−声劇用台本−


==【タイトル】=================================================

  食堂・準備中(女性客Ver)

==【ジャンル】=================================================

  コメディ
 
==【配 役】===================================================

 男2:女1:両0 

 店主 (-才)男(L54):
 店員 (-才)男(L51):
 客  (-才)女(L65):

 ※役名(年齢)性別(セリフ数)

==【台 本】===================================================
 
    (ある日のお昼ごろ)

  客:「お腹へったぁ...。でもなぁ。
     いつもと同じ所で食べるのも飽ーきたしなぁー。」
 
    (ふらりと、普段通ることの無い路地に足を向けた)

  客:「・・・あれ? こんな所にも食堂なんてあったんだ。ふーん。
     なんか、きったなーい店だけど・・・。」

    (SE:ガラガラガラ...)
    (扉の音に反応したのか、厨房の下から生えたような
      二つの顔だけがこちらを凝視していた)

  客:「(目が合って驚く)え!?」

 店主:「・・・・。」
 店員:「・・・・。」

    (揺るがない相手の視線にたじろぎながらも、客は一言しぼり出す)

  客:「・・・・あのぉ・・・やってますか?」
 
 店員:「あ、はい。(殴られる)イタッ!」
   
    (店主に殴られ、厨房の下に消える二人)

 店主:「(小声)ばかやろう!なんで入れるんだよ!」
 店員:「(小声)すんません。つい・・・。」
 店主:「(小声)つーか、なんで札を『準備中』に返してないんだよ!」
 店員:「(小声)忘れてました。」

   (SE:ガラガラガラ)
   (客は扉を閉めて、店の中央にあるテーブルについた)

 客M:「だーれもいない。お客って私だけ・・・? 人気ないのかな。
     あーもしかして、ここって美味しくなかったりして。」

 店主:「(小声)まったく。どうするんだよ?」
 店員:「(小声)どうするって言われても・・・。」

  客:「あのー?すみませーん。」

 店主:「(にょき)はいー?」

   (厨房の下から、店主の顔が生えてきた) 

  客:「メニュー、お願いしたいんですけど?」

 店主:「あー・・・はいはい。ちょっと待ってて。」
 店主:「(小声)おら、行ってこい!」
 店員:「ええ?俺っすか?」
 店主:「(小声)あたりまえだろ!」

 客M:「なんか、ぃやーな雰囲気・・・」

 店員:「じゃあ、これ。メニューです。」
  客:「あ、ありがとうございます。あのー。あと、お水も頂けますか?」
 店員:「水? あぁはい。」
   
    (メニューを開いて、考え始める客)
    (その間に店員がお冷を持ってきた)

 客M:「カツ丼、親子丼、天丼、肉丼、牛丼、
     他人丼、焼き鳥丼、とろろ丼、海鮮丼
     中華丼、ねぎ丼、豚キムチ丼、かに玉丼、
     きのこ丼、スキヤキ丼、カレー丼、シチュー丼、
     ヘルシー丼、サラダ丼、チヂミ丼、精進丼、フルーツ丼。」

  客:「・・・・・・・フルーツ丼!?」

 店員:「え?(メニューを覗き込む)フルーツ丼!?
     へー・・・。わかりました、フルーツ丼ですね?」

  客:「あ、いいえ! 違います。すいません・・・。」

 客M:「フルーツ丼って・・・一体何が上に載ってるんだろう。
     興味はあるけど、ちょっと・・・ねぇ。」

 店員:「ぁー腹減った・・・。」
    (女性客のテーブルにがっちりマークした状態で待っている)

 客M:「ヘルシー丼ってネーミングに惹かれるんだけどぉ・・・。
     うーん。どうしようかなぁ。サラダ丼もヘルシーな感じだけど
     何が違うのかなぁ?」
 
    (大事な昼食に掛ける思いと意気込みはハンパではない)
 

 店員:「あのーまだっすか?」
  客:「え? あ、ごめんなさい・・・。」

    (気まずそうにコップを手に取り、水を口にした)

 店主:「(じー)・・・・。」
    (厨房に生えた店主の顔が客を凝視している)

  客:「(目が合った)ぶはっ!げほっがほっ!」
 店員:「ちょ!汚ね!」
  客:「けほけほ・・・あ、ごめんなさーい。」

    (顔を背けた視線の先。別の席にカツ丼の食べかけが2つ残っていた)

  客:「あの・・・じゃぁ、ヘルシー丼お願いします。」

 店員:「あい。(店主に)ヘルシー丼だって言ってます。」
 
 店主:「・・・・・・・・ご飯が無い。」
 店員:「はい!?」
  客:「え?」

 店主:「午前中で、ご飯が・・・米が無くなっちゃったんだよね。うん。無くなったの。」
 客M:「うそー? ってことは、ご飯モノ全滅じゃなーい!?」 
 
  客:「・・・それじゃあ、他に何があります?」

 店主:「んー・・・む。」
   (店主は、厨房の下へゆっくりと消えていく)

 店員:「蕎麦とか?」
  客:「あ、じゃあ。おソバでお願いします。冷たい方で。」

   (再び厨房に生える店主)

