。」
 茅生 :「亨は持って帰って家で食べればいいじゃん。」
 田所 :「いやだ。」
 茅生 :「子供か!」
 田所 :「いま、お前だけ食ってるのに俺は食えないとか卑怯だろ!」
 茅生 :「卑怯って、言葉おかしくないか?」
 田所 :「とにかく俺も今食べたい。ので、あーん。」
 茅生 :「あーん?」
 田所 :「あーん、といったら、あーん。」
 茅生 :「は? へ?!」
 田所 :「早く俺の口に入れて食べさせろ。」
 茅生 :「何様のつもりだよ!」
 田所 :「俺様のつもりだが、なにか?」
 茅生 :「なにかじゃないだろ? 食べさせるとか、こんなところで・・・!」
 田所 :「こんなところもなにも、お前は食べてるじゃないか。」
 茅生 :「それは、そうだけど。」
 田所 :「ほれ、あーん。」
 茅生 :「わ、わかったよ・・・じゃあ、はい。」
 田所 :「んむ。なかなか美味いじゃないか、初めて食べるプリンだ。」
 茅生 :「でしょ? これおいしいんだよね。はむ。」
 茅生M:「・・・ってこれ! 今、亨が口にしたスプーンじゃん!!!」
 田所 :「どうしたリン子?」
 茅生 :「へ、い、いや。なんでもないけど・・・亨は大丈夫なのか?」
 田所 :「なにがだ?」
 茅生 :「なにがって・・・。」
 田所 :「俺は大丈夫を絵に描いたような男だが。」
 茅生 :「意味わかんねーし!」
 田所 :「それより、もう一口くれ。」
 茅生 :「え! え??」
 田所 :「えじゃない、はやくくれ。」
 茅生 :「わ、わかったよ。それじゃあ、ほら・・・。」
 田所 :「うむ、美味じゃ。」
 茅生M:「うわーん、神様ありがとう! 六月の雨、悪くないかも!」(嬉)

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<おしまい>

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(2015-06-30 up)