 店主:「(にょき)無い。・・・そば粉がない。」
  客:「そば粉? ここって、手打ちなんですか??」
 店員:「手打ちできるんスか!? すごいッスね!」
 店主:「・・・おい。ちょっと来い。」
 店員:「はい?」

   (店員の頭が殴られる音と共に、厨房へと消える二人)

 店員:「イテッ!」
 店主:「(小声)おまえは、なんで余計なこと言うんだ!」
 店員:「いや、だって。手打ちとかスゴイじゃないっスか!?」
 店主:「(小声)声がでけぇっつーの!(殴る)」
 店員:「ンガッ!」
 店主:「(小声)もういい!今のうちに札を準備中に変えてこい!」
 店員:「・・・ういッス・・・。」
 
   (そして厨房から出てきた店員)

 客M:「やだ!? 鼻血出てる・・・。
     厨房は戦場だ。って、特番か何かで見た記憶あるけど。
     血まで出てるとか、初めて見た・・・。
     ・・・私の料理に血が入ったりとか・・・・? やだー・・・。」
        
   (SE:ガラガラガラ)
   (扉を開けて出て行く店員)

  客:「あのー。もしかして準備中でした?」
 店主:「(にょき)そうなんだよー。」
 客M:「・・・なんでこの人は顔しか出さないんだろう。」

   (怪訝な顔をして客が席を立とうとする)

  客:「じゃあ、失礼しますね・・・・・」

 店主:「あ! いや、大丈夫だよ!」
  客:「えっ?」
 客M:「大丈夫って、何も置いてないじゃない。
     私は早くお昼ご飯が食べたいのに!」

 店主M:「まずい・・・まずいぞ。あの客、怪しんでる顔してたぞ。」

  客:「あのー、やっぱり失礼しますね。」
 店主:「いや! ご飯・・・もう少しで炊き上がるからさ。」
  客:「え? でも、さっきお米が無いって・・・。」
 店主:「そんなこと言ったっけ? 
     いやいや、炊き上がってる米が無かったんだよ。うんうん。」

  客:「あぁ・・・そう・・・なんですか? それなら。」
 客M:「もー、バカー! なんで私帰るって言わなかったのよー。」

   (席に座りなおす客)

 店主:「ちょっと待っててくれよ?」

   (厨房の下に消えたかと思うと、外に居る店員の携帯が鳴る)

 店員:「(ピッ)もしもし?」
 店主:「(小声)おい。オレだ。」
 店員:「あれ?なんスか、携帯で?」
 店主:「(小声)すぐそこにコンビニあったろ。ヘルシー丼買って来い!」
 店員:「え?ヘルシー丼・・・っすか? あぁ!なるほど、頭イイっスね!!」
 
 客M:「・・・ちょっとぉ。全部聞こえてますけど・・・。
     私にコンビニのヘルシー丼を食べさせる気ぃ!?
     ってゆーか。コンビニにそんなの売ってたっけ?」

    (携帯を切って店主が厨房から顔を生やす)  

 店主:「あぁ、あと数分で届く・・・いや!出来るから。」

    (それを聞いた客は、沸々と湧き上がる怒りを抑えながら)

  客:「『とどく』ってなんですか・・・!?」


 店主:「え?とど・・・く? あれーそんなこと言った?
     最近、日本に来たばかりでチョット、言葉難しいネ。」

  客:「・・・。」
 店主:「・・・。」

    (見つめ合う二人。そして不意に身を翻し立ち上がる客)

  客:「帰ります!(怒)」
 店主:「あぁ!ちょっと!!」

   (厨房から飛び出す店主)
   (SE:ガラガラガラ)
   (割って入るように扉の開く音がした)

 店員:「あのー、ヘルシー丼って売ってなかったんですけど??」

  客:「・・・・・・。」
 店主:「・・・ぁ・・・。」

 店員:「・・・あれ?」
  客:「あは・・・あはははは。」

   (客の乾いた笑いと、それに合わせるように店主の笑い)

 店主:「・・・あ? あははははは。」
 
   (店主は笑いながら店員に近寄っていく)

 店員:「? あのー、サラダ丼なら・・・イデェ!!!」

   (頭を殴られて、頭を押さえる店員)

 店主:「じょ、ジョーダンですよ! まさか、そんなー・・・ねー?」
  客:「そんな? なんですか。コンビニのお弁当を食べさせるわけがないって?」
 店員:「なんで分かっ・・・・ぐおぉ!」

   (見事なボディーブローに悶絶する店員)

  客:「もういいですよ。他の店行きますから!」
 店主:「いやいやいやいやいやいや!」
  
   (客の前に立ちふさがり、後ろ手で扉を閉める)
   (SE:ガラガラガラ。)
 
  客:「なんですか! コンビニで買うとか・・・おかしいでしょ!?」
 店員:「オレ的には基本コンビニだけど?」
 店主:「(睨んで)冗談はもういいから・・・。お前は黙ってろ。」
 店員:「・・・ういッス・・・。」

  客:「はぁ・・・。勘弁してくださいよ。どうして帰らせてくれないんですか?」
 店員:「そうですよぉ、帰らせればいいじゃないッスか。」
 店主:「(店員を睨んで)あ?」
 店員:「・・・ういッス・・・。」

    (その時、店主は目の端である物に気付く) 

 店主:「! わかりました。 今度は本当に出します。」
  客:「え?」
 店主:「大丈夫。”ヘルシーな”丼モノですよね。」
 客M:「・・・なんかこの人。自分に言い聞かせてない?」

    (客はしぶしぶ座った)

 店主:「おい。お客さんの水足しとけ・・・。」
 店員:「ういッス。」

    (店主は、店員が水を注ぎ足している間に何かをやっていたようだ)

 客M:「もぅー、なんなのぉ?いつものランチにすればよかった。」

    (一方、厨房から声が聞こえてくる)

 店員:「オレも腹減ったッス・・・。」
 店主:「いいから黙って移せ!」
 店員:「えー。一本食ってもいいスか?」
 店主:「ちっ、しょーがねーな・・・ほらよ。」
 
 客M:「なんか、ちゃんと働いてる感じはするけど、
    (携帯を見て)・・・もうこんな時間。
     早く食べて職場に戻らないと。」

 
 店主:「よし! こう・・・味をつけて、と・・・。」
 店員:「おお!これが?」
 店主:「そうだ。これがヘルシー丼だ。」
 店員:「なるほどー。勉強になるッス。」

 客M:「出来たのかな? でも・・・。なんだろう。なんか胸騒ぎがする。」

 店員:「てゆーか。なんでアイツ帰らせなかったんスか?」
 店主:「あぁ、なんかよぉ。怪しまれてるようなんだよ。」
 店員:「え!?」
 店主:「でも、これを食わせたら普通の食堂だと思って帰っていくさ。」

 店員:「ほーい。どーぞ!」
  
   (ヘルシー丼を軽快な足取りで運んできた)

  客:「やっと食べれるぅ・・・。」
 
    (目の前に置かれたヘルシー丼を見て驚愕する)

  客:「へ? なに・・・これ?」
 店員:「ヘルシー丼ッスよ。」
  客:「ヘルシー丼・・・て。ただのご飯だけじゃない!?」

   (厨房へ戻ろうとした店員が振り返る)

 店員:「へ? なに言ってんッスか。」
  客:「え?」
 店員:「ほら、表面の色みたら分かるじゃないッスか。」
  客:「たしかに、なんか茶色いのが付いてるけど・・・おこげ?」
 店員:「匂いを嗅げばわかるでしょー。」

   (客が、どんぶりに鼻を近づける)

  客:「(すぅー)この匂い・・・」

 店員:「そー。カツ丼ッスよ!」
  客:「・・・・あの。ちょっと、良く分からないんですけど?」

   (厨房から生えている店主の顔を睨みつける客)

  客:「店長さん! 私、ヘルシー丼頼んだんですけど!?」
 店主:「・・・・・・・店長? オレ?」
  客:「えぇー? 店長ってアナタじゃないんですか??」
 
   (店主と店員が目を合わせる)

 店主:「・・・店長です。」
 客M:「なに、今の間は・・・。厨房から生えてるのが店長じゃないのー?」
 
   (客が店主(?)と店員を見比べていた時、ある事に気が付いた)

  客:「・・・・あれ。無くなってる。」

   (客は、その視線をゆっくりと目の前にあるヘルシー丼へ移した)

  客:「・・・どういうことですか・・・。」
 店員:「?」
  客:「あそこにあったはずの・・・食べかけだったカツ丼が無くなってる・・・。
     そして、目の前にある、このカツ丼のご飯・・・。」

 店主:「・・・カツはカロリー高ぇからな。
     ローカロリーでカツ丼風味を楽しめる! ヘルシーだろぉ?」
  客:「ふっざけんなぁー!!! もう二度と来ない!!!!!」

   (客は勢い良く立ち上がりそのまま外へ飛び出して行った)

 店主:「あ!」
 店員:「・・・帰っちゃいましたね・・・。」
 店主:「やべぇな。・・・おい!急げ!!」
 店員:「う、ういッス!」
  
   (二人は慌しく、レジの元へ駆け寄り漁り始めた)

 店主:「ちくしょー、ちゃんと料理の勉強しておくんだったな。」
 店員:「アニキー、食堂はやめたほうがイイッスね。」
 店主:「お前よぉ、レジ打てるか?」
 店員:「いゃぁ・・・開けるのは出来ますけど・・・。」
 店主:「だよなぁ・・・、次はコンビニにしようと思ったけど。」
 店員:「止めたほうが良さそうッスね。」
 
   (SE:ガラガラガラ)
   (バツ悪そうに客が店に戻ってきた)

  客:「・・・すんません。携帯忘れちゃ・・・・・・。」

 店主:「あ!」
  客:「あ?」

   (客は、レジを漁っている二人の様子を凝視している)

 店員:「ああ、ああ、ああ・・・」
   (札を握り締めたままクビを横に振り、違う違うというジェスチャーをする店員)

  客:「あーーーーー!!!」

−終 劇− 

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